バラマンディ・フィッシング][
爆裂!! バラマンディ

ジェフ 5KB
ブルースウィリス似のお茶目なジェフ
頭上の青いお飾りは、体を洗うナイロンタオル


擬似餌の玉手箱>豪州バラマンディ・フィッシング>'11/9遠征


'11/9/19(月)

〜 周囲に響く怪音 〜

朝食 5KB 昨晩は、夜中にちょくちょく目が覚めた。寝る前に大量の水分を摂取したため、度々オシッコに行ったり、窓を開けていたら野火の煙が室内に入ってきて煙たかったりと熟睡できなかった感じ。午前5時過ぎにはパッチリと目が覚めていたが、皆さんの迷惑にならないよう静かにじっとしていた。朝日が昇ってからゴソゴソと起き出し、釣行の準備を始める。

 朝食はベーコン・エッグ・トーストとフレーバーティーにアップルジュース。朝食においてカリカリに焼いたベーコン、甘酸っぱい焼きトマトと半熟タマゴのコンビネーションは、最強なのである。そして、これに私のお気に入りの100%果汁のアップルジュースが加わる。朝食だけで幸せな気分に浸ってしまった。ハードな釣行に備えて朝食はガッツリと食べておかないと、途中でエネルギー切れで船上で立っていられなくなってしまうので要注意。暑い中で延々と竿を振り続ける運動は、相当なカロリーを消費しているのだ。

シャローエリア 3KB 食後はしっかりとトイレで一仕事をして準備万端整える。毎度、遠征3日目くらいから、竿を振っている最中にオナラが頻繁に出るようになるから不思議。渡豪すると日本の食生活とはガラリと変わる。毎日ヨーグルトやヤクルトを摂っているのだが、これがパタリとストップするため、腸内環境が一気に変化するようだ。おまけに食べる時に大量の空気を一緒に飲み込んでしまうシリアルの朝食や釣行中の炭酸飲料ガブ飲みも、オナラが出る大きな要因の1つに違いない。臭いオナラではなく、悪い物を食べてお腹が痛いワケではないので、出したくなった時は我慢せず、気持ちよく放屁をする事にしている。

 午前8時少し前に出船。朝イチは母船ピクー前のシャローエリアでクイーンフィッシュやGTを狙う。朝、夕のマヅメ時には、ベイトを追いかけてガバガバやっているのが見えるため、どうしても竿を振っておかないと気が済まないのである。今日はスケベ心を出して、タックルにテリーから借りたGルーミス・マホガニーCB756ステラ3000を追加する。クイーンフィッシュやGTを狙うためには、ポッパーやメタルジグのロングキャスト&早巻きが有利。このエリアでは、迷わずスピニングタックルを握り締めた。ルアーはポップクイーンから。水面を逃げ惑うベイトを演出しながら、早めのリトリーブで様子を伺ったが不発。続いてZBLシステムミノー139Fビジョン110SW Hiも使ってみたがワンチャンスもなかった。周囲に響くのは、ボイルや捕食音ではなく、大きなオナラの音だけだった。

〜 怪我に注意 〜


シゲ 4KB マングローブ林のエリアに移動し、前日と同様にロングAでバラマンディを探す。バラマンディはストラクチャーから離れてベイトを探してスクールしているハズなので、ボート間際まで気を抜かないように注意深くリトリーブする。テリーはシゲさんのキャスティングフォームを確認しながら、巧みな操船でボートポジションをキープ。本日の一発目、大きなオナラの音と共にヒットしたのはシゲさん。63cmのバラマンディをキャッチした。続いてヒットしたのは船首で竿を振っていた私。姿は見えなかったが、ボートとマングローブ林の中間点でルアーに食らいつき、猛烈な勢いでマングローブに向って突っ走った。テリーが「ビックワン!!」と声を上げる。しかし、この突進に私は全く対応できず、ラインがバンッと大きな音を立ててブレイク。もちろん、当り針のロングAは魚が咥えたまま。ルアーが口から外れることを祈るしかない。

 素早くラインシステムを組み直しキャストを再開すると、またしてもシゲさんの竿が曲がる。私よりも遥かに魚を掛ける事が上手いので、二人を足して2で割れば、一人前のバラマンディ釣師になるのではないかと真面目に思う。この魚もマングローブ林の複雑に絡み合った根の中に逃げ込む。ここからは魚との綱引き。シゲさんがラインを引っ張ると、随分と右奥の方で魚が暴れる。徐々に魚を手繰り寄せていると、反対の左奥で魚が暴れ激しいラトル音がした。それは私がロストしたロングAのラトル音。マングローブの中でルアーを外そうと、バラマンディがエラ洗いをしているようだ。

バラとの格闘 5KB テリーは水中に両腕を突っ込みながら、根に絡まったラインをほどき72cmを引きずり出してキャッチ。彼はこの時にバラマンディのエラで指を切っていた。ボートデッキに血が飛び散っているので、魚のエラから出血していのかと思いきや、出血元は彼の指。少しばかりの怪我をしても動じないテリーだが、悪態をついているので傷口を見せてもらうと、随分深くパックリと切れている。私自身、何度も豪州魚には痛い思いをさせられている。何年も前にバラマンディのエラで切った時の傷跡が未だに消えずに残っている。魚を釣り上げてからリリースするまでの間は、怪我に注意し極力魚には触れないようにしているのだ。

 テリーには、いつも持ち歩いているジョンソン&ジョンソンの画期的な絆創膏バンドエイドを提供する。今までのケガの治し方とは全く異なる発想で、かさぶたを作らず早く治すというこの商品はすばらしい。この絆創膏は優れた防水性があり、数日間貼りっ放しでキズがきれいに治るのでとても有難いのだ。釣り人に必要なアイテムの1つだろう。因みに、何気なく使っているバンドエイドという呼称は、同社の登録商標。商品名が一般名詞のように使われているという事は、とても凄い事なのである。そんな商品が、日本から、そして"物づくり日本一"を目指している静岡県から数多く生まれる事を期待したい。

〜 樹の上に魚はいないぞ 〜


ロングA 5KB その後、私のロングに70cm前後と思われるバラマンディのバイトがあった。確実にフッキングしたかに思われたのだが、瞬間的な魚のパワーに負けてルアーを外された。バラした理由を硬い竿のせいにしたいのだが、客観的に見るとやはり私は魚とのやり取りが呆れるほどヘタクソなのである。回収したルアーを見ると太軸フックはのばされ、リングとフックハンガーと捻じれている。おまけに尾部にはクラックが入っていたので、このゴールドボーマーはリタイヤ。次から次にルアーを失うので、アラクン釣行にはそれなりの数を持参する必要がある。

  午前10時、キープした魚をアボリジニ達へのプレゼントにするため母船ピクーに戻る。アボリジニ達はパーティーをする時に、地面に穴を掘って食材を敷き詰め、焼けた石を入れて蒸し焼きにして食べている。デカイ魚をそのまま使うような、なんとも豪快な料理だがきっと旨いだろう。私達はアボリジニの土地に足を踏み入れさせ貰っている身なので、釣れた魚を提供するなどして上手にお付き合いしなければならない。

バラマンディ 3KB ジェフに釣ったバラマンディを託して、再び延々と続くマングローブ林の根際打ちをスタート。シゲさんのキャストが乱れまくって、テリーから「樹の上に魚はいないぞ」と冷やかされる。ストラクチャーのギリギリにルアーを打ち込む正確なキャストをするには、幾つかのポイントがある。1. ポイントに対して、しっかり正面を向くこと。2. 両手を使うとキャストがブレやすいので、シングルハンドのオーバーヘッドキャストで。3. 脇を閉め、ひじを固定してリールを押し出すような感じで力強くキャスト。4. 飛んでゆくルアーを良く見て、マングローブの中に打ち込みそうになったら、すかさずサミングしてラインをストップ。

樹上のルアー 6KB いくら元気の良い魚がいるアラクンでも、絶対に樹の上に魚はいないので、ルアーは水中にキャストするのが大前提。使うタックルは、もちろんベイトがお勧めであり、ラインは視認性が高い色付きの物が良い。山なりのユルユル・キャストは距離が掴めなかったり、横風で煽られたりとメリットはなく、ポイントに狙いを定めてバシッと思い切り打ち込むようなキャストをすればミスも少ないのだ。

 オーバーハング下にバラマンディが潜んでいるのを発見。先ずは私のシャッドラップ940cm50cmが飛び出した。続いて、テリーがシャッドラップ8を使って7分間で45cm前後を4連発。スイッチが入ると、ゲストに対して遠慮という事を全くしない凄腕のガイドなのである。倒木がある場所には、まるで水族館のように様々な小魚が泳いでいた。こんな所には必ず付近にプレデターがいる。周囲をうろつくバラクーダを釣らないように気をつけながら、ロングAを打ち込むとクイーンフィッシュ(50cm)が躍り出た。更に追加を狙って、倒木に絡みつくようにシャッドラップ9を泳がせていると、55cmのバラマンディが水底から姿を現してルアーを吸い込んだ。

〜 昼食時はワニに注意 〜


バラ用ルアー 5KB 塩分濃度が高く水色がクリアなエリアは、魚の反応がないため、アーチャーリバーを遡る。途中、80cmUPクラスのミルクフィッシュの群れを何度も目撃。この魚は岩に付くウィードを食べるような魚なので、投げたルアーには全く反応しない。フライだったら釣れるらしいが、その術を私達は持っていない。暫くボートを進めて倒木の沈むエリアに到着。ここでは私がテリーから借りたクラシックバラ+15、シゲさんがリバーラット+12を使う。クラシックバラ+15は引き抵抗があり、結構疲れるので余り好きな釣りではない。ハイギアであるアンタレスDC7の弱点がモロに出るのだ。この苦手意識が、後に同船者と釣果に大きく差がつくことになる・・・。

シゲ&バラ 5KB 太陽は頭の真上に位置しクソ暑い。強い日差しが恨めしくなるほど、全く魚からの反応がない。気分転換にWペラのウーンデッドザラUを引き回していると、なんの前触れもなくシゲさんのリバーラットにドカンと出た。サイズは64cm。暑さでボォ〜としてきたところでの、この1匹は刺激的だった。続いて、テリーの竿が曲がる。しかし、次の瞬間、魚が水面を突き破り、ボートまで飛んできた。6インチもある大きなバラベイトで釣れたバラマンディのサイズは僅か25cm。テリーは「このルアーで釣れた最小の魚だ」と言いながら照れ笑い。

テリー&トシ 6KB 午後1時、コツリともアタリがない。強い日差しの下、流れがピタッと止まっており、全く魚の動く気配がないのだ。粘っても無理っぽかったので、岸際にボートを寄せてランチにする。ボートを覆うことが出来る日陰のある場所は限られており、私達が一休みをしたのはつい先程まで狙っていたポイントの真上だった。水中に沈む倒木の枝張りを確認しながら、ベーコン・エッグ・トマト・サンドウィッチをパクつく。

 少ししてテリーから、座る場所を岸側に移動するよう促された。理由は・・・川側に長い時間座っていると、後ろからワニがやってきてパックリとやられる危険があるから。元来、臆病なワニだが捕食モードに入っている時は、極めて慎重かつ大胆な行動をするのである。水の上にあるエサにも勢い良く飛び掛ることも出来るのだ。昼食を摂っている最中に、自分がエサになるのはマジに勘弁して欲しいので直ぐにポジションを変える。


〜 「フィッシングプレッシャー」って!? 〜


リリーパッドエリア 5KB 30分程休憩してから午後の部をスタート。ボートを少し上流に向けて走らせ、リリーパッド・エリアを狙う。ハスの下にバラマンディの姿が見えたので、一気にテンションアップ。トリプルインパクトTP-0012を取り出し、ハスに引っ掛けないようにリトリーブコースを考えてキャスト。ゆっくり引いてくると狙いどおりにヒット。しかし、この大きなルアーを咥えたのは、狙っていたバラマンディではなく30cmの鉄砲魚だった。日陰になっているリリーパッドの下にステイしているのはバラマンディだけではない事が判ったが、なにも鉄砲魚が大柄なトリプルインパクトに出なくても良いのに。ガッカリしていると船尾で竿を振っていたテリーが声を上げた。彼のロングAをバックリと咥え、魚がハスの中を散々走り回っている。大きな草団子になって船べりに上がってきた魚は、バラマンディ(45cm)だった。

 潮が切り替わり、下流から上流へと流れが動き始めた。ボートを下流に向け走らせ、先程まで竿を振っていた倒木エリアに戻る。海水が入ってくる事により魚の活性が高まるハズなので、期待が大きい。風向きと潮の流れを考慮し、静かにアンカーを降ろしボートボジションをキープする。開始後数分、竿が激しく曲がったのはテリー。サイズはかなり良いようで、いつも以上に慎重に魚とやり取りをしている。ゆっくりと浮いてきた魚は、朝から見ていた魚のサイズとは明らかに違う。ボート際で最後に一暴れしたバラマンディは堂々の81cm。ヒットルアーはバラベイト。時合を待って、まさに狙って獲った魚だった。

テリー&シゲ 6KB テリーが魚を掛けたと同時に、私のZBLシステムミノー11Fにもルアーを引っ手繰るような激しいバイトがあったが、一瞬にしてフックオフ。即座にルアーを回収し、フックの具合を確認して同じポイントに再キャスト。すると狙いどおりにガツンと出た。ポイントを荒らさないようにと、少々強引にストラクチャーから魚を引きずり出す。オーシャングリップでガッチリ掴んだのは66cm。この2分後、またしてもテリーの竿が曲がった。彼は危なげなく74cmをキャッチ。

 彼がリリースをしている様子を横目で見ながら、トウィッチ&ポーズをしていると再び私のZBLシステムミノー11Fにヒット。しかし、残念ながらまたしてもフックオフ。上げ潮が効き、川の流れが反転。魚の活性が高まり次々とルアーに襲い掛かる。この場所は、つい先程までボートを停泊させ、ランチを食べた後、3人がオシッコした所なのである。釣り人が釣れない時の言い訳に良く使う「フィッシングプレッシャー」という言葉が頭をよぎるが、全エリア貸切のアラクンでは全く関係ないようだ。

〜 補充可能な定番商品 〜


シゲ&テリー 5KB 食後再スタートして、小1時間が経過。私のZBLシステムミノー11Fへの反応がパタリと止まったのを境に、それまで沈黙していたシゲさんのエンジンが掛かった。釣れない時もフックアウトした時も、グチらず文句も言わず黙々と竿を振り続ける秋田県人の粘り強さがついに爆発。リバーラット60cmをキャッチしたのをスタートに、彼の猛ラッシュが始まった。リリースして直ぐに73cmを追加し、続いて5分も経たない内に60cmをストラクチャーから引き抜いた。明らかに魚が沈んだようで、私のZBLシステムミノー11Fでは攻められる水深が浅い様子。すかさずテリーはルアーをシンキングタイプのシーウォッチャーに交換。キャスト後、ゆっくりと沈めてからトウィッチすると73cmが躍り出た。

 アタリが途絶えていた私にテリーが差し出してくれたのが、このシーウォッチャー。遠慮なくお借りして、彼のアドバイスどおりキャスト後にじっくり沈めてトウィッチをするとドカンと出た。70cmの壁を中々越えられなかったのだが、どうにか73cmをキャッチすることが出来た。やはりガイドの言うことは、素直に聞くべきなのである。ハンドメイドであるシーウォッチャーは既に生産中止になっているため、ロストする前にテリーに返す。バラマンディ攻略用として評価の高いルアーなのだが、入手困難な状況になってしまったのは本当に残念だ。ハンドメイドルアーの欠点は安定供給がされないこと。元々生産数が少なく、金額はグッと高め。しかも作る人がいなくなってしまうと、パタリと供給が止まってしまう。消耗が激しい釣りでは、価格が手頃でいつでも補充可能な定番商品が絶対に必要なのだ。

バラ&トシ 5KB 通常、遠征では殆どシンキングタイプのルアーを使わないので、"お守り"程度しか持ってきていないが、ボックスの中からいくつか選んで様子を伺ってみる。バラマンディが反応したのはアスリートS12。根掛かり覚悟で倒木近くに打ち込み、じっくり沈めてからトウィッチすると一発で69cmがルアーを咥えた。リリース後、ルアーをチェックするとフックがアチコチ伸び状態。横着してノーマルフックのまま使ったのが原因だが、もう少し魚が大きかったら多分獲れなかっただろう。直ぐにフックを太軸の物に交換し、大物に備える。

 アスリートは長い間、釣り人から愛され続け定番になっているルアー。時代の流れでスリムモデルも発売されているが、魚を引き寄せる力はボリュームのある従来モデルの方が上だろう。ロストしても今のところは自宅近くの釣具店で補充が出来るので有難い。最近では、アジア諸国から安くて質が高くて、しかも良く釣れるルアーが輸出されるようになってきた。多分、ここ数年の内に、釣具店の品揃えが大きく変わるに違いない。アスリートのような優れた商品が店頭から消えてしまわないよう、釣り人がしっかりと"買い支える"事も大切だと思う。


〜 永遠の定番ラパラCD 〜


シゲさん連発 5KB 70cm前後が連発していたのも束の間。いつの間にか魚の反応がなくなった。海水が上流へ差し込んで行くのに合わせて、バラマンディも上流に上がったかもしれない。アンカーを上げて少し上流へ移動し、ストラクチャー周りを探ってみた。ここではテリーがバラベイト65cmを追加したのだが、3人で暫くの間、キャストを続けても反応がない。どうやら読みが外れた感じ。魚は上に移動したのではなく、一時的に活性が下がったものと考え、先程まで良型が連発したポイントに戻ってきた。

午後4時、アスリートS12リバーラットバラベイトに反応がないため、アレコレとルアーを試し始めていた時に、シゲさんが「沈むルアーは、ラパラカウントダウンくらいしか持ってなんですよねぇ。」と言いながら、ボックスの中をゴソゴソやっている。私とテリーが口々に、「カウントダウン、持って来ているの?」「カウントダウンがベストだ」「カウントダウンなら絶対釣れるよ」とカウントダウンを使うように勧める。

 シゲさんがCD9をキャストすること2回、私達の予想どおりバラマンディがルアーを咥えた。激しくファイトした73cmをスタートに、シゲさんのCD9に次々とバラマンディが襲い掛かる。魔法を使っているかのように、立て続けに62cm50cm70cmを釣り上げた。昨日同様、ボート上に漂っていた"夕マヅメに釣れない"という嫌な雰囲気を、このラパラCDは一気に吹き飛ばした。遠征に持ってくるボックスの中からラパラCDが姿を消して久しいが、やはり釣れるルアーであり、永遠の定番ルアーなのである。重心移動システムもなく、3Dの洒落たアイや派手なカラーを身にまとっている訳でもない。何が他のルアーと違うのか、魚に聞かないと判らないが、カウントダウンの実力を思い知らされた。

 シゲさんはテリーと同様、ヒットした魚を高い確率でキャッチしている。一方でバラしまくる私と何が違うのか・・・もちろん腕の差もあるかもしれないが、聞いてみると「メインに使っている竿のアイアンホークは見た目よりも柔らかで、魚を弾かない」と言う。私が使うパームスは確かにガチガチに硬い竿。本来は重量のあるラバージグを扱う竿なのだから仕方がない。使う竿は今更どうしようもないので観念。シゲさんが連発する間、私も当り針を探そうとアレコレ試す。コレはどうかと試しに投入したのがレンジバイブ80ES。ストラクチャーに対しラバージグを落とし込むような感じで、ルアーをアンダーハンドでキャストしフリーフォール。頃合を見計らってシャクリながら巻き上げるとガツンときた。この魚はいきなり走ってストラクチャーに潜り込み、ルアーを枝に絡みつけフックを外して逃げていった。

〜 バイブレーション・マジック 〜


レンジバイブ 3KB 水中の倒木に引っ掛かったレンジバイブ80ESをどうにか回収。魚は逃したが、この釣り方で魚が反応するのが判ったので、今度は自信を持って大胆に使う。先程よりも倒木ギリギリにルアーをキャストし落とし込む。ボトムに着底してからシャクリ始めると根掛かり。ある程度の覚悟はしていたが、「うわっ、引っ掛けた〜」と思わず声が出る。しかし・・・実はこれ、根掛かりではなかった。竿を煽っていたら突然ラインが走り、アンタレスDC7からラインが勢い良く引きずり出された。こんな時にスプールを親指で押さえると火傷をするのでグッと我慢。船尾では、テリーが「ビック・ワンだ!!」と声を上げる。

 過去にも経験があるのだが、大きなバラマンディは目の前に来たルアーを吸い込んだ後に反転せずその場にステイしている。根掛かりだと思って引っ張ると突然泳ぎだして、一気に走り出す。今回もそのパターン。走り出した魚は止められず、竿を持っていかれないようにしっかりと握り締める。ポンピングで引き寄せようにも、魚の方がパワフルでドラグが滑ってラインが出るばかり。そして、ついにはフックオフ。レンジバイブ80ESを回収し、フックを確認すると2本とも見事に伸ばされていた。

マスクバイブ 5KB フックを交換し、再びキャスト&リトリーブを始めると直ぐにヒット。この魚は60cm程だったので、リラックスして引き寄せる。しかし、ボート際で激しくエラ洗いをしてルアーを吹き飛ばして逃げていった。バイブレーションに魚が反応するのをテリーが見て、彼は直ぐにマスクバイブを取り出した。このルアーは彼のオーダーに応じて、7月に日本から送った物だった。どうやら、冬場の低水温期にボトム近くにいるバラマンディ狙いで絶大な効果があったらしい。ここ暫くマスクバイブを店頭で見掛けなくなったが、ネットの通販を使えば数を揃えられるだろうと安易に考えていた。しかし、買い集めるのに思いのほか大苦戦。既にメーカーでは生産中止となっており、店頭で売れ残っている物を探すしかなかった。アチコチの釣具店に電話を入れ確認したところ、運よく県内でまとまった数を置いてあるお店を発見。車で走り、不良在庫化していたマスクバイブをウン万円分買い取った経過がある。

 私も持参したシークレットウエポンのマスクバイブを取り出し、ボトム付近を攻める。テリーが70cmのバラマンディを見事に仕留めた後、私のマスクバイブがジャンプ一発で吹き飛ばされる。そして再びテリーが55cmを追加して、このポイントが静かになった。レンジバイブマスクバイブを投入する前には、アレコレと他のルアーを試していたが反応がなかった。これらのルアーを使い始めて、いきなり釣れ出す様子はまるで手品みたいだ。バラマンディにはサイレント・バイブレーションが効果的なのかもしれない。

〜 ついに出た90cmUP 〜


バラマンディ92cm 5KB 午後5時前、ポイントを休めつつ、15分ほど小休止をする。釣行4日目ともなれば、普通だったら連日のジャーキングやトウッチ、魚とのやりとりで両腕がパンパンになっている頃。しかし、半年前ぐらいから毎日の通勤時間を利用して握力を鍛えるためにハンドグリッパーをニギニギやっていたので、まだまだ余裕がある。今回の遠征は8日間、竿を振り続けるというハードな計画。早めから筋力アップトレーニングを始めて良かったとつくづく思う。出発前にタックルやルアーを揃える事だけが、遠征の準備ではないのである。

 キャスト再開5分、船尾で竿を振るテリーのバラベイトにヒット。サイズはかなり大きそう。中々、姿を現さないので、竿を振る手を止めてカメラを構える。少ししてボート際に寄ってきたバラマンディは80cmUP確定。アンカーロープに絡まれないように、慎重に魚を誘導する。やはり不思議なのは、魚とのやりとり。彼の竿に掛かった魚は、何故か大暴れしないのである。やっと浮いてきた魚をオーシャングリップ2507で片手で引っ張り上げたが、上げきれずに一度落とす。再び引きずり上げて無事キャッチ。

 目測で90cmぐらいと思われた魚をメジャーでキッチリと測ると92cm。結局、この魚が今回の遠征で最大魚となった。毎度の事ながら、デカイ魚を釣るのはいつもガイドなのだ。実はこの時にオーシャングリップ2507を破損。このフィッシュグリップは、以前私が彼にプレゼントした物。彼は魚の口からフックを外す時もペンチは使わず、これで1本で対処するほど愛用していた。2507モデルは、プロのハードユースに耐えられなかったのかもしれない。


 テリーが巨大魚と格闘している最中にシゲさんが、魚を掛けたがフックオフ。魚の活性は高まっているようで、彼の操るラパラCD9に好反応。ポロッと底物のナマズ(25cm)を釣り上げ、これで打ち止めかと思いきや、80cm60cmを追加した。シゲさんが釣った80cmは十分大きなバラマンディなのだが、92cmを見た直後では小振りに見えてしまうのが少し悲しい。続いて、テリーがシーウォッチャーを使って76cmを追加。一方、私はアスリートS12で良型を掛けたが、ファイト途中でフックオフ。

 本日の納竿予定は午後6時。そろそろ終わりか・・・と時計をチラリと見ると午後5時55分。テリーが竿を置いたので、これで終わりかと思ったら、「もっと上流に行くぞ」と一声。後半、私の釣果が振るわなかったので、テリーが気を使ってくれたようだ。数分ボートを走らせ、倒木のあるエリアにステイ。彼から借りていたバラベイトを投入すると、いきなりのバイト。しっかりフッキングが決まって、魚をストラクチャーから一気に引き出す。手にした魚はマングローブジャック(25cm)だった。更なる追加を求めて、周囲を探ったが後は続かず、午後6時15分に納竿した。

〜 明日はラブリバー 〜


テリー 4KB 夕暮れが迫る中、母船ピクーに向ってボートを走らせる。30分以上走って、そろそろ到着・・・と思いきや、停泊していたハズの場所に船がない。夜、船室に入り込んでくる野火の煙を避けるために移動したと思うのだが、いったい何処に移動したのやら。更にボートを進めると、私達を待っている母船ピクーを発見。午後7時近くになって、やっと"我が家"に到着した。疲れていたので、そそくさとシャワーを浴びさせてもらう。体を洗いながら、ついでに汚れ物を洗濯。水は貴重だが、極力荷物を減らすために衣服類はギリギリまで切り詰めてある。毎日同じ服を着ていても、遠征中に1回は洗濯が必要になる。幸い乾燥したエリアなので、濡れた物は一晩デッキに干しておけばしっかり乾くのでありがたい。

 夕食はラム肉のステーキにバラマンディのココナッツクリーム煮、ライスと温野菜を盛り付けたワンプレート。オーストラリアのビール カールトンMIDを頂きながら、空きっ腹に詰め込む。食後は桃の缶詰にアイスクリームをたっぷり乗せたのデザートを堪能。一仕事終えたビールはモチロン美味いのだが、食後のデザートは、毎回何が出てくるかお楽しみなのだ。

 テリーは、6月に手術をした右膝の具合が悪い様子。浅瀬では私達を乗せたままボートを引っ張りながら川の中を歩いたりと、私達のために相当無理してガイドをしている。膝の様子を見せてもらうと、案の定、腫れている。連日のガイド業は、さすがに応えているだろう。日本から持ってきた大判の湿布を提供し、ペタリと貼ってあげる。今日は遠征の折り返し点。残り4日間もあるので、ギブアップされても困るのだ。

シゲ&テリー 5KB 食後に本日の釣果をまとめると、同じボートに乗っていながら私は他の2人と明らかに違う釣りをしていた事が判った。雑多な魚を釣る私に対して、シゲさんとテリーは、本命のバラマンディを数多く釣っている。しかもサイズは、私が釣った魚より押しなべて大きいのだ。集計結果をテリーに見せると、「トシはもっと沢山釣っているハズ。カウントミスではないか」とのこと。多分、同じくらいの数のチャンスはあったと思うのだが、その多くをバラしており、逃した魚はいずれも大きかったハズ。魚を釣り上げられない理由を道具のせいにするか、自分の腕の未熟さを嘆くべきか悩むところだが、まだまだ修行が足りないのだ。

 明日は、母船ピクーが停船している場所から約30km程離れたラブリバーに遠征することにした。この河川には、怪しげな動物の骨やら巨大な貝殻が沢山散らばっているビーチがあり、通称ジュラシック・クリークと呼んでいる。前回の遠征では、潮位が合わずバラマンディの釣果には恵まれなかったが、クーンフィッシュの入れ食いにアドレナリンの分泌が止まらなかった。ラブリバーへの釣行は、アーチャーリバーの河口を出て、外洋を暫く走ることになる。波と風の具合が心配だが、今のところ天気は良さそうなので多分楽しい釣りが出来るに違いない。午後9時半過ぎ、ベットルームに戻ると、既にシゲさんは高イビキ。自分はまだ眠くなかったため、明日の遠征に備えてルアーを選定してからベットインした。

4日目の釣果結果

TOSHI

SHIGE

TERRY

バラマンディ

6

12

14

鉄砲魚

1



マングローブジャック

1



ナマズ


1


クイーンフィッシュ

1





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