バラマンディ・フィッシング]]
太軸針が嫁さんの足にブスリ

ロングAがブスリ
新品ゴールドボーマーが嫁さんの足にブスリ


擬似餌の玉手箱>豪州バラマンディ・フィッシング>'13/2遠征


'13/2/20(水)

〜 シリアル食べて出発!!


シリアル朝食 10KB まだ暗い午前5時半前に起床。昨晩は蒸し暑く、何度か目が覚めて熟睡できなかった感じがする。皆さんを起こさないように静かに部屋から抜け出て、一足先に釣行準備に取り掛かる。うっすらと夜が明けたころから笑いカワセミが大声で激しく鳴き始めた。朝食はいつものシリアル。ウィートビクスに、穀物がふんだんに入ったシリアル、デイツ(ナツメヤシのドライフルーツ)、バナナを 入れ、ミルクとハチミツをたっぷり注いでいただく。シリアルをメインにした食事は、食物繊維が豊富なので、便秘がちな人には超オススメな一品なのである。因みに、味も素っ気もないウィートビクスは、ミルクに浸かっているとベチョベチョしてくるので、何だか家畜飼料みたいな気もするが、オーストラリアではメジャーな食べ物らしい。

 午前7時、デントリーリバーに向って出発。途中、ガソリンスタンドに立ち寄り、燃料を補給する。オーストラリアではUnleaded(レギュラーガソリン)、Premium(ハイオク)、E10などがある。E10はエタノールが10%入っている混合ガソリン。使われているエタノールはサトウキビから搾り取った糖を発酵させて精製したしたもの。搾りかすは、ボイラーで燃やして燃料に使え、石油や石炭に比べ環境にやさしい。さすがオーストラリア、自国の主要農産物を上手に活用しているのだ。

〜 トレーラー横転事故現場 〜


ガソリンスタンド 10KB 国道をひたすら北上。海岸線がとても美しいエリス・ビーチを横目で見ながら、セミがワシャワシャと大合唱する林の中を走り抜ける。今日は風がなく、水面は穏やか。運が良ければイルカのジャンプが見られる・・・私達は気が付かなかったが、イルカがジャンプをしたところをテリーが目撃。きっと今日はイイ事があるだろう。

 広大に広がるサトウキビ畑とマメ畑を通過。この一帯は酸性土壌で栄養分が少ない大地なので、輪作でマメを作って土の中に鋤き込んで地力を維持している。サトウキビは土の中の養分をグングン吸い取って、直ぐに大きくなるので土作りは大切らしい。午前8時過ぎ、車はモスマン手前のトレーラー横転事故現場に差し掛かった。

マンゴー購入 11KB 事故現場の道路は直線で、路面はフラット。どこにも穴は空いておらず、突然トレーラーが暴れて横転するとは考えにくい。トレーラー連結部か車軸の部品が損傷して横転に繋がったのだろう。土曜日に事故を起こして、翌日にボートを回収したとのことだが、つい先日のこと。今日ここを通過し、バラマンディ釣りに行けるというのはホント有難い。テリーのプロ根性と友情に深く感謝するばかり。

 日本国内で同様の事故が起きれば、直ぐに警察とメディアが来て翌日には新聞に掲載されてしまいそうだが、ここはオーストラリア。死亡事故ではないので、警察からは事故に関係した車のナンバーを聞かれただけとのこと。ただっ広いオーストラリア、警察は暇ではないのである。

 モスマンの街でフルーツ&野菜の直売所に立ち寄り、マンゴーを買い求める。「美味しいマンゴーを食べたい」と、ケアンズに来る度に私がリクエストしているので、テリーは気にしていてくれるようだ。昨日、マリーバ周辺の無人市で買おうと思ったが、シーズンが終わっており買うことが出来なかった。ケアンズのウールワースにマンゴーはあったが、マリアさんからダメ出しされて買えず。私が度々、「マンゴー、マンゴー」と言っているので、青くて熟していないようなマンゴーを2個、5A$で購入。

〜 釣れなかったらバラ掘りに 〜


デントリーリバーの巨大ワニ 10KB バラマンディの釣堀(バラ掘り・バラボリ)ではタイや台湾が日本では有名になっているが、本場オーストラリアにも釣堀がある。養殖場の魚は、食性が違うのでハードルアーで釣るのはとても難しいのが実際のところだが、ゴムルアーを使ったり、エサ撒きのタイミングで竿を出すなど攻略方法はあるようだ。デントリー手前にあるバラマンディの養殖場が釣堀Hook-A-Barraを始め、大きな看板が出ている。オーストラリアを代表するワライカワセミ、クッカバラの名前をもじったネーミングは面白いが、"A-Barra"と単数形なので1匹しか釣れないかも・・・。「今日、釣れなかったら、ここでやるぞ」と私が言うと、さすがにバラマンディNo1ガイドとも言われるテリーがニガ笑い。

 午前9時少し前にボートランプに到着。テリーが手際良く出船準備を進める傍らで、私達はディートが沢山入っている虫除けスプレーを肌の露出部にたっぷりと塗る。デントリーリバーの下流域にはサンドフライが沢山いるので要注意。このボートランプ周辺にもサンドフライは潜んでいるので気が抜けない。うっかり刺されると、帰国後も暫くの間は痒く、刺された跡が長期間残るので極力刺されたくない。

 近年、オーストラリアのバラマンディ釣りの様子が動画やブログで紹介される機会が増えてきた。半袖Tシャツに短パン、サンダル履き というスタイルで釣りをしている様子を目にするが、私からすると、とても信じられない格好なのである。特に、同行者のお嬢さんがそんな服装をしている場合、翌日からの惨劇を思い浮かべてしまい可哀想になってしまう。サンドフライのサイズは1mmぐらい。刺された事は全く気がつかず、「目の前を何か小さな虫が沢山飛んでるなぁ」なんて気がついた時には既に遅い。宿泊先に帰った時には赤く膨らんで痒くなり、多分、帰りの飛行機の中では痒くてたまらないことだろう。掻きむしると傷跡が残るので絶対に掻いてはダメなのだ。

〜 先ずはデントリー川下流域 〜


 ボートに乗り込みタックルの準備。一日経ったら、スピニングリールの操作とキャスト方法をすっかり忘れてしまったド初心者の嫁さんに、最初から丁寧にキャストの方法を教える。数回、キャストの練習をして操作方法を確認してからボートを下流へ走らせた。ボートランプから上流へ行くか、下流へ行くかは、その日の潮位や干潮や満潮のタイミングによる。下流に行けばバラマンディだけでなく、GTやコチも狙えるので楽しいが、クリークの中に入るとサンドフライだらけ。きっと痒い思いをするだろう。一方、上流域はGT混じりのバラマンディがメイン。ジョンソンリバーと違って、釣れる魚の種類が限られるため空しいキャストが続く可能性もある。


 
バラマンディ 8KB 最初にボートを止めたのは、デントリーリバーのボートランプから少し下ったところにあるカーフェリー乗り場周辺。道路が河川で寸断されているが、ワイヤーで繋がれたフェリーが頻繁に往復し、車を運んでいる。フェリーが行ったり来たりする光景を始めて見た時はビックリしたが、同様に嫁さんも結構驚いている様子。水中にワイヤーが張ってあるので、往来するボートは要注意。特にフェリーが近づいている時は、ワイヤーが持ち上がっているので近づくのは危険なのである。

 キャストを開始して間もなく、いきなり嫁さんのロングA(15A)にヒット。何が何だか判らないまま、シャカリキになってリールを巻く様子は、見ていてとても面白い。「そんな強引に巻かなくても・・・」と声を掛けては見るものの、魚のファイトを楽しむ余裕なんて彼女にはある訳もなく、一気にバラマンディを引き寄せてキャッチした。本日のファースト・フィッシュを、キャストもままならないド初心者の嫁さんが釣るとは・・・。やはり彼女は何か持っているに違いない。サイズは48cmと小振りだったが、この魚はさい先の良い嬉しい1匹だった。

〜 合言葉は木に引っ掛けるな 〜


バラマンディ・ポイント 11KB 多分、同サイズの魚が集まっているハズなのでテンションが上がる。間もなく、私がバラマンディとマングローブジャックを相次いでキャッチ。「これで連荘モード突入か?!」と気分がのったところで、嫁さんがマングローブにルアーを引っ掛けてジ・エント。

 更にボートを下流に走らせ、要所、要所で竿を出す。ポイントに到着しキャストを始める際には、テリーと私の合言葉となった「ドント・キャッチ・ザ・ツリー」を唱えるが、往々にして数投目には引っ掛かったルアーを回収。魚を釣る前にポイントを潰して、次の場所へ移動するハメになった。数千匹はいると思われるコオモリや野鳥達の大ききな鳴き声を聞いていると、段々、「ノーフィッシュ、ノーフィッシュ!!」と聞こえ、馬鹿にされている気がしてきた。

 初めて竿を握った彼女に対し、私達はとてもハイレベルなキャスティングを要求しているのは承知の上。何年もルアーフィッシングを経験した人でも、ルアーを打ち込むのに尻込みしそうなピンポイントをタイトに狙うよう指示している。従って、引っ掛かるのは当たり前なのかもしれないが、ケアンズの近郊河川では、そこまで狙わないとバラマンディを釣るのは難しいのである。実際のところ、キャスト開始直後の数投で、勝負は決まることが多い。



〜 シャローエリアのマゴチゲーム 〜


コチ 9KB 無数のマングローブの根が、剣山のように水面から突き出ている広範囲なシャローエリアを銀色のロングAで探る。こんな場所は水深が浅いため、根に引っ掛けるとボートを寄せてルアーを回収できない。闇雲にキャストをするのではなく、リトリーブするコースもしっかりと考えて、キッチリと狙ったポイントにルアーを打ち込むのがベストな攻略法なのだ。何度かルアーを水面から突き出た根に引っ掛けそうになったが、ギリギリセーフ。キャスト&リトリーブを繰り返していると、狙っていた60cmのマゴチが出た。

テリー&アサコ 9KB マゴチは釣り上げるとデッキで大きな頭を左右に振って暴れまわる凶暴な魚。頭の付け根の両顎には鋭い鎌状のトゲがあり、とても危険。慌てて暴れる魚を素手で押さえたりすると、スパッと切れてとても痛い思いをするので十分注意が必要だ。フィッシュグリップで硬く閉じた口を開いて掴むか、ボロ布で魚をホールドするのが良いだろう。

 丁寧に探れば、もう数匹は釣れそうな雰囲気だが、隣でキャストの度に「ああっ!!」とか、「おおっ!!」とか、「ひぁ〜!!」とか、言っている人がいるので気が気ではない。引っ掛けたルアーが回収できなくなる前にこの場から離脱。午前10時半にティータイムをとった。今回のおやつは、初めて食べるブルーベリーマフィン。しっとりしていて甘くて、少し疲れてきた体へのエネルギー補給としてとてもイイ感じ。オーストラリアのスイーツは、どれもこれも"徹底的に甘い"というのが定石となっているが、ノンシュガーの紅茶やコーヒーにピッタリ合うように思う。

〜 河口域のGT&QFゲーム 〜


GT 8KB ティータイムの後は更に河口に向かってボートを進める。マングローブ際を丁寧に攻めるが全くバラマンディの反応はない。「もしかしたら、いつもより遅いスポーニングに入ったのかも」とテリーが言い出した。最近、彼がアラクンに行った時に、大きなメスのバラマンディにオス達がまとわり着くような行動をアチコチで目にしたとのこと。スポーニングに入ると、ルアーには反応せず、エリアから魚が消えてしまうらしい。

 気がつけばテリーはロングAからゼビエル(ZBLシステムミノー50S)に変えている。バラマンディからGTやクイーンフィッシュに狙いを変えた様子。すると間もなく、メッキアジ級のGTをキャッチ。私も直ぐにルアーを変えて、連続トウィッチで誘いを掛ける。クロダイやマングローブジャックが物陰からワラワラと飛び出してゼビエルに食らいつくのだが、笑えるぐらいに小さいサイズの魚ばかり。

 小さいルアーをキャストするのは無理っぽい嫁さんは、ロングAをボヨヨヨ〜ンと投げ続けている。時折、驚くような捕食音とともに彼女のルアーにアタックしてくる魚がいる。ヘッポコ・キャストにビッグバイトにビックリ。数は少ないが40〜50cmのGTが回遊しており、こいつらが反応するようだ。過激で力強いファイトに対応しきれずファイトの途中で何度かフックオフ。魚を釣り上げることは出来なかったが、ワクワク・ドキドキ感は楽しめただろう。

 船尾のテリーがゼビエルで小型のGTとクイーンフィッシュを追加している時、中洲周りでボイルしている事に気がついた。急いでボートを走らせ、やや離れたところからエゾミノー湾ベイトをブン投げる。この2つのルアーなら、必ずどちらかで反応するハズなのだが、コツリともアタリはない。どうやらGTとクイーンフィッシュが食っているのは、もっと小さなベイトの様子。「ならば、ゼビエルの出番だ!!」とボックスの中からルアーを取り出し、気合を入れてキャストを繰り返したが、これも不発に終わった。

〜 サンドフライ地獄のクリーク 〜


クリーク 10KB 中洲のボイル狙いはお手上げだったので、船首を上流に向けて一気に加速。少し走ったところで、風通しの悪いクリーク(水路)の中に入った。いかにもサンドフライが沢山いそうな場所。竿を振り始めると、やはり顔の周りにフワフワと飛び始めた。クリークを進むと、サンドフライの数が一気に増える。サングラスの内側に入り込んだり、耳の穴に入ってきたり、シャツの袖口から入ってきたりと鬱陶しい。

 出船時に虫除けスプレーをたっぷり塗ってあったので、この時は油断していたようだ。夜帰ってからシャワーを浴びた際に、足首周りや耳の裏側など何箇所も刺されていることに気がついた。薬が塗られていなかったり、汗や水で取れてしまった部分を集中的に刺してくるようで、ピンスポットに何個も赤いバイトマークが出来てしまった。体温が高まると痒くて仕方がない。過去に何度も刺されているので、私には免疫が出来ているハズなのだが、痒み止めの薬を塗らずにはいられなかった。

シュガーディープ 5KB クリークの中で使うルアーはDDパニッシュシャッドラップ7。いずれも、狭い水路の中でピンポイントを正確に打ち、ストラクチャー周りを根掛かり回避しながら魚を探すにはとても良いルアーだ。今では、DDパニッシュがケアンズのタックルショップで扱われるようになったが、これには当サイトが大きく寄与しているらしい。DDパニッシュと同じく、同時期からシュガーディープもケアンズに持ち込んで、随分使ったり、ガイド達に提供した経過がある。とても優秀なルアーで良く釣れるので私は大好きなのだが、こちらの方はガイド達の反応が少し薄いので残念。

 このルアーの欠点はスバリ、スプリットリングをはめるエイトカン。穴が小さいので、太軸のスプリットリングが使えないのは致命傷。また、ワイヤー径が細いので、直ぐに変形したりネジ切れたりもする。そして、緩んだエイトカンの場所からは水が入りやすく、使えなくなってしまうのだ。オーストラリアの定番商品になるためには、スプリットリングの交換は絶対に必要。バスデイさんがオーストラリアでシュガーディープの販路拡大をするつもりなら、是非このエイトカン周辺部の変更に取り組んで欲しいと強く思う。

〜 何事も経験は大切 〜


アサコ&テリー 8KB サンドフライ地獄のクリークでは結局、DDパニッシュで40cmのGTを1匹釣っただけで終了。もう少し水位が低ければ、オーバーハング下や、底に沈んでいる倒木周り等を丁寧に攻められたのだろうが、こればっかりはどうしようもない。反応が鈍い水路でお腹を空かせたサンドフライ達の餌食になるのは辛いので、余り粘らずにこの場を後にした。

 ボートを上流に進め、フェリー乗り場下流域に戻ってきた。マゴチ狙いをしたエリアは、水位低下により無数のマングローブの根が突き出た干潟になっていた。マゴチ釣りをもう少し楽しみたかったのだが、魚は何処かに消えうせていたので、更に上流へ移動。ボートランプを通り過ぎ、ソーダスト・クリークで少し様子を見たが不発だった。ふと気がついたのだが、今回の釣行ではオーシャングリップ2920HDを全くと言って良いほど使っていない。

テリー&アサコ 9KB そのことをテリーに伝えると、苦笑いしながら「ここはアラクンじゃない」と言う。確かにそのとおり。一度、アドレナインがドバドバと湧き出るような経験をしてしまうと、それが基準となってしまう。ケアンズ近郊河川の釣りでは物足りない感じがしていたが、初心者の嫁さんが、魚の姿を見る度に素直に喜んでくれるので有り難かった。どんな場でも楽しみながら釣りをすることは、やはり大切なのである。

 午後1時、木陰でのんびりと30分程掛けてランチタイム。サンドウィッチをパクついた後は、初めての釣り体験で苦労している嫁さんにアレコレとアドバイスする。彼女はここぞというタイミングで、竿先にラインが絡まっていたり、ルアーのフックがラインを拾っていたりしてキャストのタイミングを逃している。事前準備が出来ておらず、そこまで気が回っていないようだ。

 リトリーブの最中には、「何か部品が取れた〜」と言いながら、外れたリール・ハンドルをブラブラと手に持っていた事もあった。彼女は、いつの間にかハンドルを逆回転させてリトリーブしていたらしい。思わずテリーと私は笑ってしまったが、本人は何故そうなったのか判っていなかったりする。誰でも最初は初心者であり、何事も色々と経験を積んで上手になっていくのである。

〜 太軸針が嫁さんの足にブスリ 〜


足にフックアップ 7KB ランチタイム終了後、強い日差しが降り注ぐ中、再びキャストを再開。5分も経たない内にテリーが50cm弱のバラマンディを掛けた。彼から、ひょいと竿を手渡された嫁さんは、余りに激しいファイトにタジタジ。狭いボートデッキの上で、右を向いたり左を向いたり、エンジンにラインが絡まり竿が極限まで曲がって折れそうになったりと、横で見ていてハラハラ・ドキドキした。

 ここは素直にバラマンディが躍り出た、とても良いポイントなので、アンカーを下ろしてキャストを始める。すると2匹目を釣る前に、案の定、嫁さんがミスキャストでマングローブの樹上にルアーを引っ掛けた。ポイントを潰したくないのでボートは寄せず、竿を受け取ったテリーが激しく竿を振ってルアーを回収しようとする。強く引っ張った際にルアーが外れ、運悪く横にいた嫁さんの左膝を直撃。

 新品のVMC 4Xの太軸フックは刺さりが良く、ズボンの上から彼女の膝上の肉を貫いた。何が起きたのか判っていない彼女に、恐る恐る尋ねると足に痛みがあるとのこと。フックのバーブを潰していなかったので、もしかしたら深く刺さっているかもしれない・・・。急いでスプリットリングを外してルアーを取り除く。刺さっているフックを軽く引っ張ってみたが抜けない。

 テリーはナイフを取り出し、ズボンを切り裂く。破れたズボンの穴から、バーブまでしっかりと刺さっている太軸フックが見えた。ここで、今から病院に行くか、この場でフックを抜き取るかの選択を迫られた。時間が経つと筋肉が締まってフックが抜けにくくなる。病院に行けばメスで切開手術をして針を取るので大変なことになる。今日の釣りどころか、明日以降の予定も全部ボツになる。出血はしておらず、血管や筋を痛めそうな場所ではなかったので、この場で抜く覚悟を決めた。Dr.テリーの登場である。

〜 Dr.テリーの登場 〜


VMCフック 6KB テリーはド太いリーダーを取り出し、ワッカを作ってフックに掛けた。痛みを堪えている彼女に深呼吸させて力を抜かせる。そして彼はカウントダウンをして、一気にリーダーを引っ張った。一瞬、ブチッと音がして、フックが宙に飛ぶ。直ぐに刺さっていた場所を指で強く押しあてる。指を離すと、出血はなく、小さな赤い点が残っているだけ。まるで手品のよう。とても4Xの太軸フックが今まで刺さっていたようには思えないぐらい、きれいに抜けていた。その後の処置はバンドエイドをペタリと張って術後の処置終了。とても鮮やかなDr.テリーのお手前だった。

 普通の女性なら太い釣り針が足に刺されば泣き崩れるに違いない。しかし、嫁さんはヘナヘナと座り込みながらも、この事故に耐えて乗り切った。元来、女性は痛みに対して強いとも言われているが、彼女が懲りずに再び竿を持ってルアーを投げ始めた時にはさすがに驚いた。もし私だったら、めいいっぱいテンションが下がって、釣りどころではなかっただろう。

 テリーが言うには、フックがお客さんの体に刺さることは度々あるらしい。原因は様々なのだろうが、基本的に狭いボート上で、複数の人がルアーを投げるので事故は起きやすい状況にある。掛かり所が悪ければ、素人が抜くと危険なので、やはり本来なら病院へ行くべきだろう。そして今更なのだが、フックのバーブは潰しておこう。

〜 赤金色が大当たり 〜

マナズ 9KB 私が操る赤金色のロングAにバラマンディがアタック。フッキングには至らなかったので、テリーが嫁さんに同じピンポイントにルアーを投げ込むように指示が飛ぶ。奇跡的にドンピシャでゴールドボーマーが入り、爆裂バイト。バラマンディは、ちゃんといる場所にはいるのである。上手くフッキング出来たように見えたのだが、残念ながらフッキオフ。魚は手にすることは出来なかったが、彼女は、しっかりとポイントにルアーが入れば魚が反応することを理解してくれたようだ。

 テリーがナマズを釣ったポイント周辺には、数多くの魚が集まっている様子。この一帯では私がの赤金ロングAに反応が良く、マングローブジャックを1匹、バラマンディを2匹を追加。この他、キャッチは出来なかったが、バラマンディを2匹掛けた。テリーはどうやら赤金は好きではないようで、自らこのカラーを手に取って使うことはないが、金黒色よりもマッチする時があるのだ。

 嫁さんがキャストをしやすいように少しボートポジションを変えると、彼女がゴールドボーマーでマングローブジャックを追加。続いて、私の赤金ロングAに45cm程のバラマンディが入れ食いとなった。あっと言う間に3匹をキャッチ。この場所では赤金色が大当たりなのである。「まだまだ、いけるぞッ!!」と嫁さんに声を掛けて、ピンポイントへのキャストを促すと見事にルアーを引っ掛けた。ルアー回収のためポイントが潰れ、気持ちも萎えたので、魚を探して更にボートを進める。

 午後になり遠くで雷が聞こえたり、小雨がパラつくようになってきた。これで魚の活性が上がって来ている。強い日差しの下では、岸際のブッシュの中やストラクチャーに寄り添っている魚達が、動き出しルアーに良く反応しだした。ウィードエリア周辺でテリーがゴールドボーマーで50cmほどのバラマンディをキャッチした後、私が色黒のGTをキャッチした。更に追加を期待してキャストを重ねたが、パタリとアタリが遠のいた。「なんでだろ?」などと話をしていると、ボート付近にサメがウロウロと姿を現した。ここは完全なフレッシュウォーターエリアなのだが、ワニの他にも、こんな危ないヤツが泳いでいるのだ。

〜 湾ベイトでGTフィーバー 〜


GT 8KB 疫病神のサメにまとわりつかれては、釣りにならない。ボートを走らせ更に上流へと移動する。とても小さな小川の流れ込み周辺で、赤金ロングAを使って良型の鉄砲魚をキャッチ。次は嫁さんの番だとキャストを譲ると、彼女は気合が入りすぎて遥か樹上にルアーを打ち込んだ。ボートを寄せても手が届かない場所なので、いつもどおりテリーに竿を渡して取ってもらう。

 枝に巻きついたルアーを回収するのは中々難しく、かなり手荒く強引にガサガサやる必要がある。嫁さんはフックが足に刺さるという、とても痛い思いをしているので、原因者ではあるが誰に言われるまでもなく船首へ避難。数分後、何とかルアーは回収できたのだが、テリーから借りていたロングAのリップは無残にも折れていた。最近販売されているロングAは以前の物に比べ壊れやすいという印象を持っているが、度重なるルアー回収でのダメージは材質云々という範疇ではないだろう。

 時計は午後4時を回った。テリーは「ラストポイントだ」と宣言し、ボートを大きくUターン。10分程突っ走って、ベイトの動きが見えるボートランプ付近に到着した。狙いは流れの中にいるGT。嫁さんには湾ベイトを渡し、私はエゾミノーを試す。先にヒットしたのは私の方。40cm弱のGTだったが、ファイトは強烈だった。続いてヒットしたのは彼女。サイズはやはり40cm程度なのだが、強く竿を引き絞られてヒーヒー言いながら魚と格闘している。

 やっとの思いで、魚を引き寄せてリリースした後、またしても彼女の湾ベイトに強烈なアタリ。そして直ぐにフックオフ。次々とヒットしてはバラしてを繰り返すのフィーバー状態。明らかに私が使うエゾミノーよりも湾ベイトの方がGTの反応は良い。偏光サングラスを通して見える複数のGTが湾ベイトを奪い合う様子は、スピード感と迫力があった。結局、彼女は何処にルアーが飛ぶか判らないヘッポコ・キャストで、適当にルアーを投げて巻くだけの安易な釣りでGTを3匹キャッチ。船上では、彼女の"一人勝ち"って感じになった。

〜 明日からはグリーン島 〜


ハンバーグ 9KB 時計は午後5時を過ぎ、納竿となった。デントリーリバーはバラマンディがメインの河川で、精度の高いキャスティングが出来ない初心者には少し難しい。世界遺産に指定されている熱帯雨林の中を流れる河川で、ボートに乗って釣りをするという贅沢な遊びをする一方で、フックが足に刺さるという事故も発生。嫁さんの御機嫌が心配だったが、本人によると色々な魚の顔が見られ、楽しかったようだ。

 午後5時半過ぎにボートを引き上げて出発。帰りの車中では睡魔に襲われ、気がつけばケアンズ市内に入っていた。ホームステイをさせてもらっているテリー宅では、マリアさんが手料理を作って私達の帰りを待っていてくれた。まずは氷を浮かべた赤ワインを頂き、温野菜とハンバーグそして小さなパンを食べる。日本なら御飯と味噌汁などの汁物が付くのだが、ここではお皿一枚のワンプレートで終わり。ボリュームはあるので腹いっぱいにはなるのだが、やはり御飯を付けて"ハンバーグ定食"にしたいという気持ちが高まった。

 食後は明日からのグリーン島滞在に向けた準備を整える。この2日間、初めて竿を握った嫁さんに対し、徹底的に釣りをレクチャーしたが、今度は立場が逆転。世界遺産のグレートバリアリーフに浮かぶグリーン島では、私が未だ経験していないシュノーケリングとダイビングが待っている。彼女は学生時代に部活で水泳をやっていたツワモノ。もちろん、ダイビングのライセンスを持ち、国内外アチコチの海でダイビングをこなしている。ダイビングは釣りよりも遥かに危険度が高いスポーツなので、私は体験する前から既にビビリ気味。果たしてどうなることやら。

釣行2日目の結果

TOSHI

ASAKO

TERRY

バラマンディ

6

1

2

マングローブジャック

2

1


マゴチ

1



GT

3

3

2

クイーンフィッシュ



1

ナマズ



1

鉄砲魚

1





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