
 午前4時半起床、外はまだ真っ暗。しかも雨が降っている。今日もまたカッパを着ての釣行か・・・とちょっとネガティブな感じになる。昨夜はオーストラリア全域で国勢調査センサスが実施された。5年に1回、1日限りの取り組みで、外国人を含めて調査日にそこにいる全ての人をカウントするらしい。当然、この調査数字の中に私と嫁さんがカウントされるのだが、たまたま調査日に旅行で訪れた外国人が国政調査で数を数えられるとは、何だかとっても奇妙な感じ。何処に、どれだけの外国人がいるのかを把握する事により、行政は、行政サービスの向上に、商売する人は、データを使って様々なビジネスチャンスを見出すことが出来るのだろう。
 当調査は、基本的にインターネットを使って各家庭から報告する。これについては、多くの人達が心配していた通りサーバがダウン。原因について、「アクセスが想定以上に集中した」とか、はたまた「ロシアがハッキングしたのでは」と言うニュースがTVとラジオで流れていた。調査用紙を取り寄せて郵送する方法があるらしいが、周囲には何もないような広大な土地で暮らす人が、ポストへ郵便を投函するとは考えにくい。インターネットを使った方が楽なのである。
 出発直前、決断した釣り場は、ジョンソンリバーの先にあるリバプールクリークだった。ケアンズから1時間程、バナナの上に乗っかっているカエルの立体看板を横目で見ながらイニスフェイルの街に到着。ガソリンスタンドでボート燃料を給油して、もうひとっ走り。タリの看板を目印に左折して、カウリービーチ方面に進路を取る。午前8時にリバプールクリークのボートランプに到着した。ここに至るまでの車中で「濁っていたらジョンソンリバーに戻るぞ」と言っていたが、川を見るとそれほど酷く濁ってはいなかった。ワザワザ遠くまで走ってきたので、竿を出すことに決定。ボートを下ろす準備を始めた。
 過去にここを訪れるたのは2003年9月の豪州遠征だったか。一昔前、ここのボートランプは、極めて狭い上に、荒れた急斜面の通路を恐る恐るバックしてボートを下ろすような酷い所だった。今は多少人の手が入った感じだが、相変わらず利用する人を拒んでいるかのような荒れた状態のボートランプ。ボートや車をぶつけないよう、慎重にトレーラーをコントロールせざるを得ない。
 このマゴチ、口からベイトを数匹吐き出したので、使っていたデプスレス75Sと比べてみた。吐き出されたベイトは、透明感があるグラスフィッシュ。私の使っていたルアーは、とてもこの魚に似ているのでイイ感じがしたのだが反応なし。マゴチが選んだのは、僅か5cmのマイクロサイズのルアーだった。もしかしたら、ルアーのサイズが少し大きかったのかもしれない。因みにテリーが使っていたZBLシステムミノー50Sのカラーは闇イワシ。色的にもベストチョイスだったのだろう。
 少しずつ移動しながら、川の合流点に到着。本日大本命のマゴチハウスらしく、気合を入れてキャストを始めたら、上流から老夫婦のボートが下ってきて、目の前でアンカーを下ろして釣りを始めてしまった。余りにも大胆な行動に、思わず2人で顔を見合わせる。
 砂浜にボートを乗り上げ、陸っぱりに挑戦。足元近くにはスターフィッシュ(ヒトデ)がウジャウジャいた。水底に横たわる生物は、全てスターフィッシュに食べつくされてしまったかのような光景。よほど彼らにとって、ココの環境が合っているのだろう。砂浜を少しずつ歩いては立ち止まって、キャスト&リトリーブ。ガツンとマゴチやバラマンディがヒットしないかと、期待していたが見事に空振り。長居することもなくボートに乗り込み、河口域に点在するマゴチハウスを訪ねまわる。
 数投して反応がなければ次の場所へ。移動先でも数投して反応がなければ次へと、雨が振ったり止んだりする天候の下で足早にラン&ガンを繰り返す。竿を出す場所はいずれも砂浜がらみのシャローエリア。小さな小川の流れ込みがあり、水底にウネウネと溝(ガーター)が出来ているような場所は第一級ポイント。しかし、こんな素晴らしいポイントを見つけて竿を振っても、ワンチャンスもなかった。
 午前10時少し前に"ターポンホール"に到着。ターポン攻略で使うルアーは、レンジバイブ55ES、ジャッカルTN50などの小型バイブレーション。テリーは名称不明、銀色に輝く鉄板バイブを愛用している。フルキャストして十分沈ませてからリフト&フォールで反応を伺う。ターポンが表層にいる時は、水面がパチャパチャしているので直ぐに判る。こんな時はポッパーが大活躍するのだが、今の時期は魚が沈みがち。ターポンが群れている層を探りながらリフト&フォールを繰り返す。
 魚がいれば5分で釣れ、入れ食いを楽しめるハズだったが、完全なノーバイト。魚を求めて実績のあるポイントを何か所か探ったが、ルアーに反応する魚は何処にもいない。ここでテリーがギブアップ宣言。リバプールクリークは、僅かにマゴチ1匹とメッキのアタックが数回あっただけで終了となった。
 モリリアンベイに到着。周囲は整備された港で、コーストガードの真っ黄色な警備艇が係留されているのが印象的。ボートランプから静かにボートを下ろし、午前11時20分にはキャストを始めた。因みに竿先にぶら下げたルアーは、TDポッパーとZBLシステムミノー50S。普段ならロングAとシャッドラップをチョイスするのだが、いかにも魚種と魚のサイズに合わせた感がある。
 晴れ間が出てくると結構暑い。ココに向って国道を走ってきた時の猛烈な雨は嘘のよう。不足しがちな水分補給をしながら、マングローブの根際を狙ってキャストを始めた。最初に竿が曲がったのはテリー。サイズはそれほど大きくはなさそうなのだが、魚はいつまでも粘るので、暫しキャストを休んで様子を見守る。ボート際に浮いてた魚はマゴチ(35cm)だった。ヒットルアーはZBLシステムミノー50S。リバプールクリークと同様、ベイトサイズに会わせたベストチョイスのようだ。
 パタパタっと魚が釣れたが、アタリが遠のいたので移動。良さげなポイントで数回投げて、反応がなければまた移動を繰り返す。かなり見切りが早く、どんな場所に魚が集まっているのか、短時間で絞り込んでゆく。マングローブの根が複雑に絡み合う水際の所々に、看板が立っていた。どこも同じ景色に見える場所なので、目印があるのはとてもありがたい。
 しかし、この看板に書いてある事を読むと、物騒なことが書いてある。ここは軍隊が管理している場所で、侵入不可や撮影禁止だの、爆弾があるだの・・・。「何故、鬱蒼と茂ったマングローブ帯を軍が管理?」という素朴な疑問が沸くが、理由は判らなかった。
 数分間、モーゼスパーチの入れ食いで、船上はバタバタしていたのだが、突然、テリーの竿が激しく引き込まれた。明らかにモーゼスパーチとは違う引きに、私達はバラマンディだと確信。それにしてもモーゼスパーチが釣れていたピンポイントで突然バラマンディが食ってくるのか?しかもルアーはZBLシステムミノー50S。小さなフックは耐えられるのか・・・?そんな疑問を持ちながら、魚とのやり取りを暫く見守る。
 この1匹はとても嬉しかったのだが、釣ったのは遠路遥々遠い国からやって来た私ではない。彼は満面の笑みをたたえながら、「ソーリー、ソーリー」と繰り返す。相変わらず客よりも先に本命魚を釣ってしまうガイドなのである。
 心地よい風に吹かれていると、猛烈な数の蚊が襲ってきた。気がつけば周囲は蚊だらけ。「真昼間にこんな蚊が出るのか?」と驚くくらいの量。しかも刺されると、とても痒い。デントリーリバー流域にいる蚊とは違うようで、ブスッと刺された瞬間が判るほどのヤツ。こんな所でゆっくりしているとヤバイので、急いで退散する。
 水位が上がり、これまでボートを入れられなかったエリアにも行けるようになってきた。中洲があった周辺でクイーンティッシュやGTのボイルが起きるのを待ちながら、ウォーターランドのバトルスイッシャーとバトルダブルスイッシャーを使って、ジョボジョボとやる。派手な水飛沫とともに水中へルアーが引き込まれるさまを想像しながらキャスト&リトリーブを繰り返したが反応なし。
 午後3時半、水温は23.7℃。ルアーをZBLシステムミノー50Sに戻し、マングローブの根際を探るが不発。ジョイント・ラパラのクネクネした動きで魚を誘ってみたが、こちらにも反応はなかった。最後の勝負をする場所に選んだのは河口。昔、サトウキビを積む大きな船を通すために、岩場の両岸を爆破して河口を広げたらしい。岸際には大きめな岩がゴロゴロ沈んでいるので、これに引っ掛けないように注意しながらショアラインシャイナーR50で探る。
 何投目かでダツらしき魚がルアーを追って来たが、ボート近くで反転して姿を消した。ルアーに反応する魚がいたので、粘って周囲を撃っているとガツン。鋭い歯を持ったバラクーダ(45cm)がガッチリとルアーを咥えた。続いて反応したのが、エスチュアリーコッドの類。何度もルアーにアタックしてくるのだが、魚が小さくてフッキングには至らなかった。
 手早く、ボートをピックアップして、ケアンズに向けてひた走る。車中では、今日の釣果を確認しながら、どうすれば良かったのかを反省する。初めての釣り場で、モーゼスパーチの入れ食いを体験して楽しかったが、これ以外の時はどうにも納得できない貧果となった。今回、遠征を企画した8月というのが時期的にダメなのか、ここ数日間の天候の影響なのか、攻め方が悪いのか・・・。考えても答えが出るような話ではないが、何とかしないと今回の豪州遠征は残念な結果に終わりそう。
 1時間半のドライブでテリー宅に到着。家の中がやけに騒々しいので何事かと思いきや、孫娘シエナちゃんや、そのママやら何やらでワイワイ・ガヤガヤ状態だった。夕食はミートパイとジャガイモ、カボチャ、ニンジン等の温野菜。これに御飯とお味噌汁が付けばとても嬉しいのだが、そのようにはならない。もちろん、食べ物は美味しいのだが、ちょっと物足りなさが心の片隅に残るのだ。| 
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 TOSHI  | 
 
TERRY  | 
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クイーンフィッシュ  | 
 
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GT  | 
 
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モーゼスパーチ  | 
 
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マゴチ  | 
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バラクーダ  | 
 
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バラマンディ  | 
 
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