豪州バラマンディ・フィッシング]W
乾いた大地と地平線

果てしない地平線 4KB
どこまで続くの? この地平線


擬似餌の玉手箱>豪州バラマンディ・フィッシング>'07/11遠征


'07/11/4(日)〜5(月)

〜 初めてのジェットスター航空 〜


 天気は晴れ。午後2時に自宅を出発し、中部国際空港セントレアへ向かう。今回の豪州遠征でも当サイトで同行者を募集していたが、長期に休みを取れるような人は皆無なため単独遠征となった。オーストラリアへの渡航暦は随分数を重ねており、現地では私を迎え入れてくれる人達もいるので「独りでは心配」という事はなくなった。しかし、トラブルが起きた時は全て自分独りで対処せねばならないため、しっかり気を引き締め安全運転でハンドルを握る。2時間程のドライブで予約をしてあった民間駐車場へ無事到着。会員割引を使って8日間分の料金4,800円を支払い空港まで送ってもらう。

ジェットスター 10KB 今回、私をセントレアからケアンズへ運んでくれるのは、今年8月2日から関西空港に続いて国内2番目に就航したカンタス航空子会社のジェットスター航空。格安航空会社の位置づけとなっており運賃が注目されたが、正直言ってこれまで使っていたカンタスやオーストラリア航空との運賃差は余り感じられない。しかも各種サービスは全て有料オプションなので、むしろ割高感すらある。機内食や飲み物だけでなく、毛布、ヘッドフォンまで有料とは・・・。事前にインターネットで情報を収集すると、サービスを受ける段階で様々なトラブルがあった事を知り、前もって安くて軽いフリース地の毛布を購入して持ち込むなど万全の体制で挑むことにした。

 受付カウンターで1番にチェックインをして制限重量20kgギリギリの荷物を預け、身軽になってから空港内のラウンジを散策。旅行代理店から「機内の食事はチケットに含まれていない」という話を聞いていたので、夕食に助六寿司とアンパンを買って安価に空きっ腹を満たす。これで空の上で日本語が通じないキャビンアテンダントと話をしたり、お金を払ったりと面倒な思いをしなくて済む。後は機内で喉を潤すお茶のボトルを2本、出国後に売店で購入すれば完璧だ。

 出発までは、搭載ゲートロビーの大型テレビ画面に目が釘付け。丁度、女子フィギュアのGPシリーズ第2戦をやっており、浅田真央選手の華麗な演技に魅了された。さて、ここで初めて乗ったジェットスター航空のインプレッションを少々書き留めておく。当航空会社のエアバス機は黒い皮のシート。座席が少し高いので、私のような足の短い日本人にとっては座り心地が悪い。座って一息つくと「安曇野天然水」280mlのボトル1本と小さなイヤホン、毛布・空気枕等のセットが手渡された。買えば1,500円位する毛布セットは貰えないと認識していたので得した気分だが、かさばる荷物が1つ増えてしまった。

 定刻から随分遅れて離陸した後は、機内に持ち込んだ釣り雑誌を見て時間を潰す。他の航空会社の機体と違ってモニターが小さく、設置場所も限られいるため、機体後部座席からは全く見られず暇をもて余してしまうのだ。お金を払えば、オンデマンドの個別モニターを借りられるのだが 周囲で借りる人は皆無だった。夜の10時半過ぎに食事タイム。1,500円も払ってマズい食事はしたくなかったので、事前に食事を済ませておいたのだが私のところにも配膳されてキョトンとなった。航空チケットに「PACK」と明記されている場合、食事や毛布類の有料サービスが旅行代理店に支払った料金に含まれていたのだ。出されたパスタセットは勿体ないので完食。味は聞いていたほど悪くなく、満腹状態で夢の中に落ちていった。

〜 Karumbaへ向けて爆走 〜


カルンバへの道のり 4KB 朝5時半過ぎにケアンズ空港へ到着。1番最初に入国審査をパスして、荷物を受け取る前に豪州ドルへ換金。空港内で換金するつもりなら、まっに先にカウンターへ向かうのが賢い利用方法。ゆっくりしていると、列が長く繋がり時間が勿体ないのである。なお、空港内で換金するのは換金率が悪いだけでなく、額が多いと2%も手数料を取られてしまうので要注意。街中で換金すればもっと利率は良いのだが、空港からド田舎の釣り場へ直接向かうので、換金するチャンスはここしかない。今回は日本円に換算すると1A$=118円くらい。以前はレートが70円を切っていた時もあったのだから愕然としてしまう。ここ数年、日本円が非常に弱くなっている一方、豪ドルが強いので手元に渡されるお金が「えっ、これだけ?」と聞きたくなるほどの金額になってしまう。

 いつまで経っても出てこない愛竿が入っているバズーカをやっと受け取り、毎回足止めをくらう税関検査を受ける。例のごとくスーツケースを開けられ所持品を確認されたが、案外あっさりとOKが出て空港ロビーへ出ることが出来た。いつもはロビーのイスに座ってガイドの到着をのんびりと待つのだが、今回は私の方が約束の時間を30分以上も遅れてしまった。空港建物の外を見ると、お世話になるガイドのテリー(53歳)が車の前で私を見つけて手を振っている。久しぶりの再会に握手を交わし、遅れたことへのお詫びを言うと、彼は「ソーリー、ソーリー、ヒゲソーリー」と連呼。またしても日本人客に変な日本語を吹き込まれたようで、今回の遠征では機会ある毎にこのフレーズが繰り返された。

 向かう場所はケアンズの西方800Km、ぶっ通しに走っても9時間は掛かるカルンバ。事前に詳細な説明が全くないのでプランを尋ねると、ケアンズ市内でテリーの友人1人をピックアップすると言う。空港から30分走って、同行するケビン(57歳)のお宅に到着。簡単に自己紹介をして彼の荷物を車に積み込む。ケビンはケアンズで有名なボート製造会社のマネージャーとのこと。大型クルーザーから小さなバラボートまで、客のオーダーに応じて製造するらしい。準備が整い、午前7時に出発。ケアンズ市外を抜けて15分程南下し、マグレブ川の手前で右折し川を遡る。途中からは、「日光いろは坂」のような傾斜のきつい上り坂となる。これを上りきるとアサートンテーブルランド。紫色の花が咲き乱れる大木ジャカランダと、見渡す限りの牧場の景色を楽しみながら時折ロードマップに目を落とす。

〜 ハエ達との戦い序章 〜


ハエと戦いながら昼食 6KB ティナルーレイクの南にあるヤングバラを通過。更に南下してラーベンシューの街で1号線ケネディハイウェーに合流した。ここから高原を下り62号線との分岐点を右折して真西に向かってひた走る。ロードマップで確認すると同じ1号線なのだが、この道はガルフ・デベロップメンタル・ロードと呼ばれ、私たちが目指すカルンバまで真っ直ぐ伸びている。私が日本から持ち込みフロントガラスに貼り付けた方位磁石もピッタリと西を指す。道沿いには約150km間隔、車で1時間半毎に小さな街があるようだ。この道を走り始めると景色は一転。これまで起伏があり、きれいな花や緑豊かな土地を見てきたのだが、カリカリに乾燥した牛の放牧地が延々と続き、所々に牛やカンガルーの死体が転がっている。野火で焼け焦げた潅木も黒々と残り、「こんなところで車が故障でもしたら・・・」と考えるとゾッとしてしまうような景色だ。

 午前10時、道路沿いに設けられているピクニックエリアで小休止することになった。エアコンの効いた車内から外へ出ると、強烈な日差しが肌を刺し、乾いた熱い空気が肺の中に飛び込んでくる。続いて直ぐに無数のハエが襲ってきた。ハエ達は口といわず目といわず飛び込んでくる。ハエを追い立てながら、ベンチに座ってティータイム。しかし飛び回るハエのせいで何だか落ち着かず、ゆっくりする間もなくこの場から退散した。実はこれ以降、ずっとハエ達に悩ませられる事になるとは思いもよらなかった。ここでの戦いは、ほんの序章でしかなかったのだ。

 宝石のトパーズや亜鉛を産出することで有名なマウントサプライズでガソリンを補給。ここまでで、やっと行程の1/3を走破。外気温は軽く40℃を超えており、あまりの暑さにめまいを感じながら、3人でアイスキャンディーを頬張って一時の暑さ凌ぎをする。カルンバへ向かう道路は、ミッチェルリバーレイクフィールドへの遠征とは違い、大部分は舗装されている。しかし時折、片側1車線しか舗装されていないような所もあり、対向車がある時はお互いスピードを落として道を譲り合って走る。この時が危険。路肩が砂深かったりすればハンドルを取られて横転の可能性がある。そしてもっと怖いのが長さ50mもある3連結ロードトレインとのスレ違い。巨大なタイヤが跳ね飛ばした拳ぐらいの石がフッ飛んでくる事もあるのだ。

〜 陽気なOZの車中爆裂トーク 〜


車中爆烈トーク 4KB 12時過ぎにジョージタウンを通過。近隣を流れる大きな河川は、どこも干上がっており川床が露出している。「オーストラリアは大干ばつに見舞われ、小麦がかつてないほどの不作」というニュースは日本にも流れ、小麦の価格が急騰している。実際、河川に全く水がないような光景を目の当たりにすると、その凄さを改めて実感する。乾ききった潅木地帯では、天空に伸びる小型の竜巻を何度も目撃し、オーストラリア内陸部における自然の厳しさを肌に感じた。

 車中ではテリーとケビンが豪州語で延々と爆裂トーク。「よくまぁ、男同士でペチャクチャしゃべるなぁ」と感心するほど話し続けている。話をしていれば居眠り運転防止にもなるが、会話が弾みすぎて前方不注意にならないかと心配するほどだ。因みに豪州語と言っても、ベースは当然英語。しかし、オーストラリア訛りが随所にあるだけでなく、会話のスピードが早すぎて殆ど聞き取れない。内容は、お互いの釣り自慢やら最近行った釣り場の状況、ボートやタックルの話をしているのだが、とても私は口を挟めない感じ。しかし、早く耳を慣らして自分から積極的に喋るようにしないと、これからの数日間は辛い思いをすることになる。豪州遠征は釣りのスキルアップを図るだけではなく、英会話のレベルアップも兼ねている。周囲に日本人は全くいないので、日本語は帰国するまで自動的に封印だ。日本語を話す時は、寝言ぐらいになるだろう。

昼食はハンバーガー 6KB 昼食はガソリンスタンドに併設されたレストラン。メニューで目に留まったのは、子供の頃に食べたことがある懐かしいハワイアン・ハンバーガー。どれくらいの大きさなのか不明だったので、用心して1個だけ注文。出てきたのは、やっぱり巨大(笑)。あまりにも大きくて口に入らないので、手で上からギュッと押さえ込んでかぶりつく。味は期待していなかったのだが、パイナップルが間に挟まっており予想を裏切るメチャ旨なハンバーガーだった。勿論、これ一個で満腹状態。店を出る際、雑貨コーナーで釣り雑誌を数冊見繕って購入し車に乗り込んだ。

 昼食後、快適に走り出したかと思いきやトラブルの発生。なんと、日産サファリのエアコンが故障してしまった。エアコンの送風口から風は出るのだが冷たくもなんともない。回復することを期待し、テリーとケビンがアレコレとボタンを押したが機能停止。仕方がないので窓を開けたが、乾いた熱風が吹き込んでくる。「パリダカールラリーはこんな感じなのかな」などと夢想していると、様々な臭いが風と一緒に入ってきた。一番強烈なのは死んだ牛の臭い。暫くすれば干からびてビーフジャーキーみたくなるのだけど、死んでから日数が経っていないレアなヤツはさすがに臭い。焼け焦げた草木の臭いも結構キツイ。火事の原因は自然発火やタバコの投げ棄てだが、いまだに煙が出て燃えている場所も所々で見られた。

〜 豪州人はアイス好き!? 〜


ガソリンスタンド 4KB 午後2時、クロイドンの街を通過。気温がピークに達し、窓から入ってくる乾いた熱風に当たっていると、体中の水分がドンドン奪われていく感じがする。強く熱せられた道路はかげろうが発生し、前方がユラユラと揺らめいて見えるほど。午後3時半、干上がりかけたノーマンリバーの橋を渡る。丁度この辺りが河口から100km上流の位置。私たちが目指しているカルンバは、あと1時間ほどで到着するこの川の河口にある小さな街なのだ。ノーマントン街の手前で右折して1号線とはお別れ。市街地に入ると直ぐに巨大なバラマンディのモニュメントが私たちを歓迎してくれた。

 街の外れのガソリンスタンドで燃料補給。ケビンにアイスキャンディーとコーラをご馳走になって、乾いた喉を潤す。これまでのテリーとの付き合いの中で、彼がアイスをちょくちょく買うことを知っているが、ケビンも同様にアイスに手が伸びる様子。もしかしたら豪州人はみんなアイスが大好きなのか? 60歳近いオッチャンがアイスキャンディーをペロペロなめている光景はどことなくユーモラスなのである。因みに値段は結構高めで、1本200円以上するのが当たり前って感じだ。

 ノーマントンの街を抜けると、樹木が殆どないような見渡す限り真っ平な場所に出た。ここは、ぐるりと地平線が見える不毛の地。道は延々と続くかのように真っ直ぐ西に伸びている。この一帯は雨季になると水没する所のようだが、今はそんな雰囲気もない。場所によって地表面が白っぽくなっており、塩類の集積がおきている様子。テリーによると「カルンバの水は地下から汲み上げており、そのままでは臭くて不味くて飲めない」という。従って、わざわざケアンズからポリタンにたっぷりと水を入れて持ってきているのだ。改めて水に恵まれたケアンズの良さを知る。

〜 キャラバンパークに到着 〜


宿泊所 5KB 午後5時前、私達がお世話になるキャラバンパークのツーリストオフィスに到着。ケアンズを出発して約10時間、時速100km前後で走り続けてやっと到着した。小さな事務室の中にあるパンフレットには、「最果ての地」「エンドオブザロード」「夕日の沈む街」・・・当地を紹介するフレーズが書いてある。ここカルンバは、カーペンタリア湾にゆっくり沈む夕日を眺めることが出来る絶好の場所らしい。

 キャラバンパークでは、キャンプ場によくあるような小屋ではなく、現役を引退したキャンピングカーの居住部とプレハブのような建物がドッキングしたコテージが設置されている。室内はエアコンがビンビンに効き、TVやテーブル、キッチン、ベットなど生活に必要な物が一通り揃っている。水洗トイレと温水シャワーは別棟にあり共同使用。1回3A$の洗濯機も完備していた。

 車から荷物を降ろし、食品は2つの大型冷蔵庫にブチ込む。テリーのボートデッキには日本から持ち込んだOFTのメジャーステッカーをペタリと張る。このメジャー、残念ながら70cmまでしか測れないので、「狙いのデカバラを測るには足りないよ」と大笑い。OFTさんには是非120cmまで測れるメジャーを販売して欲しいところだ。コーラを飲んで一息ついてから、このキャラバンパークに滞在している人達にご挨拶をする。ここでは毎日、夕方から飲み物や食べ物とイスを持ち寄り、大きな木の下で車座になっておしゃべりをするのが恒例のようだ。日本人がワザワザこんな辺ぴな場所まで釣りに来たと知り、珍しがって皆さんアレコレと話しかけてくれるのだがチンプンカンプン。取り敢えず握手をしながら自己紹介して、後はニコニコしているしかない。このような状態は、正直言って非常に辛いのであるが、これも「修行の内」と割り切ることにした。

 夕食は部屋に戻って、テリーの特製ミートスパゲッティーをいただく。彼がソースの中から取り出すのを忘れた激辛グリーンチリペッパーに気づかず、うっかり食べてしまった私は、余りの辛さに吠えまくった。頭から汗が出て、喉がヒリヒリ、胃はジンジン。このグリーンチリペッパーはテリー宅の庭で採れた物らしいが、もう懲り懲りだ。食後は明日に備えてタックルを準備。今回持ち込んだのはトローリング用にパームスEDGE-666(3/8-11/4oz)とアンタレスver2、メインに使うミノーのトウィッチ用にエバーグリーンICSC-58MH(3/8-1oz)とアンタレスAR、ポッパーを使った小物釣り用としてパームスEDGE-603(1/4-5/8oz)にアンタレスDC7という組み合わせ。

 どんな釣りをするのか事前情報が乏しかったので、スタイルにより3セットを用意した。因みにパームスの竿は遠征直前に、1本1万円も出して買った中古。本当は10年以上前に販売されていたガイド径が大きいアームズスティックのようなしっかりした竿が欲しいのだが中々見つけることが難しい。リールにはファイヤーライン25lbを巻き、ショックリーダーはバリバス50lbを用意した(過去のタックルはこちら)。準備が整った後は、シャワーを浴びて午後10時に就寝。疲れていたので、直ぐに爆睡となった。

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