『商品開発』について 

 商品開発では、まず、分析結果をもとに、一人一人が和菓子のデザインを考えていった。ともすると、自分が食べたいものに陥ってしまうので、常に分析結果を意識することを確認し合った。商品の差別化を図るために、地域の物や動物、特産品、学校の物などをテーマにし、自分で考えたオリジナル商品デザインを描いた。販売が2月に行われるので、冬をイメージしたもの、また、干支のうさぎをデザインしたもの、木田小学校の校章を入れたものなど、個性的で楽しいデザインがたくさん生まれた。
この子は、分析結果から「卵くらいの大きさ」、「甘い」「フルーツが入ったもの」という内容を取り入れて考えました。
 ある子は、地域のみんなが笑顔になってほしいという願いを込めてハッピー大福と名付けていた。チョコやカスタードクリーム、フルーツなどを入れたり、動物の形を考えていた。また、ある子はベースを大福にして、大福の中身を1つずつ変えたり、大福の表情を変えて、3つで1セットにしようと考えた。
 次に,各自が描いたデザインを持ち寄り、班ごとに1つのデザインを決めた。みんなのアイデアからいいところを組み合わせた班、一人のアイデアに絞った班、もとになる一人のデザインを決め,そこからアイデアをつけたしていった班など,方法は様々だった。分析結果に立ち戻りながら,限られた時間の中で納得いくまで話し合い、どのグループにも負けないという自負をもち、デザインパネルを作っていった。
 グループの話し合いで決まった商品を、評価委員の方たちにプレゼンテーションで提案し,評価をして頂いた。この評価をもとに、販売する商品のデザインが決まっていった。作成したデザインパネルをもとに、商品の特徴やアピールポイントなどが伝わるように,練習を重ねて評価会に臨んだ。評価委員として、和菓子職人である末廣屋の安藤さん、保護者の皆さん、校長先生などに来て頂いた。
 評価会では、自分たちのデザインをアピールするだけでなく、評価委員の方たちの質問にも答えなければならなかった。子どもたちは、考えていなかった質問があったり、商品についてのさらに詳しい説明を求められたりと、厳しい場面に立たされることもあった。
 さすがに初めはかなり緊張の面持ちであったが,自信が感じられるほど生き生きと話す子がいた。鋭い質問にあたふたしながらも力を合わせて返答したり,末廣屋の安藤さんに「もう一度僕たちのプレゼンを聞いてもらえませんか?」と申し込んだりと,頼もしい姿もたくさん見られた。評価会を終えた子どもたちは,
「評価委員の人は細かいところまで聞いてきてとても大変だった。でも班の仲間が助けてくれた。」
「アドバイスがもらえてよかった。」
「大人の人相手にアピールをするむずかしさを知りました。」 といった感想をもっていた。

 これは,評価結果の一覧表である。 

 保護者のみなさんは、一般消費者の目で,末廣屋の安藤さんには、和菓子職人としての専門的な目から、商品を評価して頂いた。
 クラスの一人ひとりが「選ばれたい!」という思いで頑張ったプレゼンであったが,評価が点数化され,はっきりと順位が出てしまう一面もあった。それでも、そのまま公表した。評価会とはまた少し違った緊張感の中,集計結果一覧表を配った。意外にも歓声や落胆の声はほとんどなく,ひたすらまじまじと集計表に目を向け,点数や講評の言葉を真剣に読んでいた。
 一番評価が高かったのは「うさぎ大福」その次が「粉雪」であった。1位のデザインですぐに「決まり」ではなく,さらに、工夫をしていった。安藤さんからも「中のフルーツの組み合わせを、考えたほうがいい。」とアドバイスをいただいた。
 その後も商品の最終決定に向けて、さらに議論を重ねた。そして、1位の商品だけでなく、2位の粉雪も売り出そうということになった。また、バラ売りにするのか、セット売りにするのかということも話し合った。そして決定したのが、うさぎ大福改め「白うさぎ」と「粉雪」である。冬らしい商品なった。
 続いて,試食会を行った。デザインパネルを参考に、安藤さんに和菓子を作ってもらった。自分たちのアイデアが、初めて形になるため、子どもたちは、この日を心待ちにしていた。試食会は、ただ味見をして楽しむのではなく、
「イメージ通り仕上がっているか」
「宣伝をしていくのに,アピールポイントになるのはどんな点か」
といった視点をもって、チェックシートに書きこみながら食べていった。今のままでは、ただの大福なのでうさぎにするための耳の付け方をどうするのか、安藤さんと相談しながら考えていった。ここが、和菓子作りで一番悩んだ場面であった。しかし、「この商品を売るぞ!」と、より気持ちが高まった瞬間でもあった。




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