豪州バラマンディ・フィッシング]T
サラトガのポッパーゲーム

ボブ&テリー サラトガ73cm 5KB
サラトガ爆裂ボブ&テリー

擬似餌の玉手箱>豪州バラマンディ・フィッシング>'06/2遠征

'06/2/14(火)

 〜 ボブ君の登場〜


ボブ&トシ 5KB 昨晩はケアンズ到着が夜8時半と遅くなったため、テリー宅で晩御飯を御馳走になった。マリアに遅くなった言い訳をアレコレしてテーブルにつく。ベジタブルパイ&ポテトを囲んで座るのはテリーとマリア、そして、つい先日、大学生になったばかりのライアンと彼の兄アシュリー。食事を頂きながら、彼らの話に耳を傾けるがネイティブの会話は、さすがに早口で聞き取りにくい。時折、テリーが日本人に判るようなイントネーションでゆっくり話してくれた。テリーにホテルへ送ってもらう道中は、釣行最終日となる翌日の打合せ。目的地はケアンズの西方にある
マリーバ・ウェットランドで、ターゲットはサラトガ。同行する事になったのはケアンズ在住の釣り好きなジャパニーズ・ボーイだ。

 まだ夜が明けない5時45分にホテルを出発。ワーキングホリデーでこっちに来ているアツシ君をピックアップするため、共同生活をしている線路沿いのシェアハウスへ立ち寄った。初めて会う彼と挨拶をして、先ずは記念撮影。その後、早々に車へ乗り込み、レスの家でマリーバ・ウェットランドへ入るゲートのカギを受け取る。キャプテンクック・ハイウェイを北進し、スミスフィールドでキュランダ方面へ左折。ここで、2005年5月にミッチェルリバー方面へサラトガを狙いに行った時と同じコースである事に気がついた。日光いろは坂の様なケネディ・ハイウェイの九十九折りを駆け登る。かなり急なクネクネ道なので車酔いしやすい人は要注意だ。

 車中では、久しぶりに日本語が使えるので嬉しくなり、アツシ君にこちらでの生活についてアレコレと話を聞いた。彼は3回目の豪州遠征でガイドをしたテリーから「ぎじたま」の存在を聞いたとのこと。私は忘れていたのだが、丁度1年前に彼とメール交換をした経緯があったらしい。その後、彼は豪州での釣りに思いが募ってワーキングホリデー(フィッシングホリデー!?)でケアンズに来てしまったとのこと。ケアンズ初の居酒屋「カンパイ」で働いている彼のニックネームはボブ。名前の由来を聞くと・・・、職場で同じ名前のスタッフがいたので、混乱を避けるため「今日からおまえはボブだ」と名前とは何の関連もなく、一方的に付けられたらしい。しかし、何故か、いかにも「ボブ」って感じなので、当釣行記でもニックネームを使わせてもらおう。

 〜 マリーバ・ウェトランドへ〜


マリーバウェットランド 5KB バロンリバーを通過。空にプカプカ浮かんでいる数々の熱気球を眺めているとマリーバの街に入った。この街はケアンズから60kmぐらいの位置にあり、熱気球ツアーや野生動物探検ツアー、7月には街をあげて賑わうロデオ大会が開催されることで知られているため、訪れた日本人も多いだろう。街を抜け、ゴーカート場を右折してアボガドやマンゴー、パパイヤなどの畑の間を走り抜ける。途中からオフロードになり、周囲には奇妙な形をしたアリ塚がアチコチに現われ始めた。しばらくオフロードを走り、午前7時半、ゲートのカギを開けて”鳥たちの楽園”と呼ばれるマリーバ・ウェットランドへ足を踏み入れた。

 ここは自然保護地区で5,000エーカーのサバンナと300エーカーの湿地帯が広がっている。大小7つの池があり、過去にサラトガやグランターが放流され今では自然繁殖している。これまで一般の釣り人には開放されていなかったが、2005年9月からマリーバ・ウェットランド財団と提携したFishing Cairnsを通じれば釣りが可能となった。ガイドはレス氏で、メインの釣り方はフライフィッシング。料金はメチャ高値のA$750。今回、私達がここで釣りができるのも先日夕食を伴にした彼のおかげである。テリーが言うには、ここは手付かずの場所であり、90cmUPのサラトガが潜んでいるらしい。

 初めて訪れる場所へ到着した時はいつもドキドキするが、メインの池が見えた時には本当に驚いた。・・・何と、ほとんど水がなくて、見渡す限りドシャローの池。池の真中で大きな鳥が歩いていた。取り敢えずボートを浮かべてタックルを準備したが、浅すぎてボートを出す事ができない。どうしようもないので、暫く陸っぱりで魚を探す。どこまで行っても水深は膝下までしかなく、これでは釣りにならない。この池の水は農業用として利用されているのだが、雨季にも関らず異常気象で雨が全く降らない状態が続いていたので水位が大幅に低下しているようだ。このままでは、サラトガの顔すら拝めない可能性が出てきたためボートをピックアップして、隣りの池へ移動する事にした。

 〜 陸っぱりでサラトガ狙い〜


ボブ&テリー 5KB この池では陸っぱり。ピンク色の花をつけたスイレンが広がり、ウィードもかなりの部分を覆っている。岸際には身の丈ほどのカヤツリ草に似たスターグラスやガマが繁茂しており、使うルアーは勿論ウィードレスタイプ。これはまるで雷魚釣りと同じシチュエーションだ。リリーパットでの釣りは子供の頃、雷魚釣りのメッカであった近所の今ノ浦川で散々やってきたので得意分野。先日のジョンソンリバー釣行で活躍したカスタムフロッグ・ポッパーを取り出し、キャストを開始した。すると、すぐさまバイトの嵐。魚達はスレていないので、何度もルアーにバイトしてくる。しかし、魚が小さいようで、悲しいかなフッキングには至らず悔しい思いをする。

 広範囲に探りを入れたいので、スターグラスを掻き分け、前に押し倒して足場を作り、膝下まで水に漬かってキャストを重ねる。「この場所にはリーチがいるから気を付けろ」とテリーが言っていたが、”リーチ”と聞いて思い浮かぶのは、某メーカーが販売しているハブラシの商品名。余り気に留めず釣りをしていると、時折、ツンツンと足首の周辺を突つかれる事に気がついた。「小魚が突ついているだろう」と思い無視してキャストをしていたのだが、いつまで経ってもツンツンやっているので足元を見た。何とそこには小魚ではなく、日本のウマビルよりも大きなヒルがクネクネと這っている。思わず叫んで慌てて池から上がる。幸い血は吸われていなかったが、もう懲り懲り。リーチとはヒルの事だと、この時に初めて知った。

サラトガ 6LB ヒルに血を吸われたくないので、水際から少し離れてキャストを再開。ルアーはジッターバグのリアフックを外し、腹のフックをWフックに変更。これによりフッキング率を向上させつつ、ウィードやリリーパットの上でも問題なくスリ抜けることが可能になる。結果は直ぐに出た。着水直後にシュポッとバイト。ウィードへ潜り込まれないように一気に引き寄せると、小さく痩せたサラトガ(33cm)がルアーをバックリ咥えていた。テリーはフライで狙うが、バイトはあってもフッキングには至らない。少し離れた場所で竿を振るボブにも何度もチャンスはあるがフッキングミスが相次いでいる様子。

 午前9時半にティータイム。一服してから、池の周囲を歩きながら、ここぞと思うポイントでキャストを重ねる。岸際に繁茂するスターグラスは、葉っぱの途中にホタルイに似た果実がコンペイトウの様に付いており、これにPEラインが度々引っ掛かり難儀する。この釣り場を完全攻略するには、ラインをフロロカーボンに変更し、ウェーダーを着用。そして雷魚を釣るようなハードで長いロッドが必要だろう。その後、フライからルアーにチェンジしたテリーのルアーに爆裂バイト。カスタムフロッグ・ポッパーを咥えウィードの中でのた打ち回っていたのは52cmのサラトガ。ここでも客よりデカイ魚を釣り上げ、腕の差を見せ付けられた。

 〜 ビジターセンターへ 〜


ビジターセンター 6KB マンゴーを食べてリフレッシュしてから次の池へ移動。取水口のある水門でジッターバグカスタムフロッグ・ポッパーを引いていると、スーティーグランターが数回チェイスしてきたがバイトには至らない。池の周囲を歩いてキャストを重ねたが無反応。良さそうなポイントがあったので立ち止まってキャストを重ねていると、足にチクッ、チクッと痛みを感じた。見ると大きなアゴを持つアリが私の足に噛み付いている。慌てて払い落とし周囲を見ると、無数のアリが蠢いておりザリガニの死体が散乱していた。ここで釣っていると私もザリガニの様に白骨化しそうだったので慌てて逃げる。テリーはここで4kgのスーティーグランターを釣ったそうだが、不思議なくらい反応がないので30分程で撤退した。

 車に乗り込み、奇妙な形をしたアリ塚を見ながら潅木林の中を突き進んでいると、湖畔にたたずむビジターセンターが見えてきた。ここではバードウォッチングやカヌー遊び、トレッキングツアーなど自然と接する事が出来る。スタッフのネバードさんに様子を聞くと、やはり雨が全くなく水位が低下しているとのこと。名前はウェットランドだが辺りは乾燥しきっていた。来た道を戻り、林の中にあるベンチで昼食となった。いつものサンドイッチをパクつき、ボブが差し入れてくれた果皮に赤味がある日本では滅多に食べられないマンゴーにかぶりつく。マンゴー好きな私にとって、この差し入れで元気ハツラツ、幸せ気分に浸った。きっと午後は3人でオナラ連発になることだろう。

 〜 水面炸裂トップウォーターゲーム〜


 池にはサラトガが沢山いるハズなのに、午前の部では3人で2匹しか釣ってないことに気がついた。足場に制限があり、思う存分竿を振る事も出来ず、これでは何しに来たのか判らない事になってしまう。そこでテリーが下した決断は、最初に訪れた大きな池に戻りボートを降ろして水深のある所まで引きずって釣りをするというもの。ボートを降ろせる場所が他にないようなので、覚悟を決めてこのプランに賛同した。ズボンの裾をたくし上げ、裸足になってズブズブと歩みを進める。汗をタラタラ流し、何度も足を取られながら、10分以上もボートを引き、やっとの思いでエレキが使える水深まで到達した。

マウスオールマイティ 4KB 使うルアーは、私とテリーがカスタムフロッグ・ポッパー。ボブはテリーから借りたウッドチョッパーを試す。岸際のウィードエッジを丹念に狙っていると、最初にボブのウッドチョッパーにバイト。続いてテリーのカスタムフロッグ・ポッパーに2バイト。私は昨年釣行したラグーンでサラトガが3本フックのトリプルインパクト120へ良く反応した事を思い出し、キズだらけの思い出が詰ったルアーをボックスから取り出した。ジュボッ、ジュボッと強めのジャークをした後、ポーズを入れる。ポーズを長めに取ることが重要で、これを繰り返していると大きな捕食音とともに水面が割れた。しかしこれはフッキングミス。このルアーで大型のサラトガを何度も掛けたが、尽くフッキングミスした悪夢のような出来事が脳裏をかすめた。

 エレキで少しずつ移動しながらウィード周りを攻める。昼に食べたマンゴーが効いてきたようで、3人が次々とオナラを放つ。その音はサラトガの捕食音のよう。皆で笑いあっていると、ボブのウッドチョッパーに爆裂バイト。一瞬見えた魚体からサイズは80〜90cmと思われた。しかし、残念ながらランカーサイズのコイツもフックオフ。これにはボブだけでなく私達もガックリ。サラトガの口は堅く、フッキングさせるのは難しいのだ。バラマンディの釣りとは違い、ルアーが口の中に納まったのを確認し、ガッチリとハードフッキングをかますことがポイントだろう。

 アチコチに魚がいるようなので気を抜かずにトリプルインパクト120のジャーク&ポーズ繰り返す。するとズボッとバイト。一拍おいて、バラマンディ釣りでは絶対にやらないような3段階のフッキングをかます。3回目のフッキングで魚がウィードから抜けて水面を滑ってくる。タレックスの偏光サングラス(アクションコパー)を通して見ると、目は赤く、魚体は金色に光り輝いていた。デッキに横たえて良く見ると、体のサイズに比べて口は大きく、ブラックバスを寸詰まりにしたような形をしている。サイズを計ると25cm。こんな小さな魚がトリプルインパクト120を咥え込むとは驚きだ。テリーに魚名を聞くと、マウスオールマイティーとのこと。直訳すると”巨大な口”ってところか。初めて見た魚に久しぶりに興奮したが、冷静になってみると、こんな小さな魚を相手に3回も力任せにフッキングをした事がちょっと恥ずかしかった。

サラトガ43cm 4KB 午後3時半、急に雲行きが怪しくなり、遠くで雷が鳴り小雨が降り始めた。このところ、全く雨が降らないという話を聞いていたが、私が竿を振っていると雨雲が近寄って来るみたいだ。この天候の変わり目は、魚の活性が高まる切っ掛けになるハズなので気を引き締めてキャストを重ねる。チャンスが到来したのはボブ。やはり長めのポーズがキモだったようで、アクションを加えた後に、暫く放置するくらいのつもりでステイさせていたところにバイト。しかし、これまたフックオフ。

 続いてテリーがカスタムフロッグ・ポッパーで70cmUPを掛けた。すかさず彼は日頃見せないようなハードフッキングを3回もかます。ファイトの途中で大きくズリ上がったルアーのボディへ、今度は同サイズのサラトガがバイト。もしこれにフックが付いていたらフッキングしたかもしれない。相変わらずサラトガがルアーを奪い取ろうと周囲をウロウロしているので、すぐ近くにルアーを撃ち込んだが、私達のルアーには見向きもしない。クネクネと泳ぎながらファイトする魚をボブに預け、彼は操船しながらデジカメで写真を撮る。釣り上げた魚は73cmの胴周りがド太い立派な魚だった。

 〜 夕暮れ時のドラマ 〜


サラトガ42cm 6KB テリーが魚を掛けたポイントには、少なくとももう一匹いるハズなので、ルアーをカスタムフロッグ・ポッパーに交換して、ウィードの上を滑らせた後、水面に浮かべる。強風でボートの位置が大きく変わったので、立ち位置を右舷から左舷へと切り替えリトリーブを開始したら、サラトガが既にルアーを咥えていた。バイトの瞬間は見ておらず何故魚が付いているのか一瞬理解できなかったが、ボブとテリーは丁度、その瞬間を見ていたようだ。魚はそれほど大きそうになかったので一気に巻き上げランディング。サイズは42cmだった。

 まだ自らの手で魚を掛けてキャッチしていないボブに、なんとしても釣って貰いたい。私が釣った後も、彼のルアーには2回派手なバイトがあったがフッキングミス。テリーは「初めて来た時に7匹釣ったが、レスは20回もバイトがあったのにノーフィッシュだった」と慰める。私やテリーに比べ、ボブの方が明らかにバイト数を取っているのだがフッキングに至らない。午後4時40分、皆の思いが天に通じたのか、ついに夕暮れ時のドラマがやってきた。ボブはテリーのカスタムフロッグ・ポッパーを借りてウィードの上を引きずる。そして水面に置いてポーズしている時にビックバイト。フッキングもバッチリ決まって徐々に引き寄せる。ボブとテリーがランディング体勢に移った時、突然サラトガがジャンプ。ボート際で70cmオーバーの魚体を翻し、水中に消えていった。

マリーバ・ウェットランド 5KB その場にへたり込むボブ。彼は知りうる限りの汚い言葉で悪態をついた。ミッチェルリバーのラグーンで、私も同じ事を経験しているのでその悔しさは身に染みるほど判る。逃がした魚は、今日の釣行を締めくくる記念すべき魚だと思われたが、相手の方が一枚上だったのかもしれない。残念ながら、これにてタイムアップ。私達には、まだボートを引きずって浅瀬を移動するというハードな肉体労働が待っている。ポケットの中身を全部出し、準備を整えて生ぬるい水の中に入る。出船した時よりも水位が下がったのが、度々ボートが浅瀬でスタック。その度に3人で掛け声を揃えてボートを引きずり出した。

 午後5時過ぎ、ドロドロのクタクタになりつつ、ケアンズに向けて出発。車中で話題になるのは勿論、サラトガの話。ボブは「ケアンズにいる間に必ず再戦する」と私達に誓う。話に夢中になり気がついた時にはケアンズ市内。マリーバ・ウェットランドを出てから約1時間半ほどでケアンズへ帰ってきた。こんな近くに大きなサラトガを狙える場所が出来た事はとても嬉しい事だ。今後、注目度の高いホットスポットになることだろう。


5日目の釣果結果

TOSHI

BOB

TERRY

サラトガ




マウスオールマイティー





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