水門川下り



大垣の中心を流れる水門川は、其の昔、大垣城のお堀として利用され、少し下った船町湊からは、川船で伊勢湾へ抜け、桑名、三河への船便のための運河として利用され生活物資のほとんどは、此の水門川の川船で運搬されていました。

松尾芭蕉も「奥の細道」の長旅を終えた後、伊勢の遷宮参拝のため船町湊から水門川を下っています。

現在の水門川は、川船の行き来もなく、市の中心を静かに流れ遊歩道のコースとして大垣市民に親しまれています。

昔のことを思いながら秋の水門川を下ってみました。

写真が多いので重くなりましたが辛抱して下さい。




出発点は、JR大垣駅前の道を東へ100m程歩くと橋が架かっています。橋の向こう側には、大垣祭りに練り歩く山車の一つである恵比寿山車の保管庫と神社があります。おや!道標もありますねぇ。この橋の架かっている川が水門川です。ここから下ってゆくことにしましょう。

川の両側は、遊歩道になっています。暖かい日中には、熟年のカップルから高校生のカップルがなにやら楽しそうに語り合いながら散歩しているのが見られます。うらやましそうに見とれていると街路樹にぶつかりますよ。西側の散歩道を少し歩くと滑稽な石の人形が建っていますよ。






狭くなっている遊歩道を抜けると本通りに出ます。ありゃ!街の真ん中に水車小屋が有るではありませんか。古びた小屋ならgoodだが残念なことに、まだ新しいのだ。50年ぐらい待つといい雰囲気になるのでは?

道路を横断すると白いタイル張りの噴水があり川辺まで降りられます。
しばし休憩も良し!

すぐ横には、貴船神社があります。神社の前の通りは、本町通りと言って夏祭りには七夕が道いっぱいに飾られますよ。

遊歩道を下って行くと駅前通りに出ます。大垣の繁華街です。この貴船神社の脇から駅前通りまでは、数年前までは夜になると屋台がいっぱい並んでしましたが・・・街がきれいになるのはいいですが、ちょっと寂しいこともあります。

橋の手前の花壇は秋口には花が鮮やかに彩りますよ。





駅前通りを横切って歩いてくると、川が合流しています。合流している川の方を見ると何か楽しそうです。憩いの場が設けて有ります。私の子供の頃は、川の水が工場排水で色が変わっていましたが今は魚が住んでいます。

この部分は東から西への直線部分で橋が沢山架かっていますが、どの橋も欄干が異なり色々のデザインのものが楽しめます。
大垣城のお堀の部分のため、どの橋も天守閣の方に向かっています。

どちら側を歩いても良いのですが、右手側を下ると大垣藩校跡の史跡と学問の木「とねりこ」があります。もう少し歩くと 八幡神社 前に出ます。神社の境内には、 芭蕉句碑 があり西の方を見ると伊吹山が見えます。

   折々に伊吹を見ては冬ごもり    はせを

今歩いてきた道と神社の境内には、5月の大垣祭りには駅前通りまでびっしりと金魚すくい、綿菓子、風船などの店が並びます。子供の頃は、これが楽しみでしたねぇ。「寅さん」もいたかな?

水門川は、ここから大きくカーブして南北の流れになります。
お寺がありますねぇ。 円通寺 と書いて有ります。大垣藩主であった 戸田家の菩提寺 です。其のすぐ先の橋からは天守閣が望めます

小学校前に出ます。興文小学校で大垣藩校時代から続いており155年以上の歴史があります。校門を入ったところの花壇は今年文部大臣賞をいただき10月はきれいでしたよ。何年振りかに母校の校庭に立ちましたが、ずいぶん立派になり土俵まで有ります。

広い通りに出ました。旧国道21号線で右手方向は、近鉄西大垣駅に突き当たります。進行方向の対岸に市役所が見えてきました。




市役所の後ろを通り過ぎしばらく進むと川幅が急に広くなり大きく左にカーブしています。時計台、川船、茶席などが見え橋のたもとには、ひごい、水鳥がいっぱい集まっています。鯉に餌をやっている母子が見られ向かいのベンチには、読書をしている人も見えます。
この辺りが水門川で一番のんびりとできます。

   小春日和鯉とたわむる母子かな

「奥の細道結びの地 記念館」の前で、またまた合流しています。対岸に道標が見え、川には水鳥が泳いでいます。、川辺に降りて下の方を見ると水門川が運河として利用されていた頃の運搬船が寂しく一隻つながれています。

大正4年には、動力船3隻、無動力船222隻が就航していたとのこと。現在残っているのは、この1隻だけです。子供の頃は、まだ数隻残っており動いているのも見た記憶があります。

この辺りが「 奥の細道結びの地 」で有名な 船町湊 です。住吉灯、住吉神社の他に川の両岸には沢山の句碑、史跡があります。
記念館を見たり、句碑を見ながら芭蕉の世界に浸って下さい。

芭蕉と谷木因の銅像を後にして下って行きましょう




船町湊を後にして水門川を下って行くと、だんだんとローカル色豊かな景色になってきました。堤防の上を歩くだけで川辺には近づけません。

国道258号線を横切ると広い池のようになったところがあり釣り竿をたれている人も見えますし小舟からも釣っているようです。のどかですねぇ。其の昔、ここを何隻もの船が往来していたなんて嘘みたいです。

この辺りは、名神高速道路のインター建設、国道の開通する前は、水田地帯で 堀田 がたくさんあり朝早く家を出て鮒釣りをよくしたものです。現在、堀田は土地改良で埋め立てられ残っておりません。

写真を撮りに川辺に近づくと魚の逃げる音がしました。少し離れたところには大きいのが泳いでいます。上の方で放流された鯉が下ってきているのかも知れません。久しぶりに竿を出してみたくなりましたね。ここしばらく海ばかりだったもんねぇ。




この辺りまで来ると完全に農村地帯です。堤の向こう側に 水神さん の社が見えます。此の辺りの村には、 水屋 が沢山ありました。今は、其の面影として石垣の有る家が多く見られます。

名神高速道路をくぐります。数百メートル西には、大垣インターがあり国道258号線が平行に走っています。交通量が多く朝夕の通勤時には、渋滞していますが、私が車を乗り始めた頃は、ガラガラで何キロ出るかなどと無茶ができる状態でした。

河がにぎわい、鉄道が栄え、今、道路が渋滞していて川は、のんびりとしている。スピード、スピードと世の中は動いてきたが・・・余裕ないですねぇ。

名神高速道路をくぐると両岸に家が多くなってきましたし、工場も並んでいます。水門川と国道が接近してきたからでしょう。すぐ東の堤防は、揖斐川です。先の方に 排水機の建物 が見えてきました終点間近です。此の排水機のおかげで洪水もなくなり堀田、水屋も消えてきたのです。

終点です。排水機から下の方を見ると今までのきちんと整理されたものから離された感じです。
これから先は、揖斐川に流れていきます。


大垣の中心から繁華街、大垣城、船町の史跡、郊外の農村地帯へと下ってきた水門川下りは、いかがでしたか。?

何を感じられましたか?  えっ ガイドが悪いから全然!!  これまた失礼しました。



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