豪州バラマンディ・フィッシング]U
極暑の日本を脱出


スタートから快調爆釣の予感


擬似餌の玉手箱>豪州バラマンディ・フィッシング>'06/9遠征

'06/9/1(金)〜2(土)

 〜 極暑の日本を脱出 〜


蟻塚4.5m 10KB 前日までは猛暑が続いていたが、明け方から大雨が断続的に降る。遠征出発の今日は立春から数えて210日、台風注意の日と言われている。確かに今日は日本に近づきつつある台風12号が、太平洋側に横たわる前線を刺激しているために非常に不安定な天候になったいるようだ。天気の外に心配事は他にもあった。今回の豪州遠征は、いつもの旅行代理店を通じた遠征ではなく、毎回世話になっているケアンズのバラマンディ・ガイド、テリーとの商売抜きのプライベート釣行。彼自身がインターネットを活用しないため連絡調整が十分取れておらず、出発当日になっても、何処へ何を釣りに行くのか、何人で行くのかも知らされていない状況なのだ。こちらの到着日時さえちゃんと伝わっているのかも怪しい感じ。「でも、まぁ、ケアンズまで行けば何とかなるだろう」と腹をくくって愛車に荷物を積み込む。

 今回も単独渡豪なので、トラブルは全て自分で対処しなければならない。雨の日は高速道路での事故渋滞が心配。フライトは午後8時頃で、セントレア空港までは2時間程度のドライブだが、余裕を持って午後2時に自宅を出発した。愛知県へ入ると雨は小振りになり、順調に快走。予定どおりの時間で空港近くの民間駐車場に車を滑り込ませた。手続きを済ませ送迎車で空港まで送ってもらい、早めにチェックインカウンターに並ぶ。毎回、「トイレ近くの通路側」の席を申し込むのだが、確保できた席はトイレ近くの非常口の横。この席は非常時に乗務員の指示に従いハッチを空ける必要があるので、英会話が出来ないと座れないらしい。英語は中学生レベル程度しかないため、「いざという時は役に立たないかもしれないなぁ」と思いつつ、手渡された非常時の対応方法が英語で書かれた案内パンフに、さも英語が判るような振りをして目を通す。

〜 女難の相がでてる!? 〜


 隣りの窓際席にどんな人が来るのか気にしながら、シートベルトをして離陸の時を待つ。次々と登場して来る人達を目で追いかけていると、最後尾にとても大柄な若い女性が入ってきた。「まさかなぁ〜」と思っていると、「どっこいしょっ」って感じで私の横に立つ。私が席を立たないと彼女が座れそうにないので、一度立ち上がり彼女を通す。彼女は小さなシートに体を押し込めるように身を沈めた・・・。私の2倍くらい体重がありそうなこの女性と私が同じ料金なのは、どうにも納得が出来ない。航空会社は荷物が重いと追加料金を求めるのに、人間の場合は同じで良いのか!?

青い空、赤い大地 3KB 午前4時、予定どおりにケアンズ空港へカンタスが降り立った。機中では「早めに食事を摂り、ゆっくり映画を観た後、爆睡したい」というのが私の強い願望。しかし、ワインとビールをたっぷり飲んだ後に大イビキで寝てしまった隣りの彼女のために、まともに寝られなかった。半分ボケた頭で荷物を受け取り、税関検査の列に並ぶ。すると女性係員から声を掛けられ、皆さんとは違う隅の方のテーブルへ連行された。幾つか職務質問を受けた後、彼女のクソ丁寧な所持品チェックがスタート。本来は禁止されている食べ物を若干持ち込むので、毎回簡単なチェックは受けて慣れているのだが、今回はちょっと違った。

 係員は明らかに「何か」を探している感じ。スーツケース内で小分けにしている袋を全て開けて中身のチェック。おまけにスーツケース本体に細工がしてないかまで確認。そして彼女は、私が持っていた釣行記録を書き留めている手帳を見つけ、1ページずつめくりながら、何が書かれているのか説明を求めてくる。持っていた名刺の人物との関係まで事細かに聞かれたりもした。いくら探しても、何も出て来るハズもなく、結局は無罪放免となったが時計を見ると30分近く調べられていた事になる。個室に呼ばれてスッポンポンにされ、体の隅々、尻穴の中まで検査されなかっただけ良しとすべきか。

 飛行機の中と空港で2人の女性から濃厚なサービスを受けて、初日からお疲れモードに突入。もしかしたら女難の相が出ているのかもしれない。空港ロビーの椅子にどっかりと座り、怪しい女性が近づいて来ないか注意しながら、持参した菓子パンを食べてテリーの向えを待つ。待ち合わせ時間をとっくに過ぎ、心配になって来た頃にやっとテリーが到着。挨拶を交わし、ボートとキャンプ用品をギッチリ積んだカーゴを牽引している4WD車に私の荷物を押し込み、北に向けて出発した。

〜 ケープヨーク半島を北上 〜


 車中ではお互い近況報告をしあう。ガイド業はモロにガソリン高騰の影響を受け、とても厳しいとのこと。多くのガイドが手近なケアンズインレットで適当に客相手をする中、彼は客に一匹でも多く魚を釣らせるため、車で1時間以上走った河川をメインにしている。潮の干満に合わせ河口部からボートが上がれる上流部まで行ったり来たりするので、車とボートの両方の燃料消費量は馬鹿にならない。まさにオイルショック直撃ってところ。年齢の事もあり、「ガイド業は後5年やるかどうかだ」とポツリと漏らす。

レイクランドGS 5KB モスマンの街の手前で左折し、一山越えて内陸部へ車を滑り込ませる。海側は曇雨天だったが、内陸部へ入ったとたんにカラッと晴れ渡り、オーストラリア特有の乾燥した大地が目に飛び込んできた。今回のツアーのためにテリーは、ケープヨーク半島の道路事情がバッチリ判るツーリスト用のマップを用意してくれた。彼が指し示した所は、81号線を道なりに北上した所にあるレイクフィールド国立公園。地図を見ると大河川がこのエリアに集まり海に注いでいる。因みに、ここを通過し更に400キロ程爆走して半島を横断すると憧れのウェイパがある。

 ユーカリ林のワインディングロードを快適に走り、牛の放牧地を通り抜ける。牧場のハズだが柵なんてなく、牛たちは好き勝手に道路を横断している。突然、牛が道路に飛び出し、車と衝突して大事故を起こすことも度々あるようで、牛たちの近くを走る時は速度を落とし驚かさないように慎重に通過する。柵がないので、牛を盗もうと思えば盗み放題って感じであり、牧場主は個体管理をどうしているのか不思議に思うくらいだ。ガソリンを補給するためにレイクランドへ立ち寄る。ついでにデジカメ用のアルカリ電池を買い求めたら、パナソニック製だったのでちょっぴり感動。価格は4個で11A$。他の電池に比べ明らかに高いが、辺ぴな街で日頃使っている商品に出会ったので迷わず購入した。

 レイクランドまでは舗装路だったが、街を抜けて直ぐに赤い土に覆われたオフロードとなった。道路脇に立ち並ぶ奇怪な蟻塚を横目で見ながら地図で確認すると、ここからは延々未舗装が続く様子。突然目の前に現われる道路の陥没部に突っ込まないよう、前方に十分注意をはらいつつ、牽引しているカーゴに異常がないか時折バックミラーで確認。車の後ろには、パリ・ダカールラリーを連想させるような赤い土埃がもうもうと巻き上がっていた。

 原住民アボリジニによる有史以前の洞窟絵があるスプリットロックを通過。この一帯は道路の両側に山が迫っている特異なエリアで、山を掘ったら金が出て来たので、かつてはゴールドラッシュで賑わった所。黄金に浮かれて押し寄せた多数の中国人を、アボリジニ達が山の両側からヤリを投げ、殺して食べていたので”デビルズゲート”とも呼ばれているらしい。ニューローラのレンジャーステーションを通過し、暫く走ったところでティータイム。お茶うけはテリーの息子ライアン君から頂戴した味気ないビスケット。これは豪州軍の配給品で、いわゆるアーミーフーズ。日本と違って一般人には兵役があるようで、度々訓練を行っているらしい。今回のキャンプでは濃暗緑色の包装紙で包まれたアーミーフーズが度々登場することになった。

〜 レイクフィールド国立公園 〜


レイクフィールド受付 6KB 時計を見ると午前11時を過ぎている。延々5時間半以上のドライブでさすがに腰が痛くなって来た頃、レイクフィールドのレンジャーステーションに到着。無人の受付場所でホワイトボードに書かれているキャンプサイトの予約状況を確認し、6泊分のお金(1人1泊4.5A$)を金庫と思われる筒の中に放り込む。私達が選らんだのはメラルーカ・ウォーターホールという名のキャンプサイト。テリーも初めて訪れるキャンプサイトのため、どんな場所なのか、ボートを降ろせる場所があるのか全く不明。

 午後12時40分、ケアンズから436km、奇怪な蟻塚が立ち並ぶ凸凹道を迷いながら走り、やっとテントが張れそうな場所に到着した。日本のキャンプ場は管理棟、炊事場、トイレ、駐車場が整備され、テントを張るスペースまで区切られていたりするのだが、ここは川に面した雑木林があるだけ。どこからどこまでがキャンプエリアなのかも判らない。日本だったら何十張りもテントを設置できそうな場所だが、周囲一帯が私達の貸し切りエリア。殺人が起ころうが、毒蛇に噛まれたり、大怪我で死にそうになっても誰も来てくれない場所でのブッシュキャンプだ。

 先ずはソフトドリンクで喉を潤し、一服してからテントを設営する。気温は28℃。暑いのだが乾燥しているので「汗がベタついて不快」ってことはない。方角や風向きを考えるテントを張るのは日本のキャンプと同じだが、1つ違うのがワニに注意すること。水辺からワニが這い上がってこないような所にテントを張らないと、五体満足で日本には帰れないからだ。電気、水道、ガスもなく、もちろん携帯電話も通じない場所でいかに快適に過ごすかを大前提に、台所、かまど、テーブルの位置を決めて巨大なタープを張り、川の水を汲んで簡易シャワーを設置。トイレの場所は風下の少し離れた砂地に決めた。

〜 スタートから快調爆釣の予感 〜


バラ58cm 9KB クソ重いボートをトレーラーから降ろし、水辺まで引きずり降ろす。ヘロヘロになりつつエンジンやエレキ、バッテリー、タックル一式を積み込み、出船したのが午後4時45分。夕マヅメのプライムタイム狙いで釣り始めたのは良かったのだが、魚探が不調で役に立たない。魚探はデカバラが潜む、水中に沈む岩や巨木、掛け上がりを探すのに必要不可欠なのだが、こいつが使えないのは正直言って非常に辛い。テリーは何度もピッピ、ピッピとボタンを押して調整したのだが、最後は悪態をついてギブアップした。

 キャンプサイトの真正面にある複雑なブッシュ近くにロングAをブチ込む。一拍おいてトウィッチを始めると、いきなりバラマンディが下から現われルアーを吸い込んで反転した。一気にラインが引きずり出され、ブッシュの中に魚が逃げ込もうとする。逃げ込まれたら、こちらの負けは明白。力づくで魚をオープンエリアへ引きずり出しキャッチした。記念すべき豪州遠征1本目は58cmのバラマンディ。サイズには少々不満があるものの、確実に獲れたのでホッと一息ついた。

 同じピンポイントへバックシートからテリーがルアーを撃ち込む。数回トウィッチで誘いを仕掛けると、ルアーを引っ手繰るようにバラマンディがヒット。私とは大違い、彼は余裕を持って魚をコントロールし同サイズをキャッチした。使っているルアーは中国製のシュアキャッチという名前の怪しげなルアー。バラ釣りでは超有名なクラシックバラのコピー品だった。この2匹をきっかけに爆裂タイムの到来。適度なトウィッチをかけた時のヒラ打ちが絶妙なアムニス1にバイトが連発。次々にバラマンディがアタックするのだがミスバイトが相次ぐ。私は辛うじて、60cmと30cmのバラマンディと、45cmのロングトム(アリゲーターガーフィッシュ)を釣り上げた。一方、テリーはシュアキャッチで60cm近いバラを2匹連続でキャッチ。はじめは、この中国製パクリルアーを小馬鹿にしていたのだが、その能力に脱帽。もしかしたら、本家を凌いでいるかもしれず、手にとってマジマジと眺めた。

テリー&バラ58cm 7KB アムニス1で鉄砲魚(アーチャーフィッシュ)を釣り落とした後、ぱったりと魚の反応が止った。明日からの釣行に備えるため、暗くなる前に足早にエリアをチェックする。見た目は河川なのだが、流れは全くない。ガイドブックにMelaleuca Waterholeと示されているように、河川がせき止められてできた三日月湖みたいなところ。雨季になれば、辺り一面が水没し巨大な河川になるのだが、乾季は全長約4キロ程度の細長い池になっている。岸際にはユーカリの巨木が自生しており、倒れた巨木が水中で複雑なストラクチャーを形成。ボートを進めると、立ち木、リリーパット、オーバーハング・・・至る所が美味しそうなポイント。水はタンニンが溶け込み、やや茶色っぽい。野鳥が飛びかう周囲の雰囲気は、私が大好きな近所の野池と同じ。この場所でキャンプ&フィッシングをしているのは私達だけ。まさに貸し切り状態だ。

〜 キャンプ初日の夜 〜


テリーの料理 5KB 午後6時半、ワライカワセミが大声で鳴き騒ぐ中、ストップフィッシング。キャンプサイト周辺から折れた枝をかき集めて火をつけ、川の水をバケツで汲み、ポットで沸かせてコーヒーとお茶を入れる。もちろん川の水なので、落ち葉が浮いていたり、良く見るとミジンコみたいな微生物がピコピコ動いている。残りのお湯は、特製シャワーで使用。私がシャワーを浴びて一服している間に、テリーが挽肉を手でこねながらスパイスを混ぜ、ピリ辛のハンバーグを焼き始める。赤ワインを頂きながらくつろいでいると、美味しそうなチリバーガーがテーブルに並んだ。2人でカンパイをしてチリバーガーにかぶりつく。空きっ腹に豪州産赤ワインは良く効く。長旅の疲れがどっと出てきたので、午後9時半にシュラフへ潜り込んだ。

 午前3時、突然の激しい雨音で目が覚めた。寝る前には満天の星空。まさか雨が降るとは思いもよらず、テントの天井部はメッシュ状態。カエルが大合唱している中、慌てて飛び起きてフライシートをテントに被せ、周辺の照明に使っていたライト類を撤収。濡れると困る物は、取り敢えずタープの下に集めて雨を避ける。テントに雨漏りがしないかどうかをチェックした後、再びシュラフへ潜り込み夢の中へと戻っていった。

1日目の釣果結果

TOSHI

TERRY

バラマンディ



ロングトム





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