Roland JP-8000

鍵盤をモディファイ

 Roland JP-8000はとても優れたシンセサイザーで、機能、音、操作性とも申し分ないのですが、唯一我慢できなかったのが鍵盤です。価格には似合わない安っぽいタッチで、ベロシティが付けづらいです。手元にJV-1000の錘落ちした鍵盤があった(JV-1000自体は新しい鍵盤に交換済み)ので見比べると、キートップそのものには互換性がありませんが、錘を取り付ける部分には互換性がありそうです。そこで、JV-1000のキートップから錘を外し、JP-8000のキートップに移植することにしました。ついでに鍵盤押さえフェルトも付けちゃいましょう。

    いきなりグロっぽい画像ですが、これが外したJV-1000の錘です。平べったいのが白鍵、「ト」形をしているのが黒鍵に付いていた物です。
 この赤い接着剤がJV-1000の錘落ちの原因なのですね。JP-8000に取り付けるためにはこの接着剤を取り除かなければなりません。シンナーやアルコールではこの接着剤は溶けませんでした。なので、錘をペンチで掴んでカセットコンロで熱し、接着剤が柔らかくなったところをティッシュペーパーで拭き取るという地道な作業を行いました。
    悪名高き(?)初期JV-1000の接着剤に代わり、新しく錘をキートップに固定するために選んだのはこのボンドSUです。金属、プラスチック共に使用でき、ゴム系なので硬化後も弾力性があります。
    JP-8000の底板を外したところです。ノブやレバーを破損させないよう、布団の上で分解をしました。キースキャン用のフラットケーブルを外します。
    鍵盤シャーシからキートップを外します。可動部分にグリスが塗られていて気持ち悪いですが我慢です。今回は押しバネを外してしまいましたが、必須では内容です。ただ無くしてしまうのが怖いので、外して小さな箱に入れておきました。
    JP-8000のキートップの中にボンドを塗り、錘をはめ込んで「ムニューッ」と押さえ込みます。
 この写真は白鍵ですが、黒鍵は幅が狭くボンドを流し込むとキーガイドが当たる部分にまでボンドが付いてしまい不具合の原因になるので、ラジオペンチで錘を掴み、錘側にボンドを付け注意深くキートップの中へ埋め込むという方法で作業を行いました。
 この作業を49鍵行い、硬化を待ちます。
    錘を埋め込んだキートップ、白鍵と黒鍵です。これを鍵盤シャーシに取り付け直し、鍵盤の改造は終わりです。
   鍵盤とトップパネルとの隙間が空いているのが気になるため、ピアノのように鍵盤押さえフェルトを付けることにしました。フェルトを買ってきて細く真っ直ぐに切り(けっこう難しい)、両面テープでトップパネル裏側に貼り付けます。もともとフェルトを付ける設計ではないため、基板にも貼り付いてしまっていますが、仕方がありませんね。
 位置合わせは組み上がった鍵盤を仮に当ててみて行います。 
    さて、全部組み立て直して斜め下から撮った写真です。こんな具合に全てのキートップに錘が付きました。
 いい感じにキータッチが重くなり、弾き心地が向上しました。押しバネの力が不足してキートップが上がって来なくなるのではと心配していましたが、そういうことも無さそうです。
    上から見たところです。
 ちょっと分かりづらいですが、鍵盤奥とトップパネルの間に青いフェルトが見えます。単に見栄えだけのものですが、ひょっとしたら防塵効果があるかもしれません

LEDを交換

 Roland JP-8000をライブで使っていて気になるのは、ボタンに内蔵されたLEDの見づらさです。薄暗いライブハウスではともかく、照明が当たったり屋外だったりすると本当に見えません。もちろんRolandの技術者もそれを承知しているらしく、回路ではLEDに定格いっぱいの電流を流すよう電流制限抵抗を小さくしてありますが、やっぱり物足りません。そこで、高輝度タイプのLEDに交換してみます。

    元々スイッチボードに取り付けられたLEDは、恐らく松下のLNJ801LPDJAでしょう。足の間隔が通常の2.5mmではなく5.0mmであるうえに丸形ではなく低背の変形です。
    使えそうなLEDを探しました。上記の条件だとかなり選択肢が限られますが、サンケン電気のSELS5L23C-Sであれば付きそうです。比較すると多少高さが違いますが、私はこれ以上近い仕様で、高輝度な物を見つけられませんでした。
    新しいLEDをスイッチボードに取り付けた写真です。タクトスイッチよりも高くなってしまいましたが、果たしてボタンと干渉しないでしょうか?結果はOKでした。
    組み立てて動作テストです。結論から言うと、ボタンのレンズ発光部が小さいため、いくらLEDの輝度が高くても「まぶしい」と感じるほどには明るく見えませんでした。しかしアクアブルーのLEDで気分一新です。[UPPER]と[1]のボタンを見てください。なお、ドットLEDは赤のままです。これは、ドットLEDも特殊形状の物(先端が2φ程度にくびれている)が使われており、交換できそうな物を見つけられなかったためです。
    こちらはピッチベンドレバー付近の写真です。本当に見やすくなったかどうかは、今後のライブ会場で使ってみないと分かりません。根本的に解決するには、着色されていない透明なボタンに交換することですが、こればかりはどうしようもありません。