オーストラリア国旗 2KB

バラマンディ・フィッシング]Y
念願のマッドクラブ

酔っ払い 6KB
アルコールが入って絶好調のトシ&サイモン

擬似餌の玉手箱>豪州バラマンディ・フィッシング>'09/9遠征


'09/9/23(水)

〜 赤い砂嵐レッド・ダスト 〜


朝食 5KB テレビニュースを見ながら朝食を食べる。今朝は、ぶどうパンをカリカリに焼いてバターをたっぷり塗ったトーストと、ミルクとハチミツを注いだシリアル。トッピングは・・・トローリング用ルアー のCLASSIC BLUEWATER F18。朝からアホな事をやっているが、男3人が一つ屋根の下に生活しているので、いつも笑いは必要なのである。CLASSIC BLUEWATER F18は、全長20cmある豪州のルアー。日本では間違いなくビッグベイトなのだが、彼の地ではこの程度のルアーが極普通に使われている。初めて見る時はそのサイズの大きさに驚くのだが、見慣れてくると何ら違和感がなくなるから不思議だ。狙う魚は大きく、その餌となるベイトも大きいので使うルアーが大きくなるのは当然の話。キャスティングは困難なのでトローリングが主体。これにより、使うタックルは日本のルアーフィッシングのタックルとは全く違う方向に進化しているようだ。

 テレビからは、ちょっと驚きのニースが流れていた。豪州大陸内陸部の砂漠地帯から砂が舞い上がり、大都市が集まっている東海岸に押し寄せているとの事。日本では、中国大陸から飛んでくる黄砂が春にあるがこれと似ている。しかし、違うのは黄色い砂ではなく、鉄分を含んだ赤い砂(レッド・ダスト)であることと、その押し寄せている砂の量。豪州東部では、冬の間は海から吹く東風なのだが、夏(春)になると内陸部から吹く。風向きの変化は季節の変わり目を伝える自然現象で赤い砂も多少は飛ぶのだが、今回の規模は過去70年で最悪・最大の砂嵐とのこと。東海岸は砂嵐に見舞われ、航空便にも影響が出ているだけではく、呼吸不全で病院へ運ばれる人も出ているらしい。もともと内陸部は乾燥した大地なのだが、ここ数年の旱ばつが影響し巨大な砂嵐が起きたようだ。自然現象というより、ここまでくると自然災害になってしまう。

 豪州の自然災害と言えば、日本のメディアでも時々流れる山火事がある。乾燥した大地でも生息できるユーカリは、枝葉に揮発性のユーカリ油を沢山含んでおり、簡単に火がつくらしい。テリーに言わせると、ガスコンロに火を付けた時のように 、一瞬にしてボッ、ボッ、ボッと樹木の上部に火が付き燃え広がるとのこと。樹上が燃え広がってから火事である事に気が付くため、人々は逃げ遅れて多くの死者を出すのだそうだ。観光地で有名なブルーマウンテンズは、太陽光がユーカリの樹海から蒸発する油分が含まれる空気の層を通過して一帯が青く見える事で知られる。ここで大火事が度々発生しているのは同じ理由によるのだ。火の元は自然発火か観光客などのタバコの投げ捨てによるらしい。

〜 ミスキャストの連発 〜


トシ&バラマンディ 6KB 7時半に出船。一気に下り河口付近のマングローブ林の根際へ向かう。シラサギが集まっている場所を見つけたので、船首を向けて静かに近づく。水位は低く、場所によっては確実に船底がタッチしてしまうようなエリアが広がっているため、スタックしないように注意を払いながら進む。スタートは、イエローマジック・プラス1から。開始早々から激しいバイトがあったが空振り。即座に同じ場所へルアーを入れるとドカンと出た。朝イチから狙いどおりに事が進むというのは本当に楽しい。

 周囲をシードライブGスプラッシュ80で探るが反応はない。続いて、昨夕見つけた数万羽のコウモリが巣くっている島周りへ移動する。マングローブの根がスパイク状に突き出しているエリアは干上がっていたため、付近の少し深い場所をTDポッパーで探った後、ベイスカッド128Fでチェックする。すると、かなり力強い明確なアタリが竿を持つ手に伝わった。一気に巻きアワセをしてフッキング。バラマンディなら直ぐに水面を割って出るのだが、底へグイグイ引き込むファイト。魚種が判らなかったので慎重に対応していると、いかつい顔をしたマゴチ(50cm)が浮いてきた。2匹目を狙ったが反応はなかったが、周囲には25〜30cmのクロダイが群れていた。ここで、すかさずルアーを交換。私はクレイジークレイドル、テリーがマンズのストレッチS5+を試したが不発に終わった。

テリー&バラ 5KB 周囲に家はないのに、何故か岸際にポツンと郵便受けが立っているクリークを進む。このクリークでは倒木周りにマングローブジャックやクイーンフィッシュがウロウロしているので、気合を入れてキャストを繰り返す。マゴチを釣ってボロボロになったベイスカッド128Fではサイズが大きいようなので、途中からX-80トリックダーターに交換。テンポ良く探るが、このルアーとも違うようだ。テリーがDDパニッシュでストラクチャー周りを攻めると、58cmの元気なバラマンディがルアーを咥えた。まだ魚がいるようなので、素早くリリースして2匹でピンポイントを攻める・・・そのつもりが、いきなりテリーがミスキャストでルアーを引っ掛けた。ボートを寄せないと回収できそうにないので置き竿にして、彼は予備のタックルを持って再びキャスト。そうしたら、再び同じ場所にルアーを引っ掛けた。彼は体調がイマイチ本調子ではないので、集中力が下がっているようだ。

 「大丈夫かぁ、テリ〜!!」と半分冷やかしながらルアーを放つと、見事に私のルアーもスタック。1つの枝に3つのルアーが引っ掛かった。狙っているポイントから2本のラインが伸びているので、非常にテクニカルなキャストが求められていたのは事実だが、魚を釣るにはもっと高い精度のキャストをしなければならないだろう。もちろん、私ももう1セット・タックルがあるので、これを置き竿にしておけば竿は振れるだろう。しかし、3本もラインが張られているポイントで魚を掛けたら、どんなトラブルが発生するか容易に想像出来る。結局ボートをストラクチャーに寄せてもらい、サンダーバードのテーマソングを口ずさみながらルアーを回収。バラマンディが房なりに巣くっていたかも知れない一級ポイントを潰した。

〜 "マッチ・ザ・ベイト"って本当!? 〜


ベイト 5KB マングローブの根際を狙っているとテリーがDDパニッシュでバラマンディ(64cm)を掛けた。この魚は口から小魚を何匹も吐き出しながらエラ洗いをして激しくファイトする。結構な数の小魚を食べているくせに、ルアーまで口にしようとするのは凄い。水面に浮いてきた小魚を素早くすくい上げて、じっくりと観察する。サイズを測ると3cm〜6cm。テリーに魚の名前を聞くと、"グラスミノー"だと言う。多分、体が透き通っているからこのような名前が付いているのだろう。バラマンディが捕食しているのは、思いのほか小さい魚なのである。一方、DDパニッシュのリップを除いたボディサイズは9.5cmであり、食われていた小魚より遥かに大きい。このような事例が度々あるので、「"マッチ・ザ・ベイト"って本当なのか?」と疑問に思う事がある。魚達は、きっとその時その時で、食べやすいベイトを捕食しているのだろう。従って、ルアーアクションでも食べやすい"間"をあえて演出してやると効果的なハズ。

 テリーに右ならえで、使っていたアスリートS9からDDパニッシュに交換し、彼と同じようにマングローブの根際を狙う。するとマングローブの太い根にやたらと引っ掛かるようになった。しかも、複雑に絡み合った根っこの奥の方。昔から気になってはいるのだが、DDパニッシュはルアーが水中に打ち込まれた際、他のルアーと違って水中でスライドするように流れる気がする。ストラクチャーの奥へルアーが自動的に入って行くので、潜んでいる魚を釣りやすいのだが、その反面、自分が思っている以上に奥深くに入るため根掛かりが増えるというリスクが伴う。シュガーディープの場合、キャスト直後の根掛かりというのは少ないので、こちらの方が安心して使えるのだが、使っているフックハンガー(エイト環)が細くて小さく華奢なので直ぐに変形する。しかも、ここから内部に水が入りトラブルを起こすことが多々あるので、近年は竿先にぶら下げる機会が減ってきている。この部分を強化するマイナーチェンジをメーカーがやってくれたら、豪州で相当人気が出るハズだ。

 全体的にフラットシャローなクリークでテリーがロングAを使い、気難しいクロダイと遊んでいる。ここ数年、日本国内ではクロダイ、キビレが新たなターゲットとして注目されているが、豪州では遥か以前からルアーやフライのターゲットとして認知されていた。このようなベースがある中で、日本の小さくて優秀なルアーが豪州に広まるにつれて、クロダイ釣りにおける日本のルアーが非常に注目されているのは事実。オーストラリアン・バスでも日本のルアーが活躍する場面が多いと聞いている。大雑把な作りで良い大き目なルアーはチャイニーズルアーに任せ、お家芸ともいえるスモールサイズのルアーを主体に豪州で販売展開をすれば、まだまだシェアは伸びるに違いない。

〜 本家の面目躍如か!? 〜


クロダイ 5KB 私のリーズルアーに巨大なロング・トム(ダツ)が何度も襲い掛かったが、フッキングには至らなかった。魚はいるのだが、釣果が上がらないため、このエリアから出て、遠くに見えた鳥山へ船を走らせアボリジニの小屋がある岩場エリアの前で竿を振る。テリーがフライでクイーンフィッシュ(60cm)をキャッチした後、メタルジグで50cmを2匹キャッチ。彼のメタルジグにはバイト連発なのだが、この間、私のローリングベイト77にはワンタッチもない。リトリーブスピードを変えたり、カウントダウンをしながらリトリーブする層を変えたりしたのだが、このありさま。アレコレ試している間に群れは移動してしまい周囲は沈黙。20分程のチャレンジだったが、メタルジグの威力を見せ付けられっぱなしの状況は、深く私の脳裏に刻まれた。

 母船ピクー近くに移動し、マングローブ際を攻める。X-80トリックダーターに60cmUPのバラマンディがヒット。ボート間際で2回の派手なエラ洗いをしてルアーを吹き飛ばして逃げていった。やはりバラマンディ釣りの醍醐味は、間近で見るこのド派手なエラ洗い。ルアーを見事に吹き飛ばす様は、敵ながらアッパレだ。テリーはすかさずX-80SWにルアーを交換し、私がヒットさせたポイントにルアーを打ち込むと2連発バイト。しかし、フッキングには至らず、魚は消えうせた。

 ストラクチャーフィッシングがメインとなるバラマンディ釣りだが、気晴らしに反対側の何もない方へアスリートS9をブン投げてトウィッチをしていると、突然ルアーをひったくられた。クイーンフィッシュかトレバリーかと思いきや、60cmのバラマンディ。やはりアラクンのバラマンディは、何もないフラットなエリアをスクールしているヤツがいるようだ。テリーがビーフリーズのコピールアーであるエクスキャリバーのXt3トウィッチベイトを使い50cmを仕留めたのを見て、すかさずアスリートS9から本家のビーフリーズSに交換。1投目で55cmをキャッチ。続いて、25cmのクロダイも釣り上げて、本家としての面目躍如か!?

ファイティング中 3KB しかし、豪州においては、どちらが本家か判らなくなっている感じがする。ケアンズ市内のタックルショップでは、ビーフリーズの価格がA$32.95であるのに対し、エクスキャリバーは2ドルも高いA$34.95で売られているのだ。因みにエクスキャリバーはサミーのそっくりさん、ジミーを作っているメーカーでもある。ネーミングからして明らかに確信犯であるが、若干、細部のデザインが異なっておりオリジナル性をさりげなく主張していたりする。

 これまで試していなかった新たなクリークに入り、様子を伺うことにした。先ずはクリーク入り口のディープエリアにビーフリーズSを落とし込み、反応を見るが魚信はない。船を進めていると、高速で泳ぎ回る魚の群れを発見。すかさずフライタックルを手にしてキャストを始めたテリーが、クイーンフィッシュ(40cm)をキャッチ。私のCCプレデターにも数回アタックがあったのだが、フッキングには至らない。回遊性の魚は、直ぐに何処かへ姿を消してしまうため、深追いはせず地道な作業を繰り返すマングローブ際狙いに戻る。1か所だけ小さなベイトの群れが集まっている場所を見つけたので、ビーフリーズSを打ち込むとバラマンディ(60cm)が出た。これとは別に数匹の魚がルアーを奪い合うように顔を出したので、即座にフォローを入れる。再びビーフリーズSで同サイズをキャッチ。更なる追加をするため同じポイントにルアーを打ち込むと、25cmの鉄砲魚が飛び出した。

〜 突然の訪問者 〜


海上警察 5KB エンジン音を響かせ、こちらに近づいてくる船があった。丁度、魚の食いが立っている時なので、「嫌なタイミングの訪問者だなぁ」と思いつつ竿を振る手を止める。近づいて来たのは洋上パトロールをしている制服2人組み。ワッペンを見ると1人がPoliceで、もう1人がQueensland Boating and Fisheries Patrol。挨拶を交わした後、1人がこちらの船に乗り込んできた。彼は必要な書類と装備品の保管状況を時間をかけてチェック。ライブウェル内を覗き込んでレギュレーション違反の有無を確認、バラマンディのクローズド・シーズン(25/Sep/2009)を示しながら私達の滞在期間を聞き取る。

 よっぽど暇なのか、随分ジックリ時間を掛けて検査するが、このようなチェックは、カルンバで釣りをした時にもあった。私自身は違法行為をしている自覚はなくても、ガイドが法を破っていればアウト。日本と違って、豪州では違法行為に対して非常に厳しく対応するため、彼らのチェックを受けるのは結構ドキドキするのである。

料理人サイモン 4KB パトロール2人組のチェックは問題なくパス。案の定、活性の高かった魚達は、何処かに消えうせてしまいルアーを打てども反応はない。丁度、お昼の時間になったので母船ピクーへ戻る。今日の食事は、普段生活しているフロアの上にあるバーベキュー・デッキで。サイモンが常設されている鉄板に油を引き、料理の準備を始めた頃、聞き覚えのあるエンジン音がする船が近づいてきた。音のする方を見ると、「また、あなた方ですか〜」って感じ。

 これから昼飯だというタイミングでパトロールをするのは、悪いヤツラを一網打尽にするために効率が良いからなのだろうか。彼らは母船ピクー船内を調べ始めた。航海日誌や点検整備記録のチェック、安全装備品の確認など、じっくり時間を掛ける。幾つかあった指摘事項はシートに書き込みサイモンに渡す。高圧的な態度ではないため威圧感はないのだが、"不適切な事は見逃さないぞ"という鋭い視線で検査をする姿はちょっと格好良く見えてしまった。

〜 豪州人の食習慣は 〜


昼食BBQ 5KB 一通りチェックが終わったので、雑談を交わして彼らとはグットバイ。クソ真面目な顔をしていたサイモンがにこやかになり、ステーキを焼き始めた。食欲をそそるイイ匂いが辺りに漂い、お腹が一段と減る。数分後、テーブルに出されたのは1つのお皿に盛られた焼肉定食。今回も私のためにご飯を用意してくれた。しかし・・・お茶と味噌汁がないのである。やっぱり汁物が欲しいというのが率直な気持ちなのだ。テリーのお宅で食事をさせてもらう時があるが、これまで汁物が出て来た記憶がない。豪州人は、汁物を一緒に摂る食習慣がないのだろうか。

 テリーとサイモンに、つたない英語を駆使し、身振り手振りをしながら日本の食事を説明する。お茶碗にご飯をよそって、お椀にお味噌汁を入れて、お皿におかずがのって、お茶と漬物があるんだと。ケアンズ市内のスーパーに行けばグリーンティーや味噌は売っているようだが、量が多く小さなパックがないらしい。私以外に日本人客はおらず、今後も予定はないため購入は諦めたようだ・・・と言うことで飲み物は、毎度コーラなどの炭酸飲料になってしまうのである。ご飯とコーラは、とてもミスマッチなのだ。

フィンガーマーク 4KB 午後1時半、午後の部がスタート。母船ピクーから少し南下したところにあるクリークに入る。開始5分、ビーフリーズSでバラマンディを掛けたが、マングローブに潜られてフックオフ。直ぐにテリーがX-80SWで魚を掛け、同じようにマングローブに潜られた。しかし、彼は上手に魚を誘導し40cmのバラマンディをキャッチ。プロとアマチュアの違いはこんなところにも現れるのだ。このクリークの魚達は、マングローブの根がタコ足のように盛り上がり、柵状になっている所に付いている様子。引っ掛かる事を恐れずに根と根の間にルアーをバンバン打ち込むと、魚が反応するので面白い。キャスティングの精度が低いと、こんな楽しい事は味わえないのである。

 テリーはX-80SWで55cmを追加。一方、私はビーフリーズSでバラマンディを追加した後、トリックダーターで2匹ロスト。定番ルアーのシャッドラップSR9には反応がないのだが、トリプルインパクトTP0012には様々な魚がアタックする。トリプルインパクトで釣れたのはブラシートレバリー(25cm)。魚は良く反応するのだが、フッキングに難があり、何度も悔しい思いをした。このクリークではビーフリーズSでフィンガーマーク(35cm)を釣って打ち止め。ビーフリーズは魚種を選ばず、良く釣れるルアーであることを再確認した。

〜 爆裂!! アスリートS12 〜


マングローブジャック 5KB 午後2時半を回り、ボートデッキは目玉焼きが焼けそうなくらい熱くなっている。これまで裸足でいたテリーは、さすがに堪らなくなってクツを履いた。こんな状況なので、魚が沈んで今まで使っていたルアーにパタリと反応がなくなった。何か使えるルアーはないかとボックスの中を覗き込んだ時、ふとアスリートS12が目に留まった。これまでの遠征ではシンキングルアーの出番がなく、ボックスに入れてくる事はなかったのだが、アラクンの釣りについての事前情報が全くなかったので、もしもの時にと、お守りのつもりで持ってきてあった。

 「試しに使ってみるかっ」って感じで、使ってみたらビンゴ。今まで何の反応もなかったポイントで突然、70cm前後のバラマンディがルアーに襲い掛かる。口の中にスッポリとルアーが入ったのが確かに見えたのだが、次の瞬間には吐き出された。この間、竿を持つ手は何のアタリも感じず唖然とする。これまで結構な数の魚を釣ってきたが、アタリがあったと感じているのは極一部で、実際は今回のように感じる事が出来ないようなバイトが沢山あるに違いない。


テリー・ルアー 5KB 即座にルアーを回収して、同じポイントに打ち直すが反応はない。大型のバラマンディは一発で決めないとダメなのか。まだ何処かに潜んでいるハズなので、周囲を丁寧に探っていると、赤い魚体がアスリートS12に突進し、直ぐに反転して込み入ったマングローブの根の中に潜り込んだ。フルパワーで魚を引きずり出したが、ハードな綱引きが始まった。竿先がギュンギュンと水中に引きずり込まれるほどのパワーに耐えようと歯を食いしばる。明らかにバラマンディよりもトルクがある引きをしたが、暫くして50cmもある色鮮やかなマングローブシャックが浮いてきた。横着をしてアスリートS12のフックを交換していなかったため、グニャグニャに変形。即座にガマカツのトレブルRB MHに交換した。

 続いて、小さな橋があるポイントで60cmのバラマンディと鉄砲魚を追加。他のルアーには反応しないのに何故かこのルアーは大当たり。これにはちょっとテリーも驚いている。彼もアレコレとルアーを交換し試したが、このエリアの魚達にはアスリートS12がとても美味しそうに見える様子。ボートを流しながらマングローブの根際を打っていくと、50〜60cmのバラマンディが次から次へと反応しルアーを咥える。しかし、キャッチ出来たのは僅かに3匹。80cm近いヤツがルアーを咥えた時には、その激しいファイト耐えられず見事にフックオフ。魚を掛けたのは良かったのだが、私の腕が未熟で釣り上げる事は出来なかった。

〜 バラシまくり病を発病 〜


トレブル゜RB-H 4KB どうやら"バラシまくり病"を発病してしまったようだ。私がデカイ魚ばかり逃しているので、久しぶりにテリーの頭には血が上っている様子。「トシ、何年一緒に釣りをしている!!」「なんで、デカイ魚ばかりバラすんだ!!」などなど、散々な言われよう。もしこれが、彼による最初のガイドサービスだったら、相当凹んでいたに違いない。魚をバラシた上にガイドから怒られるのは流石に辛い。

 回収したルアーのフックを見ると、トレブルRB MHが伸ばされている。やはり、トレブルRB H以上のクラスでないと豪州遠征では安心できないのだが、魚を次々にバラシた原因はフックではなく別のところにあるハズ。マングローブジャックのような魚は、ガッチリとルアーに噛み付くのでフッキングしやすいのだが、バラマンディのような吸い込み系の魚は、フッキングに至らないことが多い。魚のサイズが大きくなると口の回りも硬く、フッキング動作もキッチリとやるべきだろう。それと、伸びのないファイヤーラインに、メインで使っているガチガチのパームスEDGE EGC-666の調子も気になるところだ。

 このエリアのバラマンディには、アスリートS12が非常に有効であることがハッキリした。テリーもこのルアーをマジマジと見て「グッドルアーだ」と言う。日本では今や、スリムミノーやリップレスミノーが主流となってしまったが、アスリートS12K-TENのようなセッパリ系のルアーが釣れなくなって、世代交代をしたわけではない。ちゃんと使えば昔と変わらない釣果をもたらすに違いないのだ。更なる追加を求めて、大型のエイがウジャウジャとうごめいているクリークを進む。シャローとディープを次々に繰り返すこのエリアでヒットしたのはバラクーダ。虎の子のアスリートS12が持っていかれないように、慎重にキャッチ。デッキ上で暴れまわる魚が大人しくなるのを待って測ると60cmあった。

 終了時間まで1時間を切り、テリーから「あと1か所だ」と声が掛かる。本流とクリークの合流点に陣取り、クリークに入ってくるベイトを待ち受けているであろうバラマンディを狙い打つ事にした。ボートポジションを確保し、アスリートS12を投げると68cmがドカンと出た。続いて、テリーがロングAで65cmをキャッチ。魚はまだいそうなのでアスリートS12を打ち込むとバイト連発。良型2匹に強烈なヘッドシェイクで逃げられる。テリーにも私の"バラシまくり病"が伝染し、70cm近い魚をロストした。

〜 念願のマッドクラブ 〜


マッドクラブ 5KB 「ラスト1投だ」と言いつつ、その後、スペシャルサービスで3か所も回ったがノーバイト。何だか尻切れトンボで終わってしまったので、夕陽を見ながらションボリする。釣りが出来るのは残り1日しかないのだ。母船ピクーに戻るとサイモンが満面の笑みで私達を迎えてくれた。彼は「トシに見せたいものがある」と言いながら、何やらバケツの中から取り出した。ついに念願のマッドクラブをゲットしたのだ。しかし、カニ籠に入っていたのは、片ツメの1匹だけだったらしい。ここに来れば、山ほどのマッドクラブが食べられるかと思いきや、現実はやはり甘くはなかったのだ。

 缶ビールを飲みながら塩を被っているリールを水で流し、ルアーも一緒に塩抜きをする。一日中、竿を振っていて疲れているので、なんとなく面倒なのだが、ほんのちょっとした手間が、トラブルを未然に防いだり、タックル類を長持ちさせることが出来るのだ。私がタックルメンテナンスをしている間、テリーはキープしたバラマンディとマングローブジャックをさばき、夕食の下ごしらえをする。一方、サイモンはマッドクラブの料理に取り掛かる。腹に包丁を差し込んで締めた後、甲羅を外して足を切って解体する。大鍋に海水を入れ、ビネガーと砂糖を加えて10分間ボイル。茹で上がった後は、冷蔵庫に入れて冷やす。冷蔵庫に入れる理由は、味を染み込ませるためらしい。

マッドクラブ 6KB 午後7時半に夕食。まずテーブルの上に出て来た料理はマッドクラブの大きなツメ。スプーンの凸部を使って、手首のスナップを効かせて叩いて硬い殻を割る。待ちに待ったマッドクラブの味は・・・正直言って、あんまり美味しくなかった。ちょっとガッカリ。決して泥臭いワケではないのだが、残念ながら味に深みがない。2007年11月の遠征、カルンバで食べたマッドクラブはもっと味わいが深く、食べた時に幸せな気分になったのだが、今回はそれがなかった。それに比べて、驚いたのがマングローブジャックのフライ。

 普段、胃もたれ防止とメタボ対策で、油物は殆ど口にしないのだが、一口食べて「これ、うめぇ〜」と声が出た。次々にフライを口に放り込み、ビールでグビリと喉を鳴らす。続いて、出て来たのは山盛りのマッシュポテトとラム肉のTボーンステーキ。そして付け合せにグリーンピース。ご飯のかわりがマッシュポテトなのだが、やっぱりこれは、お米の方が良いと思うのは日本人だからか。

〜 夜釣りに出撃 〜


 食後のデザートはアイスクリーム。サイモンはハチミツをたっぷりと掛けて出してくれた。アイスクリームのトッピングにハチミツとは甘さ2倍・・・これもまた美味しくて大満足。豪州遠征後は、体重が2〜3kg増えているに違いない。一服してから夜釣りに出掛けることになった。時計を見ると午後9時近い。最小限のタックルを船に乗せ、4ストロークエンジンのヤマハ60を始動。真っ暗な河口域にエンジン音が響き渡った。岸との距離を保ち船を進める。ヘッドライトで照らすと、アチコチに光る目がある。ワニの目がライトの光に反射しているのだ。日中、釣りをしている時はワニの存在を忘れているのだが、結構な数が生息していることにちょっと驚く。

 竿を振るエリアは、アボリジニのボロ小屋があるロッキーエリア。全体的にシャローで正面は岩場地帯。暗闇の中、どれくらいの位置に岸があるのか距離感が上手くつかめない。うっかり岸に投げてしまうとルアーを回収できなくなる可能性もあるため、注意しながらロングAトリプルインパクトを試す。魚探を使って水深をチェックしながら船を進めるが、魚の姿は全く映らないようだ。余りにも無反応。突然、睡魔が襲ってきたりして、テンションも一気に下がる。3人で1時間半、竿を振ったがワンタッチすらない。

 ギブアップ宣言をして納竿し、母船ピクーに船首を向けた。しかし・・・真っ暗な広大な河口域で、こともあろうか迷子になった。なんと目指すべき母船の位置が判らなくなってしまったのだ。暫く河口内を走り回る。30分ほどウロウロして、やっと遠くに母船のデッキライトの明かりを見つけた。全速力で走り出すと、突然激しい衝撃があり体が前につんのめった。浅瀬で座礁したのだ。テリーとサイモンが船を降り、危険なエイやワニが潜んでいる水中を歩いて、水深のある場所まで船を引く。彼らが動くと水面が怪しく光る。夜光虫が発生しているのだ。テリーによると、夜光虫が出ていると魚は釣れないらしい。結局、シャローエリアを大きく回避してやっとピクーに到着。どっと疲れて、11時半にベットインした。



6日目の釣果結果

TOSHI

TERRY

バラマンディ

10

6

バラクーダ

1


マゴチ



クロダイ



クイーンフィッシュ


4

鉄砲魚



マングローブジャック



フィンガーマーク



トレバリー





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