
 昨夜は10時前にベットイン。2日間ダイビングをして疲れている嫁さんと先を競うように、夢の中に落ちていった。このまま朝まで爆睡・・・ではなく、またしても夜中に寒くて目が覚めた。やはり嫁さんに掛け布団を奪い取られ、薄いシーツにくるまって寝ていた事に気がついた。ケアンズの9月の夜はちょっと寒いのである。
 準備が整った午前6時半に出発。冷たい空気を切り裂きながら、新しく出来たバイパス道路を一気に南下する。景観を損なうことなく、事故時の強度だけでなく、騒音や防風機能を備えたお洒落な遮壁を横目で眺めながら、今日はどんな魚達に出会えるか思いを巡らせる。
 因みにこの遮蔽壁、中途半端な形状をしているので未完成なものかと思いきや、これで完成しているとのこと。この造形は日本人の感覚と大きく違っている感じがする。
 午前8時にボートランプに到着。公園内のトイレで用足しをしてからボートに乗り込む。朝イチの狙いは船着場周辺で湾ベイトを使ったジギング。キャストしてから十分に沈め、巻き上げたり落としたりを繰り返す。前日、このやり方でGTの反応が良かったので今日も・・・と思ったが無反応。「おかしいなぁ〜」と首を傾げていた時、TASHI-Rのレイド6を使っていたテリーの竿が激しく曲がった。力強く走り回った魚はクイーンフィッシュ。魚は表層を意識しているようなので、湾ベイトをキャストし、着水直後から早巻きする方法にチェンジ。すると嫁さんの方にヒット。余りの強い引きにヒィヒィ言いながら寄せた魚は、クイーンフィッシュに似た魚であるオシアニックという魚。
 エリア内にベイトの群れが入って来たようで周囲ではボイルが始まった。ベイトを追いかけているのは、GTやクイーンフィッシュのようなのでポッパーに即座に変更。Gスプラッシュ80とポップクイーンを使って反応を見るがノーバイト。ベイトのサイズが小さかったためか、全く反応がなかったのはルアーサイズのチョイスミスだったのかもしれない。こっそりとポッパーからDDパニッシュに変えて停泊しているクルーザー付近を狙っていたテリーがメッキサイズのGTをキャッチ。コレを見て私達もすかさずクルーザー付近を狙うことにしたが、嫁さんがミスキャストで高額なクルーザーにルアーをブチ当てて傷を付けるのを恐れてこの場をあとにした。
 5cm前後のベイトはいるのだが、ルアーへの反応はイマイチなので、クリークの中を探ることにした。使うルアーはシャッドラップ5。狭い水路の中で小さなルアーを的確にマングローブの根際のピンポイントに打ち込むのは、普段ルアー釣りをやっている人でも中々大変なこと。コレをド初心者の嫁さんに、やってもらうのだから苦労は耐えない。マングローブの手前、水中にルアーが落ちればOKだが、往々にして岸際に茂る木々の上の方に引っ掛けたり、キャストの際、頭上の枝葉に引っ掛けたりとトラブルが相次ぐ。ルアーを回収する度にポイントが潰れるため、釣りにならない。
 うっかりしていたのだが、彼女には未だスピニングタックルでのサイドキャストをしっかりと教えていなかった。クリーク内は竿を振れる空間の制限があり、オーバーキャストだけでは難しい。小さなモーションでルアーをキャスト出来るサイドキャストの方法を伝授することにした。最初の内は、笑えるくらいのヘッピリ腰。おっかなビックリでルアーを置きに行くような、軌道が山なりの"ほんわか・ふわふわキャスト"をしていたが、猛特訓のおかげか徐々に竿の振りとラインを離すタイミングが合ってきた。
 サンドフライの攻撃にめげず、苦労して竿を振った狭くて暑いクリークの中は不発。それよりもクリーク入り口の水通しが良い場所の方がルアーへの反応がある。テリーと私がシャッドラップ5で35cm前後のGTを追加。時折、岸際でボイルが起きたり、バラマンディがチラリと姿を見せたりとキャストをする度にワクワクする。しかし、ルアーを引っ手繰るような事はなく時間だけが過ぎてゆく。午前11時少し前、水分補給を兼ねてティータイムにする。
 基本的には5日間程度は貼りっ放しで良いパッドだが、状況によっては傷口を確認し、貼りかえる必要がある。取り扱い説明書にも明記されているし、メーカーのWebサイトでも質問コーナーで紹介しているので、一読しておくことが大切だろう。判ってはいるが、ちょっと躊躇うくらい怪我をした部分は化膿してきて嫌〜な感じになっている。
 甘ったるいパンを頬張りながら、これからの作戦を練る。干満のタイミングを考え、もう少し河口域で魚を探した後、上流の淡水域に走り、トップウォーターゲームに挑戦することになった。15分程休憩した後、エンジンを再スタート。走り出して数分もしない内に、水の色がグリーンに変わった。ここで思わず「グリ〜ンだよぉ!!」と声をあげる。水深がある場所の水色は濃いブルー。風がなく波静かで穏やか河口は、グリーンとブルーが滲み、とても美しい光景だった。
 午前11時半、予定どおり河口域から一気に上流へとボートを走らせる。途中、ボートランプに立ち寄り、公園内のトイレを借りる。男同士だったら、ボート船尾か岸に立って用を済ませばよいが、女性同伴の場合は、トイレで辛い思いをさせないように気を配る必要もあるのだ。トイレの事を心配するあまり、水分を取らなかったりすると確実に午後にはダウンしてしまう。こちらでは、日本のように汗がダラダラ流れず、かいた汗は直ぐに乾いてしまうので、体から水分が奪われている事に気が付かなかったりする。男女とも意識的に水分を口にすることが大切で、オーストラリア滞在中における体調管理の基本中の基本だろう。
 シャローエリアをゆっくり上流に向って進む。私達の目の前をウロウロと泳いでいる魚達は全部テラピアであることを知りビックリする。以前に比べ増えているのは気がついてはいたが、"少しずつ増えている"のではなく、爆発的に増えていると言っていいくらい、場所によってはウジャウジャいる。このテラピアを釣ろうとテリーがシャッドラップ5のトウィッチングをしていたら、横からバラマンディが出てきてルアーを吸い込んだ。ギュインギュインと竿を絞り込んだバラマンディは45cm。自分が釣ったわけでもなく、サイズも小さかったが、随分久しぶりにバラマンディの顔を見たような気がして嬉しくなった。
 午後1時過ぎにランチタイム。30分程、木陰で休んで再び竿を振り始める。竿先にぶら下げたのはバブルクランク。サンドウィッチを頬張りながら、持参した数多くのルアーの中からコイツを選んだのは、プロペラ付きのルアーでボートの移動スピードに合わせて表層をテンポ良く引けるから。垂直に立ったチタン製リップに付いている穴の効果は定かではなく、名前からイメージさせるような泡は何処にも発生していないように見えるのだが、このルアーは釣れるハズ。
 派手なピンク色をしたバブルクランクを投げ始めて直ぐにジャングルパーチがヒット。ボートに抜きあげる際にフックが外れ、ポトリと落としてオートリリース。続いて、大型のスーティーグランターがルアーを追尾しガボガボとやってきた。リトリーブしながら、竿先を軽くトウッチしたらバシャッと水面が割れて色黒の40cmをキャッチ。この後も、私一人が入れ食い状態に突入。マングローブジャック(30cm)、30〜35cmのスーティーグランターを3匹追加した。
 バブルクランクへの反応が良いので、予備の物をボックスから取り出して投げると水面爆裂。スーティーグランターが岸際のオーバーハング下から飛び出してきて次々とルアーに襲い掛かってくる。ボートを更に進めると、今度は25cm前後のジャングルパーチが連続バイトした。ジャングルパーチはスーティーグランターよりも小振りなためかフッキングには至らないのだが、果敢に何度もルアーへ飛び出してくるのが楽しい。
 このルアー、きっと浜名湖のクロダイやキビレのトップウォーターゲームでも威力を発揮するに違いない。リップ素材にチタンを使っているところや、ペラを含めたパーツ一式をこのルアーのために作っているところが極めてバブリー。過去の日本のバブル経済を彷彿させる。たとえ泡が出なくても、狙っている魚がボコボコ湧いて出てくれば、「泡がゴボゴボ出なくたって良いんだよぉ〜」と言ってあげたい。既に生産中止となっているので、帰国したら売れ残っている物を探して全部買い占めてやろうと心に決める。
 嫁さんがバブルクランクの扱いに慣れてきたようで、スーティーグランターやジャングルパーチをテンポ良く釣るのを横目で見ながらキャスト&リトリーブを続ける。突然、彼女が「何か掛かったぁ〜」と声を上げたので振り返ると、ギュインと竿を曲げている。バブルクランクにバイトしたシーンは見ておらず、水面で跳ねる様子もなく、そのファイトは、ひたすら重いだけの感じ。
 テリーはトーピードを使って40cm弱のスーティーグランターを釣ったが、どうも彼のスタイルではないらしい。途中からシャッドラップ5を使って、私達が撃ち損じたポイントを丁寧に狙い始めた。午後3時を少し回った頃、バックシートから「バラマンディ!!」と言う声が掛かった。直ぐに振り返るとテリーの竿がしなり、水面が割れる。サイズは大きくないのだが、そのファイトは私たちが楽しんでいるスーティーグランターなどとは別のレベルだった。釣れたのは40cmクラスの若いバラマンディ。周囲には他にもいるハズなので、ヒットした所を中心に3人で集中砲火をする。
 テリーは明朝、朝イチの便でアラクンまで飛ぶ事になっている。連日、私達の対応で多忙を極めていたため、今日は早めにケアンズに戻って丸一週間に渡る船上生活の準備をする必要があるらしい。従って、いつもより早い午後4時が納竿時間。それまで1匹でも多く、釣りたい一心でキャストを重ねる。こんな中、25cm程の小さなスーティーグランターを釣った際、ハプニングが発生。バブルクランク尾部のヒートンが抜け落ち、ペラなどの金属パーツ一式を紛失したことに気が付いた。こんな事にならないよう、あらかじめ瞬間接着剤でヒートンを固定してあったのだがダメだった。やはり1サイズ大きな径のヒートンに交換すべきだったと反省する。
 午後5時にイニスフェイルの街を出て、90km弱離れたケアンズに向けて時速100〜110kmで疾走する。車窓から見えるのは暫くの間、延々と続くバナナ畑。どの木にもバナナを保護する大きな袋が掛けられているが、袋掛けや収穫してなど主だった作業は全て手作業。そもそも、苗の植え付けも手作業らしい。日本人を含むアジア系の若者たちが汗を流していると聞く。突き刺すような日差しの下、広大な赤い大地で砂埃にまみれ、相当ハードな仕事をしているに違いない。フィッシング・ボートへのバナナ持ち込みはタブーとされているが、バナナ一本にありがたみを感じずにはいられない。
 途中、ガソリンスタンドに寄りつつも、午後6時過ぎにはテリー宅に到着。かなり早いペースで車を走らせたようだ。一番にシャワーを使わせてもらい一息付いている間に、テリーは今日の後片付けと、明日から3週間続く、アラクンでのガイド業準備のために荷造りを進めている。明朝6時半に家を出て、3週間もの長期にわたり母船ピクーで寝泊りを続けるらしい。宿泊場所と釣り場が直結している環境で、毎日釣りをしながらお金を貰えるなんて、釣り人にとって天国のように思える。しかし、わがままな客を相手に炎天下での精神と肉体共々、相当堪えるらしい。| 
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 TOSHI  | 
 
 ASAKO  | 
 
TERRY  | 
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クイーンフィッシュ  | 
 
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オシアニック  | 
 
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GT  | 
 
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カメ  | 
 
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ヤッカ  | 
 
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スーティーグランター  | 
 
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バラマンディ  | 
 
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ジャングルパーチ  | 
 
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マングローブジャック  | 
 
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ターポン  | 
 
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