豪州バラマンディ・フィッシングX
前代未聞の大移動


鋭い歯を持ったマングローブジャック(48cm)

擬似餌の玉手箱>豪州バラマンディ・フィッシング>'01/3遠征

'01/3/14(水)

〜雨雨ボーイズの結成〜


MASA&バラ '00年4月 ケアンズで常宿となっているカントリーコンフォート・アウトリガーホテルのフロアーでMASAさんと一緒にガイドのテリーの到着を待つ。思い返せば、前日の午後1時過ぎ、自宅近所の釣具店内で「はじめまして」と挨拶を交わし握手をしたばかりのMASAさんと、こうして異国の地オーストラリアで5日間の釣行を開始することは確かに奇妙な感じがする。

 豪州へバラマンディを釣りに行きたいと考える人は多いかもしれないが、実行する人は極めて少ないのではないか。コツコツと旅費を貯え、仲間を説得し、家族の了解を取り付けて職場に長期休暇の申請を出す・・・。なんと困難な道のりだろうか。自分がOKでも同行者の都合が付かなければ、1人で行くしかないが、遠征費用が割高になるし第一心細い。

 MASAさんとは、当HP「擬似餌の玉手箱」を通じて知り合った。彼とは同じ静岡県人であるが、それぞれの住まいは150km以上も離れており、もちろん一度も会ったことはない。出発日当日、始めてお互いの声を聞いたぐらいなのだから・・・。掲示板やメールでの「会話」がきっかけとなり、「雨季のケアンズでバラマンディ釣り」を実現するはこびとなった。

 「一度も会ったことがない人と1週間も海外へ釣りに行く」という計画は周囲の同僚や友人達をとても驚かせたようだ。当の本人達は「ケアンズでバラマンディを釣りたい。」という明確な共通の目的があったので、初対面だろうが、何だろうが不安は全くなかった。この時期のケアンズは雨季なので雨が降るのは当りまえ。カッパをしっかりと持参し「雨雨ボーイズ」の結成となったわけである。「行ける時に行く」これが海外遠征をする上で最も大切なことだ。

〜前代未聞の大移動〜


 時間どおりにホテルへ登場したテリーホールマンとは、前年の10月に世話になったばかり。MASAさんも4月にテリーと竿を交えている。再会を喜び硬く握手をして、白いサファリに乗り込んだ。彼は「エアコンが故障してしまったので窓を空けてくれ」と申し分けなさそうに言う。どうやら連日忙しい日々が続き、車を修理に出す暇もないそうだ。
 釣り場に向う車の中では、前回の釣果を話したり、今シーズンの状況を確認したりと、英語と日本語が交じり合ったちょっと変な会話で盛り上がった。彼の話では、2月に80cmが釣れ、最も良かった日は1日に30匹釣れたらしい。また3日前にはデイントリーリバーで客が3匹、自分が8匹釣ったとのこと。

 出発前にインターネットで確認しておいた遠征期間中の天気予報はズバリ「晴れ時々曇り」。川が濁っていなければ、今の時期なら予定どおり数釣りが楽しめるはずだ。しかしテリーによると、ここ数日は雨季にも関わらず天気は落ち着いていたようだが、私がケアンズに向け日本を旅立ったとたんに雨がまとまって降ったらしい。「川が濁るとタフコンディションになるから今日は苦戦するかもしれない。」「トシはアメ・マグネットだ」とテリーは何度も繰り返す。

 ケアンズから時速80km以上でひたすら北上する。出発した時、雨は降っていなかったのだが、モスマンを過ぎる頃にはパラパラと雨が降ってきた。「やっぱりトシはアメ・マグネットだ」とテリーが駄目押しをする。1時間10分かけデイントリーリバーへ到着。川の様子を見ると前夜からの大雨により激濁状態。ガイドはしきりに嘆いている。

 ボートを降ろし足早に小川の流れ込みを3ヶ所チェックしたが、彼は「これでは釣りにならない」とギブアップ宣言。開始僅か1時間で、撤収することになった。この辺の見切りの早さはさすがにNo1ガイドと言われるだけある。「出来るだけ良いコンディションで客に魚を釣らせたい」という思いがストレートに伝わってくる。

〜デイントリーからマグレブへ〜


浅瀬渡り 17KB ボートを引き上げ、雨の中をひたすら南下。ケアンズ市街を通り過ごしマグレブリバーへ到着した。デイントリーリバーから2時間のロングドライブ。幸いにもケアンズ以南は雨は上がっていた。国道脇にあるガタガタのボートランプからボートを降ろし、手早くタックルの準備完了してキャストを開始。実績のあるスゴイスプラッシュを投げ始めると直ぐルアーに反応があったが、ポッパーを咥え込むまではいかない。

 下流に下りながら岸際をポッパーで狙い撃っていく。水深が浅く水が澄んでいる所では、ボートの下をスーティーグランターが何百匹と泳ぎ周っているのが見えるのだがルアーには無反応。開始1時間後にやっと同行のMASAさんが豪州遠征1匹目となる記念の魚、スーティーグランター(30cm)をイエローマジックで仕留めた。

 さらに下流へ下るが魚の反応は悪い。結局Uターンして再び上流へ向う。干潮で潮が引いたため、川の水位が下がっている。下る途中にメチャ浅いところがあったが、案の定、浅くなりすぎてエンジンをかけて瀬を乗り切れなくなっていた。ガイドは「ポケットの物を全て出し、ズボンを捲くって川の中に入ってくれ」と言う。急いで準備を整え川の中に入り、激しい流れに逆らって3人でボートを引っ張り浅瀬を渡った。

マグレブリバーボートランプ 6KB 天気が良かったので、思いのほかズボンの乾きは早かった。ケアンズは夏なので、太陽が出れば気温は30℃を超え、しっとり濡れていたパンツまでも直ぐに乾いてくれた。しかし、後日この川に漬かったことで不快な思いをする事になろうとは、この時知る由もなかった。

 ポイント、ポイントでキャストを試みるが相変わらず魚の反応はない。これ以上期待できそうもなかったので、マグレブリバー到着後2時間しか経っていなかったが、次の場所、ケアンズ湾へ移動するために撤退することにした。

〜ケアンズ湾へ〜


 本日はケアンズを中心にぐるっと大きく1周し、滞在しているホテルから間もない所にある湾内で釣りをすることになった。イメージからすると、「磐田の我が家を出て沼津の狩野川まで一走りして竿を出したが、状態が悪いので即刻退散Uターン。一気に浜名湖まで行ったがここも芳しくないので、結局、家の近所にある太田川を攻めることにした」って感じ。前代未聞の大移動だ。

トシ&テリー 6KB ガイドが「ラストチョイス」と言っていたケアンズ市街の目の前に広がるケアンズ湾(トリニティインレット)へ30分掛けて車を走らせ、ボートランプからボートを降ろす。何故、「ラストチョイス」なのか・・・。とっておきの場所という意味ではなく、沢山ある選択肢の中で普段なら行きたくない「最後の最後の選択」らしい。しかし、今はそこへ行かざるおえないほど川のコンディションは厳しい状況であった。

 河川の場合、潮が上がってくれば上流に、潮が下がれば下流にボートを進めれば釣りが出来るのだが、ケアンズ湾の場合は潮が上がるとマングローブの奥深くに魚が入り込んでしまい、ルアーでは全く釣りにならなくなってしまう。従って、ガイドは必ずタイドグラフをチェックしてその日のプランを組み立てている。

 テリーの指示どおりシュガーディープを使い、実績のあるポイントを叩いていくが反応がない。一度ルアーを追ってくる魚の姿がだが見えたのだが、ボラなのかGTなのか判断できなかった。午後2時半過ぎになってから遅めの昼食を取る。パンにハムやトマト、レタスを挟んだサンドウィッチを手際良く作り、慌ただしく胃に流し込んだ。

〜トローリングゲーム〜


 昼食後はトローリングに変更。何度となく睡魔に襲われ、意識が遠のきそうになりながらも竿を握り締めているとガツンとヒット。相手が魚なのか、ストラクチャーなのか一瞬判らなかったが、ギュイギュイっとラインを引きずり出していくので良型の魚だと判った。久しぶりの力強い引きを楽しみながらボート際まで魚を引き寄せてくる。ディープシェイカー85Fに食いついたのはグッドサイズのマングローブジャック(48cm)だった。
 それにしても、この一匹を釣るまでが長かったこと。朝ホテルを出発してから何と8時間半が経過していた。テリーもこの一匹でホットしたらしく、「これでボウズナ〜シ」と喜んでいた。初日からボウズでは先が思いやられるが、5日間という長丁場なのでガイドが思っているほど私達は焦っていなかった。

GT 3KB この後、MASAさんがディープシェイカー75Fでエスチュアリーコッドを立て続けに2匹(25〜30cm)、私がディープシェイカー75Fでメッキ(33cm)を1匹、テリーもディープシェイカー75Fでコッド(25cm)を1匹キャッチした。トローリングは「狙って釣る」というより「釣れちゃった」という感じが強くイマイチ面白味が欠けるのだが、何も釣れないよりは釣れた方が楽しいに決っている。

 釣り場をインレットからザ・ピア・マーケットプレイス前のバースへ移し、コンクリートの壁沿いにトローリングを数往復してみた。ここではMASAさんとテリーがディープシェイカー75Fを使い、同時に同サイズ(37cm)のメッキをキャッチした。

 今回トローリングで活躍したディープシェイカーは、近所の釣具店でカゴの中に入れられ格安価格で売られていた物。「ディープランニングのルアーは売れないんですよ」と店主はぼやいていたが、バラマンディ釣りにおいて絶大な効果を発揮するシュガーディープを作っているバスデイのルアーなので試しに買ってみた。
ケアンズ湾ボートランプ 5KB ガイドは日本人客に貰ったこのルアーをトローリングで使い良い思いをしているようで、私が持参した他のディープクランクには一切触わりもせず、真っ先にこれをトローリングに使うルアーとして指定した。成果もきっちり出たので豪州遠征には必携のルアーがまた1つ増えた気がする。

 結局、遠征初日は3人で8匹。マングローブジャックのイイヤツを1匹釣っただけで釣果はパッとしないまま午後6時に納竿した。今日一日で何百キロ走ったのだろうか?長時間に渡る車の運転とボートの操船をしていたガイドにとっては相当ハードな1日だったに違いない。ここまで、客に何とか魚を釣らせようと仕事に徹する熱心なガイドは他にいないだろう。感謝、感謝!!

 ボートを台車に乗せ帰る準備をしている時、空に大きな虹がかかっているのに気がついた。「明日天気になぁ〜れ。」


1日目の釣果結果

TOSHI

MASA

TERRY

スーティーグランター




GT




エスチュアリーコッド




マングローブジャック





次のページへ
オーストラリア遠征目次へ


トップページに戻る。
私へのメッセージは こちら へどうぞ。 

  
Copyright (C) tamatebako