朝早く目が覚めたが、予定していた3日間の釣行が貧果で終わり意気消沈ぎみ。気分転換にとホテルの周りや海辺をブラブラと散歩していると、ホテル裏にテリーの車が止っているのを発見した。駆け寄ってみると車中では、テリーと神戸市から単独釣行で来ているNさんが本日の打ち合わせをしている最中であった。
彼らから前日のマルグレイブリバーの釣果を聞いて愕然。増水したのでクリアな水を求めて上流へ溯り、スーティーグランターを8匹釣ったと言う。初心者なのでキャストが上手くできず、フッキングミスも多いためテリーに怒られながら釣りをしていたが、ルアーへの反応が良くとても楽しめたとの事。今日はテリーとエサ釣りに行くらしい(ジョークか!?)。折角、バラマンディNo1ガイドと釣りをするのにエサ釣りをするなんて・・・何ともったいない。許されるなら便乗させてもらいたかった。
昨日ドロ濁りだった川で釣れたという話を聞いてしまうと、益々気分が凹んできた。釣り人の技量で釣果に差が出るのは当たり前だが、やはりガイドの違いが釣果を大きく左右する気がする。「何がなんでも客に魚を釣らせる」というプロ意識が高いガイドと、「時間内に釣り場を案内するだけ」のガイドでは差が出て当たり前なのかもしれない。
相棒達が起きてきたので本日の過ごし方を検討。1日ブラブラしていても詰らないので、バラマンディ釣り堀の”バラマンディパラダイス”に行ってみようという話になった。個人的には全く気が進まず、釣り堀に行くぐらいなら私一人失礼させてもらい、予定通り自由行動で買い物をするつもりであった。
ホテルのフロントを通じて”バラマンディパラダイス”に問い合わせてもらうと、幸か不幸か既に満員。川や海のコンディションが非常に悪いので、釣り堀に雪崩れ込もうという発想は誰もが思い付くようだ。ホテルスタッフが「Fishing The Tropics」という釣りのツアーガイドに電話を入れてくれた。運良く午後からボート2艇とガイド付きで予約を入れることができた。ちなみに料金は半日で1人A$150。ホテルの送迎とドリンク付き。釣る場所は2日間やって懲りているケアンズ湾になるらしい。釣果は期待できなかったが、「釣り堀でないなら付き合うよ」というくらいの、何だか投げやりな気分で参加する事にした。
約束の午後1時までには時間があるので、ホテルから歩いて20分くらいの所にある釣具店「ERSKINES TACKLE SHOP」で買い物をすることにした。3月に来た時とは品揃えが変わってきており、極彩色のルアーが減り、日本でよく見かけるようなカラーが増えている。豪州ドルが70円以下に落ち込んでいるので、日本円に換算すると随分安くなっている。私は御土産にと、日本では手に入らない豪州製のルアーをドッとまとめてレジに持ち込み、相棒達は「日本で買うよりも安い!!」といいながらダイワのハートランドやアブのロッドを購入。店内の大きな水槽の中には、レギュラーサイズのバラマンディが数匹飼育されている。相棒Sは始めて見るバラマンディを興味深げに観察していた。
午後1時半、ポイントに到着。ジャスティンにどんなルアーを使えば良いか尋ねると「日本製のルアーだったら何でもOKだ!」と言う。その中でも彼のお薦めはDDパニッシュ。リップインベイトでも良い釣りをしているらしくメガバスのルアーは大変お気に入りのようだ。最近、メガバスやラッキークラフトに代表されるJapan Madeルアーの威力がケアンズのガイド達に知れ渡っているようだ。そう遠くない内にガイド達のボックスの中身はこれらのルアーで埋め尽くされるに違いない。
ガイドのアドバイスどおりDDパニッシュを使いマングローブの根際をタイトに狙い撃っていく。DDパニッシュはウエイトの位置や飛行姿勢、水中突入角度に原因があると思うのだが、水中に突っ込んだ瞬間、予想以上にルアーがビュッとスライドして流れてしまう。これによりマングローブの根に引っかかるという事が何度もあった。そこでフォルムは非常に似ているのだが、水中での停止姿勢が異なるシュガーディープに換えてみる。するとキャスト後の水中突入時にイレギュラーなスライドはせず、絶妙なポジションでズボッとストップ。これでマングローブの根を釣る事は無くなった。まさしく似て非なる別物である。
今日も釣れないだろうと思っているので、「絶対に釣ってやろう」という昨日までのギラギラした気分は無くなり、「キャスティングの練習」という位に考え、リラックスしながら釣りをする事にした。この考え方が良かったのかもしれない。午後2時から2時半にかけて、バラクーダが2回、マングローブジャックが1回、シュガーディープにアタックしてきた。しかし、残念ながらフッキングはしない。
潮の動きや濁り具合、風向きやベイトフィッシュの有無をチェックしながらボートを移動する。前日、相棒達が攻めた記憶のあるポイントも何ヶ所か訪れた。どうもガイドが違っても攻める場所は似たり寄ったり。狙う場所が同じなので、バラマンディが釣れる確率が下がるのは当たり前と言う感じがする。テリーがほかのガイドと一緒になるのを嫌がるわけだ。ポイントがガイドの仲間に知れ渡ってしまうと釣りにならない。
昨日までと違い、時折GTに追われ小魚の群れが逃げまどう光景が見られた。「おっ、今日は魚の反応がある」って感じで少しウキウキ気分。GTはバラマンディと違って回遊しているので、運良くボート周りでボイルがおきれば大チャンス。そのボイルをめがけてルアーを投げればかなりの確率で釣る事ができる。
午後3時、少し前にボイルした辺りを通過させたドッグX-JrにGTが飛び出た。GTと言っても25cmのメッキサイズ。しかし3日ぶりの魚とあって喜びは大きかった。その後は、ジャイアントドッグXのパタパタとしたドッグウォークで魚のいそうなところをチェック。船縁まで回収したルアーをピックアップしようとした瞬間、「バシュ!!」という音と共にルアーが私の方に弾け飛んできた。思わず「うわっ」と声を上げ顔をそむけるのと同時に、黒い物体が視野を横切りボートの中に飛び込んできた。バタバタバタッとボートデッキの中で暴れまくる長細い魚。なんとフッキングしていないのに、バラクーダが勝手にボートへ飛び込んできたのだ。ホントこれはもう笑うしかなかった。怪しげな武術を極めた師範が使う”空気投げ”みたいである。私の釣りもついにそのレベルまで達したのか。(笑)
魚を釣ってホッとしたのか、私の中の”天の邪鬼”がモゾモゾと動き始めた。普通、ガイドが使うルアーと同類の物を使いがちだが、敢えて違う物を試してみようと考えた。彼がミノーを使っている時はポッパーやペンシルベイト。彼がトップに換えた時は私はミノーやクランクというように。この方法が功をそうしたのか、シーウォッチャー(11cm)にガツンとGT(25cm)がヒット。ラインが水中のストラクチャーに絡まるハプニングもあったが無事にキャッチ。DDパニッシュに換え、キャストを続けていると再び同サイズを釣り上げる事ができた。
続いてジャスティンがスーパーポッパーを使い同サイズのGTを釣り上げたが、その後はヒットも無く、午後5時近くに終了。バラマンデイの顔は拝めなかったが、GTを3匹とバラクーダを1匹釣り上げた。一方、昨日までコンスタントに魚を釣り上げていた相棒Iは私の”釣れない病”が感染したのかノーフィッシュ。
駐車場に置いてあったニッサンサファリRXターボで引っ張り上げ、別組が帰ってくる間にガイドがボートの掃除を行う。きれいに洗っておかないと会社に怒られるらしい。客商売だから当たり前といえば当たり前だが。暫くして帰ってきた彼らの釣果は、相棒SがスゴイスプラッシュでGTとバラクーダ、TDポッパーでアーチャーフィッシュを1匹ずつ釣り上げたが、同行のKは残念ながらノーフィッシュであった。
[ワンポイントアドバイス]
豪州釣行時にはポッパーを持参する事をお勧めする。ポッパーにはポップXやコンバットポッパーに代表されるような首振り、水沫チュピチュピタイプと、ポップR、スゴイスプラッシュのようなポップ音がきっちりと出せ、水沫が前方にしっかりと飛ばせるタイプがあるが、過去3回の釣行で後者の方が圧倒的に効果が高いことが分かった。
ちなみにポップRはエクスカリバーフックが装着されている洒落たゼルローランドモデルよりもワゴンセールで叩き売りされている旧タイプの方が良い。また、魅力的な長いフェザーが装備されているスゴイスプラッシュは、逆にこれがフッキングの妨げになる場合があるので、短くカットすると釣果が上がる。なお、スゴイスプラッシュは直ぐにカップ回りの塗装がパリパリと剥げてくるので、瞬間接着剤等を使ってコーティングすると良い。
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