豪州バラマンディ・フィッシング]V
独りお留守番

怪しげなクリーク 7KB
緑溢れるクリークはバラマンディの棲み家


擬似餌の玉手箱>豪州バラマンディ・フィッシング>'07/2遠征

'07/2/14(水) リバプールクリーク

〜 ぎじたま誕生日 〜


トシ&バラ 6KB 2月14日、午前5時15分起床。今日はバレンタインデーだが、同時に1997年に開設した当サイト「擬似餌の玉手箱」の10年目の誕生日でもある。誕生日にふさわしい魚を釣ろうと、朝から気合いを入れる。天気予報は晴れ、気温は33℃まで上がるようだ。朝食は例によってシリアルをメインにバナナと紅茶を頂く。午前6時半には出発準備が整い、南に向ってハンドルを切った。山々を見ると霧がかかっている。この霧は暖かな地面に冷たい空気が流れ込んで発生するようだが、「霧は秋の現象であり、今の時期に発生するのは早すぎる」とテリーがコメントする。日本も何かある度に「異常気象だ」と言われるが、このケアンズでも気象が昔とは違ってきているようだ。

 ハイウェー下を流れるジョンソンリバーを車中から覗き込みながら水の色をチェック。壊れた屋根の家屋がアチコチにあるイニスフェイルの街を静かに通り抜け、午前8時前にリバプールクリークに到着した。取り敢えず橋の上から水位と水の色をチェック。少々濁りはあるが悪くなさそうなのでUターンしてボートランプへ向う。砂浜のボートランプはスタックして地獄を味わいそうなのでパス。更に下流の狭くて足場の悪いボートランプへ移動し、手早くボートを水に浮かべる。

リバプールクリーク 4KB 上流に向ってボートを進めるが直ぐに小さな橋が迫ってきた。水位が高く、明らかにボートは下をくぐれそうもない。そこでバックシートを外し、荷物を整理してデッキにうつ伏せになりデットスローで前進する。橋げたがエンジンの高さと同じくらい。通過時には橋裏の天井部を押してボートを下に押し沈めたほどギリギリな隙間だった。

 エビが水面をピョンピョン跳ねていたポイントを見つけキャストを重ねたが魚は沈黙。続いて小川が流れ込むポイントを見つけ様子を伺ったが、ここでも完璧に沈黙。ボートを浮かべてから1時間が経過・・・バラマンディ・グラスが生えている真っ茶色な水が流れ込む合流点にボートをステイ。やっとの思いで、エサ8シャッドラップ)を使い44cmのバラを引きずり出した。お誕生日の1匹目が小バラで少々ガッカリしたが、「今日は釣り場の選定を誤ったかも」とボート上ではテンションが下がっていた最中だったので、幾分気持ちが楽になった。

〜 小バラ攻略 〜


バラポイント 5KB その後、バラマンディ・グラスの上にボートを乗り上げてステイ。テリーが水中に沈む倒木周りをエサ8で攻めて40cmの小バラをキャッチ。私も倒木周りをT.DシャッドLCで攻めるが、バラはチェイスするだけ。何度もルアーの直前まできてUターンすることを繰り返す。テリーは「バラいるけど、今はウインドーショッピング中だ」と言い切る。

 なにか攻略方法があるハズだと、悩んでいるとテリーはボックスの中から必殺のウィップラッシュを取り出した。このルアーは豪州製の小さなシャッド系ルアー。顔つきはZEALルアーみたいで、投げて巻くだけで魚が簡単に釣れる。かつて私がオートマチックルアーと名付けたヤツだ。なんと彼は1投目で40cmのバラをキャッチ。余りにもあっさり釣ったので、エサ8が装着されていたテリーのタックルを借りて、ヒョイとルアーを投げ込むとパクッと同サイズが食ってきた。魚が小さいので、先ずはルアーサイズを落とすのがキモだった様子。試しにシルエットの小さいティルサンを投入すると1投目で48cmが飛び出した。小バラ攻略には改めて小さ目なルアーが有効であることを確認。私達が寵愛するシャッドラップが凄いのは、ほぼ1cm刻みでサイズが選べること。その時々、夫々のフィールドで最適なサイズを選べる点が痒いところに手が届くのが有り難い。

ジャングルパーチ 6KB 場所を移動し、テリーの指示でルアーをポッパーに変更。水中に枯れ木が乱立するエリアをスゴイスプラッシュでポッピングしていると、銀色に輝くJP(23cm)が飛び出した。1匹いれば他にもいるハズ。ヒットしたポイントの周囲を探っていると予想どおり再びバイト。魚が小さかったので一気にゴボウ抜き。しかし、このとき手元が狂ってポイントからふっ飛んできた魚が私の横にあった立ち木にペタッと当たってしまった。魚が咥えたルアーのフックが立ち木に刺さったようで、JPが貼り付け状態。急いで魚を外そうと、ルアーを掴むがフックは立ち木に刺さっていなかった。なんと、JPの背鰭と腹鰭にある鋭いスパイクが立ち木にめり込んでいたのだ。この光景に私だけでなくテリーも大爆笑。当たったのが立ち木ではなく手や腕だったら、さぞや痛かったに違いない。

〜 シャッドラップで連発 〜


テリー 5KB 上流へと進む。川幅は狭まり、岸からキャストをするば軽く対岸までルアーが届きそうな距離。岸際は洪水の被害が残っており、茶色く枯れた草で覆われ、枝葉が落ち丸裸な樹木ばかりが目立つ。テリーが以前、僅かな時間で20本のバラを釣り上げた小さな流れ込みのポイントは不発。続いて見つけたのは小川との合流点の小さなワンド。エサ8でJPのバイトをとった後、エサ9に交換。すると1投目に45cmのバラが飛び出した。岸際には陸っぱりをやった足跡が沢山残っており、テリーも試しに上陸して竿を振るがノーバイト。更に上流へボートを進め、サトウキビ鉄道の鉄橋をくぐる。岸際の岩盤にある窪みにスゴイスプラッシュを投げてJPをキャッチ。続いて木陰でJPのバイトが3回あったが、キャッチには至らなかった。

 時計を見ると12時半。ここでUターンして川を下る。小川との合流ワンドにボートを止め、バラマンディ・グラスが生い茂るエリアを草に引っかけないようにしながら丹念に探る。エサ9で45cmのバラを仕留めた後、ボート間際で爆烈バイト。これはピックアップ直前で水飛沫が顔に掛かるほどの激しいバイトで、心臓が止まるかと思うほど驚いた。瞬時にクラッチを切り、ラインを送り出した後に魚とのやり取りをして無事に54cmを釣り上げた。

リバプールクリーク 7KB 午後1時、木陰でゆっくりランチをとる。どうにも体がシャキッとしないので、日本から持ち込んだリポビタンDをグイッと1本飲み干す。30分程くつろいだ後、セミがシャアシャア鳴く中、釣りを再開。曇り空になったため、幾分過ごしやすくなったのが助かる。陸っぱりの足跡が沢山残っているポイントでテリーはマンズS5+で35cm、私はエサ9からティルサンに交換して1投目に36cmのバラをキャッチ。後が続かず、バラマンディを探し求めてラン&ガンを繰り替えす。ボートを浮かべての、のんびりした魚釣りではなく、むしろハンティングに近い。

 エサ7でウンコをブリブリと垂れ流すターポンを釣った際、近くでワライカワセミが人を小馬鹿にしたように大きな声で鳴いた。そのタイミングは絶妙で、本当に笑われたように思えてなんだか気分が悪い。「笑われてたまるかっ!」って感じで、トウィッチをしていると40cmのバラをキャッチ。この時は何処かでこちらの様子を伺っているワライカワセミが鳴かなかった。

〜 新ガイドシステムの確立 〜


新システム確立 魚の反応が鈍いので、テリーは禁断のゴムルアーに手を伸ばす。白いシャッド系テールのゴムルアーは複雑に絡み合った水中のブッシュ周りで有効らしい。根掛からないようにボティにフックを埋めてあるのでフッキングは悪いが、魚がいればバイトしてくるのでサーチベイトとしての役割も果している。テリーのゴムルアーに反応があったポイントへ、私がハードルアーを撃ち込み確実に魚を仕留めるという新たなガイドシステムをここで確立した。彼のように自らが竿を振り、釣り場の状況を把握するガイドは、時に客よりも数を釣ったり、デカバラを釣ってしまったりする。客に釣らせたい魚をガイドが次々に釣り上げては洒落にならないのだが、この方法なら意識的にフッキングをしなければ、客のために魚を残しておくことができる。

 とは言え、ゴムルアーには発ガン性が懸念される物質や、いわゆる環境ホルモンと呼ばれる生態系に著しい悪影響を及ぼす物質が含まれている可能性が高いため、「使うべきではない」というのが私の持論。ロストして水中に置き去りになったゴムルアーからは、少しずつ怪しげな物質が溶け出しているに違いない。水の豊富なケアンズを除き、オーストラリアの各都市では何度も再生処理した水を飲んでいるわけで、その水には処理過程で除去できない物質が含まれているハズ。このことは日本でも同じで、大都市では誰かの体の中と浄水場を1〜2回通った水を飲んでいることを殆どの人は知らない。水を汚すと、いつかはそのツケが自分達に回って来るのだ。気がついた時には遅いのかもしれない。

〜 ドロ濁りの中から 〜


 時計は午後3時をまわる。ポイントに到着して1投目にショアキャッチを引っ掛けてラインブレイク。ルアー回収でポイントを潰してスゴスゴと移動。次の場所ではテリーがウイップラッシュをブッシュに引っ掛けた。水面上10cmの所に引っ掛かったルアーを外そうと、竿を煽っていると、ぶら下がっているルアーにバラマンディがジャンプしてバイト。ルアーを咥え、ラインをブチ切って水中へ消えたが、少し経ってルアーがフワッと浮いてきた。これには2人でびっくり。まさにミラクルな出来事だった。

ファイト中 5KB 私がエサ7で33cmの小バラを釣った後はパタリとアタリが遠のき、魚を求めてラン&ガンが続く。午前中、OZオヤジがエサ釣りをしていた流れ込みポイントが空いていたので、ボートをステイさせて竿を振る。茶色く濁った水が流れ込んでいるので、本流との境目辺りを丹念に探っているとエサ9をバラ(55cm)がバックリと咥えた。ボートに引き上げたバラはルアーを丸呑みにして本気食いの状態。こんな時は他にも魚がいるハズなので様子を伺っていると、再び私のルアーにヒット。サイズはぐっと下がった38cmだったが、元気良くファイトした。

 一方、テリーのウイップラッシュにはピックアップ寸前に爆烈バイト。ヒットした瞬間に魚体が見えたのだが、残念ながらフックオフ。今まで見たことがない魚だったので名前を聞くと、通称マッドコット、レインボーガジョンだと言う。豪州遠征では様々な魚を釣り上げているのだが、未だ釣ったことがない魚種がいることに驚く。「何が釣れるか判らない」ってところが、日本の河川や湖沼での釣りと違って楽しいのである。更なる追加を期待して竿を振っていると、ルアーが太いラインを拾ってきた。手繰る寄せると随分長い。手にグルグルと巻き付けながらラインを回収していると、ドロドロに溶けかかったゴムルアーが付いたグリーンのジグヘッドがドロ濁りの水の中から浮かび上がってきた。放置されたゴムルアーを発見したことで急に腹立たしくなった。以前はゴムルアーなんて見ることはなかったのだが、確実に釣り人の間で広まっているようだ。

〜 バラ・グラスにバンザイ状態 〜


テリー&シルバーグランター 4KB 午後4時半、今朝、上流へ向う際に潜り抜けた橋まで釣り下ってきた。干潮により水位が下がったのでバックシートを外さなくても良かったが、やはり高さはギリギリ。極低速で慎重に潜り抜けた。クーラーバングでターポンを逃した後、バラらしき魚が2回、ルアーをチェイス。バラがいるようなのでエサ7に交換し、じっくり狙っていると45cmのバラが飛びついた。水中には貧弱なウィードがサングラスを通して見えるのだが、ここに小バラ達が群れをなして潜んでいる様子。テリーはウィップラッシュで40cmを釣った後、銀色に輝くシルバーグランター(35cm)をキャッチ。そして魚をリリースして3分もしない内に40cmのバラを仕留めた。

 バラマンディグラスに引っかけないように注意していたのだが、水中に沈むグラスに気がつかずルアーを引っ掛けてしまった。回収に行けばポイントを潰してしまうので、ラインを張ったままロッドホルダーに竿を差し込んで、後から回収することにした。もう1本の竿を使いエサ7のトウィッチを続ける。まもなく35cmの小バラをキャッチ。更なる追加を求めてキャストを繰り返していると、またもやバラマンディグラスに引っ掛けてしまった。これで2本ともルアーを引っ掛けてバンザイ状態。時計は午後5時を示し、丁度切りになったところでこれにて納竿。ルアーを回収しボートランプへと戻った。

〜 独りお留守番 〜


リバプールクリーク 5KB 午後5時半にボートを引き上げ、国道沿いにあるヤシの木の花を横目で見ながらケアンズに向って時速90〜100kmでつっ走る。30分程走ると、激しい雨が叩きつけてきた。車を路肩に止め、雨に打たれながらエレキのヘッドにビニールカバーを掛ける。今はテリーの父親の心臓が弱っており、ケアンズ市内の大きな病院で入院している真っ最中。一刻も早くケアンズに戻り、オヤジさんの顔を見たいハズ。本当は釣りのガイドをしている場合ではないような状況に違いない。移動中、彼の携帯が度々鳴り、兄弟達と激しい口調でやり取りをしている。今宵はテリーも病院へ行かなれければならないので、私は独り留守番をすることになった。

 午後7時にテリーのお宅へ到着。洗濯機に汚れ物一切を放り込む。夕食はパンとソーセージ、サラダを頂き、空きっ腹を満たす。その後、テリーは病院へ。私は缶ビールを飲みながらテレビ鑑賞と日本から持参した釣り雑誌をパラパラ眺めてのお留守番。豪州のテレビを観ているとマツダ車のCMが非常に目立っていた。日本でやっているCMより遥かにセンスが良く、カッコイイCMなのである。BGMは日本と同じ「ズンズンズ〜ン、ズズズズ〜ン」ってヤツ。トヨタは高すぎてチョット手が届かないけど、「作りがしっかりして故障知らずの日本車に乗りたい」という豪州ファミリーに人気なのがマツダ車なのである。「面白い」と言っては差し障りがあるが、興味深かったのはインポ治療のCM。国民性の違いなのか、随分アッケラカンとして思わず笑っちゃうようなCMだった。

 午後10時過ぎ、そろそろ寝ようと思った頃にテリーが帰宅。容体を聞くと「非常に悪い」という。オヤジさんが倒れた際に床で頭を強く打ち、記憶喪失になっているという。今回の釣行は残すところ1日だが、中断する覚悟をしながらベットへ入った。

5日目の釣果結果

TOSHI

TERRY

バラマンディ

13


シルバーグランター



ジャングルパーチ



ターポン





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