豪州バラマンディ・フィッシングV
再びケアンズ湾

バラ用ビッグルアー 8KB
バラ用のビッグディープダイバー

擬似餌の玉手箱>豪州バラマンディ・フィッシング>'99/11遠征

'99/11/29(月)

〜 Promise!! 


 釣行最終日、約束の時間よりも早めにホテルの玄関に行くと、トレードウィンズのA氏とY氏、そしてテリーに会う事ができた。4人でこのところの悪天候を憂い、釣果について情報交換をした。テリーの今日の予定は日本人客1人を連れてマルグレイブリバーに行くとのこと。「昨晩、雨がまとまって降ったようなので、行ってみないと釣れるかどうかは判らない」とのこと。

 一方、私達のガイドはティムウェグナー(31歳)。相棒IとSのガイドは”ヨーダ”(本名:ピーター)。我々もテリーの後を追い、昨日、相棒達が魚を釣ったマルグレイブリバーへ行くことにした。車中でティムに「ガイドの仕事はどうだ?」と尋ねたら、「とても忙しい。客から要望があれは、最優先でガイドの仕事をしなければならない。おかげで彼女の機嫌がいつも悪い。」と言う。ガイド暦10年の彼はマーリンのガイドをやった後、バラマンディのガイドを始めたとのこと。昨日、ノーフィッシュで午後3時半に終わった事を伝えると「私は客に1匹も釣らせないでホテルに帰したりはしない。Promise!!」と随分頼もしい事を言ってくれる。

〜ケアンズへUターン〜


作戦会議 6KB 雨の中、午前8時にボートランプに到着。川は増水しており濁流。先に到着していた”ヨーダ”組はボートを降ろそうか、どうしようか迷っているところであった。ティムは川の状態を見ると 「雨が降り、川が濁ったらケアンズ湾」という定説に従い、ケアンズ湾へ戻る事を即決。彼は元々、海のガイドなので川はどちらかと言うと苦手のようであった。”ヨーダ”組も同じようにUターンを決定。

 昨日、ノーフィッシュであり、本日さらにコンディションが悪くなっているであろうケアンズ湾で再び釣りをするのは気が進まなかったが、川の様子を見ると承知するしかなかった。これによって来る時に車中でした「約束」は非常に怪しいものとなった。

 ちなみにテリーは既にボートを降ろし、濁流を溯っていったようだ。増水すれば、昨日まで行く事ができなかった上流まで上がれると考えたのだろう。テリーは一発勝負を掛けたに違いない。こちらへ来る時は45分で良かったのだが、帰りは市内に向う朝の通勤ラッシュにどっぷりはまり込み、1時間以上掛けて戻るはめになった。つくづく思ったのだが、現地へ行かないと川の状況が分からないという”行き当たりばったりの案内”は改善の余地がある。初日のテリーも同様だが、行ったり来たりと何だか無駄が多い。

〜再びケアンズ湾〜


ティムのボート 6KB午前9時過ぎ、ケアンズ市内の大型ショッピングセンターThe Pier Marketplace脇にあるボートランプに到着。ここだったらホテルから車で5分のところだ!マルグレイブリバーへの往復2時間は何だったんだろ。

 ガソリンスタンド兼雑貨屋でトイレを借りた後、ボートに乗り込んだ。このボートは前日の”ヨーダ”の物に比べると遥かに大きい。全長20ft、スズキ製エンジン75と古びたミンコタのエレキを積んでいる。これならルアー釣師が3人同時にキャスト出来る。餌釣りだったら8人くらいは可能だろう。

 ティムの案内で「ここはメートル級のバラが3本釣れた場所だ。」とか「ここにはマングローブジャックのデカイのがいる。」などと、とっておきのシークレットポイントを駆け巡る。しかし沈黙。今の私にとっては、昔話に興味はなく、小さくても良いから、とにかく1匹釣りたいという気持ちが強かった。昨日ボウズをくらいスゴスゴと引き下がったケアンズ湾に再び挑戦している私達にとって、2日続けてボウズなんてまっぴらゴメン。しかも今日は遠征最終日なのだから。

〜50lbリーダーがスパッ〜


 最初のヒットがあったのは午前10時半。蛇行した細いインレットのカケ上がりを攻めている時、同行者KのロングAにコツッとアタリがあった。「えっ!?」という声が聞こえたので振り返ると、ロッドはしなっておらず、ラインも張っていない。おまけに手繰り寄せたラインの先にはルアーが無い。なんとスイベルを結んであったはずのループ部がスパッと切れているではないか。使っていたショックリーダーは50lb。これを見て「デカいマングローブジャックの仕業だ」とティムは言う。マングローブジャックの歯の鋭さは聞いていたが、まさか50lbのリーダーをあっさり切ってく程とは知らなかった。デカいロングAを咥えて逃げていった魚は今頃どうしているのだろうか?

ティム 6KB 午後3時、私の使うシーウォッチャーにもマングローブジャックが赤い体をチラリと見せアタックした。しかし残念ながらフックアップには至らなかった。聞くところによるとマングローブジャックは賢い魚のようで、アタックした時に捕食ミスをしたり、餌ではない事に気が付くとと、どんなにフォローしても2度目は出ないと言う。魚がデカければデカいほど、経験を積んでいるので釣るのが難しくなる。

 余談だが、ティムは操船に徹しておりキャストはしない。時々、振り返って彼の様子を伺うと手巻きタバコを巻いてはスパスパと吸っている。足には鎖柄のイレズミが掘ってあり、ちょっとダーティーな感じを受けた。ガイドにも色々なタイプが存在する。テリーやピーターのようにガイドしながらも自ら釣りをしていると、狙うポイントやルアーのアクションの付け方、リトリーブスピードなどのテクニックを盗む事が出来るのでありがたい。テリーのロング&ピンポイントキャストは絶品であるし、ピーターのストラクチャーの中を縫ってくるようなリトリーブ方法は溜息が出るほどである。

〜”ヨーダ”組の釣果〜


 午後4時前、洋上で”ヨーダ”組と合流。彼らは私達を3度も目撃し、手を振ってくれたりしていたようだが、こちらはまるで気が付かなかった。周囲に気を配るほど余裕が無く、とにかくキャスト、キャスト、キャストを続けていたのである。こちらは「マングローブジャックのヒットが1回ずつあったのみ」という散々な状況を伝えた後、彼らの釣果を聞いてビックリした。相棒SはシュガーミノーでGT、エスチュアリーコッドを釣り上げていた。また、相棒IはアスリートミノーでGT、エスチュアリーコッド、ジャイアントドッグXでアーチャーフィッシュをキャッチ。

 彼らは時折、GTに追われ小魚がボイルする所をトップウォータールアーの早引きで狙うという楽しい釣りもやっていたようである。私達の方は、そんな光景には一度も出会えなかった気がする。また、ジャイアントドッグXの早引きをしている時にカモメが飛んできてルアーを咥えて飛び立ち、空中格闘戦を繰り広げたといハプニングもあったようだ。挙げ句の果てにジャイアントドッグXにバラマンディがドカンと出た後、ストラクチャーに潜り込みルアーをぶっち切って持ち去ったとのこと。バラが出た時の音はまるでライギョがトップに出た時の捕食音のようだったらしい。逃がしたバラは残念だったが、ロストしたルアーは入手困難なのでとても手痛いだろう。

 話を聞いていると、どうやら”ヨーダ”は、昨日 私達がやっても釣れなかったポイントは最初から見切りをつけ、別のポイントを主に巡っていたようだ。ということは彼らの本日の釣果は、昨日の私達が体験した辛くて厳しい”修行”の上に成り立っているのではないか!?

〜船上口論〜


 午後から回ったポイントは前日”ヨーダ”の案内でじっくり攻めまくった記憶があるポイント巡りが続く。2人のガイドが同じポイントに行くのだから、実績がある所なのだろうが、前日やって釣れなかったのだから釣れる気がしない。こんなことを続けているとマジに2日続けてボウズになりそうで、焦りすら感じていた。

 潮が動き出すと思いのほか流れが早い。横風も強くなり岸に対して平行にボートを流せず、風上に船首を向け進まざるおえなかった。船首でキャストしている同行者は遠投をよぎなくされるが、ポイントであるマングローブの根際まで届かないので、労せずに届く手前のポイントに投げたくなる。一方、船央から投げる私は、足の早い船のスピードにルアーが付いて行くように、岸に対し斜めに投げる。

退散 6KB 従って、ラインがクロスすることが度々あり、キャストしようとすると目の前をルアーが飛び、ラインが横に流れて来る。どうにも我慢できなくなり、トラブルが起きる前に船首とのポジション交代を申し出た。ここで暫し口論。厳しい気象条件の中、お互い1匹も魚が釣れないのでイライラしていたのだろう。その場は半ば強引にポジションを交代し、ティムにもっと岸よりにボートを流すように要望して解決(!?)。しかし、ポジションを交代したからといって、この日は魚が釣れるような生半可なコンディションではなかった。

 午後4時半まで、我ながら「ここまで集中できるのか!」と驚くくらい一心不乱にルアーをキャストしたのだが、竿がしなる事は無かった。竿がしなる時といえばマングローブに引っ掛けたルアーを取ろうとする時ぐらいだった・・・。ティムの”約束”は果たされないままノーフィッシュでスゴスゴと退散。ホテルに帰り、相棒達のうかれた釣果話を聞くのは気が滅入る。「Good Point, Good Technic, Good Lure, and Good Guide ,but No Hit, No bite, No Fish!!」もうこう叫ぶしかなかった。

〜ルアーから殺気!?〜


 午後5時、ホテルに戻り相棒達と3日間の釣果を振り返る。オーストラリアまで来て2日間連続でボウズを食らった私の気分はとてもブルー。私達の間では、釣れていない時は「竿先から”釣りたいビーム”が出ているゾ」とお互いをからかったりするが、今回は竿先からのビームどころか、「ルアーから殺気が流れ出ているんじゃないの!」と相棒はからかう。「ルアーの着水と同時に、まるで水面に油が広がるように殺気が流れ出るんじゃないか〜」と。ある意味この指摘は当たっているかもしれない。

 色々反省する事は多いのだが、毎日ガイドが代わるのは良くないとつくづく思った。前日やって釣れなかった所へ、別のガイドに再び案内されてもまず釣れる気がしない。同じガイドなら前日ダメだった所には連れて行かず、別のポイントへ行くはずだ。どうやら私達は悪い方悪い方へと転がっていったようだった。

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