豪州バラマンディ・フィッシング]T
極寒の日本を脱出

ジョンソンリバーボートランプ 6KB
毎度お馴染みのジョンソンリバー

擬似餌の玉手箱>豪州バラマンディ・フィッシング>'06/2遠征

'06/2/9(木)〜10(金)

 〜 極寒の日本を脱出 〜


 午後1時、愛車に遠征装備を積み込み中部国際空港セントレアへ向けて出発。昨晩は霙が降り、天候が心配されたがすっきりと晴れ渡った。今年の冬は、昨年末から記録的な寒さとなった。気象庁の暖冬予想をあっさりと裏切り、この20年間で最も寒い冬を記録。1月の大雪が降った時は、温暖な知多半島にある当空港でも滑走路の除雪が間に合わず閉鎖するほど。出発当日が、そんなことにならないよう一ヶ月以上も前から天に祈っていた。

 強い横風に時折ハンドルを取られながらも、東名高速を西に向って爆走。トラブルもなく、2時間程で会員登録している空港近くの民間駐車場へ滑り込んだ。空港には最大で6,000台を収容する駐車場が完備されているが、料金が高い上に混雑していたら止められないという危うさがある。一方、民間駐車場は料金が遥かに安いだけでなく、事前に予約していれば確実に駐車でき、おまけに窓ガラスの溌水コートや洗車までしてくれるサービス付き。空港までの送迎もタイムリーにしてくれるから、ありがたい事この上なしだ。

 出発までの時間を空港内でウインドーショッピング。愛知万博が開催されていた前回の遠征時に比べゆったり過ごす事ができた。午後7時55分、オーストラリア航空AO7950便は定刻どおりケアンズへ向けて飛び立つ。途中、何度か気流が悪いエリアがあり多少揺れたが、現地時間の午前4時、日本から5,900km以上離れたケアンズ空港へ無事到着した。

 空港での入国審査はスルーパスだったが、今回は税関で引っ掛かった。基本的に食品の持ち込みは全面禁止されているのだが、これまでの経験上、申告して検査を受ければOKだった。しかし、今回は朝食用にとコンビニで買った桜葉付きの菓子パンがアウト。女性検査官が袋を空けて桜葉を取り除き、中にも入っていないかパンを解体。次に彼女が反応したのは味噌汁のカップにプリントされているネギの写真。マジマジと見ていたが、これは無事クリアした。手元に戻ってきた菓子パンは無残な姿。もともと禁止されている食品を持ち込むのだから文句は言えない。捨てるのはもったいないので、予定どおり私の胃袋へ納める事にした。

 〜 雨季真っ盛りのハズが 〜


C.C.Sunlogre 4KB 空港ロビーで旅行代理店スタッフの出迎えを待っていると、前回の豪州キャンプフィッシングでお世話になったA氏が来てくれた。挨拶を交わし、早々に車へ乗り込む。実は、今回の遠征企画で旅行代理店が大失態をやらかしていた。東京の代理店と現地との連絡調整が不徹底だったのか、見事にガイドがダブルブッキング。おかげで当初の予定である2月21日からの遠征を急遽12日間も繰り上げるハメになった。当然、勤め人である私は長期休暇を取得すべく、関係者の協力を得て仕事の日程を全て調整して万全を期していたのだが、この努力は水の泡。しかも仕事を振り分けた日の所へ遠征日程をねじ込まねばならず、この話を聞いた時には気を失うかと思うくらいショックだった。

 何はともあれ、無事ケアンズまで到着できたので気持ちを切り替え、遠征モードにスイッチオン。宿泊先となるC.C.Sunlodgeホテルまでの道中、現在の状況をA氏からアレコレと聞き出した。ケアンズは日本と季節が逆なので今は夏。しかも雨季にあたるため連日雨が降るハズなのだが、今年は全くと言っていいほど雨がないらしい。これにより河川の水位は低く推移し、淡水域は浅くてボート釣りをするのが難しい模様。日中は強い陽射しが水中に差し込むため、ガイド達が嘆くほど非常にタフな状況とのこと。私がケアンズへ来ると、乾季の真っ只中でも雨が降るほどの強烈な雨男なのだが、今回の遠征はどうなる事やら・・・。

〜 ジョンソンリバーで肩慣らし 〜


GT 4KB 釣行準備を整え、ホテルのロビーで無残な姿になった菓子パンを食べてガイドの到着を待つ。ガイドは長年お世話になっているテリーホールマン。彼は私を含め日本人が時間に厳しい事を知っているので、約束の午前6時半ピッタリに姿を現した。車中で最近の状況を聞きながら本日の行き先を決める。「連日30℃を超え強烈な陽射し。おまけにモンスーンシーズンなのに雨が一滴もない。非常にタフだ」との話を伺い腹をくくった。行き先は私の一存で魚種が豊富でボウズなしのジョンソンリバーへ決定。初日はここで体調を調え、あとの4日間に挑むつもり。ガイドはボートを牽引した白いニッサンパトロールDXのハンドルを左に切り、南を目指して1号線を突っ走った。

 1時間程でボートランプへ到着。船上で手早くタックルを整えた後、ボートを走らせマングローブが群生するエリアへ到着。先ずはポッパーで活性が高いGTを狙う。最初にヒットしたのは私が操るスゴイスプラッシュ。銀色に輝くGTが激しいファイトで竿を引き絞る。テリーと声を合わせて「ボウズなぁ〜い」を連発。遠征では最初の一匹を確実に釣るのが大切であり、これを釣るまでは心穏やかではない。魚(35cm)が浮いてきたのを見計らって船内へ一気に引き抜きホッと一息つく。因みにここで釣れるGTはグレートバリアリーフで巨大に育つGTとは種類が違うようで、淡水域でも生息できるタイプのパピヨントレバリー。腹から尾にかけて伸びるヒレが蝶の羽のような形をしており、やや黄色掛かっているのが特徴。ファイトの力強さは目をみはる物があり、豪州の魚と渡り合うための肩慣らしには最適だ。

〜 魚を求めてラン&ガン 〜


 後が続かないのでポイントを大きく移動。潮が当たる島や岬の先端を足早にチェックする。飛距離の出るポッパーイエローマジックプラスに交換し、水面を削り取っていくような感じに早いテンポでスプラッシュさせる。すると激しい水柱が上がり水中へルアーが引きずり込まれ、先程のGTよりもハードなファイトを繰り広げる。キャッチしたのは、このエリアでは初めて釣ったクイーンフィッシュ(38cm)。この魚はGTと同様、群れになって移動しているので、手早くリリースしてキャストを再開した。魚達は次々にイエローマジックプラスへ襲い掛かるが中々フッキングには至らない。やっとの思いでフックアップしたのは、一回り大きい43cmだった。

 マングローブの幼木が頭をポツポツ出しているコーナーをピンポイントで狙って移動を繰り返すが無反応。続いて過去にジップベイツの関係者がバラマンディを仕留めたエリアへ移動した。マングローブが密生するストレッチを岸と平行にボートを進めながらイエローマジックプラスを撃ちまくる。そこで一際大きな捕食音とともに私のルアーが水中に吸い込まれた。「ビックバラマンディー」とバックシートからテリーの声が飛ぶ。素早くラインを巻き取って、一拍おいてから鋭く竿を立てる。しかし、フッキングには至らず、竿は空を切った。

クイーンフィッシュ 4KB デカバラが潜んでいることが判ったので、このエリアを集中的にチェック。次にチャンスが訪れたのはガイド。彼のポップRにバラマンディが襲い掛かり、激しくファイト。しかし次の瞬間、バチッと音がして竿の先端あたりでラインが高切れ。魚は長いラインを引きずったままマングローブ林の中へ逃げ込む。慌ててラインを掴み魚を引きずり出そうと綱引きをしたが、今度はリーダー部をブッチ切って逃げていった。

 潮の干満を考え、サウスジョンソンリバーを溯ることにした。途中、私が「GTアイランド」と呼ぶ島周りを攻める。上流側の島の先端でイエローマジックプラスを数回通すと水面が炸裂。ガッチリとフッキングが決まりGTを徐々に引き寄せる。すると何処から現われたのか無数のGT達が競うようにチェイスしてきた。手早くリリースして次の魚を狙ったが、沢山いた魚達は何処かに消え失せた。

〜 フロックブームの予感 〜


 河川を溯ると一面のウィードエリアが目の前に広がった。過去にこれほどウィードが繁茂する光景を見た事がなかったが、今年はまとまった雨が降らず、大水が出ないためウィードが流されずに育っているとのこと。普通のルアーでは歯が立たないようなエリアなので、事前にテリーからリクエストがあり、ボックスの中に突っ込んできたポッパータイプのフロッグ系ルアーをアレコレ取り出す。彼が手にしたのはZEALのポッパータイプのカスタムフロッグ・ポッパー。私も色違いを手にとりキャストを始めた。長く伸びるウィードの面を「ボフッ、ボフッ」と力強くポッピングさせながら引いてくると、スーティーグランターが相次いでアタック。しかし、口が小さいのでフッキングには至らずガイドともども悔しい思いをする。

 フロッグタイプ以外に使えるルアーはないのでキャストを繰り返していると、私のカスタムフロッグ・ポッパーに大きな捕食音とともに水柱が立った。見るとルアーの下に50cmUPのバラマンディがステイしている。このルアーは浮力が高いため捕食ミスした様子。ここでルアーを止めてしまうと魚に見切られてしまうので、そのままアクションを続けていると執拗にルアーへアタック。ルアーを水中に引き込んだのを確認し一気に力強くフッキングさせたのだが、すっぽ抜けてルアーが吹っ飛んできた。バラマンディが見せたカスタムフロッグ・ポッパーへの反応は、他のルアーとは違って特異的であり非常に興味深い。その時、私達はこのルアーにある種の手応えを感じた。

 午前10時半にティータイム。木陰でお茶をすすりながら菓子パンを食べて暫くルアー談議をする。ここでテリーのリクエストに応じ、近隣の釣り具店を探し周ってかき集めた相当数のルアーを提供。彼が欲しがるルアーは、どれもちょっと昔のルアーがほとんど。日本では市場(釣り人)を刺激するために、メーカーは目まぐるしく次ぎ次と新商品を発売するが、そのほとんどは使えないクズばかり。何年経っても釣れるルアーは釣れるのだが、残念ながら常に店頭で買い求める事が出来る定番商品というのは極めて限られる。従って、店頭で見つけた時は一気に大量購入。つい先日も店側と価格交渉をして某ルアーを20個程まとめ買いしたほどだ。

〜 グランターの楽園 〜


スーティーグランター 5KB 一服した後は更に上流を目指す。ウィードエリアを抜けたので気分転換に新商品のトリプルインパクト・リップレス100を試した。テリーは「どうしてそんなルアーを使うんだ?」という怪訝な顔をして私の様子を眺める。S字系の大胆なアクションを楽しみにしていたのだが、初めて見た動きは思いのほか小振り。「これだったら普通のジョイントミノーを選ぶよなぁ」と少々、落胆しながら再びキャストすると、ガツッとヒット。ランカークラスの真っ黒いスーティーグランター(45cm)がルアーを咥えた。その後もキャスト&リトリーブを続けているとスーティーグランターがバイト。しかし、フッキングには至らずスゴイスプラッシュにチェンジ。この選択がビンゴで次々と魚達が襲い掛かった。

 シャローエリアを慎重にボートを進めながら岸際を撃っていく。私はスゴイスプラッシュ、テリーはマンズS5+シャッドラップを使い25〜30cm程度のスーティーグランターを仕留める。時折、マングローブジャックがアタックするが、彼らはスーティーグランターより賢いのか、ルアーを見切るのが早く連続バイトすることはない。一発目のアタックを物にするしかないが、魚が小さいためフッキングには至らない。やっとの思いでマングローブジャックをフックアップしたがサイズは30cmそこそこだった。

 偏光サングラスで川底をチェックしていると、度々黒っぽい良型を目撃。グランターのようだが様子が違うのでテリーに尋ねると外来種のテラピアとのこと。ここ数年でテラピアが明らかに目に見えるほど異常増殖している。彼はこれまで4匹をルアーで釣った事があると言うが、その内の1匹は
2004年11月に私のガイドをしている時だった。生息域が明らかにスーティーグランター、マングローブジャック、ジャングルパーチ等とバッティングしている。特に以前は沢山釣れたジャングルパーチの姿をめっきり見なくなっているのはコイツに原因があるのかもしれない。グランター達の楽園はいつまで続くのだろうか。

〜 再びソルトエリアへ 〜


 午後1時前に木陰で昼食。極寒の日本を旅立ち、飛行機の中では熟睡出来ず午前4時に到着。30℃を軽く超す炎天下で朝から竿を振りっぱなしなので、さすがに体力が低下。即席サンドウィッチを腹の中に押し込み、少しの間、横になった。小一時間の休憩の後、更に上流を目指し岸際を狙ってルアーを撃ち込んでいったが、水位が低くてボートを進められずUターンして再びソルトエリアへ引き返すことにした。

 一気に河川を下り、河口域まで進んだ。バラマンディ狙いで桟橋ポイントを目指したが2人組の先客がいた。暫く周辺部で竿を振っているとボートが出ていったので、私達がポイントへ入る。「こんな小場所で釣れるのかねぇ〜」と疑心暗鬼になりながら新商品ナバロンを手に取った。ガイドが示すピンポイントへ初めて使うルアーを撃ち込み、トウィッチを掛けたが「なんじゃこりゃ?」というアクション。数回キャストを繰り返し動きを確かめたのだが、とてもバラマンディ釣りの使用に耐えうる代物ではなかったのでゴミ扱いとなった。これまでの経験上、メーカー同士のコラボ企画で出来たルアーでイイ思いをしたことがない。お互いのマージンを確保しながら、価格設定をして、限られた日数で仕上げるので必ず何処かに妥協があるのだろう。本来、トウィッチをして使うルアーではないのだろうが、コイツはちょっといただけなかった。

 気を取り直して、新参者のアムニス1に交換し、同じポイントへ放り込みトウィッチを掛けると、底から銀色に輝く魚体がブワッと現われギラリと反転。その姿からして明らかにバラマンディ。「コイツはちょっとナバロンとは違うみたいだ」と言いながらキャストしてアクションを加える。すると再び魚が反応。しかし、バイトには至らない。3度目の正直で同じポイントにルアーを撃ち込みトウィッチをかける。今度は少しトウィッチの間隔を空けて間を取るとバックリと食ってきた。サイズは40cm程度で、大きくなかったので適当にいなしてゴボウ抜き。この大きさだと一ヶ所に何匹も集まっているので、続けて2匹目を狙う。

〜 桟橋ポイントで連発 〜


バラマンディ74cm 6KB ガイドが「コイツはヒンチンブルック島で使えるぞ」とコメントしたアムニス1に反応がなくなったのでアスリートFに交換。私の切り札とも言えるこのルアーで35cm、40cm、58cmを立て続けにキャッチ。この間、ガイドがショアラインシャイナーで50cmを釣り上げた。桟橋付近で釣っていたので、気が付けば3〜4人ギャラリーが集まってきて熱い視線をこちらに送っている。いくらオーストラリアだからといっても、バラマンディは簡単に釣れる魚ではない。現地の人達にとっても釣るのが難しい魚なのだが、怪しげな東洋人が次々に魚を釣り上げている姿を目撃し少々驚いている様子。

 アスリートFに反応がなくなったので、もう少し深い層を探るためシュガーディープに交換。2投目、トウィッチ後のポーズでラインが横にスウッと流れたので、巻き合せをすると水面が割れた。至近距離で何度もエラ洗いをする光景は圧巻。暫しのやりとりの後、テリーがハンドランディングしてくれた魚は今遠征の最大魚となった74cmの良型だった。シュガーディープは太軸フックに変更してあったが、2本が見事に伸ばされていた。ノーマルフックではきっと獲れなかったことだろう。実はこのバラマンディ、バイトした瞬間には全くノー感じだった。ラインを見ていなければフックアップ出来なかったに違いない。大きな魚は、一気に大量の水と一緒にルアーを吸い込み、違和感を感じると瞬時に吐き出すため、デカバラを仕留めるには、僅かな変化も見逃さない注意力が必要だ。

 再び同じポイントへルアーをキャスト。すると今度はガツッと明白なバイト。「よっしゃ〜」と叫びながら巻き合わせを入れて、魚をストラクチャーから引きずり出す。すると拍子抜けするほど魚の抵抗は少なく直ぐに寄ってきた。なんと、バラはバラでもバラクーダ(25cm)で思わず苦笑い。桟橋ポイントの魚は釣り切った感があったため場所を移動。次の場所ではガイドがスゴイスプラッシュで小さなマングローブジャック、DDパニッシュでターポン(40cm)をキャッチ。しかし、後が続かずタイムアウト。午後5時にボートを引き上げケアンズの街へ向った。


1日目の釣果結果

TOSHI

TERRY

バラマンディ



GT



クイーンフィッシュ



スーティーグランター



マングローブジャック



バラクーダ



ターポン





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