豪州バラマンディ・フィッシング]U
釣行最終日のドラマ

OZフィッシャーマン 7KB
ダイワ愛好者のダウエル&ハンナ


擬似餌の玉手箱>豪州バラマンディ・フィッシング>'06/9遠征

'06/9/7(木)

 〜 最終日のスタート 〜


鉄砲魚&サミー 5KB 夜からぐっと冷え込んだので2度もオシッコで起きてしまった。テリーのイビキもうるさく寝不足状態だが、これはお互い様らしい。午前6時半前には起床し、荷物整理のためスーツケースを広げると、中は蟻、蟻、蟻、蟻だらけ。慌ててテントの外へスーツケースを出し、蟻を掃き出す。信頼のおけるサムソナイト社の堅牢なスーツケースなのだが、何処からか蟻達が入り込んでたので驚くばかり。気が付くのが遅れれば、蟻の巣が出来ていたに違いない。豪州の蟻は大群でありながら統率が取れ勤勉なので、仕事に取り掛かると早いのである。豪州人とは大違いだったりする。この広い国を支配しているのは、きっと蟻達に違いない。

 今日は釣行最終日となるため、朝食を手早く済ませ午前7時半からスタートした。ここ数日の傾向では、朝のうちは風がないのだが午後から強い風が吹く。出来るだけ午前中に魚を釣っておこうと、最初から気合いを入れて竿を振る。期待していたキャンプサイト前のポイントは沈黙。続いて、朝イチのフィーディングポイントになっている”クリスマスツリーポイント”へボートを進める。私の操るサミー115に2バイトあった後、鉄砲魚(25cm)をキャッチ。体長の半分もある大きなサミーにファイトむき出しで出るなんて、このエリアの鉄砲魚はケアンズ近郊の軟弱なヤツらとは遺伝子が違うのかもしれない。

トシ&バラ 6KB バラマンディの顔が拝めずイマイチの感があったため、朝日が当たらない側である対岸へ移動。岸際を打ちながら、ゆっくりとボートを進める。オーバーハング下、歴戦のDDパニッシュでバラを逃し悔しがっている横で、テリーもシャッドラップでバラを2本ロスト。実績のあるリリーパットエリアへ移動しキャストを始めると、即座にテリーのマレオに55cmのバラが食ってきた。他にも魚がいるハズなので様子を探るが無反応。そこでテリーが取り出したルアーはMリグ仕様のリップ曲げラパラCD。「絶対に引っ掛かるぞぉ」と彼に忠告したが、これを無視してキャスト。ボトムまで沈めリトリーブを始めた直後に竿が曲がり、「おおぉ〜」との声。やはり1投目で根掛かり・・・と思ったらナマズ(35cm)が食っていた。

 〜 豪州リンゴのパワー!? 〜


小バラ 5KB 時計を見ると午前10時半。余りにも魚が渋いので、テリーからおやつにリンゴをもらい一服する。そのリンゴの小さいこと。日本だと祭りの時に屋台で売っているリンゴ飴に使う姫リンゴより小さい。見栄えはしないリンゴだが味はかなりイケる。この1個でリフレッシュして、キャスト精度がぐっと上がった。ブッシュ周りでテリーから譲り受けた中国製コピールアーのシュアキャッチを試すと20cmの極小バラマンディをキャッチ。「おやつのリンゴがもう少し大きければ、もっと大きなバラが釣れていたかも」と2人で笑いあう。

 テリーが特製ポールを落としたブッシュポイントで竿を振る。テリーは焦げ茶色をした地味な細身のクーラーバングでビックバラを掛けた。そのファイトぶりから80cmUP確実と思われたが、途中で何故かフックオフ。ルアーを回収すると、最愛のクーラーバングはベキベキに壊れていた。彼が言うには、「地味な色づかいなので人気はないが、何故かこの色は良く釣れる」とのこと。確かに釣具店店頭で、極彩色のきらびやかなルアーの横にこの色があっても手を出す人は少ないだろう。彼の掛けたバラを見て再び集中力が増す。シュアキャッチで元気ハツラツのバラ(50cm)を釣った直後、再び同サイズをキャッチ。彼もシュアキャッチで20cmと35cmの小バラを追加。やはり豪州リンゴのパワーはここまでか・・・。

 〜 突然の訃報 〜


スティーブ 10KB 最奥部でOZ夫婦、ダウエルとハンナが岸にボートを着けて休憩しいるのを見つけ御挨拶に伺う。彼らは開口一番、「大ニュースだ知ってるか?」と切り出した。私達は情報から隔絶された辺ぴな場所で生活していたので、世の中で何が起きているか一切知らない。喩え大地震が起こって日本が沈没しても、そうとは知らずに竿を振っている事だろう。話しを聞くと、一昨日、クロコダイルハンター・スティーブ(44歳)がエイに心臓を刺されて死んだとのこと。スティーブと言えば、オーストラリア版のムツゴロウさん。彼の地では知らない人がいないほどの人気者で、オーストラリアの動物保護のためにテレビや映画、雑誌で活躍している有名人。今回の遠征では、オーストラリアへ来る機中でワニと格闘する彼の番組を見たばかりだ。

 どうやら、グレートバリアリーフでテレビ用ドキュメンタリー番組のために水中撮影をしている最中の出来事だった様子。海上に停泊していた船から病院まで緊急輸送し、迅速な治療を行ったにも関らず尊い命を失ったらしい。エイは海だけではなく淡水域でも生息しおり、エサ釣りはもとよりルアーでも釣れる事もあるので私達も十分注意しなければならない。


 話しは突然の訃報から始まり、続いて釣りに関する情報交換。お互いのタックルやルアーを見せ合いながら話しが弾む。ここ数日の釣果を紹介しつつ彼らの釣果を聞くと、今日は2時間やってバラを1匹釣ったのみで相当渋いと嘆く。昨年5月、テリーとその友人達とでサラトガ釣りを楽しんだミッチェルリバー流域の牧場地内はキャンプ&フィッシングが禁止になってしまったらしい。機会があれば私とテリーのルアーが幾つもぶら下がっている”クリスマスツリー”のあるラグーンへもう一度行き、サラトガを釣りながらルアーを回収したかった。しかし、それはもう叶わぬ夢となってしまった。

 〜 日豪タックル談議 〜


OZタックル 8KB 彼らのボートにはダイワの大きなステッカーが張ってあり、使うリールも同社の製品。1つはパワーハンドルを付けたソルト対応ミリオネアCV-X253と見慣れない青いリール。この青いリールを良く見せてもらうとフロント部に変なクラッチレバーがある。これはTWICHIN-BARが付いたTEAMDAIWA VIENTOというモデルで、レバーを押すとハンドルが回転しラインが巻かれる機能が付いている。レバーの押し具合で、スプールの回転具合も調整できるため、ゴムルアーを使った釣りやトップウォーターなどで微細な動きを片手で演出することが出来るらしい。

 手を使った方がよっぽど細やかなアクションを付けられるハズなのに、さすが不器用で無骨な人間が多いと言われるオーストラリア。ホントにこんな機能が必要なのか疑問だったが、帰国してからカタログで調べたら船でのエサ釣り用として「世界初!スマック機構搭載」のスマック100L/Rを見つけた。浅場の船釣りで、海底の起伏に合わせラインを出したり巻いたりする必要があるカレイやメバル釣りに重宝するらしい。物臭なのは豪州人ではなく、日本人だった。(笑)

 テリーと私はシマノ派。2人が使っているアンタレスDC7アンタレスARコンクエスト250DCは、豪州では一般の釣り人には手が届かないような値段の張る代物。彼らから日本での価格や使い心地など次々と質問が飛ぶ。「シマノのリールは耐久性もあり、ロングキャストが可能で、ギアがスムーズで巻き心地も良いが、値段は高い」と紹介。ついでに「DCシステムは不要」だとか、「ギヤ比7.0は使いにくい」など思っている事を率直に伝える。

 小1時間ほど彼らと雑談した後、釣りを再開。日陰にあるリリーパットでテリーがマレオを使って55cm前後のバラを2連発。私のアスリート・クイックレスポンスにもチェイスはあったがバイトには至らなかった。強い陽射しが水中に差し込むため、魚達はリリーパットやオーバーハング下にピッタリと隠れている様子。丁寧にキャストを重ね、懸命に魚を誘い出す。私はアスリート・クイックレスポンスで辛うじてマウスオールマイティーを釣って午後1時に一先ず昼食とした。

 〜 ラグーンで陸っぱり 〜


テリー陸っぱり 7KB 昼食はパンにコンビーフとトマトを挟み、焚き火で焼いてホットサンドを作る。お茶やらジュースやらをガブ飲みして水分も補給。一服した後、荷物を整理しようとスーツケースを開けると、やはり蟻が入り込んでいる。面倒だが一旦、荷物を全部取り出し蟻を出した後、丁寧にパッキングしなおす。うっかり日本に持ち込まないように注意が必要だろう。

 周囲を良く見ると何種類もの蟻がいることに気が付く。大きなアゴをもつ大型の黒い蟻や小型の蟻、その他にも緑色の蟻や白蟻もいる。住んでいるところも様々。地中だけでなく、木の幹の中だったり、樹木の枝に葉っぱを寄せ集めて丸い巣を作って住んでいたり、高層マンションを思わせる何mもの高さの蟻塚を作ったり。因みに、砂地にはアリジゴクが沢山いる。アチコチにすり鉢状のトラップがあり、蟻が落ちるのを待ち構えていた。

 テント周辺で陸っぱりをするが、ロングAに小バラが2度チェイスしただけで不発。気分転換に、車に10分程乗って近くのラグーンへ行くことになった。雨季になると辺り一面水没するのだが、乾季になり水位が低下すると川の本流から切り離された池が残る。こんな所には時として池の主のようなバラマンディや巨大ナマズが潜む。巨大魚との出会いを期待しながらキャストを開始した。ウィードが多かったので、私は子供の頃使っていたガルシアフロッグとそっくりなボンビーナを試す。キャスト2投目でビックバイト。その捕食音は離れた所にいたテリーにも聞こえたほど。相手はランカーサイズのバラマンディと思われたが、残念な事にフッキングの際にルアーがスッポ抜けた。一方、テリーはカスタムフロッグ・ポッパーで何回かバイトを取る。しかし、魚が小さいようでフッキングには至らない。彼は小さなポップRに交換し小バラ、ターポン、スパングルドパーチと遊び戯れた。

スパングルドパーチ8KB その後も時々、ボンビーナにアタックがあるのだがフックングに至らない。悔しいので私のお気に入りルアーであるポップライダーを取り出し、ウィードに引っ掛からないようにとダブルフックに変更。ボコッ、ボコッと捕食音を演じながら水面を引く。これに目をつけたのが、鮮やかな青や緑色をしたカワセミ達。上空から何度もルアーに襲い掛かって来た。まるで「猫まっしぐら」って感じ。そして下からは、小バラだけでなく様々な魚がアタックしてくる。上から下から次々と攻撃を受け、手に汗握るスリリングな一時を過ごす。これほど楽しめるルアーは他にはないと確信した時に、スパングルドパーチ(15cm)がルアーを水中に引き込んだ。

 ラグーンではブッシュを掻き分けながら、キャストが出来る場所を探す必要がある。こんな時、地面には蟻が沢山いるので要注意。Gパンなど裾が開いたズボンだと、知らない間に蟻達が靴をヨジ登ってズボンの中に入って来る。黒くて大きな蟻は時々大きなアゴで噛んだりするので腹が立つ。こんな時、私が愛用しているシマノのデタッチャブルパンツは、裾をゴムスピンドルで絞り込む事が可能で蟻の侵入を防げるので大変重宝。おまけに軽くて透湿防水加工がしてあり、クソ熱い豪州でも快適。ポケットが沢山付いているのも助かるのでお試しあれ。

 〜 釣行最終日のドラマ 〜


バラ77cm 4KB 期待していた池の主は捕獲できず、小物釣りに夢中になり時間を掛け過ぎてしまった。気が付けば午後4時半を回り、釣りが出来るのは残り2時間。急いでキャンプサイトまで戻り、ボートを出す。キャスティングでは反応がないのでトローリングでデカバラを狙う。この時のために遠征前、ワザワザ取り寄せたディープ・テールダンサーを試すことにした。コイツは巨大なリップが邪魔臭いが、ワイドにテールを振りながら10m近くも潜り、ラトル音を響かせる優れもの。1流し目、いきなり根掛かり。事前に「アタリがあったら竿を送り込んで直ぐにクラッチを切れ」とテリーから言われていたが、対応できずに引っ掛かってしまった。ぐるりとボートをUターンさせ、ルアーを回収。再び同じコースを流し始める。すると再び同じポイントで私が根掛かり。2度も同じミスを繰り返した私は、テリーに怒られ恐縮する。

テリー 5KB 再びUターンしてルアーを回収。ここで、彼からルアー交換の指示が飛び、差し出された巨大なハルコ4m+に交換。3度目の正直、同じコースでボートを流し始めると又しても同じ場所でゴツッと手元に衝撃が伝わり、竿が引き込まれた。言われていたとおり、竿を送り込むと同時にクラッチを切る。直後にボートの後方で80cmほどのバラマンディが大ジャンプ。根掛かりではなく魚だったのだ。即座にハンドルを回してクラッチを入れ、魚とのファイトを開始。猛烈なファイトに歯を食いしばりながら対応した。やっとボート際に上がってきたのが黄金に輝くド太い77cmの良型バラ。海水域で釣れるバラは銀色に輝くが、淡水域で釣れるバラは黄色を帯び黄金のように輝いて見える事がある。苦労して手にした見事な魚体に、2人は船上で大声で喜び合った。

 魚探が死んでいるのでハッキリとは判らないが、ヒットした場所は巨大な大木が水中に沈んでいる様子。他にも魚が潜んでいる可能性が大きいので、再度同じコースをトローリングする。私とテリーのルアーに同時バイトしたがフッキングには至らない。今度はUターンせずに逆方向からルアーを引く。するとテリーのハルコ4m+が水中深くでガッチリ根掛かり。タックルバックで回収を試みたが、願いは届かず歴戦の勇士を失った。彼は散々悪態をついたが、気を取り直して予備のハルコ4m+を結びトローリングを再開。程なく40cmのナマズをキャッチした。

 午後6時、テリーはナマズが釣れたので打ち止めと考え、これで終了しようと私に提案。しかし、周囲を見渡すと水面に小魚の波紋が沢山出ている。時間延長をお願いし、キャスティングゲームで締めくくる事にした。テリーがポールを落としたブッシュポイントへ移動。シャッドラップを投げ込むと、いきなりバラがヒットして物凄いエラ洗いでルアーを弾き飛ばした。これを見て、すかさずテリーもシャッドラップを撃ち込む。待っていたかのようにバラがヒットし水面で大暴れ。ブッシュの中に潜り込んだが、フルパワーで引き出し61cmをキャッチ。

バラ76cm 4KB 私がシャッドラップで30cmの鉄砲魚を釣り上げ、これで打ち止めかと思いきや船縁でテリーのシャッドラップにビックバイト。しかしコイツはルアーをピックアップした瞬間に出たので空振りだった。バラマンディはベイトを探しながら船の周囲にいる様なので、諦めずにトウィッチしていると、突然私のロッドが水中に引き込まれた。魚は強烈なファイトで川底に向って突進。左右に泳ぎ回った後にロケットジャンプ。ボートをバックさせ、慎重にブッシュから魚を引き出しキャッチ。サイズは堂々の76cmだった。

 最後にもう1本釣ろうとキャストを続ける。すると先程と同じ場所で再びビックバイト。そのファイトから明らかにサイズアップしていると思われ、歯を食いしばって激しいファイトに耐える。横からテリーが「リラッ〜クス、リラッ〜クス」と声を掛けてくれるが、ラインテンションを緩めるとフックが外れる可能性がある。魚の動きにロッドを合せながらテンションを掛けて引き寄せる。しかし、魚の方が私より上手だった。水面をテールウォークしながら横っ走り、猛烈なパワーでラインを引きずり出してブッシュの中に潜り込む。これで私の負け。ブッシュの中から魚を出す事が出来ずラインブレイク。失ったシャッドラップSR8は20年以上前の旧タイプ金黒カラー。魚をバラし、ルアーも失いガックリしたところでタイムアウト。ラスト延長30分の猛チャージは、このメラルーカ・ウォーターホールのポテンシャルを実感した。後ろ髪を引かれる思いでボートを降りた。

 〜 キャンプ生活最後の晩餐 〜


キャンプサイト 4KB キャンプ生活最後の晩餐はテリー特製のミートソースを掛けたスパゲッティーを頂く。腹一杯になったところで、甘い椰子の実デイツにカスタードクリームをたっぷり注いで食べる。今宵で最後かと思うと、妙に感慨深げになる・・・。丸6日間、ヒゲをそっておらず不精ヒゲがボウボウ。頭を触れば、蟻や怪しげな虫が髪の毛が絡まっている。川の水を沸かして飲むことにも慣れ、腹も下さず無事に過ごす事ができた。指にはバラマンディの鋭い背鰭や胸鰭が刺さったキズが残り、虫除け対策が不十分だった肌の露出部には虫刺されの跡が無数に残っている。

 連日の釣果をチェックし2人で何匹釣れたのかを数えてみる。私が釣ったバラマンディは37匹、テリーが46匹。トータルで83匹を釣り上げ、80cm前後が7匹という結果だった。記念にお互いのルアーボックスへマジックペンでメッセージを残す。私はお礼に今回大活躍したLV-MAX500ハードコアSH60SPアムニス1などに悪戯書きをしてプレゼントした。

6日目の釣果結果

TOSHI

TERRY

バラマンディ



鉄砲魚



ナマズ



スパングルドパーチ



マウスオールマイティー





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