オーストラリア国旗 2KB

バラマンディ・フィッシング]Y
サラトガは何処に?

ジミ゛ー 5KB
本日のガイド:アボリジニのジミー


擬似餌の玉手箱>豪州バラマンディ・フィッシング>'09/9遠征


'09/9/22(火)

〜 アボリジニ・ギャップ 〜


ガイド役のジミー 6KB 本日も午前6時に起床。タックルをピクー3号艇に積み込み、日除け・虫除け対策をバッチリやってから、朝食のシリアルを胃袋に納める。7時半、サイモンに連れられて本日のガイドを勤めてくれるアボリジニのジミーが登場。彼は朝食を食べていないとの事で、出されたトーストをパクついている。私は彼に名前と連絡先を書くように手帳とペンを差し出したのだが、彼はペンを持って暫く考え込んでいる。やっと書き出したので手元を覗き込むと、時間を掛けてたどたどしく「J」、「I」、「M」と3文字だけ書いた。元々、彼らの民族は文字を持たず、印象的な絵を描いてその中にストーリーを盛り込み、仲間や家族、子孫に伝えるという習慣がある。もちろん、今では学校があって勉強もしているのだが、文盲率は非常に高い事を忘れていた。

 彼はずっとイヤホンを耳に入れているのでラジオでも聞いているのかと尋ねたら、胸ポケットから出てきたのはコンパクトな音楽プレーヤー機能付きの携帯電話だった。「この中に沢山音楽が入っているぞ」と自慢げに操作をして、曲のタイトル一覧を私に見せる。自分の名前を書くのに凄く苦労している一方で、私ですら持っていないような最新の携帯電話を使っているというこのギャップには驚くばかり。私を含め多くの人が、アボリジニと聞くと乾いた荒野のような所で質素に生活し、木の根っこを掘ってカミキリムシの幼虫を捕まえて食べたり、槍や吹き矢で狩猟をして獲物を丸焼きにして食べているようなイメージを持っていると思う。

ミンティーズ 7KB しかし、実際はエアコンがビンビンに効いた家に住み、スーパーマーケットで買い物をして、私達と同じような生活をしていたりするのである。メディアから流れ出る情報は極一部を切り取った情報であったり、それっぽく脚色してある場合が多い。世の中に流れている情報は常にそれが全てではないことを頭の片隅に置いておき、自分が直接体験してスリ合わせるのが大切だと思う。因みに、オーストラリアでは、先住民に対する人種差別や迫害の歴史から、現在ではある意味、人種隔離政策とも言えそうな保護政策を取っている。彼らの多くは定職を持たず、働かなくても豪州政府から生活補助をタップリと受けられるようだ。これに対して豪州国内では賛否両論あると聞くが、未だに根深い人種差別がベースにあり、色んなところに解決困難な課題がありそうだ。

 タックル等一式をピクー3号艇に積み込んで準備完了。キャビンからの出掛けに、ジミーはテーブルの上にあったボウルに入っていたキャンディーを大きな手で鷲づかみにしてポケットに押し込む。1個、2個持ってくなら何とも思わないが、ボウルに残っているのが僅か数個。こういった行為を見てしまうと、やっぱり顔をついしかめてしまう。聞けば、お母さんや妹が大好きなので、持っていきたいと言う。それでも遠慮ってものがあるだろう。彼が握り締めたのはミント味のソフトキャンディ"ミンティーズ"。オーストラリアやニュージーランドの人達はみんな好きとも言われるキャンディ。包み紙には、良くありそうな、ありそうでなさそうなハプニング・シーンがヘタウマのイラストで描かれている。歯にペッタリ付くので治療中の歯がある人は食べない方が良いだろう。

〜 鉄砲魚だらけのクリーク 〜


テリー 6KB 午前8時にジミーの水先案内で出船。アーチャーリバーを30分程遡り、両側が鬱蒼とした木々で覆われた怪しげな細いクリークに入る。顔の周辺を様々な虫が飛ぶので、肌の露出がないかチェックを怠らない。このクリークはカラフルな色をしたインコをはじめ、様々な鳥達が飛び交っている。水の中を覗き込むと、ベイトが沢山いる。テリーから「ポッパーを投げろ」との指示があったので、スゴイスプラッシュを取り出した。このスゴイスプラッシュは、フッキングの邪魔にならないように御自慢の立派なフェザーを取り除き、ソルト対応のフックを装着。しかも、後部フックをサイズアップして直立姿勢にチューニングしてある。こうすることにより、スプラッシュタイプのポッパーから、しっかりとした捕食音を演出できるポッパーへと変身させる事が出来るのである。

 開始早々から鉄砲魚の熱烈な歓迎を受ける。開始3分もしない内に35cmと25cmの魚を2匹連発。小さな魚がフッキングしないようにと、ポップRのラージサイズに交換したが、30cmの鉄砲魚が何のためらいもなく、バックリとルアーを食ってきた。アーチャーリバーと名前が付くだけあって、このクリークは本当に鉄砲魚が多い。テリーによると、ここの鉄砲魚とケアンズ近郊にいる鉄砲魚とは種類が違うらしい。言われて見ると模様がちょっと違うし、体格は遥かに立派。トップウォーターに何度もアタックしてくる性格は、日本にいる魚達に見習って欲しいほどだ。

 食生活がガラリと変わり、水分補給のためにコーラやレモネード、ジンジャーエールなど炭酸飲料をガブ飲みするため、のべつ幕なしにやたらとオナラが出る。毎度の事ながら豪州遠征3日目ぐらいには、ぷりぷりとオナラの垂れ流し状態になる。5日目となる今日は我ながら笑えるぐらいに絶好調で、鉄砲魚がルアーにアタックする回数とオナラの回数を比較したくなるほどだ。私のオナラに合わせてテリーも絶妙なタイミングで、オナラをするのでジミーが大笑い。余りにも私が頻繁にオナラをするので、彼はきっと、日本人はやたらにオナラをする人種だと思ったに違いない。

〜 サラトガは何処に? 〜


テリー&バラ 6KB オナラの音と同様、ポッパーの音にはこだわりを持っている。豪州遠征ではノーマルフックは使い物にならない。フックだけでなくリングも交換した上で、良い音が出せるようにアレコレとサイズを変えるのが大切なのである。非常に苦労してセッティングした経過があるイエローマジック・プラス1に交換しポッピングをしていると、狙いどおり鉄砲魚ではなく35cmのバラマンディが躍り出た。これまでの経験を踏まえ、色々と試してきてバラマンディが反応する音質がなんとなく判ってきたのだ。

 試しに私のお気に入りであるスキッターポップSSP9を投入すると、これまたバラマンディがヒット。しかもデカイ。しかし、フッキングには至らなかったので、すかさずシャッドラップSR8を投入。トウィッチを繰り返したが反応がないのでシャッドラップSR9に交換。シャッドラップSR8よりも少し深い所でトウィッチすると、70cm近いバラマンディが突然物陰から現れてパックリとルアーを吸い込んだ。タレックスの偏光サングラスを通してバイトシーンが丸見え。確実にフックアップしたハズだったが、ボート際で派手なエラ洗いをしてルアーを吹っ飛ばして逃げていった。この光景を見ていたテリーとジミーは私以上に悔しがっている。テリーは私に大きなバラマンディを釣らせたい思いから。一方、ジミーは夕食のおかずが、目の前で逃げてしまったからだ。

 本日の本命は鉄砲魚やバラマンディではないサラトガ。しかし、その気配は全くない。サラトガは何処にいるのだろうか。テリーはウィードが枯れている事に気が付いていた。彼はアチコチを指差し、枯れたウィードがある事を示す。1年中水温が高い所でウィードが枯れる要因として、塩分濃度が高まっている事が考えられる。サラトガは淡水魚なので、塩分が高い海水が入ってくると淡水エリアを求めて、ボートが進めないような上流域へと移動してしまうのだ。つまり、ウィードが枯れていれば、サラトガはそこにいない証拠。何故、塩分濃度が高まるか・・・豪州では気象変動により大幅に降水量が減り、河川の流量がぐっと減っているためだ。その分、塩分濃度が高まって汽水域が増えている。試しに水をすくって舐めてみると、確かに塩っ気を感じるのだ。

〜 ダークサイド・フィッシング 〜


テリー 4KB シャッドラップSR9で鉄砲魚を2匹追加した後、バラマンディがシャッドラップSR9に反応して顔を出した。「コイツは頂きます」って感じで、同じピンポイントにルアーを打ち込みトウィッチをする。数投しても反応がないので首を傾げていると、後ろからテリーがDDパニッシュを打ち込んで、あっさりバラマンディ(40cm)をキャッチ。「それは私が見つけた私の魚だ〜」と叫ぶと、彼はニンマリと笑う。続いて、複雑に絡み合ったブッシュの中にマングローブジャックを見つけた彼はソフトベイトを取り出した。「ジミーの晩御飯用に、うまいマングローブジャックを釣るぞ」と宣言をして、ブッシュの中にワームを送り込む。「環境ホルモンや発癌性物質が含まれている可能性が高いプラスチックワームソフトベイトは使うべきではない」と常々彼に言っているのだが、どうしても使いたいシチュエーションがあるようだ。

 直ぐに魚が反応をして、テリーがブッシュから強引に引きずり出そうとする。赤い魚が見えると思いきや、魚は水中でギラリと銀色に光った。しかも・・・デカイ。時に力任せの釣りをしなければならない状況もある。彼はフルパワーで一気にブッシュから魚を引きずり出し、オープンスペースで落ち着いてやり取りをする。この辺りの緩急の力加減は、やはり熟練のワザ。私には絶対に獲れない魚だろう。彼が腕を水中に突っ込み、抱きかかえるようにしてキャッチした魚は70cm。目出度くジミーの夕食を調達。直ぐにナイフで仕留めてビニール袋へ入れる。もちろん、この魚を見て一番喜んでいたのは、やはりジミーだった。

 シャッドラップSR9に何度もアタックしてくるバラクーダに手を焼いている間に、再びテリーがソフトベイトで50cmのバラマンディを追加。しかも、この魚は私がバラクーダの攻撃をかわしながら、ルアーを操っている時に出て来た魚。またしても彼に私の魚を釣られてしまった。"ダークサイド"へ足を踏み込んでしまったテリーは、立て続けにマングローブジャックと鉄砲魚を4匹追加。一方、甘い誘いを断固として受け付けず、"ライトセーバー"ならぬパームスEDGE EGC-606を振り回し、シャッドラップSR9を投げ続けて鉄砲魚ばかり4匹キャッチした。私が鉄砲魚を釣り上げる度に、ジミーは「また、トシのフレンドだ」と大笑い。

〜 キモはポーズの長さ 〜


ジミー&トシ 5KB 11時半、母船ピクーに戻って昼食。ハム野菜サンドウィッチを頬張り、一服してから再出撃する。午前中、ジミーが案内してくれた場所は鉄砲魚の住みかだったので、別の所はないかと尋ねると、彼が「サラトガがいる場所は知っているから任せろ」と胸をはって言い切る。向かう先は前日テリーと竿を振って、魚の反応がイマイチだったので途中でUターンしたアーチャーリバーの本流。水深が浅いので途中でスタックする可能性があり、テリーは何度も大丈夫かと尋ねる。「ボートが通れるルートを知っている」との回答だが、どうにも当てにならない感じがする。しかし、サラトガを釣るには選択の余地がないため、彼を信じて水先案内を頼む。

 前日、下流域で竿を振ったので、バラマンディがいる場所は掴んでいる。潮位も丁度良いので、午後イチはバラマンディ狙いからスタート。10分程、ピクー3号艇を走らせポイントに到着。日陰になっているマングローブのキワにリーズルアーを打ち込むと、即座に反応があった。サイズが小さかったのでゴボウ抜きをして45cmのバラマンディをキャッチ。素早くリリースとて同じポイントにルアーを打ち込むと、再び同サイズが飛び出した。これと同時にテリーはプレート入りのロングAで60cmのバラマンディをキャッチ。これを見て、ジミーが「いつもトシが釣る魚は小さいな。」と一言。このアボリジニ、私が気にしている事をズバリ言いやがった。

 リーズルアーでマングローブジャックを釣った後、私のルアーには全く反応がない状態が続く。しかし、バックシートのテリーは私が散々ルアーを打ち込んだ後からロングAで2本のバラマンディを引き抜いた。ジミーが笑いながら「トシが今、狙っていた場所だよ」と言う。またしても、このアボリジニ、私が気にしている事を言い放った。テリーに「いったい、何が違うんだ?」と素直に質問すると、「ポーズの長さの違いだよ」と教えてくれた。どうも私の釣りはテンポが早いようで、チョコチョコとルアーを動かし、ポーズも短い様子。魚を誘き出し、サイズUPをするには、もう少しポーズの時間を長めに取る方が良いとのこと。毎度、彼から指摘されているが、結局これがキモなのだ。前に進むボートの上で、次々に現れる美味しそうなポイントを見ると、つい気持ちが先にたってルアーを打ち込みたくなるのだが、もっと丁寧に、メリハリのあるアクションを心掛けるとしよう。

〜 再びジミーの水先案内 〜


陸っぱり 6KB B52で45cmのバラマンデイを追加した後、ジミーが言うクリークを探して川を遡る。案の定、水深は浅く、メインチャンネルに沿って、蛇行しながらボートを進める。途中、分岐点が何本もあり、進路を間違えて大きく2度Uターンをする。さらに遡ると、場所によってはチャラ瀬になってしまうような場所がアチコチに出て来た。「本当に大丈夫か、ジミー?」テリーと私が同時に、ジミーを見る。メインチャンネルもいよいよ途切れ、辺り一面に瀬が広がる。ここでテリーとジミーが船を降り、私が乗る船を押す。まるで私はお殿様状態。申し訳なくてなんとなく気持ちが落ち着かない。

 時折、船底を擦りながらも無事に瀬を切り抜けた。更にボートを進めると、怪しげなクリークの入り口が左手に見えた。とても狭いクリークで両側から鬱蒼とした樹木が覆い被さってきている。クリークに入って直ぐ、ボートの真下に70cmUP確定のバラマンディを発見。軽く後方に向けてシャッドラップSR9を投げ、トウィッチをするとボートの真横で、食ってきた。ルアーが口の中に吸い込まれる瞬間が丸見え。思わず力が入って、フルフッキング。するとバラマンディがその巨体を水面上に跳ね上げ、ボートの真横で強烈なエラ洗いを3連発。その激しさは、ジミーが思わず後ろにのけぞるほどのド迫力。ルアーは口から外れ、空しく中を飛んだ。これには本当にガックリ。思わずその場に座り込む。

 太い倒木が進路を塞ぎ、ここからは陸っぱり。ウィードがチラホラ見えるので、淡水域であるのは間違いないのだが、いかんせん水深がない。少しブッシュウォークをするとビラボンを発見。しかし、ここの規模は余りにも小さく水溜り状態。可愛らしい鉄砲魚はいるのだが、ルアーに飛び出るようなサイズの魚は不在でお手上げ状態。このエリアは一度干上がっているのではないだろうか。結局、ジミーが紹介してくれたポイントは全く釣りにならずギブアップ。彼を当てにしたこちらが悪いのかもしれないが、どっとテンションが下がって帰路につく。

〜 河口域でのフィッシング 〜


トシ&バラ 4KB 午後3時半、母船ピクーに戻ってジミーとグッバイ。気分を変えて、テリーと2人で河口エリアを目指す。狙いは、バラマンディとボイルしているであろうGT&クイーンフィッシュ。要所要所でキャストを重ねバラマンディが潜んでいるポイントを探す。マングローブの枝葉が垂れ下がっている所で、B52が突然吹き飛ばされ、バラマンディが見事に空中1回転。この1匹がきっかけとなって連荘モードに突入した。ヒイラギのようなベイトを吐きまくった61cmのバラマンディをキャッチした後、同じポイントから50cm〜55cmのバラマンディを3匹と40cmのマングローブジャックを抜き上げた。

 魚がいる場所と、いない場所がはっきりと分かれており、釣れる場所は短時間に入れ食い状態となる。今日は青い葉が茂ったマングローブの枝が張り出して、日陰になっている場所が良い感じ。同じような景色を探して、マングローブに沿ってボートを流す。すると周囲には生臭いような、何か腐っているような、ほんのり甘いような例えにくい香りが漂ってきた。私やテリーのオナラの臭いではなく、メラルーカの花の香りだ。この香りを嗅ぐと、昨年のレイクフィールドでのキャンプ&フィッシングを思い出す。レイクフィールドではトップウォータールアーが大活躍。90cm前後の魚も出て、とても楽しかったのだ。今回の遠征は、90cm程度は余裕かと思いきや、サイズ的には相当苦戦している状況。残念ながら、デカバラが私達の射程距離に入ってこないのだ。

トシ&バラ 5KB 河口域の釣りで注意しなければならないのは、サンドフライの攻撃。ホコリのように小さな黒い虫が、目の前をチラチラ飛んでいたら要注意。ここでも飛び始めたので、急いで虫除けスプレーを肌の露出部にタップリかける。このケシ粒みたいな小さな虫のやっかいな点は、刺された瞬間が判らないこと。しかも、時間が経ってから痒くなり、その痒みが何日も続き、刺された跡が数ヶ月も残ってしまうのだ。先輩諸氏の海外遠征釣行記を拝見すると、Tシャツ・短パンスタイルで釣りをしている写真を時々拝見するが、私にはそんな格好で釣りをする度胸はない。

 サンドフライの餌食になったRIEさんの美脚写真(A place to stay)は必見なのである。これには学ぶべき点も多いと思う。新婚旅行で釣りに行く時は、自分の事だけでなく、お嫁さんの事を忘れずに。お蔭様で私は何度も刺されている内に免疫が出来て、以前ほど酷くはならなくなった。しかし、地域によってサンドフライの種類が違うのか、刺されると痒みがとても長引くヤツがいる。ここのサンドフライがそうではない事を祈りながら、顔の前に飛んでくる虫達を追い払う。

〜 夕マヅメの一勝負 〜


夕日 2KB 午後5時、満潮に向かって水位が上昇し、マングローブの根がすっかり水没。パタリとルアーに反応がなくなってしまった。魚達は複雑に絡み合った根っこの中に入ってしまったようだ。時間一杯まで諦めず黙々と竿を振っていると、ボート直下に大きな砂煙が上がった。注意深く水中を見ると大きなシャベルノーズ・レイが泳いでいた。これまでの豪州遠征では数々のエイを見てきたが、シャベルノーズは初めて見た。SF映画の大作、海底2万マイルに出て来たノーチラス号みたいでとても格好が良いのである。成長すると3m近くまでなるようだが、そんな魚と綱引きはしたくないのでルアーを投げる手を少しの間休めた。

 小さな鳥山を見つけたのでボートを走らせる。開始早々にテリーがメタルジグでクイーンフィッシュ(40cm)をキャッチ。しかし、入れ食いって感じではなく、メタルジグですらアタリは散発的。私はスキップジャッカーをブン投げ、ハイスピード・リトリーブを繰り返すがワンバイトあっただけ。重たい思いをしてワザワザ、ボックスの中に突っ込んできたルアーなので是非ともこれで釣りたいのだが、どうにもこのルアーは"困ったちゃん"なのであった。

ワニ 6KB 太陽が傾き、納竿時間が迫ってきたので、最後の望みを賭けて大胆に河口湾内を横断。数万匹はいると思われるコウモリの大群が飛び回っている島の周りで竿を振ってみる。因みに、樹上を棲家とし、翼を広げれば1mを超えるこのオオコウモリは、豪州ではフライングフォックスと呼ばれている。顔つきがキツネそっくりなのでこのように呼ばれ、ユーカリの花の蜜を舐めたり樹木の果実を食べているようだ。

 島周りは水中からマングローブの根がスパイクの針状にニョキニョキ立っている。このシャローエリアでタイドミノーLDを試すと56cmのバラマンディが飛び出した。これは"新しいパターン"かもと、丁寧に探ってみると、同サイズが2連発バイト。しかし、フッキングには至らない。最後に旧タイドミノー・スリムSRを投げ倒したが反応なし。このエリアは、明日以降の釣りで再び攻める事にした。

 サイモンが仕掛けておいてくれたカニ籠を引き上げに行く。途中、3m弱の白い腹を上にして死んでいるクロコダイルを発見。こんなのが水の中に潜んでいるかと思うと少しビビルのだが、間近でワニを見る機会は極めて少ないのでボートを寄せてもらい、じっくり観察する。外傷はないようだが、きっと明日にはマッドクラブの餌になっていることだろう。


〜 マッドクラブパーティーはお預け 〜


夕食 4KB 丸いオレンジ色のフロートを目印にボートを走らせ、カニ籠を引き上げる。「今日こそは、マッドクラブを食べたいぞ」と言いながらロープをたどれども、私の祈りは天に届かず籠の中はカラッポ。1匹も入っていないなんてガックリ肩を落とす。今宵もマッドクラブパーティーはお預けなのである。「新月はダメなんだ」と言いながらテリーが放り投げたフロートが、運悪く私の足の上に落ちた。フロートと言っても、発砲スチロールのような軽いタイプではなく、漁業用の本格的なヤツで子供や女性が使うボーリングの玉ぐらいの重量がある。一言も発せないまま、その場にうずくまり涙目に。カーペンタリア湾に沈もうとしている夕陽が滲んで見えた。


 午後7時過ぎ、母船ピクーに帰還。サイモンに釣果報告をしながら、彼が作ってくれたフィッシュカレーをパクつく。魚はもちろん、バラマンディ。この魚は白身のクセがないので、どんな料理に使ってもOKなのだ。テリーがサイモンに、「バラマンディが釣れる度に、トシは釣りを中断してメモ書きをしている。これでは活性が下がってダメなんだ」と話をしている。ピンポイントで沢山の魚を釣るコツは、バラマンディの活性を下げないようにルアーを打ち続け、魚にルアーを追わせる事。それは十分知ってはいるが、数少ない釣行で大ベテランのテリーに少しでも追いつくためには、データの蓄積が大切なのだ。人間の記憶なんて、時間が経つにつれて曖昧になり大切なことを忘れたり、強く印象が残った事しか覚えていなかったりする。経験不足を補うためにもメモ書きは必要なのだ。

 食後、シャワーを浴びていると、突然背中にシャワーヘッドが落ちてきた。これまた不意打ちをくらって痛さもに輪をかける。海水を脱塩処理した水を使っているので、金属の接続部分が腐食しやすいのだろう。理由はともあれ、重たいフロートが足の上に落ちたりと、「結局、今日はこんな日なのかぁ〜」と思ってしまう。一方、テリーは体調が芳しくない様子。気持ちが悪くて吐き気がして、お腹も下り始めたらしい。残り2日間、釣行が残っているので今宵は早く寝てもらうしかない。

 しかし・・・彼は後部デッキでいつの間にやらポッパーを投げていた。間もなくブルーサーモン(50cm)を1匹キャッチ。トイレに行った時、魚の気配を感じたらしい。いったい何処まで彼は釣り好きなんだ!? サイモンもキャストを始め、私も参戦。暫くTDポッパーを投げまくったが反応がなく納竿。運動後は濃厚なアイスクリームに粉チョコをたっぷりトッピングしたチョコレートサンデーをいただく。時計を見れば午後10時、甘い物を胃袋に納め幸せな気分になってベットインした。


5日目の釣果結果

TOSHI

TERRY

バラマンディ

10

7

バラクーダ

1


ブルーサーモン


1

マングローブジャック

2

1

クイーンフィッシュ


1

鉄砲魚

9

4



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