公開質問に対する掛川市の回答
掛川市農政課職員の皆様
お忙しい所、御丁寧に回答をしていただきありがとうございました。
******* 様
「農業用貯水池におけるバス釣りについて」のご質問に対する回答文
この度、****様よりいただきましたご意見・ご質問に対する回答をさせていただきます。
藤田様の環境問題に対する高いご見識に敬意を表するとともに、日頃から釣りマナーの向上に関する啓発活動に対しまして厚くお礼申し上げます。頂きましたご質問にお答えする前に、今回掛川市と2つの環境保護団体が看板を設置したその目的と背景についてご説明させていただきます。
今回、看板設置を行った理由は大きく2つあります。
まず1つめは、釣りマナーの悪さによる溜池周辺農地への被害の増大を防ぐことにあります。
ブラックバスの釣りがブームとなったここ10年来、溜池へブラックバスを釣りに来たと思われる人による被害が増加するようになりました。迷惑駐車、農道への大型RV車の強引な進入、ゴミの投げ捨てのほか、周辺農地への大小便の放置、捨てられた釣り糸が農機具にからみつく、用水の水門を無断で操作する、マナーの悪い釣り人を注意すると逆に恫喝をうける、等々多数の問題が生じ、本来の用途である農業用溜池としての使用に支障をきたす事態を引き起こしています。
このため、掛川市では溜池に釣りマナーの向上を呼びかける看板の設置等を行ってきましたが、効果がみられないことから、さらに一歩踏み込んだ対策を考える必要が生じました。今回の看板はこのような状況から考えられた対策でもあります。
2つめは自然保護の観点からです。
人の手によって造られ、人為的に水位が操作される農業用の溜池であっても自然的に発生する生物(魚類でいえば、カワムツ・モロゴ・フナ・ハヤ等)がいます。こうした魚たちが不法に密放流されたブラックバスなどの外来魚が存在する池では数を著しく減らしているのが現状です。在来魚種減少の理由を外来魚のみに押しつけることには問題があると思われますが、要因の一つであることは確かだと思われます。
また、ブラックバス・ブルーギルが生息する池には飛来する野鳥の数も減少しているなど、影響が池内にとどまらず周囲に広がっている状況です。その他にも、釣り人が放置した釣り糸や釣り針などが野鳥を傷つけ、時には死に至らしめるといった報告も届いています。
以上のような大きく2つの理由から看板設置を行うこととなりました。今回の看板が設置された池、あるいは釣りマナーの向上を呼びかける看板のある池は大なり小なりこのような問題が発生している池だとお考えください。
また、ご指摘のように静岡県内水面漁業調整規則で禁止されているのは外来魚の「移植」で釣りを禁止したものではありませんので、看板のなかでも移植(=放流)は「禁止」とし、釣り(リリース)については「ご遠慮ください」として釣り人の方の協力をお願いする文言としました。 設置にいたる事情と今回の主旨についてご理解をいただきたいと思います。
以下は****様から頂いたご質問に対する回答です。
質問1 「ブラックバス放流禁止」の看板がある池は「釣り禁止」なのか?
釣りは禁止していません。
質問2 看板がある池で釣りをした場合は犯罪になるのか?
犯罪にはなりません。現行の法規では釣りを禁止していません。現在のところ掛川市には釣り禁止条例はありませんし、条例を制定する予定もありませんが、釣り人のマナー問題が今後も続きますと釣り禁止の声が高まるのではないかと考えられます。
質問3 「在来魚保護のため」とあるが、人工的に作られ、堰堤の改修により水を抜いたりする農業用貯水池(ため池、野池)における「在来魚」とは何を示すのか?
溜池内の生物が完全に死滅することは、長期にわたり完全に水抜きをしない限りはないと思われます。また、溜池に流れ込む沢から生物が流入することもあり、水抜き後の池にも自然発生的に魚の姿が見られます。これらの魚を在来魚と考えています。
また私たちは、溜池を閉鎖水域とは考えていません。通常の放水、または水抜きの際に近在の河川へブラックバスやブルーギルが流出してしまう危険性も考慮しています。コクチバスは流れのある冷水域でも生息が可能とのことですので、河川への流入をくい止めたいと考えています。
質問4 釣り目的で放流されるヘラブナやコイは池の生態系を大きく崩し、既存の動植物に悪影響を与えると考えられるが、これらの放流は規制しないのか?
ご指摘のように、溜池のような普段は閉鎖されている水域に本来存在しない魚種を放流することは、その生態系に影響を与えることになると思われます。しかし、ブラックバスの獰猛性や稚魚を親が保護しながら育てる習性などはご指摘の魚種には見られず、ブラックバスやブルーギルの大繁殖の要因と考えられます。またフナやコイが河川へ流入した際の影響もブラックバスなどと比較して軽微なものであると思われますので、その他の魚種に対する規制は現在のところ考えていません。
質問5 池の中の生物を保護するなら、隣接する茶畑からの過剰肥料や農薬、畜舎からの糞尿の流入を規制する事が最優先ではないか?
掛川市では現在、環境への負荷を軽減し資源の循環を図る農業形態をめざし、環境保全型農業を推進して、お茶の施肥量の削減、家畜ふん尿処理の適正化を掛川市農協と共に取り組んでいるところです。お茶の施肥量は数年前と比較して減少していますし、家畜ふん尿についても堆肥化施設等の整備をおこなうことで対応しています。
質問6 「外来魚」は釣られたことにより何割かは死ぬが、釣りを禁止することは、外来魚を温存することになり「在来魚」を保護する事にはならないのではないか?
「キャッチアンドリリース」が主流の現在のブラックバス釣りでは釣られることによって死にいたる魚の数は限られたものだと思われますので、外来魚の釣りをすることが在来魚の保護になるとは考えていません。
質問7 掛川市もしくは関係団体は「在来魚」を保護するために具体的に何をしているのか?
掛川市では平成12年度に環境基本計画自然環境調査を実施しており、溜池を含めた市内の動植物の生態についての調査を行いました。この調査に基づいた境保全への諸施策を実施しているところです。具体的には水質保全のための合併浄化槽・下水道の整備、環境に負荷の少ない農業の推進、一般家庭からの生活排水の浄化を呼びかける啓発活動等を行っています。このような事業に取り組み、河川湖沼の水質を浄化していくことが、そこに棲む生物の保護につながると考えています。詳細は掛川市公式ホームページの環境基本計画のなかに掲載されていますのでご参照ください。
質問8 「環境かけがわの会」「川・池・魚を愛する会」とはどのような組織か? 構成員は誰か?
上記2会は市内にある環境保護の団体です。環境問題への関心の高い市民有志により構成された団体です。
質問9 掛川市が進めている生涯学習の一環として、大小あわせて300程度ある農業用貯水池を活用する考えはあるのか?
掛川市には大きな河川がないため、溜池は米作りに必要な用水確保の目的で地区の人々が人力で築造したものです。したがいまして土地も個人所有のものが多くなっています。このような施設ですので、用水確保の目的を中心とした維持管理をしていきます。池によっては親水・大井川用水の調整池としての利活用をしていきたいと考えています。
平成15年2月
掛川市役所農政課
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