オーストラリア国旗 2KB

豪州バラマンディ・フィッシング]Y
豪州の猛魚達と真剣勝負

料理するサイモン 6KB
サイモンが手早く朝食をクッキング

擬似餌の玉手箱>豪州バラマンディ・フィッシング>'09/9遠征


'09/9/21(月)

〜 遠征4日目のスタート 〜


朝食 6KB 遠征4日目のスタート。昨日は午後9時半にベットインして朝6時に起床したが、熟睡していない気がする。ビールやコーラ、紅茶を沢山飲んだためか、夜中に2度もおしっこに起きて、頭上に燦然と輝く星々を眺めながら後部デッキでスッキリさせる。相変わらずテリーのイビキは迫力があり、ここにも熟睡できない理由があったのかもしれない。なんとなく疲れが溜まってきているようなので、朝早くからサイモンが作ってくれた食事をしっかり食べる。トーストに目玉焼き、カリカリに焼いたベーコンとマッシュルームそして煮豆。オレンジジュースと紅茶で水分を補給。食生活が変わったためか、キレの悪いウンコをした後、日焼け止めを肌が露出する部分全てに塗りたくり、その上から豪州製の強力虫除けスプレーを入念にかける。

 今回はサンドフライやモスキートが極めて少ないので、ガードが甘くなりがちだが、怪しげなクリークの中には、これらの虫が私を待ち構えているハズ。長袖、長ズボン、シューズは当たり前。首にはネックガート、そして防蚊対策を講じてあるメッシュ手袋と長いメッシュ・サンシェード付きの帽子を目深に被り完全防備をする。前日、シャワーを浴びながら洗ったズボンは残念ながら完全には乾いていなかったが、撥水・速乾性の生地を使ったズボンなので強い日差しの下で釣りを始めれば直ぐに乾くだろう。オーストラリアへの海外遠征が初めての人は、どんな服装をするか悩むだろうが、重くて、乾きにくく、暑苦しいGパンはやめた方が懸命だろう。因みに私が愛用しているのはシマノの旧型ラドステップ・デタッチャブルパンツ。これはポケットも大きくて便利。しかも、裾を絞れるので足首付近から進入する虫を防ぐことが出来てありがたい。

テリー&バラ 5KB 午前7時半、ピクー3号艇に乗り込み、10分程走ったところのマングローブ際でキャストを開始した。開始5分、テリーは銀ベース・ブルーバックのNEWカラーロングAでバラマンディ(40cm)を1匹。その後、立て続けに65cmと45cmを2匹追加した。その後もフッキングには至らずともバイトが連発している。一方、クラシックバラを試していた私の方にはワンバイトもない。これほど差が出るとは思っても見なかったので、遅ればせながらド定番の金黒ロングAを取り出す。すると即座に爆裂バイト。この魚は明らかにバラマンディとは違って、底へ力強く突っ込むファイトをする。慌てずポンピングで魚をじっくり引き上げると、赤っぽい魚、マングローブジャック(46cm)が浮かび上がってきた。マングローブジャックはとても美味しい魚。ロングAをガリガリのキズだらけにしたコイツは夕食用にキープすることになった。


〜 トッププロのアドバス 〜


マングローブジャック 5KB ロングAをじっと見つめる私に、テリーは改めてこのルアーの使い方とマングローブに引っ掛かった時の外し方をアドバイスしてくれた。トッププロから教わるテクニックは、長い実践経験で積み重ねられたもので直ぐには習得できない事も多い。バラジャークとも呼ばれるバラマンディを呼び起こすジャーキングや、水面で激しく音と水泡を立てるバブルトウィッチなどを知らなければ、ロングAを使ってもバラマンディはそう簡単に釣れるものではない。ロッドアンション1つで全く別物のルアーになり、魚を引き付けられる事を知れば知るほど、ルアーフィッシングの奥深さを認識する。

 バラマンディの棲家は、マングローブの根際、複雑に絡み合ったブッシュの中や倒木周り。魚を釣るには根掛りを恐れずルアーを打ち込む必要がある。たとえミスキャストをしなくても、当然の如くルアーは引っ掛かりやすい。引っ掛かったルアーを外す際のアドバイスの中で、「えぇ〜っ、そうなの!?」と驚いた事が1つあった。さすがのテリーでもミスキャストをしてルアーをマングローブに引っ掛ける事が時々あるのだが、彼はバックシートにいながら、いとも簡単にルアーを回収するのである。一方、私は引っ掛かったルアーを外せず、船を寄せてもらってデッキに腹這いになって回収する事が多い。その度に「ソリ〜、ソリ〜、アイム・ソリ〜」と言いながらポイントを潰している。

バラマンディハウス 6KB 今回の遠征では、メインに使うルアーにはがまかつトレブルRB Hに交換してあったのだが、テリーに言わせると、「日本のフックは、鋭すぎる」らしい。このフックを初めて手にした時、指先へ吸い付くように刺さった事に驚き、徐々にカルティバから移行している真っ最中。「鋭すぎる」とはどういう事かと聞き直したら、「日本のフックは魚の口へのフッキングは素晴らしいのだが、ブッシュへのフッキングもバツグン。」「オレが使っているフックは、ブッシュには引っ掛かりにくく、魚の口には確実に掛かり、しかも丈夫だ」と言う。つまり、針先が少しあまく、ブッシュへの刺さりが弱いためルアーが回収しやすいのだ。彼が使うフックはイーグルクローマスタッドのソルト系太軸タイプが多いハズ。そう言えば、ストラクチャーに引っ掛からないように、あえてネムリ針を採用するZealのようなメーカーがあった事を思い出す。フックにも適材適所があることに、あらためて気づかされた。

〜 フレッシュウォーター・チャレンジ 〜


テリー 4KB 午前8時半、一旦、母船に戻ってキープしたバラマンディとマングローブジャックをサイモンに渡し、20分程、アーチャーリバーを遡る。これまで釣りをしてきた場所とは雰囲気が少し変わって、マングローブが減りサンドバーとユーカリ林が目に入ってくる。水色もガラリと変わり、透明感があるグリーンに変わった。全体的に水深は浅いのだが、大きなコーナー付近は急に深くなっており、ブッシュが水底に沈んでいる。絡み合っている枝の周辺に小さなベイトの群れが沢山見えたので、アンカーを下ろして暫く様子を探る。

 この場所はテリーが2年前に来て、楽しい釣りをしたらしい。彼が使うのは、ブッシュの中で使っても不思議と引っ掛からないシャッドラップSR9。開始5分で、メッキをキャッチした。これまで釣ったことがあるメッキとは雰囲気が違うので、名前を聞くとビッグアイ・トレバリーだと言う。この魚は名前どおり、目が大きいのが特徴だ。彼はリリースした直後、再びビッグアイ・トレバリーをキャッチした。私はベイトが小さいのでハードコアSH60SPマーゲイを試していたが不発。ビーフリーズ78Sを試すと狙った魚とは違う45cmのターポンが食ってきた。ターポンが群れていたのでテリーはフライを取り出しキャストを始めたが、彼らの移動は早くて直ぐに何処かへ消えうせてしまった。

 水が清らかな所には魚が住まないとも言われるが、このエリアは全体的に魚っ気が乏しい。時折、大型のミルクフィッシュやトレバリーがスクールしていたりはするのだが、手数を増やしてキャストを重ねてもルアーへの反応はない。透明度が高いので、魚に警戒心を与えないように出来るだけロングキャストが出来るルアーは何かないかとボックスの中を探す。手に取ったのはスライトエッジ。ストレートリトリーブには全く反応がなかったので、ボトムに沈めてから急にしゃくり上げるボトムパンピングを試してみた。ルアーの動きを目視しながらエビの動きをイメージしてボトムから跳ね上げたり落としたりしていると、何処からともなくトレバリーが猛ダッシュして現れルアーを引っ手繰った。

ゴールデントリバリー 4KB トレバリーの猛ファイトに耐えながら徐々に魚を引き寄せる。ボート際に浮いた魚を見て、テリーが大喜びをしながらオーシャングリップで尾のくびれ部分を挟み込んだ。釣り上げた魚のサイズは58cmで、バスタックルを使って楽しめるGTゲームとしては十分なサイズ。魚を観察すると、このトレバリーには今まで見たことのない縞模様があった。魚の名前はゴールデントレバリー。この魚はフライをやる人達の憧れのマトなのである。テリーは相当嬉しかったようで、滅多に使わないデジカメを取り出して記念撮影までやり始めた。ゴールデントレバリーは海水性の魚なので、本来なら海の方にいるハズなのだが、随分上までトレバリーが上がって来ていることにテリーは首を傾げる。淡水域の様子をチェックしに来たのだが、どうも塩水濃度が高いようだ。

 2匹目を狙って、スライトエッジのボトムパンピングを繰り返す。このルアーはただ巻きで使うよりも、エビの動きを模したリフト&ホールの方が良いみたい。しかも、連続的なシャクリを入れると、ラパラのアイスジグのような立体的な8の字を描くことに気が付いた。私は新たなアクションを発見し、嬉しくて何度もしゃくっていたのだが、魚にはその想いが伝わらずその後はノーバイト。

〜 スッテンコロリ 〜


テリー&ゴールデントレバリー 4KB 船を流しながら、主だった岸際のストラクチャーを片っ端から打っていく。見えるベイトがどれも小さいのでハードコアSH60SPを多用して探っていると、手のひらサイズのいわゆるメッキをキャッチ。続いてメッキを釣った直ぐ近くで、キャストの度に100匹ぐらいの赤ちゃんメッキがルアーを追いかけてくるポイントを発見。「これは面白いぞ!!」って感じで、マーゲイほかアレコレとルアーを投げまくったが、魚が余りにも小さすぎフッキングには至らない。タナゴぐらいの大きさなので無理もないとは思うが、こんなに小さくても闘争心と好奇心が旺盛でルアーに襲い掛かろうとするのには驚くばかり。

 午前11時頃になると、ボートデッキはバーベキューコンロ上の鉄板のように焼けてきた。ビーチシューズを履いてはいるが、靴底のゴムがじんわりと溶けてくる程で、足裏が熱くてたまらない。普段から裸足で過ごし、足裏の皮が分厚くなっているテリーでさえ、この熱さには閉口。クツを持ってこなかった事を酷く悔いていた。日差しが強すぎ、魚達はシャットダウン。私達は木陰を探し、少し休憩を取る事にした。ギュッと中身が詰まった美味しいパウンドケーキを頬張りながら、午後からの作戦を練る。

 上流に行けば行くほど魚の気配が少なくなっている感じ。潮の影響で水深も徐々に浅くなってきているため、20分程休んだ後に河口域へ戻る事にした。浅瀬に乗り上げないように注意しながら、メインチャンネルを辿って蛇行しながら川を下る。徐々に水色が変わり、栄養素をたっぷりと含んだ感じの水になってくる辺りまで下って釣りを再開した。開始直後、か細い小川の流れ込みにあるストラクチャーにビーフリーズ78Sを投げ込むと、1発でマングローブシャック(34cm)がヒット。続いて、テリーのX-80SWに爆裂バイト。彼がボートポジションを変えるため、エンジンレバーを動かした時に、一気にエンジンが吹き上がり船首を大きく横に振った。この動きに対応できず、私はスッテンコロリ、見事に船首で転がった。狭いボートの上で転ぶのは非常に危険、しかも足元には使っているルアーを何個も転がしてある。ヤバイと思った瞬間には、もう転んでいたような状況だったが、頭等は打たず幸いケガをせずに助かった。テリーが掛けた魚はゴールデントレバリー(59cm)。私が転がるというハプニングもあったが、しっかりフッキングしてあったためバラさずにキャッチした。

 リリース後、操船ミスについてテリーから丁寧な謝罪を受ける。彼に悪気は全くないので怒る必要もないのだが、ピクーの子船はどれもエンジンコントロールに何があり、困ったものだ。テリーが日頃使っているマイボートでは、滅多にこんな事は起きないので私もつい油断していたのが失敗。遠征途中でケガをすることは絶対に避けたいので、以後は注意を怠らないようにと心に決める。

〜 ビーフリーズ 対 X-80SW 〜


マングローブ 7KB 岸際にマングローブが増え始めたエリアに入ると、ストラクチャー周りではサヨリやメッキ、小型のマングローブジャックなどが見えるようになってきた。今回の遠征ではビーフリーズ78Sに反応が良いことに気が付きはじめていた私は、根掛かりを恐れず大胆にストラクチャーの中へルアーを打ち込んでみる。するとバラマンディがバイト。フッキングには至らなかったので、即座にフォローを入れたら、25cmしかないマングローブジャックがビーフリーズ78Sを先に食ってしまった。ルアーをビーフリーズLB-Fに交換し、トウィッチを始めると今度はクイーンフィッシュ(44cm)が躍り出た。

 過去の遠征ではビーフリーズで良い思いをした事がなかったため 、持っていても出番なし、近年では持って来る事すら止めていたのだが、今回は持って来て正解だった。テリーのX-80SWも好反応なため、特定のルアーというより8cmというサイズがアタリなのかもしれない。明らかに他のサイズのルアーに比べ反応が良いのだ。船を更に進め河口域のワンド内へ入ると、テリーがX-80SWで1投目からバラマンディ(53cm)をキャッチ。続いて、私がビーフリーズ78Sで鉄砲魚(25cm)を釣り上げた。益々、8cmのサイズに注目することになった。今回の遠征ではデカバラ狙いだったがゆえにビックベイトの類を幾つか持ってきたため、このサイズのルアーの持ち合わせはいつもより少ないのが悔やまれる。

母船ピクー 4KB 魚の反応は午前中に攻めたエリアよりも遥かに良いため引き続き竿を振りたかったが、時計の針は午後1時を指して昼食もまだ。母船で1人、サイモンが私達の帰りを待っているので一旦納竿をすることにした。母船に戻り、サイモンが手早く作ってくれたハムトマト・サンドにパクつき、ピリピリと炭酸がきついレモネードで胃の中に流し込む。折角、魚の食いが立っている時に、のんびり昼メシを食べている場合ではないのだ。私達がのんびり食事をして、満腹になった頃には魚達も満腹になってルアーなんて追わなくなってしまうだろう。ピクー3号艇に乗り、先程まで竿を振っていたポイントまで戻って続きをする。再開早々、テリーのX-80SWに60cmのクイーンフィッシュがクリーン・ヒット。続いて私のマーゲイにバラマンディ(53cm)が躍り出た。

 更なる追加を求めてキャストを重ねたが、潮位の変化に伴いパタリと反応がなくなったので、次の場所へと移動する。母船ピクーの横を通ると、サイモンが洗濯物を干している最中。風になびいているパンツやTシャツを見ると、私のヤツも入っていた。今宵、シャワーを浴びながら洗おうとカゴの中にまとめておいた物を洗濯してくれたのである。人様に自分のパンツまで洗ってもらうとは思いもよらず、ちょっとビックリ。因みに母船には贅沢にも洗濯機も設置してあるのだが、これが大量の水を使う大バカ洗濯機。一度使うと洋上生活に必要な貴重な真水が一気に減ってしまうため、貯水タンクの残量を確認してから使わなければならないそうだ。

〜 オーシャングリップが海の藻屑に!? 〜


バラマンディ 5KB 怪しげなクリークに入り、キャストを始めるとテリーのインナープレート仕様のロングAにバラマンディがヒット。彼は私のオーシャングリップを使って手早くキャッチ・・・。確かに魚を手にしたのだが、突然暴れてオーシャングリップを口にぶら下げたまま魚は水の中にドボン。その光景を船首で一部始終見ていた私は思わず「うわぁ〜」と声を上げてしまった。バラマンディと共に消えたのは、苦労して購入した限定仕様のオレンジ色(OG2507 NO LIMITSモデル)のヤツ。歴戦により先端部がガリガリになってはいるが、豪州の海に沈めるのは余りにも悲しすぎる。咄嗟に魚の姿を追い掛けて水中を覗き込んだ時、横でガタンとテリーの竿が動いた。運よくルアーを口から外す前だったので、フリーにしていたリールからラインが送り出されていたのだ。急いでテリーがラインを掴み、慎重に手繰り寄せる。

 ここで魚をバラせばオーシャングリップは海の藻屑。手釣りの様子をドキドキしながら見つめていると、オーシャングリップを咥えたバラマンディが船縁に浮いてきた。「頼むからエラ洗いなんてしないでくれぇ〜」と祈りながら見守る。彼はいつもどおり、腕を水の中に突っ込み、やさしく腹を抱えて魚(66cm)をすくい上げた。無事にこの手に戻ってきたグリップを握り締めてホッとし、塩水をタオルで丁寧にふき取る。東京湾等ではグリップを咥えたスズキが随分沢山泳いでいるんじゃないかと思うほど、同様のトラブルを経験した人も多いと思う。今回のハプニングの原因は、100円ショップで買ったスパイラルコード。グリップのリングをはめていたスパイラルコードのわっか部分がスッポ抜けていたのだ。ライターであぶって熱着すれば再び使えそうだったが、同じ過ちを繰り返す可能性が高い。今度買う時は絶対に末端処理がしっかりやってあるワイヤー入りのスパイラルコードにして、2度とこの商品は買わないことを心に決めた。

B52 4KB とんだハプニングはあったが、魚がいる場所は見つけたのでピンポイントを狙って集中爆撃。テリーはリーディーズ(Reidy's Lure)の新商品ジュニアサイズのB52を取り出した。このルアーは10cmで16g、音質の高いラトルが入っている。多分、小さい方のロングAを意識しつつ一回り大きく作ったのではないだろうか。メーカー自体はオーストラリアにあるのだが、中国で作っているのでパッケージデザインや塗装がいかにも中国っぽい。動きは悪くないが、テリーがフックを交換したので浮力が増してちょっと落ち着かない感じがする。彼は数投試したが、魚の反応がないため再びロングAに戻す。するといきなりヒット。サイズは先程釣った魚の半分だが元気の良いファイトを繰り返した。

 彼がロングAで連発したのを見て、私は
オリジナルサイズのB52を試す。2X、サイズ1番のフックと太軸のスプリットリング、これらを受け入れる太軸で大きなアイが装備されるヘビーデューティーなルアー。シャッドラップの豪州版がティルサンなら、ロングAの豪州版がこのB52に当たるのだろう。ロングAに比べ動きが鈍いため、釣れるアクションを引き出すためには、より激しいジャークやトウィッチが求められる。疲れている時には余り使いたくないルアーなのだが、昼メシを食べた後でエネルギーを充填したばかり。気合を入れて使い始めると直ぐに答えが出た。僅か5分で47cmと66cmをキャッチ。

〜 ビッグベイト・チャレンジ 〜


バラマンディ 5KB 更なる魚を求めて船を進める。使うのはビッグベイト類。シードライブトリプルインパクト・リップレス140は過去に導入した経過もあるため、今回はエスドライブから始め、エスフラットソルティー・ジャックリップライザー130、ビッグサイズのロングA(BSW26A)トリプルインパクトTP0011、そして試しに持ってきたブーツ140コンバットクランク480等をアレコレ試す。これらの中で、一番使えそうだと思ったのが、エスフラット。水中で倒れこむように切れ込んでゆく泳ぎや、竿の動かし方で変化するヒラ打ちアクションは使っていて楽しい。ヘラブナのような体高のある魚は、豪州にも様々な種類がいるため、きっと活躍する場があるハズ。しかし、30分程投げまくったが反応がない。

 リーズルアーに交換し、マングローブの木陰を狙ってみると、巨大なバラマンディが突然現れ、ルアーに襲い掛かった。これまで見たこともないようなデカイ頭を持つ魚。一度吸い込んだルアーを一瞬にしてルアーを口から吐き出し、水面が盛り上がるほどの大きな波紋を残して水底に消えた。私はこの光景に舐めていたキャンディを、口から吹き出すほどビックリした。目撃したビックバラの事を直ぐにテリーに伝え、2人でルアーを投げまくったが、残念ながら2度目のチャンスは訪れなかった。やはりデカバラが潜んでいたのである。

リーズルアー 5KB テリーがX-80SWを使いポロリと50cm程のバラマンディを釣ったのを最後にパタリとアタリが遠のいていた。風が吹き、濁りが増してきたワンド内でサミー115ガニッシュ115を使って広範囲に魚を探す。全く反応がないので、場所を大きく変えて河口へ船を走らせる。サンドバー周辺は不発だったので、近くのマングローブ帯を攻める。リーズルアーの新作ミノー、金色に輝くワイドボディの9cmを試すと50cmと58cmを連発。やはり今日のバラマンディはビッグベイトではなく、8〜9cmのルアーに良く反応するようだ。船尾ではテリーがロングAで釣ったバラクーダがバタバタ暴れている。バラクーダはラインを切ったり、ルアーをボロボロにするのでトラブルメーカーとして相当嫌われている。彼は釣り上げた際に、頭を一発殴ってからリリースしていた。

〜 豪州の猛魚達と真剣勝負 〜


 河口エリアをうろついていると鳥山を発見。現場に急行すると辺り一面ボイルの真っ最中。小さなベイトが逃げ惑っている。テリーはすかさずスピニングタックルを手にして銀色のメタルジグをキャスト。リトリーブ開始直後からバイトの嵐。直ぐに50cmのクイーンフィッシュをキャッチ。続いて、ちょっと雰囲気の違うGT(55cm)を釣り上げた。名前を聞くとブラシートレバリー(Brassy Trevalley)だと言う。真鍮のように金属っぽく輝くからこの名前が付いているのだろう。更に彼は、メタルジグでブラシートレバリーとクイーンフィッシュを1匹ずつキャッチ。バイト連発のメタルジグの釣りには飽きてしまったようで、フライタックルを取り出す。数投してクイーンフィッシュをあっさりと1匹追加した。

トレバリー 5KB 一方、私はスライトエッジを使い、数少ないバイトを確実にフッキングしてやっとの思いで50cmのクイーンフィッシュをキャッチ。テリーとはバイト数が明らかに違う。使うルアーとリトリーブスピードが違い過ぎるのだ。彼が使うセルテート2500Rだとハンドル1回転で71cm。私が今回の遠征で持参したリールでアンタレスARは62cm、アンタレスver2は72cm。アンタレスDC7セルテート2500Rを上回る79cmなので、迷わずこれをチョイス。しかし、ハンドルが短く、笑えるぐらいに必死に巻かないと魚が反応しない。スライトエッジには魚の反応がイマイチ悪いので、小さな光り輝くルアーで早巻きに耐えられるルアーは何か持っていないかとボックス内を探す。ふと、ローリングベイトが目に留まったので、これを試してみるとビンゴ。

 1投目でクイーンフィッシュ(50cm)をキャッチした後、40cmと50cmのブラシートレバリーを追加、そして45cmのクイーンフィッシュを2連発。まさに豪州の猛魚達と真剣勝負って感じで、タフなファイトに耐えながら魚を引き寄せる。今回はギア比の高いアンタレスDC7を持っていたので、この釣りに対応できたのだがアンタレスARアンタレスver2では、勝負以前に土俵にすら上がれなかったのではないだろうか。DC7でも随分大変な思いをして釣りをしたので、ここでの釣りにはやはりスピニングタックルを1セット用意した方が良いだろう。

 因みに今回、彼がポッパーやメタルジグ用に使うスピニングタックルは、セルテート2500RカスタムにG-Loomisの怪しげな緑色をした竿 GreenWater GWMR783Sの組み合わせ。そしてメインで使うベイトタックルは、コンクエストDC250に私が用意させてもらった往年の赤い竿 バンタム・スコーピオンBSR1603Fの組み合わせだ。シマノのロッドテスターでもあるテリーは、以前からバンタム・スコーピオン・シリーズを絶賛し、復刻するのを強く望んでいるのだが、この竿は90年代初頭に作られた物。タックルのモデルチェンジが非常に早い日本では何世代も前の竿で、使っている素材や製造技術は現行品の方が上のハズ。しかし、感度の良いグリップと竿の調子、ダブルフットのガイドがイイらしい。豪州の猛魚達と真剣に渡り合うには、ダブルフットの方がトラブルがなくて良いようだ。軽量化を意識しすぎ、耐久性を犠牲にしているような竿は、豪州では長く使い続けられないのだ。

〜 アボリジニ・ジミーの登場 〜


ジム&トシ 5KB 30分程でボイルアタックは終了。終了時間が迫ってきたので、ラストアタックでバラマンディを再び狙う。マングローブ際を丁寧に探っていると、テリーがロングAでマングローブジャック(35cm)をキャッチ。続いて、私がリーズルアーの新作ミノー、ワイドボディーの12cmモデルを試すとバイト連発。しかし、フッキングには至らない。夕マヅメを迎えてバラマンディの活性が上がっているようなので、ガニッシュ115を投入すると、ビッグバイトの3連発。しかし、これもフッキングには至らなかった。気持ち的には時間延長したかったのだが、時計は午後6時を回っており納竿とした。

 全速力で10分程、船を走らせ母船に戻る。荷物を片付けながら2階デッキに上がると、薄暗い中に見慣れない黒人が1人いた。肌が黒いので白い歯しか見えず、マジにドキッとする。この黒人はアボリジニのジミー。サラトガ(アロワナ)釣りをリクエストしていた私のために、サイモンが連れて来たのだ。自己紹介をしながら年齢を聞くと、「判らない」との返事。多分、30歳半ばぐらいだろう。妹さんが学校で日本語の勉強をしているので、日本のことを少しは知っているようだ。

 彼からサラトガの情報を聞く。アーチャーリバーを遡るとリリーパッドがあり、そこにサラトガがいるらしい。アーチャーリバーと言えば、今日の午前中に竿を振ったクリアで魚っ気の少ない河川。リリーパッドは一度も見ず、水量が少ないので上流へ上がれないハズ。船は持っておらず、ガイド業をしているワケではなく、釣りが趣味でもない様子。ちょっと心配になってアレコレ話を聞きたいのだが、私のジャパニーズ・イングリッシュは伝わりにくい。「水位は大丈夫、川を遡るルートは知っているから」と言う言葉を信じるしかない。どんなルアーを使えば良いのか聞けば、話の信憑性もある程度判断できるハズ。日本国内外のルアーが100個入っている私のルアーボックスを彼の前で開き、どれがサラトガに通用するのか選んでもらう。

サイモン 5KB 彼がざっとルアーを見渡して手に取ったのは、ロングAの小さいヤツ(B14A)。これでサラトガを釣ったことがあると言う。確かにこれだったらサラトガは釣れるだろう。そして釣りの話は、「いつ釣ったのか」というのがとても大事。昨日今日の話なのか、それとも10年も前の話なのか・・・。一昔前の話を聞いても状況は大きく変わっているので参考にはならない。しかしこれについて、彼は言葉を濁す。

 テリーが「釣ったサラトガは食べるのか?」と聞くと、「もちろん、食べる。うまい魚だ」と言う。ペットショップで買えば、ちっちゃな当歳魚で数千円。ルアーに反応するようなサイズなら数万円、鮮やかな発色の良い個体なら数十万円もする魚。それを食べてしまうなんて・・・とっても残念。もしかしたら、サラトガはとっくに彼らに食べつくされているのではないだろうか。どうにも当てにならない部分があるが、彼に明日のガイドを頼むことにした。

〜 アラクン・フィッシングツアー 〜


ナマズ釣り 4KB 缶ビールを飲みながらタックルを整備。この間にサイモンがジミーを船で送り届け、晩メシになったのが午後8時。今宵は私が朝イチで釣ったマングローブジャックをグリルし、ピリ辛ソースをかけていただく。そして私のために用意してくれたご飯と温野菜。このピリ辛ソースが絶品。サイモン特製のソースで、ご飯の上にのせて食べれば、おかずがなくても何杯も食べることが出来そうだった。

 食後は、後部デッキでナマズ釣り。クイーンフィッシュの切り身を太い針にザックリと刺し、ぶっ込むとすぐに魚信が竿先に伝わってくる。ぐっと竿が引き絞られてからガッチリと合わせてひたすらリールを巻く。とても簡単な釣りで、50cm〜60cmナマズの引きは強い。釣った魚は頭を強く叩いてから、背鰭と胸鰭にある危険な毒針をペンチで落とす。この毒針は先端が鋭く、しかものこぎり状になっており、刺さると取り出しにくいというやっかいな物。昔、アボリジニ達はこれをモリの先に使っていたらしい。あっと言う間に5匹のナマズを釣り、1匹ずつビニール袋へ入れて冷蔵庫へ。豪州人はナマズを食べないらしいが、アボリジニ達は喜んで食べるらしいので、ジミーにガイドをやってもらうお礼に用意したのだ。

 ナマズ釣りを楽しんだ後は、アラクンのフィッシングツアーについて話を聞く。基本的にアラクンはアボリジニ居住地のため、外部の人間には制限が多い。宿泊場所はなく、キャンプもだめ。貸しボートがあるワケもなく、釣りのガイドが住んでいるワケもない。フィッシングツアーの場合は、このピクーに寝泊りしなければならないため、必然的にここで釣りが出来る釣り客は極めて限られてくる。従って、全くスレていない魚達がウジャウジャいるのである。因みに母船ピクーはアラクンの行政府が所有しており、これを民間に貸し出しているとのこと。日本にはない方式だ思うのだが、オーストラリアでは、このようなスタイルが他にもあるのだろうか。

アラクンフィッシングツアー 日本のメディアではアラクンがまだ紹介されていないらしく、ここで竿を振ったことがある日本人は数少ない。本当かどうかは不明だが、このピクーに宿泊して釣りをした日本人は私が最初らしい。因みに、ツアーの最小単位は4名、最大は6名までで、最短4日間、最長7日間となる。ゲストは2艇または3艇の船に分かれて、それぞれにガイドが1名付く。ガイドはこの地の釣りを開拓したSteve Jestonがメイン。費用は1日、1名当たりA$650ほど。これにケアンズとアラクン間のエアーチケット代が必要となる。今回のツアーは私一人がゲストであったが、これは異例中の異例。

 アラクンで狙える魚は多種に渡り、もちろんタイミングさえ合えばデカバラのチャンスもある。今では、ツアーガイドサービスが乱立し、攻めつくされてしまったウエイパよりも遥かに豪州の釣りを満喫できるハズ。残念ながら、現時点で日本の旅行代理店ではこのツアーを取り扱っておらず、既に2010年の予約も随分と埋まっている。アラクンで釣りをしてみたいと思う方は、まず私へメールを。お役に立てる事があるかもしれない。


4日目の釣果結果

TOSHI

TERRY

バラマンディ

6

7

バラクーダ


1

トレバリー

4

5

マングローブジャック

3

1

クイーンフィッシュ

5

4

鉄砲魚

1


ターポン

1




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