バラマンディ・フィッシング]\
今日もバラ入れ食い

母船ピクー 5KB
母船ピクー この角度が一番カッコイイ感じ


擬似餌の玉手箱>豪州バラマンディ・フィッシング>'12/9遠征


'12/9/19(水) 午前

〜 巨大魚グルーパーがヒット 〜


ゼビエル&ミルクフィッシュ 5KB 午前6時に起床。明け方、ぐっと冷え込んだため、寝ていて薄いシーツだけでは肌寒く感じる程だった。朝イチにやることはオシッコ。後部デッキに出て、仁王立ちになりながら、周囲を眺める。白々と夜が明ける中、鳥や魚が動き始めたことをダイレクトに肌に感じるこの瞬間、都会で味わうことは難しいだろう。アラクンで竿を振れるのは、今日を含めて残り2日間。最終日まで、楽しく、事故なく釣りが出来るよう、朝日に向って手を合わせる。

 昨晩はテリーの携帯電話に何本も電話が掛かってきていた。話はどうやら、ルアーで狙うミルクフィッシュの件。「日本の小さなルアーでミルクフィッシュが釣れる」という話が広まっている様子。彼は"ゼビエル"(ZBLシステムミノー50S)を使った釣り方を紹介しながら、私の名前を度々口にしている。私達がケアンズに戻る頃には、巷で「"ゼビエル"とは何ぞや?」「何処で売っているのだ?」という話がアチコチで流れているかもしれない。テリーは「"ゼビエル"を使ったアラクンのミルクフィッシュ釣りを釣り雑誌で紹介したい」と言っているので、もしかしたら数年後には、ミルクフィッシュがルアー釣りの対象魚としてあたりまえの存在になっているかもしれない。

グルーパーヒット 5KB 母船ピクーの周辺には魚が沢山集まっているので、朝食前にちょっと竿を出すことにした。スピニングタックルでZBLシステムミノー50Sをボートと平行にピュッと投げ、トウィッチをすると後からワラワラと魚がチェイスしてくる。直ぐに20cm程の「ヤッカ」という名前の黄色いヒレをもつアジのような魚をキャッチした。魚の密度が高いため、続けていれば延々と釣れ続けそうだが、とりあえず朝食を摂る。

 シリアルを腹一杯に詰め込み出撃準備は完了。テリーの準備待ちをする間、再び竿を振る。開始早々からバターフィッシュがヒット。しかし、ファイト中に40〜50cmのナマズに入れ替わった。ナマズの力強いファイトを楽しんでいると、デッキにいたテリーが「急いで引き上げろ!!」とのたまう。それでも私はヘラヘラと笑いながら魚の引きを楽しんでいると、突然、物凄い力で竿が引き込まれステラ3000が唸った。

 竿は竿先が水面につくほど弓なりに曲がり、ラインが引きずり出されリールは全く巻けない。相手は絶対にナマズなんかではない。テリーは両手を挙げ、私が戦っている魚の名前を口にした。私のお相手は、全長2m、重さが200kgを超えるであろう巨大魚グルーパー。華奢なタックルで釣り上げることは出来ない魚なのだ。少ししてグルーパーの動きはパタリと止まり、今度は幾ら引っ張っても全く動かなくなった。まるで水中に沈むストラクチャーに根掛かったかのよう。どうしようもないのでラインを強く引っ張り、泣く泣くラインを切った。失ったルアーはZBLシステムミノー50S。またしても今遠征のアタリ針であるルアーを失い、思いっきり意気消沈した。

〜 久しぶりの70cmUPバラマンディ 〜


アボリジニ 5KB 午前7時45分に出船。5分程、ボートを走らせたところで岸際のマングローブの根際を狙ってキャストを開始した。本日の1匹目は、ロングAを使っていたティムが釣ったクロダイ。岸際を流しながらキャストを続けていると、再びティムのルアーにバラマンディがヒット。サイズは48cmと小振りだったが、マッドマレットをパックリと咥えていた。アーチャーリバーを遡りながら要所要所で竿を振るがイマイチ反応がない。

 上流へ向う途中、川岸近くに住むアボリジニ家族に御挨拶。前日釣ったバラマンディとタバコをプレゼントしながら雑談をする。アボリジニ達とテリーやティムが何を話しているか十分理解は出来なかったが、「日本から釣り人が来ている」と紹介され、私も握手を交わす。他人の土地に入るので、やはり仁義をきることは大切なのだろう。なごやかな雰囲気でお別れし、さらにボートを進める。

バラマンディ&トシ 4KB 私がシャッドラップ9で50cm程のクイーンフィッシュを釣り上げたが後が続かない。塩っ気があるエリアはパッとしないため、ド・シャローエリアを1つ越えた、最初のディープエリアでボートを停めてシェードと倒木が絡んだポイントを撃ってみる。開始早々、テリーのリーズシャッドに55cmのバラマンディがヒット。私もルアーをリーズシャッドに変えてトウィッチ&ポーズを始めると直ぐに結果が出た。激しくエラ洗いをしたバラマンディは74cm。ファイト中に倒木に絡まれルアーもろともロストかと思いきや、テリーが完璧なフォローをしてくれて無事に魚を引きずり出してキャッチ。久しくこのサイズを見ていなかったので、とても嬉しかった。

 「魚がストラクチャーに絡み付いても強く引っ張ってはいけない」とテリーは言う。ラインが強く擦れてブレイクする危険度が高まるだけでなく、強く引っ張られた魚は、これに反発して逃げようとするため、更にストラクチャーに絡まってしまうからだ。ラインのテンションを高めたり緩めたりして魚を誘導するのが最適な方法だが、簡単なようでちょっとやそっとでは出来ないテクニック。困った時は今回のように、やはりガイドにお任せするのが良い。



〜 GスポットならぬBスポット 〜


テリー&ティム 4KB キャストを再開すると直ぐにバラマンディがヒットしたがフックオフ。サイズは45cmぐらいだったので、次を狙っているとルアーの泳ぎがぎこちない事に気がついた。手にとってルアーを見ると、透明樹脂で出来ているリップが奇妙に変形していた。多分、ストラクチャーに絡まった70cmUPを釣り上げた時に変形したのではないか。テリーに見せると、ペンチを使って元の角度にグニュッと修正。彼は結構な力を入れて修正していたが、このリップに使われている樹脂はパキッと折れるのではなく、曲げ伸ばしが出来るところが凄いのであった。日本メーカーのルアーでは、新品なのに少し力が掛かったり、軽くぶつけたりしただけで一瞬にしてリップが折れる物もある。耐久性を大幅に犠牲にし、消費者を小馬鹿にしているような物づくりは決して長続きしないだろう。

 このポイントでは、テリーが45cm程度のバラマンディをリーズシャッドZBLシステムミノー50Sで立て続けに2匹釣った後、私はリーズシャッドを使い同サイズを3匹連発。ルアーをズボッとピンポイントに入れてトン、トン、トンッってやるとバラマンディが湧き出てきた。バラマンディが次々とルアーに食いついて私達を歓喜の園へと導く、Gスポットならぬバラマンディが溜まっている"Bスポット"であった。このポイントはよくよく水中を偏光サングラスで見ると、小さなベイトの群れが集まっており、"ベイト"と"シェード"、そして"ストラクチャー"の三拍子揃ったスペシャルなステージだった。

 反応がなくなってきたのでボートを上流へと移動する。通り抜けようとしていたチャンネルは水位が下がり過ぎて通れず、別のチャンネルを探しながらウロウロする。いよいよ、3人がボートに乗っていたのでは瀬を乗り切れない状況になってきたので、テリーとティムが下船してボートを誘導。私も降りて川の中を歩こうとしたが、テリーからストップが掛かる。「川底には危険が潜んでいるので、そのまま乗っていろ」とのこと。この時ばかりは、遠慮なくお殿様気分を味わせてもらう。"越すに越されぬ大井川"の川渡しみたいで、上々の気分だった。

ティム 5KB チャラ瀬を無事に通り抜け、ストラクチャー絡みのディープホールの前でボートを停める。開始早々、テリーがリーズシャッドを使って50cmのバラマンディをゲット。私がボックスの中からラパラ・DT7を取り出して投げ始めると、即座に船尾から「そのルアーはやめろ」と声が掛かる。泳ぎを見ても悪くないし、根掛かりもしにくいルアーなのでストラクチャー周りで使うには申し分ないと思うのだが、どうにもテリーの評価が低い。暫く彼の言葉を無視して使っていたが、ワンチャンスもなかったのでスゴスゴとルアーを交換。

 午前10時、太陽が頭上からジリジリと照りつけるようになると、魚の活性がグッと下がる。こんな時には腕の差が出やすく、私とティムには全くアタリがない中、テリーだけが魚を掛けている。彼はリーズジャッドでナマズ(25cm)を釣った後、ランカークラスのバラマンディを掛けた。しかし、一瞬にしてラインをブチ切られてDDパニッシュをロスト。テリーはお下劣な言葉でこの失態を罵っていた。これまで私は彼に相当数のDDパニッシュを提供したが、今目の前でロストしたのもその内の1つ。彼の手持ちがなくなってきたようだが、これについては私も同様。スミスのWebカタログ上では見られても、店頭では全くお目にかかれないルアーとなっている。

〜 ニュームーンの後だから 〜


テリー&バラ 5KB 2つ目の瀬もお殿様気分で渡り、岸際の倒木がある場所でキャストを再開。淡水に適応したサメが目の前をウロウロする中、テリーが40cm程のバラマンディをシャッドラップ8でキャッチ。他に魚がいるようなので、彼が指差すポイントにリーズシャッドを打ち込む。このキャストは絶妙な場所に入ったように思えたのだが、枝葉に引っ掛かりポイントを潰してしまった。時計が11時を示す頃には、カンカン照りの完全無風状態。流れ出た汗は直ぐに乾き、顔には塩が浮いてきている。魚の反応があれば気分もアゲアゲだが、ルアーを引っ掛けたりすると、どっと疲れが出てきてテンションが下がってしまう。

 メラルーカの濃厚な花の香りがする水路を抜けて、更に上流に向けてボートを進める。ティムがマッドマレットで50cm程のバラマンディを釣ったが単発で終わる。潮の干満の差が小さい時は、一日を通して魚の活性が低いのだが、今日のような大潮の後の中潮なら、潮も動き、もっと魚の反応が良くてもイイように思うが・・・。イメージどおりの釣りが出来ないので怪訝な顔をしていると、テリーが「釣れないのはニュームーンの後だからね」と言う。新月や満月の前までは好調でも、これを過ぎると急に活性が下がるというのがテリーの持論のようだ。

 テリーがリーズシャッドを使ってバラマンディを2匹追加。魚はストラクチャーにぴったりと付いているた正確なキャストが必要。しかもトウィッチ後にロングポーズをさせて、やっと魚が口を使うような状況らしい。適当にルアーを撃ち込んで、雑なトウィッチをしていても反応しないようだ。「釣れないのは、ちゃんと理由がある」のである。

〜 リリーパッドでのワニ釣り 〜


 サラトガがいるリリーパッドエリアまでやってきた。開始早々にテリーがリーズシャッドで60cmUPのバラマンディを釣り上げたので、期待を込めてキャスト&リトリーブを繰り返していると、突然周囲がガソリン臭くなってきた。水面を見るとうっすらと油膜が見えたのでテリーに伝えると、船外機周りをすかさずチェック。船外機は問題なく、高温のため膨張した燃料がタンクから噴き出ていたのが原因だった。何処かが壊れた訳ではないのでOKだったが、強い日差しの影響がアチコチに出ることを再確認。ルアーボックスも適切に管理しておかないと、高温で中のルアーがいびつに変形したり、パンパンに膨れ上がってしまうから要注意なのだ。

 スイレンの葉っぱの上をZealカスタムフロッグポッパーで探っていると、何かが横っ飛びで襲い掛かってきた。よく見ると魚ではなく、子ワニだった。ルアーを回収し、同じポイントに放り込むと再び激しくバイト。ワニにはエラがないのでエラ洗いとは言わないのだろうが、尻尾立ちをして体を水面上で激しく振る様子は迫力がある。フッキングは難しく、子ワニを釣り上げることは出来なかったが、何度も飽きずにルアーに襲い掛かるワニの執念は、目を見張るものがあった。

 私がワニ釣りに熱中し騒がしくしていたので、魚達はリリーパッドから散ってしまったらしい。岸とは反対側にルアーを投げたテリーが、いきなりバラマンディを掛けた。サイズはそれ程でもないように思えたが、ファイトは激しく、彼も慎重に対処していた。少ししてボートデッキに横たわったのは60cmUPの肉厚なバラマンディ。この魚はシャッドラップ9を噛み潰し、ボディを折り曲げてしまった。



〜 真昼間の爆釣劇 〜


トシ&バラ 5KB リリーパッドエリアでもバラマンディは単発で終わったため、ボートをターンさせて一気に川を下る。10分程走らせて、日陰のあるディープエリアに到着。ここは倒木が沈んでいる絶好のポイント。テリーから、使うルアーをリーズシャッドシャッドラップを指定された。彼がシャッドラップを手に取ったのを横目で見て、私はリーズシャッドを選ぶ。日陰の最奥部にルアーをブチ込み、トウィッチをした後にポーズ。するとガツンときた。思わず唸り声が出るほど、久しぶりの激しいファイトに耐えて引き寄せたバラマンディは70cmだった。

 私がファイトしている最中、横でティムが同サイズをバラしていた。このポイントは出だしが良かったので、まだ他にも魚がいるハズ。釣った魚を手早くリリースしてキャストを再開すると、65cmと45cmをキャッチ。ティムのルアーにも何度もバイトがあるらしい。私は釣竿を置いてカメラに持ち替え、暫く動画を撮影することにした。タイミング良くテリーが魚を掛けたので、ランディングシーンまで動画に納めようとカメラを回しているとキャッチ目前でリーダー切れ。ルアーを丸のみしていたので、口元でリーダーが擦れてラインブレイクした。一方、ティムはバイトはあれどもフッキングしない状況が相次ぎ、「キャン・ユ〜」と叫んでいる。



〜 デカバラを釣るのは 〜


マジックスイマー 5KB いつも昼頃になると風が出てくる。これでガラリと雰囲気が変わり、灼熱地獄から抜け出すことが出来て大助かり。テリーとティムが魚を掛けまくっているので、カメラマン的な仕事は我慢できずに私も竿を持つ。開始早々に63cmをリーズシャッドでキャッチ。私の横ではティムが「キャン・ユ〜」を連呼。何匹フッキンクミスをしたか判らなくなってきたほど、バイトがあるらしい。彼はタバコを一服して気を落ち着かせ、ルアーをセビルの3連結ルアー マジックスイマーに変えてみるとバッチリとフッキング。派手なエラ洗いをした魚は65cmだった。

 やっと魚を手にしたティムの横で、テリーがビックサイズのバラマンディを掛けた。かなりパワフルなファイトをするので、キャストする手を暫く休めて彼の動きを見守る。魚が寄ってきたところでティムがランディングを担当。フィッシュグリップで引き上げた魚は体格の良いバラマンディ。シャッドラップを壊してジョイントにしたこの魚は85cm。やはりデカバラを釣るのは、毎度の事ながらガイドのテリー。同じ船に乗りながら同じような釣りをしているにも拘らず、釣果数が大きく違ったり、釣れる魚のサイズが違ったりするのは、何故なのだろうか?



〜 アボリジニによる野焼き 〜


 テリーが釣った85cmに触発されてティムと私はルアーを投げまくる。彼はマジックスイマーで1本掛けたが、私のルアーが彼のラインに絡まるトラブルが発生してフックアウト。ちょっと残念な1匹となった。彼が使っていたルアーを見せてもらったが、とても重たいファーストシンキングモデル。ストラクチャー周りで使うと一発で根掛かりをするようなルアーなので、こんな場所で使うのはとても危うい。もし使うのであれば、当然ながらスローシンキングの方が良いだろう。

 午後1時少し前、私がリーズシャッドで60cmのバラマンディを追加して午前の部を終了。昼食は持って来ていないため、母船ピクーに向って突っ走る。途中、アボリジニが野焼きをやっているエリアを通過する。頭上には物凄い数の鳥達が飛んでおり、野火や煙から逃げようとしている虫や小動物を狙っている。まるでヒッチコックの映画「鳥」のような感じ。「私達に襲い掛かって来るんじゃないか!?」と心配するほどの鳥達が飛び回っていた。



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