豪州バラマンディ・フィッシング]X
ビラボン・フィッシング

バラ&シャッドラップ 5KB
シャッドラップは必携。SR9が小さく見えるね。

擬似餌の玉手箱>豪州バラマンディ・フィッシング>'08/9遠征


'08/9/24(水)

〜 魚探しの3つの要素 〜


1匹目は鉄砲魚 5KB 午前6時過ぎ、周囲が明るくなってから起床。実は日が昇る前、うっすらと明るくなってきた頃から、様々な鳥達の賑やかな鳴き声で目か覚めていた。昨晩は夜中に樹幹を飛び回る鳥の気配や、テントの周囲をガサガサと動き回る動物の気配を感じつつ寝ていたので熟睡出来なかった気がした。しかし、隣で目を覚ましたテリーに言わせると、私は大イビキをかきながら爆睡していたようだ。夜中に鳥が飛んでいた話を伝えると、正体はメラルーカの花を食べに来た大型コウモリとのこと。またの名をフライング・フォックスと呼ぶそうだ。コウモリの顔はキツネに似ているからこう呼ぶのだろう。地図上にフライング・フォックス・ヒルという地名があり、「豪州にもキツネがいるのか?」と不思議に思っていたのだが、「コウモリのいる丘」を示すことが判り納得した。テントの周囲をガサガサやっていたのは多分ワラビー。ここに住む動物達にとって、私達はよそ者。きっと、一日中様々な所からしっかり観察されているに違いない。

 7時半に釣りを開始。先ずはキャンプサイトの対岸にあるリリーパットをカスタムフロッグ・ポッパーで攻める。前日はここで非常に良いバイトを取っていたのだが沈黙。続いて、トリプルインパクトTP0011をスイレンの丸い葉っぱに引っ掛けないように注意深くラインどりして流す。全く反応がないので水温を測ってみると25℃。朝の冷え込みで水温が下がり、活性が落ちている様子。そこでビーフリーズLB-Fに交換し、トウィッチを試すと鉄砲魚(28cm)が躍り出た。ルアーを沈めれば魚が反応することは判ったが、それでは面白くないのでジッターバグを取り出し、ポコポコと引きまくる。「そんなルアーじゃ釣れないよ〜」ってな顔つきでテリーが私の方を見るが、その視線を無視して引いていると、巨大鉄砲魚がバイト。バラマンディかと思うようなバイトだったのでビックリしたが、反転して逃げていく際にハッキリと魚体が見えた。

テリー&バラ 5KB 鉄砲魚に遊ばれている私を尻目に、テリーはシャッドラップ9を使い始めた。間もなく47cmのバラマンディをキャッチ。「肩慣らし」って感じのサイズだが、小さくてもバラが釣れたことはとても嬉しい。すかさずこの場にアンカーを下ろして、じっくり攻めることにする。5分もしない内に彼が再びバラを手にする。サイズは少しUPした感じだ。このままトップウォーターゲームに拘っていると、釣果に大きな差を付けられそうなので、すかさず私もシャッドラップ9に交換して同サイズを釣り上げた。釣れた場所は日向側にあるストラクチャーがらみのリリーパットエリア。リリーパットがある場所は水深が浅く、しかも日向なので水温が上がりやすいのだろう。

 どんな釣りでも同じなのだが、私は魚がいる場所を探す時に少なくとも「3つの要素」が組み合わさった場所を目安にしている。釣り場や天候、季節、時間などその時々の状況によってこの要素は全く変わるのだが、エリア内で他の場所とは少し違うピンポイントを探し出せれば、楽しい釣りが出来るのだ。今朝のこのポイントは「日向」「ストラクチャー」「リリーパット」という「3つの要素」が組み合わさった所。水温が低下し食いが渋い状況の中で、この内の2つしか要素が揃っていない所ではダメだったのである。単に他と違う場所を探すのではなく、構成している要素を掴み、「どんな組み合わせの場所に魚がいるか」を考えて竿を振っていると、段々と見えてくるものがあるのだ。

〜 ビラボン・フィッシング 〜


レイクフィールド 6KB 今回釣りをしている場所は一般的に「ビラボン」と呼ばれる所。「ビラボン」とはオーストラリア英語だということを今回初めて知ったのだが、いわゆる「三日月湖」とか「残存湖」と呼ばれる本来の河川から取り残された、流れのない大きな水溜りなのである。因みにWikipediaを参照すると、オーストラリア先住民の言葉で"ビラ"は小川を、"ボン"は死を意味するらしい。レイク、ラグーン、ビラボン、ウォーターホール、スワンプなど規模や成り立ちによって様々な呼称があるが、いずれも釣り師の私にとってはワクワクする場所なのである。

 オレンジプレイン・ウォーターホールは私が住む静岡県西部地区の里山にある野池に雰囲気がそっくりなのだが、この場所は雨季になると様相が変わる。地図を見ると河川の周囲には大小様々な野池のようなビラボンがある。乾季に細々と流れる河川が雨により水位が上昇し、これらのビラボンが全て繋がって巨大な河川になって海に流れ込むのだ。水深は30cmから、深い所は10mくらい。水中から立ち木の頭が飛び出ているが、実はその木は大木だったりする。川床は岩盤あり、砂利あり、泥ありと変化に富んでいるのだ。

 外界から閉ざされた空間に住むバラマンディは色が黒っぽく、豊富なエサをたらふく食ってメタボ体型になっているヤツが多い。その肉は油がこってりのっており、料理の際に湯につけるとぶわっと油が浮くほどだ。海水域で育った鰭が黄色味を帯び、体が銀色に輝くソルト系バラと違い、停滞水で育った魚は臭いがあるのでテリーは食べたがらないが、豪州人の殆どがそんなことは気にせず喜んで食べている。キャッチ&イートが当たり前の世界で、私達がやっているようなキャッチ&リリースは極めて少数派。釣った魚を行きかう人たちにプレゼントする、ととても喜ばれるのだ。

 ビラボンでの釣りは、汽水域と違って潮の干満には影響されにくく、エリア外の何処かへ魚が逃げてしまう可能性もない。場所やタイミング、攻め方がヒッタリ合えば、パラダイスを満喫することが出来るハズだ。見慣れないルアーに警戒心を抱かずアグレッシブに躍り出るさまは一度体験すると病み付きになる。一方、欠点は魚が入れ替わらないこと。先行者が叩きまくり、魚を採り尽くせばそのビラボンは終わったも同然。何をやっても魚は沈黙し、成すすべもない。テントを設営したこのビラボンが終わっていない事を祈るのみだ。

〜 巨魚襲来 〜


トシ&バラ 5KB 午前9時、突然私のパームスEDGE-666が激しく引き込まれ、アンタレスARが唸りファイヤーライン25lbが引きずり出された。私はストラクチャーに潜り込まないように懸命に魚を誘導。テリーはバックシートでボートを巧みに操り、私が魚と対峙しやすいようにボートポジションをキープしてくれた。やっとの思いでキャッチしたのが86cmのバラマンディ。シュガーディープの和田スペカラーをバックリと咥えていたが、カルティバのフックST56は見事に伸びていた。実は前日、私はこの近くで巨大魚をバラしていたのだった。ヒットルアーはヘドンのWスウィッシャー、ウーンデットザラUだったが、その時には80cm程度だと思っていた。しかし、今釣った魚よりもシルエットが遥かにデカかった。テリーもアレは90cmオーバーだったに違いないとコメントする。

 5分後に彼がシャッドラップ9で50cmをキャッチ。水深3m、倒木周りを攻めてパッと1匹釣り上げた。シュガーディープに反応がなかったので、これを見てシャッドラップ9に交換。適度なポーズを入れながらトウィッチをすると60cm程のバラマンディがヒット。しかしコイツはフッキングが甘かったようでファイト途中にフックオフ。めげずにキャスト&トウィッチを続ける。2人で倒木近くのピンポイントを攻め立てていたが、倒木の向こう側を攻めていなかったので引っ掛かるのを覚悟しながらキャストをすると、ビックバイト。倒木に巻きつかれ、ブッシュの中に潜られ・・・魚を手にするまでにハラハラ・ドキドキの連続だったが無事に78cmキャッチした。

テリー 5KB 要所要所にルアーを打ち込みながら、タンニンが溶け込み茶色く色づいた水を押し分け最奥部までボートを進める。「どこかにパラダイスがあるんじゃないか!?」と期待に胸を膨らませたが、探訪は不発に終わりティータイムにする。お茶うけはポテトチップスとチョコレート。リフレッシュするには絶妙な組み合わせ。甘くてしょっぱい指をしゃぶりながら、次に使うルアーをチョイスする。私が竿先にぶら下げたのはスゴイスプラッシュ。そしてテリーはフェイクベイツ9cmシンキングのテストモデル。彼が持っているフェイクベイツはスローシンキングなのでストラクチャー周りで使うにはテクニックが必要だが、ケアンズ近郊でバラを何本か釣ったらしい。見せてもらうと、随分酷使したようで塗装がガリガリに剥がれている。このルアーの欠点はリップ強度とのこと。市販品は改善されているのかもしれないが、独特の丸っこい形状をしているリップの付け根に負担が掛かり過ぎポキッと折れるらしい。

 スゴイスプラッシュは不発に終わり、アレコレとルアーを試したがパッとしないのでシャッドラップ9に戻す。すると水中から突き出た立ち木の周辺で45cmと50cmのバラがバタバタと釣れ始めた。テリーもシャッドラップ8でバイト連発。フッキングミスが相次いだが56cmをキャッチ。サイズアップを図るため、今回持ってきたエスドライブを試す。すると明らかにサイズが違うデカバラが突然現れ、ルアーを口の中に吸い込んだ直後に吐き出しUターンして川底へと姿を消した。エスドライブがパックリと飲み込まれるバイトシーンはとても刺激的。しかし、フッキングしないとは・・・この光景を目の当たりにしたテリーは「クレージー・ジャパニーズルア〜」と声を張り上げる。

トシ&バラ 6KB デカバラがいるのは判っているのだが、魚を呼び寄せるのが難しい。スキッタープロップを試すと、爆烈バイトがあったのだがフッキングには至らなかった。魚を掛けたのは、やっぱりテリー。シャッドラップ8にヒットした瞬間からデカバラであることが判り、慎重に対処していたのだが倒木に巻かれて四苦八苦。彼はボートから倒木へと飛び移り、私が不慣れなエレキを使ってボートを倒木の反対側まで回す。何とか魚を引きずり出したかと思いきや、今度はブッシュの中に潜られ再び魚を引き出すために格闘する。数分間の格闘の後に姿を見せたのが89cmのグットサイズ・バラだった。「独りでビックバラを釣るのは難しい。」とテリーが度々言うのだが、今回その意味が良く判った。デカバラを手にするには同船者の協力が不可欠なのである。魚を捕るまで苦労が多いほど喜びは大きく、同船者が協力して魚と対峙すれば更に喜びの度合いが増すのだ。

 相変わらず客人に遠慮なく魚を釣りまくる彼に圧倒されながら、ルアーをアレコレと試す。まだ遠征序盤戦なので、持参した100個のルアーからこのエリアに有効な物を選別していこうと考えたからだ。ケアンズ近郊の釣りでは、ガイドがルアーを見て「使うのはコレとコレとコレ、後はしまっておけ」って感じで、使うルアーを指定されるのだが、フィッシングプレッシャーが低いこの地では自分のやりたい放題。シャッドラップを使えば釣れる事は判っているのだが、他にもバラが反応するルアーがあるハズだと片っ端から投入する。ドカンと出たのがガニッシュ115。サイズは55cmとイマイチの感があったが、これくらいのサイズの魚は非常にアグレッシブ。激しいエラ洗いはあたりまえ。3連発ジャンプをボート際で披露し、楽しませてくれた。

〜 ついに90cmオーバー 〜


テリー&バラ 6KB この1匹でエリア内の活性が高まったようで、ガニッシュ115にビックバイト3連発。3回目のバイトで魚がのったのだが、立ち木に巻かれてフックオフとなった。何とかして1匹釣ろうと強めのトウィッチで大きなスプラッシュを立てて引いていると、ジュボッとルアーが水中に引き込まれてオートフッキング。大きな太軸フックを咥えていたのはオチョボ口の鉄砲魚(25cm)だった。私がトップウォーターで遊んでいる間、バックシートのテリーはシャッドラップSR9SR8を使い確実に魚を手にしている。1つのルアーを使い込み、どんな状況でもコンスタントに魚を釣る姿勢は見習うことが多い。

 気がつけば午後2時半を回っている。魚は釣れるのだが、さすがに腹ペコなのでキャンプサイトへ戻る。フライパンで自家製コンビーフとソーセージに火を通し、食パンにマーガリンとケチャップ、マスタードをたっぷり塗ってサンドウィッチを手早く作り空きっ腹に押し込める。そして休憩も取らず午後の部に向けて体制を整える。私は見てくれだけで役に立たない新顔の国産ルアー達の数々を整理し、テリーは午前中の反省を活かし、タックルをハードなものにチェンジ。ケアンズ近郊とは異なり、明らかに魚のサイズが大きく、ハードなストラクチャーやブッシュが多いため、カルカッタ400とシマノの豪州プロモデル シマノT-CURVE Tourament by Ian Miller を取り出した。

テリー&バラ 4KB 午後4時前にボートを出す。しかし、直ぐに猛烈な雨が降ってきた。慌ててキャンプサイトに戻り、荷物が水浸しにならないように取り繕う。ゲリラ豪雨とも呼べそうな雨が上がり、小雨になったのでボートを出す。ポイントに到着するや否や、再び猛烈な雨が降ってきた。「これはたまらん〜」とキャンプサイトに戻って豪雨をしのぐ。頭上に張ったタープの裾から滝のように雨が流れ落ち、周囲は強い雨脚でる白く煙って見えるほど。こんな雨は長く続かないので、雨雲が通り過ぎるのをじっと待つ。1時間が経過・・・小雨になったので船底にタプタプと溜まった雨水をビルジポンプで強制排水して出船した。

 開始早々に80cmUPのバラを逃す。そして5分後には40〜50cmのバラをシャッドラップ9で2匹連続キャッチ。雨前よりも魚の活性が高まっているのでワクワクしていると、テリーのシャッドラップ9にも爆裂ヒット。明らかにデカバラと思えるトルクフルなファイトに、さすがの彼も翻弄されつつ徐々に間合いを詰める。固唾を飲んで成り行きを見守っていると、今まで見てきた魚よりもワンサイズ以上大きな魚体がボート脇に浮かび上がった。すかさず彼は水中に腕を突っ込み、わき腹を抱えて豪快にランディング。ボートデッキに横たわった魚にメジャーを当てると93cmだった。

〜 雨後の夕マヅメ勝負 〜


トシ&ターポン 5KB 90cmオーバーの興奮も冷めないまま、更なる追加を求めてキャストを続ける。雨により濁りが入り、一時的に活性が高まっているようなので「このタイミングを逃すまい」と集中してキャスト&リトリーブを繰り返す。しかし、反応するのは50cm前後のバラマンディとターポン。私とテリーのシャッドラップに次々と襲い掛かる。ターポンはヒットした直後、華麗にジャンプ。空中演舞と言っても良いほど見事な連続ジャンプに見とれてしまう。この連続バイトで私のシャッドラップ9は尾先から割れてきて、たっぷり水を吸って重くなってきた。

 こうなってくると釣果にも影響しだすので最前線から撤退してもらうことになる。シャッドラップは非常に良く釣れるルアーなのだが、バルサで出来ているため、耐久性においてプラスチックルアーに劣る点が辛いところだ。補修する場合は、十分乾かしてからエポキシ系接着剤を多めに塗って補強しているが、テリーからデンタルフロスを使って補強する方法を聞き今度試してみる気になった。

テリー 5KB リリーパットエリアに場所を移し、夕マヅメのトップウォーターゲームを試す。私はダブルフック仕様にしたジッターバグをスイレンの葉に引っ掛けないように慎重にリトリーブ。鉄砲魚が相次いでバイトするのだがフッキングには至らない。一方、テリーはエバグリのポッパーフロッグでブッシュの中やスイレンが繁茂する場所を果敢に攻める。バラマンディと思われるバイトはあるのだが、フッキングの際にスッポ抜けることを繰り返している。バラマンディの捕食は、噛み付くのではなく吸い込み系の魚なので、フロッグで釣るのは難しいのだ。

 午後6時半に終了。キャンプサイトに戻って驚いた。ワイルドターキーの巣が今朝の倍位の高さになっているのである。様子を伺うと2羽いる。見ていると落ち葉を蹴り上げて巣を作っているのは雄鶏だけ。雌鳥の方は周囲をうろつき回ってエサを探しているだけで巣作りには一切協力していない。寡黙に仕事をしている雄鶏の姿を見ると目頭が熱くなる思いだ。

 水浸しになった発電機が心配されたが、無事に始動。キャンプサイトに明かりが灯り、晩御飯の準備に取り掛かる。今宵は自家製ミートソースを使ったピリ辛のミートスパゲッティー。ジンジャーエールを頂きながら、山盛りのスパゲッティーを平らげ満腹状態。食後は、11月に予定している「ぎじたまSEABASSダービー」を乏しい英語能力で身振り手振りを交えて説明したり、スズキとバラマンディの釣り方や生態の違いについて情報交換をして午後9時半に就寝。

2日目の釣果結果

TOSHI

TERRY

バラマンディ

10

8

鉄砲魚

2


ターポン

1

2



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