豪州バラマンディ・フィッシングV
雨季が1ヶ月早い!?

ターポン 6KB
本命のバラはいずこ!?

擬似餌の玉手箱>豪州バラマンディ・フィッシング>'99/11遠征

'99/11/27(土)


〜雨季が1ヶ月早い!?〜


 11月26日の夜8時過ぎに名古屋空港から飛び立ったカンタスQF50便は、着陸降下時に機体が随分揺れながらも定刻にケアンズ空港へと降り立った。天気は事前にインターネットでチェックしていたとおりの雨。しかも激しい。今年は@クロコダイルが既に産卵している。(通常雨季の前に卵が孵化する) Aアリが蟻塚を補修し始めている。という点から雨季が早いだろうという情報を事前に得ていた。実際ここに来て、雨季が1ヶ月も早まってしまったかの天気が続いており、この雨も数日間続くようだ。

 入国手続きを済ませ、空港ロビーへ出ると旅行代理店トレードウィンズのスタッフY氏が眠そうな目をして立っていた。無理もない。我ら4人が到着したのは現地時間で朝の4時過ぎなのだから。ホテルへ向う車中では早朝の出迎えに感謝しながら、このところの天気や釣果状況、9月に釣れたバラマンディのワールドレコードの話などアレコレと情報入手。

 朝7時にガイドが迎えに来るので、仮眠する間もなく釣行の準備に取り掛かる。冬の日本から夏を向えたオーストラリアに到着したので、本来なら到着したその日は体を慣らすためにゆっくりしたい。しかし、今回はお馴染みのガイド:テリーホールマンと釣りをする日を確保するために到着当日からの釣行とした。

〜てるてる坊主頼み〜


車中のテルテル坊主 6KB 雨の朝、時間どおりにガイドのテリーと、もう一人、背の高い大人しそうなガイド(名前不明)が登場。(予約していたガイド名はピーターだったが、実際現れたのは別人であった。)
 私は同行者Kとともにテリーの車へ、相棒Iと相棒Sは別車に乗り込み釣り場に向った。テリーは「今日は最悪のコンディションでとても厳しい状況だ。僅かな望みを掛けてディントリーリバーへ行ってみよう」と言う。ちなみに、相棒Iたちはケアンズ湾へと向った。

 ディントリーリバーまでは、ケアンズから真っ直ぐ北上。時速80〜100kmで走って1時間半程度の距離。雨の中をボートを牽引した日産パトロールがサトウキビ畑の間を突っ走る。山の中腹にあるバンジージャンプスポットを指差し、「バラが釣れなかったら、あそこでバンジージャンプだ。」とテリーが冗談交じりに言う。冗談が本当にならなければ良いのだけど・・・。

 車中には、日本人客がティッシュで作ったであろう「てるてる坊主」と「アホの坂田」氏のキーホルダーがぶら下がっていた。時折強く降る雨に願いを込めて「てるてる坊主」の歌を大合唱。「明日天気ではなく、今日天気にしてくれ!!」と強く頼み込んだのだが、効果が表れない。あれはきっと「テリーテリー坊主」だったに違いない。途中、何ヶ所かある小川を見るとどこもオレンジ色の水がドヨドヨと流れている。余りの酷さに思わず「うわぁ〜」とか「うげぇ〜」という声しか出ない。テリーがやたらに押すキーホルダーから流れる「アホの坂田」氏の声を聞くと益々悲壮感が漂った。

〜ジャングルクルーズ〜


テリーもお手上げ 7KB ボートランプに到着して川を見ると、赤土を溶かし込んだドロ濁り。澄んだ水を求めて、とにかく上流に向いボートを走らせた。しかし、どこもかしこも真っ茶色。小川の流れ込みをまわるが、流れ込む水がドロ濁りの状態。こんな状況では釣れるわけがない。僅かに2回ターポンが跳ねるのを確認しただけで、投げるルアーにはコツリともアタリがない。

 試しに水温を計ると僅か23.5℃。濁っているだけでなく、冷たい雨のおかげで水温がぐっと下がっている。バラマンディの適水温は30℃と聞いているので活性が低い事も納得できる。途中、村田基氏や同行の女性(児島玲子さん)が6匹釣ったというポイントも通過したが、そこは濁流に飲み込まれ、まともな釣りができるような場所ではなかった。バラマンディガイドNo1のテリーもこれにはお手上げ。

 本流ではまったく期待できないような状況だったので、木々やツルが覆い被さる小川へ強引に突っ込み、ボートの舳先で掻き分けながら川を溯って行く。ボートデッキには折れた小枝や、葉っぱ、小さな虫達がバラバラと落ちてくる。当然、私達は体を低くしてデッキに伏せ込み、次から次に現れる枝をかわした。ディントリーリバーには観光客用の半日ツアーで”安全”なジャングルクルーズがあるが、こっちは、まさしく”正真正銘”のジャングルクルーズって感じ。テリーは操船に必死でとても険しい顔をしていたが、我々はむしろこのクルーズをハラハラ・ドキドキしながら楽しむことができた。

〜まさかの釣り場変更〜


 延々、川を溯ってもまともな釣りができる場所はない。テリーは11時半にディントリーリバーで釣りを続ける事に見切りを付け、釣り場を変更する異例の決定を下した。雨の中、全速力でボートランチまで戻りボートを急いでピックアップ。キャストしていた時間よりボートでポイントを探し回り移動していた時間の方が明らかに長い。まともなキャストは100投もしていないと思われた。

テリーの車&船 5KB ケアンズ市内まで戻るために再び1時間半のドライブ。帰路、テリーは「バラが釣れなかったから、約束どおりあそこで3人ともバンジージャンプだ。」とオバカな事を言うが、この後の事を考えると何だか笑えなかった。車の移動だけで往復3時間のロスタイム。釣り場では100投もせずボートを走らせているなんて、「バラ」を釣りに行ったのではなく、自分達がいかに「バカ」であるかを証明しているようなものである。

 取りあえず、ケアンズ市内に向い南下したが、相棒達が釣っているケアンズ湾に行くか、マルグレイブリバー行くかで正直言って迷った。「どちらに行くか決めるのは、おまえたちだ」とデリーは言う。 マルグレイブリバーはケアンズから更に45分程南下したところにある。往復に1時間半か・・・。移動距離が長ければ長いほど釣りをする時間が短くなる。ケアンズ湾だったら宿泊しているホテルの直ぐ目の前だ。「川が濁ったらケアンズ湾で釣る」というのが現地の「定説」になっているのだが、このところ釣果が思わしくないようなので、マルグレイブリバーへ行くことに決断。マルグレイブも当然、ディントリーリバー同様のドロ濁りである事も予想された。

 午後の部に備え、雑貨屋兼釣り具屋兼ガソリンスタンドに立ち寄りボートの燃料補給。私達はルアーをあれこれ眺めて目の保養。ちなみにテリー御用達のロッドはこのショップ(Bransfords Tackle Shop)のオリジナル。もちろんロッドの製造に当たっては、テリーのアドバイスが活かされている。フジの大口径SiCガイドとグリップが装着され、バラ釣り用にバットがしっかりした堅実な作り。その分、少々重い気もする。

[ワンポイントアドバイス]
 現在、日本のバスロッドは小口径のガイド、しかも数が多いニューコンセプトガイドの装備が主流である。軽量で繊細その反面、どうしても華奢に思えてならない。20lbラインに50lbのショックリーダーを結んだ状態で正確なキャストと、いざという時のロングキャストが要求され、バラの強烈なファイトに耐えるロッド・・・。日本でこの手のロッドを探すとなると、釣り具屋の片隅でホコリを被っている一昔前の売れ残りロッドを探す事になる。バラ専用ロッドを1本考えている人は、現地調達するもの1つの手だ。

〜至福の時間〜


 「バラ釣り隊」ではなく「釣りバカ隊」(隊長はもちろんテリー)になってしまった私達は、午後2時にマルグレイブリバーに到着すると一気に上流に向い40分程突っ走った。雨を避けるために橋の下に停船し、随分遅い昼食を取る。カッパを着込んでいるにもかかわらず、長時間の航行で体が冷えてしまった。ホットコーヒーで暖を取る。季節は夏のはずなのに、やっぱり異常気象なんだろう。

 恒例のセルフサービスによるサンドイッチをほおばりながら、暫し釣り談議。一服した後は再び上流に向かい、水深が浅くこれ以上ボートは無理という所まで行き着きキャストを開始。川の流れを利用し、ボートを流しながらポイントを攻める。幸いな事に、川の濁りはディントリーリバーに比べると遥かに澄んでおり期待が持てた。

スーティーグランター 6KB 記念すべき遠征1匹目の魚は午後3時過ぎ、同行者Kの操るアームズポッパーに飛び出たマングローブジャック。ホテルを出発してから実に8時間が経過していた。その僅か3分後、同じく同行者Kがジャングルパーチをキャッチ。テリーがポップRでジャングルパーチを1匹、シャッドラップでスーティーグランターを1匹追加した。この間、私の操るルアーにはノーヒット。1人寂しく取り残された感じがしたが、「テリーは絶対、客に釣らせる」という一種の信仰(?)を固く信じキャストを続ける。

 私の遠征1匹目が釣れたのは午後4時過ぎ。朝、ホテルを出発してからナント9時間が経過していた。ヒットルアーはC.Cプレデター。良いサイズのターポンを釣り上げる事が出来た。続いて、スーティーグランターを2匹。ジャングルパーチとターポンをそれぞれ1匹追加。午前中の分を取り返すぐらいの気持ちでキャストしまくり、タイトなポイントにビシバシとルアーを叩き込んでいった。

 一方、同行者Kの操るアームズポッパーには次から次へとターポンが襲い掛かる。まさに入れ食い状態、至福の時間。しかし、フッキングが上手く行かず魚が乗らない。これは魚がトップウォーターに激しく出た瞬間、反射的にアワセを入れてしまうクセが原因であった。捕食が下手なターポンを釣るためには、トップに飛び出た後もアワセは入れず、そのままリトリーブを続けるのが最も良い。そうすれば捕食に失敗したターポンが2度3度とルアーに襲い掛かってくる。

〜でた!バラだ!〜


 同行者K、テリーが使うポッパーへの反応が良くターポン、スーティーグランター、マングローブジャックが上がる。私はスゴイスプラッシュに換えキャストを続けた。川の流れに乗っているボートの足は早い。キャストしてからリトリーブしてくる間にボートの方が進んでしまい、ルアーが弧を描いて泳いでくる。船首で釣っていた私は、後ろの釣り人に迷惑をかけないようにとルアーを斜め前方のポイントにぶち込み、少しアクションを付けた後は急いで回収するという弾丸キャスト&高速リトリーブを続けていた。

テリー&グランター 7KB 午後5時過ぎ、小さなジャングルパーチを追加した後、何も考えずルアーを回収している時にガボッと出た。船縁までルアーが戻って来ている状態だったので、ギラリと銀色に輝く魚体が横から咥え込む瞬間を3人とも見る事ができた。「でた!バラだ!」思わず声が出た。しかし、ギュイッとラインを引き出したかと思ったら敢え無くフックオフ。残念無念・・・。

 午後5時半、同行者Kがスーティーグランターを追加して本日は終了。結局、午後3時から約2時間、3人で19匹を釣り上げた。バラを釣るチャンスは僅かに1回。タフコンディションの時は、この1回のチャンスをものに出来るかどうかで勝負が決る。

 ホテルに帰りケアンズ湾で釣りをしていた相棒達の釣果を聞くと、相棒Sが5匹(GT、ターポン、マングローブジャック、エスチュアリーコッド)をシュガーミノービクセンSH-60SPでキャッチ。相棒IがTDシャッドでマングローブジャックを3匹釣り上げた。残念ながらバラマンディは釣れなかったが、全員が遠征初日に魚達の顔を見る事ができホッとした。

[ワンポイントアドバイス]
 防水バック、防水BOXはあると便利。雨季に遠征する場合は当然の事、乾季でも突然の雨はあるので持っていく事に超した事はない。なお、注意するのは中に水を絶対入れない事。気密性が高いので、水が入ると中の物は全て湿ってしまう。

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