オーストラリア国旗 2KB

豪州バラマンディ・フィッシング]Y
バラマンディを探査

テリー&バラ 4KB
今日もヤル気満々の名ガイド:テリー

擬似餌の玉手箱トップ>豪州バラマンディ・フィッシング>'09/9遠征


'09/9/19(土)

〜 釣行2日目のスタート 〜


テリー 5KB 昨夜は疲れて午後9時半にベットイン。朝まで爆睡のハズが、寒さに震えながらストーブを探し回る夢を見て、真夜中に目が覚めた。部屋のエアコンがガンガンに効いており、室温がメチャ下がっていたのだ。犯人はサイモン。テリーは私と同様、エアコンが苦手なのだが、基本的に豪州人は震えるぐらいに冷やすのが好きなのだ。熱帯雨林気候に区分されるこの地で、まさかこんなに寒い思いをするとは思ってもみなかった。ぶるぶると震えながら船外に出て、満天の星空を眺めながら仁王立ちになってオシッコをする。基本的に備え付けのトイレは「大」のみのルールとなっているので、気持ち良く、正々堂々と元気良くさせてもらう。デッキは安全確保のため、ライトで照らしているので船の周辺には無数のベイトが集まっている。時折、バシャッとライズ音も聞こえ、魚っ気満々。エサ付きの針を垂らせば際限なく魚が釣れそうな雰囲気が漂っていた。

 エアコンのスイッチが何処にあるか判らず、体を丸めてシーツに包まってウトウトしていると朝を迎えた。午前6時半に起床。ミルクをタップリ注いだシリアルとトーストを食べてエネルギーを補充。7時半に"ピクー2号艇"に乗り込んで釣行2日目がスタートした。この船は3号艇と同じく中央部に操縦席があるタイプ。しかも一回り小さく、注意を怠るとルアーを激しく操縦席に打ち付ける事になる。ロッドホルダーも装備されているのだが、バカ正直にここへロッドを立てていると惨劇が起きる事を想像するのは難しくない。勿論、大切なロッドはデッキに横たえた。

 先ずは母船ピクーの直ぐ近く、中洲周辺をポッパーで探る。Gスプラッシュ80ポップライダー、ラトル入りのTDポッパーを矢継ぎ早に投入し反応を伺っていると、テリーのTDポッパーSWにクイーンフィッシュ(35cm)が飛び出した。クイーンフィッシュは群れになってベイトに襲い掛かるので、入れ食いモードに突入かと思いきや、単発で終了。サッサと見切りを付けてボートを進める。テリーがアラクンを訪れるのは2度目と聞いている。前回は2年程前の6月とのことなので、随分様子が変わっているハズ。「この広いエリアから、プロのガイドはどうやって魚を見つけるのだろうか?」そんな素朴な疑問の答えを見つけるため、立ち寄って竿を出す場所を脳裏に刻む。

鉄砲魚 5KB マングローブ脇のシャロー・・・見覚えのある景色。テリーが一言、「1時間遅かった」と呟く。彼がイメージしていた水位よりも低く、干潟が随分と露出していた。狙っていた水位は、格子のように張ったマングローブの根が水に浸かっている位の状態。根回りに小魚やエビがつき、それを捕食するプレデター達が集まってくるのだ。私達はまだこのエリアの潮の動きを読み切っていないので、これは仕方がない。それでも周辺には魚がいるハズ。丁寧に探っていると、テリーのロングAに爆裂ヒット。水柱が立ったかと思うと、ラインが一気に横に走ってルアーを振り払って逃げていった。魚の正体はバラクーダ。運が悪いと太いリーダーでもスパッと切ってしまうから要注意の魚なのだ。

 巨大なウグイの様な魚が数匹単位でウロウロと泳いでいる。テリーに名前を聞くとミルクフィッシュ、別名チャノスチャノスだと言う。メーターオーバーに育ち、クイーンフィッシュの2倍ファイトするらしいので、ルアーで釣ったら面白そうな魚なのだが反応しない。どうやら藻類を食べる魚らしいので、釣るのは至難のワザっぽいのだが、魚がいる所へついルアーを投げたくなる。巨大なバラマンディはミルクフィッシュやボラを狙って、中洲の周辺に潜んでいるハズ。それを裏付けるように、ここではテリーが70〜80cmのバラマンディを5匹目撃した。

〜 フライフィッシングの底力 〜


フライ 4KB 良型のバラマンディを何匹目撃しても釣れなきゃダメだろうと、アレコレとルアーを交換しながら気合を入れてトウッチ。するとショアラインシャイナーR50LDに48cmのバラマンディが躍り出た。狙っているのはこのサイズの魚ではないので、使うルアーのボリュームをアップ、リップライザー130に交換。このルアーは海外で使われることをイメージして作られただけあって、ソルト系の太軸フックに交換しても浮力は確保。キャスト直後の一発目、強めのジャークで「ジュボッ」とイイ感じにバブルサウンドを奏でる。しっかりした重量があるため、狙っているピンポイントにズバズバ打ち込めて気持ちが良い。しかし・・・塗装があまりにもチープ。使い始めて間もなく、塗装がはげまくって随分使い込んだようなルアーになってしまった。取りあえず、このルアーでバラクーダ(55cm)を仕留めた後にバラマンディ(50cm)をキャッチ。しかし、ルアーを大きくしてもここではサイズが伸びないので、次のエリアへ移動することにした。

 テリーがヒュンヒュン音を鳴らしながらピンクヘッドの大きめなフライをピンポイントに送り込む。フライラインの動きを横目で見ていると、ピシッとラインが張った。彼はマングローブジャック(30cm)をマングローブの根際から強引に引きずり出してキャッチ。続いて、バラクーダ(45cm)、バラマンディ(66cm)を立て続けに釣り上げる。しかしこれで終わらず、鉄砲魚(30cm)を軽くいなした後に、クロダイ(33cm)を仕留めた。フライであっと言う間に5種目を釣りまくった光景を目の当たりにし、私は思わず「ひょえぇぇぇぇ〜」と声を上げた。まさにフライフィッシングの底力をマザマザと見せ付けられたのだ。キャストからリトリーブ、フックアップ後の魚とのやり取り・・・どれを見ても動作に全く無駄がなかった。

クロダイ 5KB 彼は過去に「本当はルアー釣りよりも、フライの方が好きなんだ。」と私に言ったことがある。日本人客は圧倒的にルアー釣りが多いようだが、ヨーロッパからのお客はフライ専門という人が結構沢山いるらしい。1キャストのために何度も竿を振らなければならないフライフィッシングは、数日間ロッドを振り続けるのはさぞや大変だろうと思うのだが、何処にでもドップリとはまっている人はいるのである。ここ数年、浜名湖ではクロダイ、キビレのポッパーゲームが注目されているが、フライで狙うクロダイ、キビレもきっと楽しいだろう。

 彼の実力を間近で見せ付けられたが、「あんなのがこっちに飛んできて、顔にでも当たったら嫌だなぁ。」なんてつい思ってしまう。昔、トラウト狙いで芦ノ湖へ足を運んでいた頃、湖岸でフライフィッシングをしていた人の耳たぶに、フライがぶら下がっているのを2回目撃しているのだ。そんな矢先、突然、脇腹に衝撃が走った。「ウゲッ」と思わず呻き声が出る。視線を下げるとピンクヘッドのフライが脇腹に刺さっていた。Tシャツの上にフィッシングシャツを着ているのでケガはなかったが、素肌が露出している所だったらさぞや痛かっただろう。「ソーリ〜、ソーリ〜、ヒゲソーリ〜」と何度も繰り返しているテリーに、引きつり笑いをしながら服に刺さったフライを外して渡す。やっぱり心配していることは起きるものである。

〜 昼メシ前の猛ラッシュ 〜


シャローエリア 3KB テリーがフライで豪州魚と格闘している間、私はビーフリーズLB-Fで30cmのマングローブシャックとロングAで35cmの鉄砲魚を1匹ずつキャッチ。どうも本筋から外れてきてしまった感じで波にのれていない。エリアが変わったので気持ちを切り替えるためにガニッシュ115を取り出した。このルアーはサミーの影に隠れてしまって存在感が薄いようだが、知る人ぞ知るブッ飛び系のとても良く釣れるペンシルポッパー。メーカーサイドでは既にカタログ落ちしており生産ストップ状態。メーカーに直接問い合わせると、国内向けの同ルアーは作っていないとのこと。問屋にも在庫はなく、店頭限りの販売となっている。今となっては入手困難となっているのが残念なのだ。使い始めて直ぐに大きな捕食音とともに水面に水柱が立った。トップに出る魚は非常にアグレッシブなのだが、惜しくもフッキングミス。急いでルアーを回収し、再び同じ所に投げ込むとまたしても爆烈バイト。

 偏光グラスで水中を見ると、広いシャローエリアに60cm前後の若いバラマンディが餌を探して数匹まとまってスクールしている。ここのバラマンディとケアンズ近郊のバラマンディの大きな違いは、ストラクチャーから離れた所でルアーに飛び掛ってくること。「どうしてココで出るの!?」ってな感じの、何もないノーストラクチャー、フラット・シャローでルアーに突然ドカンと出るのである。フィッシングプレッシャーの違いなのか、魚の習性が少し違うのかは判らないが、テリーもこの事に気が付いていたようで「トシ、アラクンのバラはちょっと違うな。」と言う。

 テリーが銀色に輝くニューカラーのロングAで60cmのバラを釣ったのを見て、直ぐにガニッシュ115から定番の金黒ロングAに交換。直後に55cmをキャッチした。太陽が真上に上がったところで、バラマンディ達のスイッチが突然入って猛ラッシュの始まり。私がリリースしている最中に、テリーが同サイズをゴボウ抜きする。周囲にはまだバラがウロウロしているのですぐさまルアーを打ち込むと、またしてもバイト。確実にフッキングが決まり、50cmをキャッチ。少しずつサイズダウンしているのが気になるのだが、ルアーをボーンカラーのロングAに交換。1投目で45cmを釣り上げた。このエリアは、この1匹で打ち止め。活性が高まっていた魚を全部釣り切った感じだったので、場所を移動する。

 午後からの釣行の下調べで、マングローブが押し寄せるように茂っているクリークの中を探査する。ここは水の流れが弱いので水質は悪い。マングローブの根際をタイトに狙って魚の反応を伺うが、ルアーを追いかける姿は皆無だった。狭いクリークなのでUターン出来ずにバックする。レバーをリバースに入れたとたんにギアボックスから「ガガガガガッ」と異音が鳴り響き、エンジンがノッキングした。少々強引に前・後にレバーを入れなおしながらUターン完了。幸い、前進するのは問題ないようで、無事にクリークから脱出。干潟に舞い降りた大きな足の長い鳥ジャバルーを横目で見ながら、エンジンが不調にもかかわらず要所要所で竿を振ってチェックして母船ピクーに船首を向ける。

〜 バラマンディの不思議な特性 〜


昼食 4KB 午後1時過ぎ、途中でエンジンが壊れることもなく帰還。サイモンが用意してくれていたバラマンディを使ったフィッシュ・サンドウィッチをパクつく。バラマンディは白身の魚でクセがないので様々な料理に使える。バラマンディがどんな魚なのか知らない日本人は多いが、ナイルパーチとともに外食産業ではよく使われているようなので、知らず知らずのうちに日本人の胃袋に収まっているハズなのだ。日本にいる時の昼食はいつも、かけうどん1杯だけなのだが、ここではとても腹が空く。食欲旺盛な自分に驚きつつもサンドウィッチだけでは足りず、ホットケーキを焼いてもらう。これに蜂蜜をたっぷりかけて焼きたての味を堪能した。

 夕食用にキープしたバラマンディをサイモンが手際よくさばき始めた。硬くて大きな鱗をザクザクとそぎ落とした後に、背鰭にそって包丁を入れ、硬い背骨を感じながら3枚におろす。バラマンディの外見からは、雄なのか雌なのか判らないが体長からは雄だと思われた。念のために内臓を確認すると、予想どおり雄だった。バラマンディは雄として先に成熟し、更に大きくなると性転換して雌に変わる"雄性先熟"という不思議な特性を持つ。成熟した大きな個体の方が卵を沢山産めるので、より多くの子孫を残すことが可能となるのだ。長い進化の過程でこのような生態を持ったのだが、「大きくなると雌になる」ということは、逆に考えると「年数を経て大きく育たないと雌になれない」ということなのだ。生存競争が厳しい自然界では、生き残る個体数が年々減少するためこの生態は不利に働く場面も多いだろう。

 近年は地球温暖化の影響を受けてなのか、劇的に気象が変化しており、豪州では雨が全く降らない状況が長く続いたりしている。塩分に対して幅広い適応性を持ち、淡水域と海水域を行き来するこの魚でも、確実に影響が出ているハズだ。大きくなる前に生息域の環境が壊れ、雌がいなくなってしまったら、世代交代が出来ないのは誰でも判ることだろう。なお、クイーンズランド州のレギュレーションにおいて、キープできるバラマンディはカーペンタリア湾で60〜120cm。120cmを超える魚は、大きく育つ優良な遺伝子を持っているので、釣ったら生きたまま即座にリリスースしなければならない。

サイモン 5KB この2日間で釣ったバラマンディは若い雄ばかりに違いない。私達はメーターオーバーのビックママを狙っているのだが、どうにもその気配は感じられない。どうやら手が届かないソルトエリアの何処かに行ってしまっているようだ。それにしても、一生のうちに男と女を体験出来るなんて、とても羨ましく思うのは私だけだろうか・・・。

 因みに、さばいたバラマンディの胃袋の中は空っぽ。きれいな白い切り身はラップに包んで冷蔵庫へ。大きな頭などはマッドクラブの餌として活用。他の部分は水底に潜んでいるジャイアント・グルーパー(タマカイ)のためにデッキから放り投げる。母船の下には様々な魚が集まってくるのだが、時として軽くメーターを超すような巨大なグルーパーが水面まで上昇し、魚のアラを食べる光景を見ることが出来るらしい。この魚、実は、体長は3m近く、体重は400kgを超えるクイーンズランドを代表する巨魚であることを後日知った。テリーがフライロッドを持ち出し、キャストを始めると直ぐにナマズをキャッチ。延々とナマズが釣れ続けそうなので、適当に切り上げて午後の部の準備に取り掛かった。

〜 午後の部のスタート 〜


カニ網投入 5KB 午後2時、バラマンディの頭やクイーンフィッシュ、トレバリーのアラを縛り付けたカニ籠2つを"ピクー2号艇"に乗せ出船。満腹状態で心地よい揺れ具合・・・湾口を目指して走り出して直ぐに睡魔が襲ってきた。ウトウトしながらとても心地よい時間を過ごす。30分程、走った所で魚探を使ってボトムの状況を確認し、良さそうな場所でカニ籠を投入した。更にボートを進め河口に到着。岸際に横たわっている大きなワニを遠目で観察しながら、リップライザー130を投げ始めた。まもなく45cmのマゴチがガッチリとルアーを咥えて水面に姿を現した。

 更なる追加を求めてキャストを続けていると、海との境辺りに鳥山を発見。鳥達は何度も水面に突っ込んでベイトを漁っている。ベイトの群れを散らさないようにボートを走らせて近づくと、数多くのクイーンフィッシュがベイトを追い掛け回していた。テリーはすかさずスピニングタックルを取り出し、銀色に輝くメタルジグを投げた。着水と同時に爆裂ヒット。ギュンギュンとロッドを曲げた魚は35cmのクイーンフィッシュ。彼にとって、このサイズは感動も何もないようで、パッと釣り上げて、サッとリリース。即座にキャストを再開して更に1匹・・・そして、更にもう1匹追加した。テリーは、あっと言う間に3匹のクイーンフィッシュを手にしたが、こちらはフルキャストしてファストリトリーブしていたアマゾンジャークに1バイトあったのみ。スピニングリールの巻きスピードとメタルジグの威力には、完全に歯が立たなかった。彼からメタルジグを借りて、ブン投げたがリトリーブスピードが合っていないのか、私の竿は曲がることがないまま、魚達は何処かに消えうせてしまった。

バラマンディ 5KB 午後からは風が強まり、正確なキャストが難しくなってきていた。風に負けずシャローエリアのガーターを攻略するために、今回初めて豪州へ持参したのがUZUのシンキングペンシル ブゥビィチンパン。このルアーは浮きすぎず、潜りすぎず、流れに身をゆだねてヨロヨロと泳ぐ。「ガーターに沿って泳ぐ無警戒なベイトを演出すれば、バラマンディなんて一発だなぁ」と思いつつ、価格のことはさておいて某釣具店の店頭でガッとまとめて掴んで大人買い。このルアーを見て渋い顔をするテリーを横目で見ながらキャストを繰り返す。「なんで日本人は、リップのないルアーが好きなんだ?」という質問を何回か受けたことがある。その度に「投げて巻くだけで、魚が簡単に釣れるからさ〜。」と答えるのだが、未だ彼の前でリップレスミノーを使って魚を釣り上げたことがないので説得力はない。今回もワンバイトもなく、寂しくボックスの中にルアーを戻した。

 湾口のサーフにボートを寄せて陸っぱりをする。ビックママは海にいるだろうと予想を立てて、小川が流れ込むエリアを旧タイドミノースリムSRで探る。「絶対ここにいるハズ」って感じの場所なのだが、強い日差しの下では水底に身を沈めじっとしているのかもしれない。一通り打ち終わり、2人ともうな垂れながらボートに戻り、再び魚探しでラン&ガンを繰り替えする。テリーがロングAで50cmのバラマンディをキャッチ。すかさず同じポイントにタイドミノーLD打ち込む。直ぐに反応があり、バラマンディがバックリとルアーを咥えた。しかし、何故かフッキングミス。ガックリしている間もなく、即座にルアーを打ち直しトウィッチをする。そして直後にバイト。しかし、またしても魚をバラす。「トシ! なにやってんだ」とバックシートからテリーに鋭い突っ込みを入れられる。3度目の正直、魚はまだいるようなので同じ場所にルアーを打ち込むと、50cmのバラマンディが躍り出た。「やっと釣れたよぉ〜」と思わず日本語が口からこぼれ出た。

〜 ハッピークリーク発見 〜


バラ&X80SW 5KB このポイントではタイドミノーLDでナマズを追加して打ち止め。午前中に反応が良かったポイントにボートを走らせ、アンカーを打って様子を伺う。テリーの操るリーズルアーに1バイトあったのみ。この間、私は2フックにしたビジョン110ハイフロートLV300ダイビングペッパーを投入。残念ながらカスリもせず、これらのルアーはボックスの奥深くへ仕舞い込んだ。日本だったらお祭りの時のリンゴ飴に使うような豪州産の貧弱で小さなリンゴをかじりながら、プリントアウトしたGoogle Earthの衛星写真を見てポイントを探す。遠征2日目なのであせる必要はない。地形の変化を確認しながら、目に付くクリーク、流入河川を順次チェックすることにした。

 怪しげなクリークに入った直後、交換したばかりのロングAで60cmのバラマンディをキャッチ。リリース直後の1投目で再びバラマンディを追加。あっさりと2匹のバラマンディを釣ったロングAをマジマジと見つめる私に、テリーからは「今まで使っていたルアーは全部捨てろ」と声が掛かる。それぐらいこのルアーの集魚力は凄いのだが、投げて巻く事しか知らない一般的な豪州人は、その凄さを体感せずに終わってしまう。これは日本でも豪州でも同じ。先人達から評価が高いルアーは、どれも高い戦闘力を持っているのだが、その力を引き出すためのテクニックが必要。ジャークだとか、トウィッチだとか、言葉による説明では到底理解出来ないため、やはりトッププロの使い方を目の前で見てワザを盗むのが一番良いと思う。

 更なる追加を求めてキャストをすると、今度は35cmの鉄砲魚を2連発。X-80SWを使い始めたテリーが、「ここには沢山の魚がいるぞ、ハッピークリークだ」と言い始めた。確かに彼のX-80SWにバラマンディが何度もアタックしている様子。このエリアには魚がいるので暫く粘ってみると、彼は直ぐに61cmのバラマンディをキャッチ。X-80SWは丸飲みされており、魚は食いっ気タップリだった。続いて彼はリリース直後に鉄砲魚を追加。ルアーをロングAに交換し再びバラマンディを釣り上げた。一方、私はガニッシュ115を使い、アップテンポでポッピングをして57cmをキャッチ。

 トップに反応する魚がいたので、2人してトップウォータールアーを投げまくり。夕マヅメのプライムタイムをシャカリキになってポッピングする。私が使うのはガニッシュ115とピンクヘッドのアマゾンジャーク。一方、テリーはワゴンセールで購入したらしい中国製の怪しげなソルト系ポッパー。往年のラッキー13ぐらいのサイズで、ヘッドはお椀状の丸いカップが掘られているだけのポッパー。塗装はいかにもチープって感じ。しかし・・・結構イイ音をするのである。「これからが勝負!!」ってところで、午後6時を回りタイムアウト。

〜 ネイティブ英会話 〜


テリー&サイモン 6KB サイモンが待つ母船ピクーに向けて、スロットル全開でボートを走らす。先ずは首を長くして私達を待っていた彼に釣果を報告。そして、缶ビールを開けてカンパイする。おつまみは、税関での没収覚悟で私が持参した"燻製さきイカ"と"黒糖ミルク煎餅"。これらは豪州人2人にも大好評で、彼らも度々手を伸ばす。異国の地で、ジャパニーズ・テイストのおつまみを食べながら異国のビールを飲むのは、なかなかオツなのであった。

 夕暮れの中、心地よい風を感じながら、缶ビールを片手に歓談を続ける。しかし、私には、彼らネイティブが話している会話を1割も理解出来ない。遠征前の準備として、毎日洋画を観たり、通勤で英会話のCDを聞いたりしていたのだが、彼らの会話のスピードに付いていけず、言葉を聞き取れなかったりする。普段、テリーとは会話が出来るのだが、彼はしゃべる時にわざわざ日本人が理解できるようにスピードを落とし、発音をジャパニーズ・イングリッシュに変えてくれているのである。日本人が日本語を話す外国人のまねをする際、変なアクセントで片言の日本語を話すが、まさしく彼はそれをやってくれているのだ。

夕食 5KB サイモンとの会話がうまく出来ないのをもどかしく思いつつも、なるべく会話に入り込む。船には僅か3人しかおらず、これから1人ずっと黙っている訳にはいかない。日本と豪州の政治や経済について口角沫を飛ばして議論する訳ではないので、バカ話をするには中学生レベルの英語で十分・・・それぐらい開き直って話をすれば良いのである。相手だって、日本人がハナから英語を流暢に話せるなんて思っていないので、ヘタクソでも怒られることはないのである。そもそも、高いお金を払って雇っているのだから、こちらの方が立場は上なのだ。「英語が出来ないから」と理由をつけて海外遠征をためらっている人がいれば、是非一度、思い切ってチャレンジすることを強くお勧めする。幸い、ルアー・フィッシングは使う用語が英単語ばかりなので、釣りをやっている最中は全く困らない事に気が付くだろう。

 夕食は私達が釣ったバラマンディのムニエルとマッシュポテト、春巻きとOZビーフの串焼き。ご飯とおかずと味噌汁の3点セツトである日本型の食事とは大きく違い、1つの皿に色んな物がのって出てくる。使う食器が少ないという事は、考えれば洗い物が少なくて非常に経済的。真水が大切な船上生活では、とても大切なことである。因みに、飲み物はビールか炭酸飲料もしくはオレンジジュース。日本人としては、やっぱり味噌汁、日本茶そして白いご飯が恋しいのである。

2日目の釣果結果

TOSHI

TERRY

バラマンディ

9

6

バラクーダ

1

1

マングローブジャック

1

1

鉄砲魚

3

2

クイーンフィッシュ


4

ナマズ

1


クロダイ


1

マゴチ

1




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