午後1時過ぎに上陸。テントを見てビックリ。強風で潰れ、ポールが1本折れていた。テーブル上の調味料等は全て倒れて散乱。相当強い風が通り抜けたようだった。昼食はソーセージと目玉焼き。これに豆とタマネギを炒めて、トマトを添える。昼食はボリュームもカロリーもあり満腹になるのだが、気持ち的には物足りない。やはり御飯が恋しいのだ。食後は日本から持参した釣り雑誌「ソルスト」をパラパラめくりながら、テリーに日本における今時のテクニックなどを紹介する。注目されているクロダイやキビレの釣りは、豪州でのスーティーグランターやマングローブジャック釣りにそのまま流用できそうなため、日本から雑誌を送ったりルアーを提供したりしているところ。丁度、CDラパラのリップ曲げチューンが掲載されていたのを見て、彼は早々にライターでリップをあぶって曲げている。
陽射しが傾く午後3時にスタート。先ずは陸っぱりで魚を探す。前日の陸っぱりで様子が判っているので、ウィードの切れ目やポケットを狙い、シャッドラップを撃ち込んでいく。トウィッチをした後、ユックリと浮かび上がるルアーに小バラが何度も反応するのを発見し、延々30分近くも粘って1匹をキャッチ。この間、テリーはシャッドラップで初めて見るスパングルドパーチを釣り上げた。そのサイズは僅か15cm。スパンコールを散りばめたようにキラキラと光るパーチなので、この名が付いたらしいが、バラマンディの好物らしい。
テリーは今からライブベイト・フィッシングをやろうと提案してきた。これまで経験がなかったので、エサはどうするのかと尋ねると、キャンプサイトに山積みにしてあった荷物の中から投網を出してきた。川岸にある水溜まりにはエサ釣りに好都合な小魚が沢山いる。ボーキサイトの小さな塊がゴロゴロ転がっている枯れ上がった川床を歩き、幾つかある水溜まりで投網を打つ。そして、パーチ、ミルクフィッシュ、マウスオールマイティーなどライブベイトを確保。
水を入れてクソ重くなったステンレス製の魚篭にベイトを入れ、離れた所にあるボートまでヨロヨロと運ぶ。エサ釣りで狙うポイントは小魚が集まり、確実にバラマンディが潜む場所・・・2人の意見は一致しており、”クリスマスツリーポイント”へ向った。当然、ルアー釣りのタックルを使うものと思い込んでいたが、彼は不要なので片づけておけと言う。船底から取り出したのは、合成樹脂で出来た円形の物体。それは豪州の釣具店やガソリンスタントの釣り具コーナーで時折見かける仕掛け巻きだった。これには太いナイロンラインが巻かれており、小さなオモリが数個とド太いシングルフックが付いている。
テリーは何処からか発砲スチロールを取り出し、ナイフでサイコロ状に刻んでラインに巻き付けウキにする。続いて魚篭から元気に泳ぎ回るベイトを取り出し、弱らない内にフックを背掛けにして立ち木の間に放り込んだ。水面に浮かぶ発砲スチロールを眺めながら、ライブベイトによるバラマンデイ釣りについてアレコレ尋ねる。魚を釣るならルアーよりも確実にベイトの方が上。メータークラスもエサ釣りの方が出やすく、魚を掛けてからはルアーでもエサ釣りでも同じだと言う。
確かにそのとおり。竿を使ってエサ釣りをしていれば、魚を掛けてからはルアー釣りと一緒だろう。トローリングも同じ。デカバラはボトム付近に潜んでいる事が多いため、ストライクゾーンを長く引けるトローリングの方が遥かに優位。「メーターバラを釣りたければエサ釣りかトローリングをやれば、キャスティングゲームよりもチャンスが高い」と彼は語る。しかしルアー釣りは、ルアー選びから始まり、ピンポイントへのキャスト、魚を誘い出すトウィッチング・・・魚を掛けるまでの過程も面白く、やはりこの釣りは止められない。
エサにしたベイトが泳ぎ回るので、発砲スチロールのウキがポコポコ動いて結構楽しい。バラマンディが近づくと魚が脅えて逃げるのでウキが激しく動き、バイトした時は一気にウキが水中に引き込まれるハズ。この時を狙って力強くラインを引っ張ってアワセを入れれば良い。話しをしている最中、チョコチョコ動いていたテリーの浮きが突然水中に消し込んだ。彼は一気にラインを手繰り寄せてアワセを入れたが、残念ながらスッポ抜け。活きの良いベイトに交換し、2度目のチャンスを狙うがドラマは起こらず30分少々でギブアップ。釣りをした時間より、エサを獲っていた時間の方が長かった事に後から気が付いた。
午後5時半、夕マヅメ狙いでルアー釣りを再開。アンタレスDC7を装着してあるラグゼカマーを振るとバチッとラインブレイク。飛んでいったルアーを慌てて回収する。実はこれで3回目。これまでのバックラッシュが原因でファイヤーラインが傷ついていたと思うのだが、あまりにも頻繁にライン切れが起こり過ぎる。この様子にテリーが見かねて、新たなリーダーシステムを組んでくれた。彼は20lbナイロンラインを2つ撚りにしたダブルラインをリーダーとして、ビミニツイストで出来た輪の中をくぐらせる。オフショア・スイベルノットのようにラインを数回くぐらせて完成。この方法だとメインラインとリーダーの結束部は非常に小さくなるので、ガイドへの引っ掛かりなくなる。試しに軽くキャストをしてみると、ガイド抜けが非常に良く軽やかにルアーが飛んでゆく。
私達が目指している上流域で車が止まり、話し声がする。ドアの開け閉めやボートを降ろす音が聞こえてきたので、これまで貸し切り状態だったこのエリアも、他の釣り人の動きを考えて釣りをしなければならなくなった。後から来た釣り人の様子をチラチラ伺いながらキャストを続ける。テリーのシャッドラップにバイト。反応があったポイントにステーシー120を即座に撃ち込むと、私のルアーにもバイトした。しかし、ベイトだと思って食べに来たのではなく、威嚇するようなアタックだったためフッキングには至らなかった。
対岸で竿を振っている2人組にゆっくり近づく。ボートには様々なステッカーが張ってあり、テンポよくキャストを重ねている。船首に立っている人は、ふくよかな女性。船首の沈み具合から、彼女のウェイトが想像される。ふと、飛行機の中で隣に座った女性の事が思い出された。彼女の動きを拝見しているとキャストからリトリーブまで一連の動作はしっかりしており、キッチリと釣りをしている。豪州では釣りを楽しむ女性が多く、女性だけのバラマンディ釣り大会が開催されているほど。女性だからってナメてはいけないのである。OZ夫婦とは簡単に挨拶だけするつもりが、結構話しが長引き45分のロス。時計を見たら既に午後6時半で終了時間。遠征5日目の夕マヅメは、見事にカラ振りに終わった。
今日の午後は殆ど釣りをしていない感じで消化不良に終わった。私のように、ろくに休憩も取らず延々とキャストを続ける相手と強風の中でボート操船をしながら釣りをするのはかなり大変だろう。テリーは連日の釣行でお疲れモードに突入している様子。それにしても、午後3時からのスタートで、エサ釣りのためのベイト確保に時間を掛け、OZ夫婦とのおしゃべりタイムも長かった。ルアーを投げたのは、陸っぱりの時間も含めて1時間少々ってところ・・・。初めてのエサ釣りも体験する事ができ、アンタレスDC7のバックラッシュ対策も出来そうなので、良しとしようか。
夕食は赤ワインを飲みながら、ガーリック風味のチキン、温野菜各種と4種類の豆を皿に山盛りいただく。どれも美味しくて文句無しなのだが、チキンをおかずに豆を食べるのか、豆をおかずにチキンを食べるのか良く判らない状況に、未だ戸惑いを少なからず感じる。米を主食としない人達は、これで十分の様子。逆にフィッシュ&チップスや、チキン&ビーンズが当たり前の人達にとっては、御飯とおかず、そして味噌汁を交互に箸を使って食べるという日本型の食生活なんてシックリこないハズ。
食後は、今や私のお気に入りとなったアプリコットにカスタードクリームをたっぷりと掛けたスイーツ。ワインでホロ酔い加減なのだが、肌寒くなってきたので熱めのシャワーを浴び、午後9時半にシュラフへ潜り込んだ。
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TOSHI |
TERRY |
バラマンディ |
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鉄砲魚 |
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ターポン |
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スパングルドパーチ |
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