バラマンディ・フィッシングⅩⅩⅥ
豪州魚を60匹以上キャッチ

オーストラリアでもガソリン価格が高騰
擬似餌の玉手箱>豪州バラマンディ・フィッシング>'23/3遠征


'23/3/10(金)

~ デントリーかジョンソンか ~

 午前5時15分に起床。目覚まし時計など使わずとも、丁度良い時間に勝手に目が覚めてしまう。人間の体って凄いなとつくづく思う。玄関先で大きな音がしたのでカメラ持参で向かうと、ゴミ収集車が来ていた。車体横からアームが伸び、大きなゴミ箱を掴んで持ち上げ、ゴミを回収する様子はとてもメカニカルで格好が良い。日本のように回収車の後ろに1~2人付いて、ゴミ袋を放り込むなんて事はしていないのである。

 周囲を少し散歩した後、朝食を食べる。勿論、いつもどおりのシリアル。ウィードビックスにオーツ麦、デイツ、チアシードをぶち込み、ミルクをドボドボと注ぎ込んで蜂蜜をたっぷり垂らす。朝食を食べながらテリーから話をアレコレと聞く。ガイドのウィルは昨日、お客さんを連れてデントリーリバーへ行ったらしい。午前中にバラマンディを6匹、午後は魚の活性が上がり、一日やってバラマンディを20匹ほど釣ったらしい。昨日はデントリーリバーへ行くべきだったか・・・

 一昨日のデントリーリバーは、泥濁りの激渋状態。2人でバラマンディが3匹、ジャングルパーチが1匹しか釣れず、酷い目にあった。この釣果で翌日も同じ場所へ足を運ぶという選択は普通ないだろう。一日経ってこの変わりようは何なのだ。この話を聞いて驚くばかり。テリーは2日続けて同じ場所には行かない主義。昨日はジョンソンリバーだったから、今日はデントリーリバーで爆釣かとワクワクしたが、彼はプランをあっさり変更した。ガイド業の教え子であるウィルと竿を振るポイントがバッティングしているのは確か。ウィルが散々叩いた後では、かなり厳しいと考えたのか今日もジョンソンリバーへ行くことになった。果たして、この選択が吉と出るか凶と出るか。

 午前6時半、ベッドで爆睡している嫁さんの顔を見てから出発。嫁さんは今日一日、ダイビングを楽しむ予定。とても有難いことに、ダイビングツアーの船が出るマリーナへはマリアさんが送迎してくれる段取りになっている。ケアンズ市街地を走る間、空には満月が白く輝いていた。満月ということは大潮。今日は潮位の差がとても大きくなるだろう。電線には黒いカラスのような鳥が沢山止まっている。名前を聞くと、カラスではなく、黒いオウム・ブラックココトゥだと言う。止まっていると分からないが、羽の内側や尾はピンク色らしい。

~ 釣りツアーが1日8万円以上!!

 ブルースハイウェイをひたすら南下する。車中では最近のフィッシングツアーの話をアレコレと聞く。新型コロナによる規制が解かれ、海外からのお客さんが増加。ウィルのガイドはとても忙しくなり、毎日、予約が入っているとのこと。ツアー料金を聞いてみると、ジョンソンリバーデントリーリバーのツアーが1日850A$、ケアンズから近いタリリバーですら800A$だと言う。一日釣りして、8万円以上払わなきゃならないだなんて。この価格では、一般的な日本人はツアーを断念するのではないだろうか。

 ツアー料金の高騰は、3年に亘る新型コロナの影響で廃業したガイドが多い上に、ボート関連機材のハイテク化や大型化、日本と同じく物価高が直撃しているからだろう。これに加え、かつてないほどの円安は、よほどの覚悟がない限りオーストラリアでガイドを雇って釣りなんか出来ない時代となってしまった。

 因みに、昨日の釣果はさておき、今回の遠征では、初日が3人で2匹、2日目はボウズ、3日目は2人でたったの4匹、合計6匹だった。もし、ウィルにガイドを頼んでいたら、1匹当たり幾らになってるんだろう・・・もう、気絶しそう。釣り人は、そんな計算を絶対してはイカンのである。

 昔、遠征したバラマンディの楽園アラクンは、マザーシップがまた新しくなり、フィッシングボートも大きくなったので魚が沢山潜んでいるシャローエリアには入れない。しかも、ツアー料金は倍額になっており、純粋に釣りを楽しめない場所に変わってしまったようだ。「海外遠征は行ける時に覚悟を決めて行く」これがとても大切なのである。残念ながら、アラクンにはもう2度と行く機会はないだろう。

 先日の洪水で未だ水に浸かったままのサトウキビ畑を横目に見ながらひた走る。進行方向右手にある農家の奥さんが管理している美しい庭アリスガーデンを通過し、午前7時20分にラッセルリバーの橋を通過。7時30分にノースジョンソンリバーの橋をゆっくり渡って、河川の様子を伺った。水位も水質も良さそうで一安心。イニスフェールの街でガソリンスタンドに立ち寄り燃料を満タンに、ついでにタイヤの空気圧もチェックして準備万端ととのった。

~ 待望の入れ食いタイム ~

 午前8時に出船。ボートランプ横にあるツバメだらけの橋をくぐり、岸際のガーターを狙いながら暫く進む。流れ出しはなく、ベイトも不在で釣れる気がしないのでギブアップ。ボートの向きをぐるりと変えて、ノースジョンソンリバーを遡る。鉄道橋の手前にあるウィードエリアでステッキー3を使い、ウィード(リボンウィード)のエッジを探っていると爆裂バイト。フッキングは決まったが、ウィードの中に潜り込まれ、藻ダンゴになって逃げられてしまった。3つの橋をくぐり、その先に広がるウィードエリアでは、毎回、ボックスの中に突っ込んで持参するZealカスタムフロッグポッパーも試す。何処かにグッドサイズのバラマンディが潜んでいるハズだが不発。続いて、スーパースプークJrでウィードの切れ目をトレースしたが、これにも反応がなく見切りをつけて更に上流へと遡る。

 ノーフィッシュのまま2時間が経過。そろそろ釣らないとイカンと思っていたころ、マングローブジャックがシャッドラップSR7にヒット。これが切っ掛けとなり、そのポイントでは、ジャングルパーチとスーティーグランターが入れ食い。待望の"入れ食いタイム"が到来した。同じ場所で3種類の魚が釣れて、ここは非常に興味深いポイント。オーバーハングの下にストラクチャーがあり、小川からの流れ込みがあるような場所だ。川岸近くは何処も同じような景色で、どうすればこのポイントを見つけられるのだろうか?長年、テリーと釣りをさせてもらっているが、いつまで経ってもこの答えに辿り着けない。

 この河川に限らず、何処に行っても見渡す限り魚が釣れそうなポイントだらけ。しかし、実際は魚がいる場所といない場所がクッキリ分かれている。オーストラリアへ遠征すれば魚がウジャウジャ釣れるなんてのは幻想でしかなく、効率よく釣れる場所を見つけられないと釣果は全く伸びないのだ。

~ 豪州遠征用のルアー考 ~

 午前10時半にティータイム。菓子パンをパクつき、おやつのロリポップを舐めながらテリーが持参したルアーを見せてもらう。彼は以前、プラノの大きなBOXに数多くのルアーを詰め込みボートに持ち込んでいたが、今回はメインルアー用のプラケース1個と雑多なルアーが入った小さなプラケースが1個。過去の遠征では、ライチタイムにワクワクしながらルアーをアレコレ見せてもらうのが恒例行事だった。近年、厳選したボロボロのルアーしか持って来なくなったのでちょっと寂しい。因みに、今回ボックスの中に入っていたのは、ミノーはロングA(15A)ステーシーver2ハードコアLB90SPアイルマグネットショアラインシャイナーリーズハイジャッカー。シャッドは、リーズシャッドシャッドラップ各サイズ、ハードコアSH60SP。ポッパーはTDポッパーポップRハルコルースターポッパーってところか。この中でも、実際に使うのは数個しかない。これまで彼がルースターポッパーは使っているのを見たことがないが、多分、ソルトエリアでGTやクイーンフィッシュを狙う時に使うのだろう。

 一方、私はルアーを相当厳選したつもりだが、毎度のことながら結局アレもコレもって感じで163個をメイホーのボックス(フィーダーボックス1800)2個に詰め込んできた。言い訳っぽくなるが、嫁さんが使う分も含め、どんな状況にでも対応できるようルアーの種類は幅広く、しかも、ロストした際に困らないように実績のあるルアーは複数個用意してあるのだ~。当初、気の赴くままボックスにルアーを詰め込んだら、180個を超えてボックス内がギチギチになってしまった。

 流石に多過ぎるかなと思って再選抜したが、10~20個減らしてもTシャツ1枚位の重さでしかないのに気付いてしまった。重たいジグや本格GT狙いの大きなルアーは不要なので、ルアー1個は十数グラムでしかない。200個持参しても大した重さにはならない。現地で後悔しないように、少しぐらい多めに持って行ったってイイじゃないか。そんな妥協点が163個だった。気持ち的には、ルアーを入れるボックスは1個で、100個以内に収めたいのだけど。嫁さんは「ルアー10個もあれば十分じゃないの~」とバッサリ私を切り捨てるのであった(過去のヒットルアーはコチラ)。

~ 再び激流で入れ食い ~

 ティータイムを15分で切り上げキャストを再開する。最初に狙うのは、お茶を飲みながら気になっていた近くに見える倒木。使うルアーは、今回の遠征での当たり針パーチカラーシャッドラップSR7。ルアーを投げ込むのは倒木の上流側。着水後、グリグリッと巻いて潜らせ、横たわる倒木の下にルアーを通すようなイメージでリトリーブ。ストレートリトリーブに反応しなかったので、今度は強くジャークした後に、ストップしてポーズを入れたらガツンときた。水中に潜むストラクチャーに巻かれないよう、オープンエリアに魚を引き寄せてからファイトを楽しむ。元気よくエラ洗いを繰り返したのは、50cmの若いバラマンディだった。

 午前11時、ボートを上流に進めると、昨日、入れ食いになったシャローの激流エリアに到着。ルアーは交換せずシャッドラップSR7をそのまま使う。一投目からジャングルパーチをキャッチ。魚を引き寄せてくる際、ワラワラと何匹も後から追尾してきた。魚の活性が高いので、リリース後は直ぐにキャストをする。ここからは本当の入れ食い状態。立て続けにジャングルパーチとスーティーを14匹を釣り上げた。テリーは船尾で操船しながらもクロータッドカラーシャッドラップSR7で赤目のスーティー(スクロータム)などをキャッチした。

 瀬を乗り切って、ゆったりした流れのエリアに入る。ここは昨日、テリーがバラマンディを釣った場所。シャッドラップSR7を岸際に撃ち込み、トウィッチをすると引っ手繰るような強いアタリがあった。待ち望んでいたバラマンディかと身構えたが、釣れたのは背中が盛り上がりゴン太のスーティーだった。

~ 人食い鮫 ブルシャーク出現 ~

 良型のスーティーを釣った後が続かず、アタリがパタッと止まってしまった。なんか変だなぁと思っていた矢先、大きな黒い魚体が目の前を横切った。一瞬、ランカークラスのバラマンディかと思ったが、頭が大きく体形が違う。魚が反転して戻って来たのでよく見たら、背びれと尾がピンと張ったサメ。完全な淡水域で河口から随分遡り、急な瀬を越えたエリアなのに、目の前でサメが悠々と泳いでいる。淡水でも生息できる"人食い鮫"とも呼ばれる凶暴なブルシャーク(オオメジロザメ)だった。

 オーストラリアではクロコダイルによる人畜の被害がメディアで頻繁に報告されるが、実は淡水域でのサメの被害もある。このブルシャークは、海水でも淡水でも生きられる稀なサメ。過去にはゴルフ場の池の中に住み着いてしまった例もある。度々起きる洪水で生息域が拡大するので厄介で危険な生き物だ。

 今回は、入れ食い状態になり釣った魚を一か所で次々にリリースしていたので、サメが寄って来てしまったようだ。サメにボートの周囲をうろつかれては釣りにならない。魚を触って汚れた手を、川の中に突っ込んで洗うのも危険だ。ルアーへの反応もないので場所を変え、更に上流へとボートを走らせた。

 移動先のポイントでは、最初にテリーがシャッドラップSR7で鉄砲魚を釣った。ここは水通しが良く、岸際が竹林で水面が日陰になっている。続いて私がスーティーをシャッドラップSR7で釣り、その後は入れ食いになった。釣れるのは30~35cmで、時折、赤い目をしたスクロータム(タイプⅡ)やジャングルパーチも混ざる。

 テリーはバラマンディを掛けたが、珍しくバラしてしまった。彼と魚のやり取りを見ていると、いつも力を抜いて、魚の動きにしなやかに対応している。ドラグは緩めに設定し、力任せに魚と格闘するのではなく、ペアダンスをするかのごとく、魚を優しくコントロールして引き寄せている。そんな彼でも、バラす時はバラすのである。それでもやはり、経験と技術の差は大きく、まだまだ学ぶべき事が多い。

 結局、ここでは短時間で12匹をキャッチ。ヒット後の対処がヘタなのだろうが、何度もフッキングミスや引き寄せてくる際に魚を釣り落とした。テリーは「SR5を使えばもっと釣れるぞ」と悪魔のように囁く。SR5なら魚の口の中にスッポリと収まるので、フッキング率がアップするのだ。

~ 紫外線に御注意あれ ~

 午後12時半過ぎ、岸壁から水が勢いよく流れ出る木陰でランチタイムとなった。今日は風がなく、日差しがとても強い。テリーの顔を見ると唇が赤くぷっくり膨らんでいた。聞けば、昨日・今日の強い日差しで、日に焼けて腫れたという。私自身は、唇にリップクリームを塗り、日差しが強い時はネックガードを鼻まで引っ張り上げて日焼け対策をしている。

 オーストラリアは、日本に比べ紫外線量が遥かに多い。日本と季節が逆なので、日焼け対策を忘れがち。冬にオーストラリア旅行する場合は特に要注意である。地元民がこんな具合なので、無防備な日本人はきっと酷い目にあうだろう。日焼け止めクリームは、季節商品なので、薬局やホームセンターでは棚の片隅に追いやられている事も多い。オーストラリアで現地購入する方法もあるが、日本人の肌に合わず皮膚トラブルを起こす場合もあるので、やはり日本国内での購入がお勧めだ。

 30分ゆっくり木陰で休み、午後の部を再開する。激流がモロにぶち当たる赤い土壁のポイントに到着。流れが強い場所にいる魚は食いっ気があるので、激流の中でもちゃんと泳いでくれるルアーが効果的。やはりここでもシャッドラップSR7が活躍。壁際にルアーを撃ち込み、反転流の中を泳がせるとガツンとくる。流れが強すぎてボートが一か所に留まっていられないため、短時間の勝負。良型のスーティーの引きの強さに翻弄されながらも、2匹釣ってこの場を後にする。

~ 釣果UPはキャスト精度がキモ ~

 激流を乗り切り、流れの緩やかな場所に出た。岸際にはバラマンディグラスが茂り、所々に立木が生えている。倒木周りは特にバラマンディも意識しながら、丁寧にルアーを投げ込んでいく。キャスト後、グリグリッと巻いてからトウィッチ&ポーズ。今日は魚の活性が高いので、ポーズは短めでトントン、トントンって感じで2段引きをするとガツンと来る。ここでは、激流エリアよりも明らかに魚のサイズは小さく20~25cmばかり。ついにはテリーが、シャッドラップSR710cm程のスーティーを釣り上げた。ルアーのリップを含めると魚の大きさが同サイズ。ルアーフックに枯葉でも引っ掛かったかと思えるほどのサイズで、2人で大笑いしてしまった。

 強い日差しの下では、水分消耗も激しい。水ばかり飲んでいても危うく、体が甘い炭酸水を欲する。すっかりお気に入りになったジンジャービールをグビグビ飲みながら、ボートの進行方向をよく見て次に何処へルアーを投げるか判断する。テリーのキャストを見ていると無駄なキャストがなく、ストラクチャーの更に奥へとルアーを撃ち込む。私のキャストは無駄ダマが多く、オーバーハングや狙っているストラクチャーの手前でボチャン。野池のフローター釣りに熱中していた頃は、もっとキャストが上手だったと思うが、豪州遠征の時でしかベイトタックルを使わなくなりキャストが精度がかなり落ちている感じがする。

 ミスキャストでルアーを回収し再キャストをする間にもボートは移動しているので、どうしてもチャンスを逃しやすい。目の前だけを見るのではなく、先を見て何処に、どんな角度でルアーを撃ち込むか瞬時に判断して竿を振る必要がある。キャストの精度が高ければ、もっと釣果が伸びるハズなのだが、数日間の釣行ではそうもいかない。

~ クリーク入り口でバラマンディ ~

 午後2時、期待していた倒木や立木周りでバラマンディは不発。本命魚は必ずそこにいるハズが、日差しが強過ぎて物陰に隠れているか川底に沈んでいる感じ。少し風が吹くか曇ってくれないと厳しそう・・・そんな事を考えながらキャストを重ねていると、小さく薄暗いクリークの入り口に到着。ここには絶対、バラマンディがいる。先ずは、クリーク入り口のカドを狙ってパーチカラーのシャッドラップSR7を撃ち込む。トウィッチをすると一発でバラマンディがヒット。ボート下に何度も潜り込み、引きずり出した後は水面でエラ洗いとジャンプを繰り返す。

 バラマンディのヒットは随分久しぶりの感じ。スーティーやジャングルパーチとは全く違う力強いファイトに、バタバタしながらも無事にキャッチ。釣り上げた魚は59cm。「1cm足りなかった~」と思わず口走ってしまった。ソルト系の太軸フックは、グニャグニャに変形していた。この1匹とのやり取りでどっと疲れが回って来た感じ。納竿時刻まではあと3時間程度あるので、こんな時のために持参したリポビタンDをゴクリと飲み気合を入れなおす。

 いるべき所には、やはりバラマンディはいる。クリーク入り口の日陰部に鎮座し、本流から入ってくるベイトを待ち構えていたに違いない。更なる追加を期待してクリーク内を丁寧に探ったが、胴回りの太い35cmのスーティーを1匹釣って打ち止め。クリーク内は水が停滞しており、濁っていた。やはり本流との合流点で水がよれるカドが、ここではベストポイントだったのだろう。

~ スーティーグランターのWヒット ~

 ここから一気にターンして下流へと釣り下る。魚がいる場所といない場所がクッキリと分かれている。1匹探り出せればバタバタと釣れるが、いないエリアは延々と岸際を撃っても反応がない。効率よく魚を見つけ出す術を彼から盗み取りたいのだが、これまで何度も彼と釣りをしているが難しい。記憶力と経験がベースにあるのは確かな事。今どきのGPS付き機器をボートに搭載していれば、過去に釣れた場所をプロットし、実績をデータとして積み重ねて行けるのだろう。しかし、そのデータは洪水が一度起きると、チャラになっしまうのが河川での釣り。

 テリーがグッドサイズのマングローブジャックを釣った後、私のシャッドラップSR7に強い衝撃があった。いつもと違うファイトに違和感を感じ、慎重にやり取りをしていると、水面に浮いてきたのが2匹のスーティーグランター。前後のフックをそれぞれの魚が咥えバタバタしている。彼のボート内にはネットを置いていないので、覚悟を決めてゴボウ抜き。さすが、赤い名竿バンタム・スコーピオン。随分古い竿だけど、適度にしなって魚をボートイン。

 今回、このパーチカラーのSR7は大当たり。昔ながらのカラーなのだが、長い歴史の中で残るルアーの色にはきっと理由があるのだろう。Wヒットの後に、スーティーとマングローブジャックを連発。上機嫌なところで、テリーが倒木周りでバラマンディをキャッチ。またしても彼にしてやられたって感じ。ジャングルパーチやスーティー狙いの竿さばきとバラマンデイを釣るための竿さばきは、明らかに違う。頭では分かっており実践しているつもりなのだが、私のルアーには反応しない。明らかに彼は狙った場所で狙いどおりにバラマンティを釣るから凄い。船首にいる私が投げた後で、同じ場所にルアーを撃ち込んで、バラマンディを釣るから悔しいのなんのって。因みに、ヒットルアーはシャッドラップSR7の赤いクロータッドカラー。彼に言わせると、ザリガニっぽいカラーリングがイイらしい。

 時計は午後3時をまわり、残り時間が気になって来た。ここからはバラマンディに狙いを絞って竿を振る。ここには必ずバラマンディが潜んでいるという倒木のスペシャルポイント。シャッドラップSR7を投げ込み、トウィッチ&ポーズ。しっかりとバラマンディにルアーを見せるつもりでポーズを長めにとり、ルアーを水中に漂わせるとガツンとヒット。直後に水面が割れて飛び出したのはターポンだった。「違う魚だぁ~」と言いつつ、魚とやり取りをしてキャッチ。手早く測ったサイズは55cm。「ターポンがいる場所にはバラマンディがいる。」この言葉を信じてルアーを再び撃ち込むと、再びヒット。派手なジャンプをしのは、またしてもターポン。しかも60cmにサイズアップした。

~ 最後のバラマンディ・チャレンジ ~

 残り時間でバラマンディ・チャレンジ。シャローエリアではロングA(15A)、水深がある場所では、ステーシーVer2で探る。3回もステーシーVer2を撃ち込んだピンポンントでテリーがハードコアLB9050cmのバラマンディをキャッチ。私が諦めたポイントにルアーを投げ込んで1投目で釣られた。これはもう衝撃的で、「あぁぁぁぁ~」と、声が出てしまった。

 再び同じ場所にを撃ち込むと、バラマンディが私のルアーにアタックするのが船上から見えたがフッキングには至らなかった。ワンチャンスを期待して同じ場所へ即座にルアーを入れたが、反応ナシ。バラマンデイ釣りにおいて、やはり彼と私には見えない大きな差がある。テラピアがウヨウヨといるウィードエリアを抜け、3連の橋をくぐり、更に下流へ進んでクリークの中に入る。

 クリーク内は流れがなくて泥濁りだったので、直ぐにターンして更に下り、ロングA(15A)を使いガーター狙いをする。シャローエリアで岸際から川へと流れ込む小川が作る細くて蛇行した溝の中に、バラマンディが潜んでいる場合がある。これを狙い、溝に沿ってロングA(15A)を引いて来る。ボート上からでは、魚は見えないのだが、時として大きなバラマンディが溝の中に横たわり、通過するベイトを待ち構えているらしい。2か所のガーターを狙ってバラマンディは不発。一回だけ、GTが元気よくルアーをチェイスしたがバイトには至らなかった。

~ まさかのビッグ・サプライズ ~

 午後4時半、タイムアップ。これで釣行5日間が終了。今日は、ジャングルパーチとスーティーグランターの入れ食いを、心置きなく楽しめたので満足度は高いが、バラマンディは2人で僅かに4匹。昔はもっと釣れた気がするのだが、その一方で、釣り人の記憶の曖昧さから毎回同じ事を行っているようにも思う。ケアンズに向かう帰路、車中では懸命に釣った魚の数を数える。釣れる度にメモ帳に、日時とポイント、ヒットルアーや周囲の状況などを書いているのだが、入れ食いになった時は、ぐちゃぐちゃの走り書き。後で見直すと、解読がとても難しかったりする。

 午後6時過ぎにテリー宅へ帰着。嫁さんは、ダイビングを楽しみ、マリアさんにピックアップされ一足先に帰宅していた。今宵は、ケアンズの有名レストランのガザリスで外食をする。このために、いつもより早めに納竿して走って帰ってきた。シャワーをさっと浴びて、着替えを済ませて準備を整えた。マリアさんが車庫から車を出す時にアクシデント発生。後部ドアが開いたまま、彼女が車に乗り込みバックしたので、車庫の柱にドアがガツン。凄い音がした割に、ドアと柱にはダメージが少なかったが、これには驚いた。テリーの様子を伺うと、いつもの事だとのリアクション。

 混雑する店内で席を確保し、Tボーンステーキとビールを頼む。過去の経験から、ここでは、魚のフライなどは頼んではダメ。油っぽ過ぎて、胃がもたれ一晩中苦しむことになるから要注意なのだ。お肉に添えられるのはフライドポテトとサラダ。絶対にご飯を食べたいのだが、その気持ちは叶わない。出された料理を食べ終わり一息ついたところで、テリーが何やら後ろでゴソゴソやって荷物を私達の前に差し出した。

 それは何と、嫁さんが3日前にツアーバスの中に置き忘れて行方不明になっていたシマノの黄色いカッパの上着。ツアー会社に問い合わせても、見つからないとの返事にもう半ば諦めていた。「今頃、持ち去った人がチャッカリと着てるよ」などと冗談めかして嫁さんと話をしていたが、結構お気に入りのカッパだけに諦め切れていなかったのも事実。そのカッパが突然、目の前に出て来たからもうビックリ。思わず、涙が溢れてしまうほどのビッグ・サプライズだった。

 カッパは、マリアさんがアチコチに電話を掛けまくり、あらゆるコネクションを駆使して探し出してくれたらしい。私達の帰国に間に合うよう、色んな人の手を煩わせて今ここにある。どうやらテリーの手元に届いたのが、つい先程だったらしい。異国の地で無くした物が、まさか手元に届くとは。私たちは、怪しげな片言の英語で何度も彼らにお礼を伝えた。

釣行5日目(最終日)

   TOSHI TERRY 
 バラマンディ
 マングローブジャック
スーティーグランター  33
 ジャングルパーチ 11
鉄砲魚   
 ターポン  

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