バラマンディ・フィッシング]]T
怪しげな東洋人の登場

水際注意 10KB
ワニがいるので水際は危険ですよ。


擬似餌の玉手箱>豪州バラマンディ・フィッシング>'13/9遠征



'13/9/21(土)
〜 デントリーリバーにGO!!


朝食 10KB 早朝5時半に起床。外はまだ暗いが目が覚めてしまった。夜中は寒くて凍え、布団の中で丸まって寝ていた。ケアンズは年中、暖かいと思っている人も多いのだが、この時期は朝夕に冷え込むので、日中との寒暖差で体調を崩さないように注意が必要なのだ。少し遅れて起きてきた嫁さんに寝ていて寒かった話をすると、彼女は夜中に2回も足がつったらしい。昨日は丸一日、竿を振りっぱなしだったので疲れていたに違いない。

 朝食はミルクをタップリと注いだシリアルに、お庭で採れたポウポウ。しっかり食べて、エネルギーを充電する。今日から2日間は、嫁さんとは別行動。彼女はダイビングに行き、私はテリーと心置きなく釣りをする予定なのだ。準備万端整えて、ダイビングスポットに向う高速艇が出るリーフフリートターミナルまで車を走らせ、嫁さんをポトンと落として車を北に向ける。行き先はデントリーリバー。今日一日、ガイドと2人で魚を釣りまくるのだ。

 「すれ違う車にヒュンダイが増えたなぁ」と思っていると、テリーが「日本車を買えない人達が、この頃、ヒュンダイを買っている。」と話してくれた。「安いけれど故障が多いので、日本車の方が良い」との評価だが、韓国の車も性能がアップしているので、数年後にはどうなっているだろうか・・・。確実に言える事は、故障が多いというのは国土が非常に広いオーストラリアでは致命傷。命に関わる問題なので、日本ブランドが持っている安全・安心に勝るものはないのかもしれない。

デントリーリバー 8KB (後日談:2014/2/10 トヨタがオーストラリアでの生産から2018年前後をめどに撤退する方針を固めた。豪ドル高や人件費の上昇で輸入車との競争が激化しており、これ以上の生産継続は困難と判断。販売事業は継続。既に米ゼネラル・モーターズ(GM)も現地生産の中止を発表しており、トヨタが生産撤退を決めれば同国で自動車生産するメーカーはなくなる。自動車産業は産業としての裾野がとても広いので、影響は大きいに違いない。)

 ケアンズ市外に広がる草地でくつろいでいるワラビー達を横目で見ながら、順調に車を走らせる。海岸沿いのワインディングロードをストレスなく走るホールデンコロラドも力強くて中々良い感じ。ピックアップトラックなので、雨の多い日本では人気車種とはなりにくいのだろうが、自分のファースト・カーがピックアップのシングルキャブ。なんとなく嬉しくて、乗っていて楽しかった。

 モスマンの街に入る手前、テリーがボートを積んだトレーラーを横転させた事故現場を通過した。この事故で、お客さんの物も含め竿を6本折り、ボートに積載していたクソ重いバッテリーは全て吹っ飛んだ。私がかつて提供したカルカッタ・コンクエスト250DCは後続車に踏まれて大きく歪み、2本目のオーシャングリップはサトウキビ畑の中で行方不明。この事故で、ボートを修復するのに6ヶ月も掛かるというフィッシング・ガイドとして致命的な大損害を被っていた。後日、トレーラーのリーフスプリングが走行中に壊れた事が事故原因だったと判ったらしい。

〜 カーフェリー・ポイントで肩慣らし 〜


カーフェリー 6KB 午前8時半過ぎにデントリーリバーのボートランプに到着。既に駐車スペースには、トレーラーを牽引している車がズラリと並んでいた。目に付くのはやはり日本車。トヨタ、ニッサン、三菱など新旧様々なモデルの車があった。スクールホリデーが始まっているため、釣り客が多いようだが、数多くのボートが既に出船済み。私達は出遅れた感じがするが、致し方ない。ボートの船首を下流に向けて走り出した。

 先ずはカーフェリー近くのポイントで肩慣らしをする。横を通過するカーフェリーはスクールホリデーだけあって、結構な数の車を積んでいる。乗客たちは私達が竿を振る様子を見ているので、「ここでバラマンディを掛けたらカッコイイだろうなぁ」などと思いながらトウィッチをしていると、ロングA(15A)にバラマンディがガボッと出た。ルアーを咥え込んでいなかったため、すかさず同じポイントにルアーを打ち込むと、再びルアーにアタックしてきた。丁度、私達の横をカーフェリーが通り掛かっていたので、ファイトシーンを見せてあげられると思った瞬間にフックオフ。釣りの神様は、私のスケベ心をお見通しだったようだ。

 後が続かなかったので、このポイントは粘らずにボートを岸沿いに進めながらオーバーハング下を丁寧に狙っていく。魚の活性が良ければ、朝の内にこの辺りで何本か獲っておきたかったのだが、魚が姿を現さない。上流から流れてくる水がとても濁っており、コンディションが悪いようだ。このエリアを早々に見切ってフルスロットルで河口を目指して突っ走る。それまでまっ茶色だった水色が、潮目を境にガラリとエメラルドグリーンに変わった。余りにも突然、魔法にでもかけられたかのように水色が変化したので、思わず「おぉぉぉぉ〜」と声が出る。

〜 ホワイトビーチ・エリアでのトウィッチング 〜


コトヒキ 9KB 河口の先端付近を探ったが、ルアーを追う魚の姿は見られない。続いて、河口を出て真っ白い砂浜を横目で見ながら倒木エリアを目指す。少しして倒木エリアに到着。水は透きとおり、水の中が丸見えだった。テリーから「魚達から私達が丸見えなので、ロンクキャストをしろ。」と指示が飛ぶ。こんな時に役立つのがスピニングタックル。長い間、ベイトタックルオンリーだったが、2010年12月の遠征からスピニングタックルも使うようになり小型のポッパーを使ったGTやクイーンフィッシュ狙いには重宝している。

テリー 8KB 散々引きまくったTDポッパーにバイトはないのだが、偏光サングラスを通して見ているとルアーの後ろから小さな魚がチェイスしているのが度々見えた。Dコンタクト63に交換し、トウィッチを始めると水中に沈む倒木や岩陰からワラワラと魚が出てくる。これをバックシートから見ていたテリーが使い始めたのが、TASHI-Rレイド6。日本人のお客さんからプレゼントされたらしいが、ピュッと投げてチョンチョンとやっていたら直ぐに竿が曲がった。キャッチした魚は珍客のコトヒキ(ストライパー)。これまでの豪州遠征で、見たことがなかった魚なのでちょっとビックリ。

 彼に負けてならじと、Dコンタクトを早めの連続トウッチしていると何度もメッキがルアーにアタックしてくる。やっとフッキングしたのが20cmのメッキだった。その後、テリーが小型のXラップでバラクーダ(40cm)を釣り、この場をあとにする。残念ながら、期待していた良型のGTやクイーンフィッシュは不在だった。タイミングが良ければ大型のバラマンディも釣れるらしいので、またの機会に再挑戦だ。

 河口を突っ切り、左岸へと移動。このエリアは河川の流れや波の影響で、岸際がガッポリとえぐれている場所が多く、魚達の住処になっている。ホワイトビーチには小物しかいなかったので、こちらのポイントを期待していたのだが、こちらの方は更にコンディションが厳しかった。ザックリと探ったが全く反応がないので、岸際にDコンタクト63を打ち込みストラクチャー付近に十分沈めてからトウィッチを試してみる。すると、やっとマングローブジャック(30cm)が反応した。テリーも相当苦戦しており、余りのタフさにうなりながらレイド6でビッグアイ・トレバリーをキャッチ。

〜 いったい何処に? 〜


ジンジャービスケット 12KB 午前10時過ぎ、木陰にボートを寄せてティータイム。魚っ気が薄く、「いったい何処に行ってしまったのだ?」とテリーが嘆くほど、厳しい状況だった。こんな時はジタバタしても仕方がないので、私のお気に入りのジンジャービスケットを頬張りながらエメラルドグリーンに輝く海を眺めて一息つく。

 前日、負傷した肩の具合が気になるので、襟の所から覗いて見ると、大判のキズパワーパッドが傷口から滲出する体液を吸収して大きくプヨプヨに膨らんでいた。キャストの度に肩を動かし、激しいトウィッチングや強いジャーキングをしているので、傷口部分が服で擦れて芳しくないようだ。

 潮が切り替わるタイミングでキャストを再開すると、TDポッパーにGT(40cm)が出た。やはり川の中では、潮が下がり川の流れが出ている時の方が良い。このタイミングでテリーが狙っていた場所に向ってボートを走らす。川のど真ん中、全く何もない場所なのだが水深があり、水底に大きな倒木があるらしい。彼は山たてをしてあり、その場所がピンポイントで特定できるようだが、私がぐるりと周囲を見渡しても両岸には鬱蒼と樹木が生えているだけで目印となるような物はない。倒木がどんな具合に横たわっているかもイメージ出来ず、少し困惑したまま釣竿を握る。

〜 突然の巨魚襲来 〜


リーズシャッド&シャッドラップ9 5KB テリーからリーズシャッドを使えと指示が出る。ロングキャストをしてから一気にリトリーブをしてルアーを潜らせ、あとはポーズを入れながら強めのトウィッチング。ストラクチャーにルアーがあたる訳でもなく、なんの面白みもなく釣れる気もしない。言われるままに投げる方向を変えてリトリーブしていると、いきなりガツンときた。ヒットするまでに、たったの3投。物凄いパワーでカルカッタ・コンクエスト250DCから一気にラインが引きずり出される。

 竿を持っていかれないようにギュッと握り締めて、ひたすらハードなファイトに耐える。少しずつポンピングで引き寄せようとしたら、痛恨のラインブレイク。巨魚は水底に沈むストラクチャーに潜り込みラインをブチ切って行った。魚の姿は一度も見られなかったが、テリーの予想では3〜4kgのマングローブジャックか、狙っていた良型のバラマンディだろうとのこと。

 一個しか所有していないルアーを持っていかれ、悔しさ爆発。リーズシャッドのコピー元とも言えるシャッドラップ9を取り出し、何回か同じように攻めてみたが無反応。大型魚は単独で潜んでいたのか、はたまた激しいファイトで魚が散ってしまったのかは不明だが、その後はワンチャンスもなくギブアップ。やはりガイドがピンポイントで案内してくれる場所は、絶対にミスしてはならないのである。

〜 怪しげな東洋人の登場 〜


GT 10KB 今回の豪州遠征では、強い日差し対策として新しいアイテムを持ち込んだ。そのアイテムはコヒナタクーリーハット。当サイトの「とっても便利グッズ」のコーナーで既に紹介しているが、昔から鮎釣り師などに使われている笠を、折り畳めるように作った優れ物。かさ張らず、スーツケースに突っ込んで持って来れるので、麦藁帽子やカーボーイハットよりも持ち運びに便利。帽子とは違って、頭の上に空間があるので「被っている感」がなく、風が通り抜けるので快適なのだ。

 首周りの日焼け防止とサンドフライ対策で、愛用しているシマノの帽子に付属しているスパッタリングメッシュを外し、マジックテープでくっつけられるように独自に改造。見た目は悪く、とても怪しげな東洋人に見えるのだが、機能を優先に考えるとイイ感じ。軽くて、蒸れず、雨にも対応できるので、とても重宝する逸品だ。テリーに笑われながらも、自分にはその奇妙さは見えないので気にせずに竿を振る。怪しさで言えば、彼がキャップを深く被り、サングラスを掛けてネックガートで顔を覆っている姿も相当なものである。

 岸際を撃っていくと、大きな魚が目の前を横切った。すかさずルアーをキャストし誘いを掛けるが反応しない。マングローブ林の際をウロウロしているので、テリーに魚の名前を尋ねるとブルーバステッド、またの名前をモーオンだと言う。相当のストロングファイターらしいが、私のルアーには見向きもしない。是非一度は釣って、魚の顔を拝みたいものだ。

〜 新たな重心移動システムは 〜


フィッシング 9KB クリークの入り口にボートを停めて、コーナーをロングA(15A)で叩く。潮通しが良い場所なので、必ず魚は潜んでいるハズ。反応がなかったので、試しにサイレントアサシン99Fに交換。豪州遠征では初めて使う一口サイズのルアーだ。バラマンディのボート釣りでは、飛距離を稼ぐための重心移動システムは本来不要なのだが、強風時におけるキャスティング精度を上げるためにはあった方がいい。ただし、ジャーキングをした際に錘が暴れて、ヘンテコリンなアクションをするのは困る。

クリーク 13KB その点で、タックルハウスK-TENジップベイツZBLシステムミノー等に採用されているシステムは優秀なのである。では、シマノの新たなバネ式重心移動システムはどうか? と試してみる。投げやすくて飛行姿勢が安定しており申し分なし。リップがもう少し幅広で、ジャークした際のアクションが、もう少しワイドで移動距離が短ければ良いのに・・・と思いながら使っていると、バラマンディがグワンッと下から出て来た。フッキングには至らなかったが、このルアーにバラマンディが反応することは取りあえず判った。

 バラマンディが姿を現したピンポイントを2人で集中的に攻める。サイレントアサシン99Fは一回で見切られてしまったのか、その後の反応がないので、ロングA(15A)に戻す。するとマングローブジャックとGTが連発で飛び出した。テリーが使うロングAにもマングローブジャックがヒット。この魚はファイト中にフックアウトしてしまったが、ロングAの強さを再確認した。長年、トップ・プロガイド達に使われている意味はちゃんとあるのだ。

〜 クリーク内で連発 〜


クロダイ 12KB クリーク入り口の水色は、エメラルドグリーンなのだが、中の方は茶色い水が溜まっている感じ。入り口に魚がいるという事は、中に入ればもっとウハウハかも・・・。期待を胸に抱いてボートを静かにクリークの中へと進め、探ってみることにした。いかにもサンドフライが沢山いそうな場所なので、予めメッシュガードで顔を覆いながら竿を振る。

マングローブジャック13KB オーバーハングや倒木、レイダウンが山ほどある場所で使うルアーは、シャッドラップが一番。サイズは、もっとも対象魚種が広い8cmをチョイス。複雑なストラクチャーを狙ってピンポイントに打ち込み、トウッチ&ポーズ繰り返す。枝張りの大きな倒木周りには、魚が集まっている様子。枝に絡めるようにルアーをトウィッチをしていると、クロダイ(23cm)が出た。

 この場所には30cmに満たないクロダイやマングローブジャックが何匹も住み着いており、競い合ってルアーに飛びついてくる。余り小さい魚を釣っても空しくなるので、フッキングさせずにこれらの魚と遊んでいると赤黒いヤツが物陰から飛び出してルアーを咥えて反転。倒木の下に潜り込み、動かなくなった。

 魚の正体は、かつて私が"赤い悪魔"と名付けたマングローブジャック。倒木にぐるぐる巻かれ、ラインブレイクによるルアーロストを覚悟したのだが、暫く待っていたら、魚が動いてスルスルっと出て来た。ここで一気にストラクチャーから引きずり出し、ボート際まで引き寄せる。今回の遠征でずっと出番がなかった私のオーシャングリップ2920HDでガッチリ掴んだ赤黒い魚は41cmだった。

〜 やっと出たバラマンディ 〜


バラマンディ 12KB 水中に沈むストラクチャーをピンポインで狙ってショートキャストを繰り返す。狭いクリークがガチャガチャ音を立てて釣りをしているので、魚達が怯えて釣れなくなるかと思いきや、魚がルアーに食いつきバシャバシャやるので、エリア内の活性が逆に上がってきた様子。そして突然、シャッドラップ8をバラマンディが襲い掛かった。これまでかなりのキャストを繰り返していたポイントなので、「やっと寝ていた子が起きてきた」って感じ。サイズはそれほどでもなかったが、水中は障害物だらけなので出来るだけラインは出さずに、往年の赤竿スコーピオンBSR1603Fの腰を使って魚とやり取りをして大人しくなるのを待つ。

 ガッチリとオーシャンクリップで掴んだバラマンディのサイズは51cm。今の時期の、この川におけるレギュラーサイズってところだろうか。時計を見ると午後1時少し前。デントリーリバーでバラマンディを釣るのに、朝からやってこんなにも苦戦するとは思わなかった。写真をさっさと撮って直ぐにリリースして次のキャストを始める。折角、魚達の活性が高まっているので、今が最大のチャンス。のんびりやっていると活性が落ちてしまうので、スピードが大切なのである。

 開始3分、つい先程、バラマンディを掛けた水中に沈む倒木周りで私とテリーが同時にヒット。私の魚がバラマンディで、彼の魚がマングローブジャック。銀色の魚と赤黒い魚が激しく抵抗しているのがボート上から見えた。2人もそんなに無理はしていないつもりだったが、これらの魚はフックアウト。ルアーに食いつくタイミングが同じだったが、フックアウトするのも同じタイミングだったのでお互い笑うしかなかった。

〜 そこに水はなかった・・・ 〜


テリー・ギブアップか? 12KB 時が経つのも忘れ、同じ倒木を何度も繰り返し撃ちまくり、テリーが58cmのバラマンディを追加。気が付けばスリークの水位が随分と下がっていた。狭い水路の中で強引にUターンして出口に向うと、真正面に見えたのが水面上に露出したサンドバー。クリークに入る時に通って来た所は、水位が下がり陸になっていた。つまり、そこに水はなかった・・・。

 かろうじてボートが通れそうな水深があるのは、うっそうと茂ったマングローブ林のキワのみ。エンジンをめい一杯までチルトアップ。スクリューで水面を激しくガバガバ攪拌させ、砂を巻き上げながら前に進む。マングローブの枝葉にガリガリとボート側面を当てながら暫く進んでやっと脱出。ここで座礁すると、水位が上昇するまで何時間も延々と待たなければならないため、冷や汗ものの経験だった。

木陰でランチ 8KB シャローフラット・エリアをラビット109を使ってザックリとチェックしながら上流へと向う。ラビット109はバラマンディを狙うようなルアーではないが、サンドバー周辺に潜む大きなコチや、GTには効きそうだったので試してみたが不発。岸際も狙ってはみたが、とても濁っており魚の反応はない。この濁りの原因は、スクールホリデーにある。休みの間は、釣りに来ているボートの数が多く、行ったり着たりしているため、岸際が波立って濁ってしまうらしい。

 午後1時半過ぎ、ボートランプまで戻って来てテリーのトイレ休憩。桟橋に寄せたボートの上で竿を振っていると、行き交う観光客が怪しげなスタイルで釣りをしている私に声を掛けてくる。オーストラリア人は基本的に人懐っこくて、初対面だろうが何だろうが気軽に声を掛けてくる。私にとってネイティブな豪州英語はとても早口で判りにくいが、誰もが「釣れてるかい?」と聞いているようなので、「今日は、とってもタフだよ」と適当に答えておく。アレコレ質問されてもちゃんと答えられないので、そんな程度で十分なのだ。

 テリーが戻ってから少しボートを上流に進め、木陰に入って遅めのランチにする。食事の準備をしていると、自然観察&クロコダイルツアーをやっている若いスタッフが午後の部のお客さんを迎えにボートでやってきた。彼の話によると、今日は午前中からお客さんが結構入っている様子。ワニも中洲で日向ぼっこしている光景がチョクチョク見られるようで、お客さんも喜んでいるらしい。私達にしてみれば、このボートが自然観察のため岸際近くを何度も行き来してポイントを潰している。正直言って嬉しくはないが、河川の状況を聞けたりするのでヨシとしよう。

〜 川の中の危険なヤツ 〜


 「今日のサンドウィッチは、いつものハムではなく、ツナだぞ」と言うので、パンにレタスやカットしたトマトを乗せて待っていると、テリーが頭を抱えてアチコチをガサガサやってる。もしかして・・・やっぱり彼は、ツナ缶をキッチンに忘れて来たのだった。スライスチーズがあるので、彼はツナがなくても大丈夫だが、チーズが苦手な私は物足りなさを感じつつ、トマト・レタス・サンドをパクついて紅茶で胃の中に流し込んだ。人間は歳をとると何かと忘れ物が増えるので、お互い気をつけなければならないのだ。

 ランチタイムを30分程とって体を休め、午後2時過ぎから午後の部をスタートした。ボートランプの少し上にあるポイントを丁寧に探っている際、川の真ん中に2メーター程度のワニが静かに泳いでいるのを発見。竿先にぶら下がっていたポッパーを投げると、すぐに反応した。好奇心旺盛なのかエサとして食おうと思っているのかは不明だが、ルアーの動きにあわせてボートに近づいてくる。暫く、ワニと遊んでいたが、飽きられてしまったようで下流へと泳ぎ去った。数年前には、ここで5歳の男の子がワニに襲われて命を落としている。川の中には危険なヤツがいることを常に頭の片隅で意識している必要があるだろう。



〜 厄介な自然観察ツアーボート 〜


マッディウォーター 6KB ワニと遊んで気分転換になったので、再び頭の中のスイッチが入り、釣りに集中する。全体的に濁りが強い中流域で試したのが、豪州遠征に初めて持ち込んだシマノデプスレス75F。小さめなルアーだが、飛距離もソコソコあり、潜り過ぎないので使いやすいルアー。使い始めて間もなくバラマンディとGTが相次いでバイト。釣れるルアーは、直ぐに結果が出るのだ。ルアーのサイズ的にも魚種を選ばないのでケアンズ近郊の河川で威力を発揮するに違いない。

 クリークの入り口、オーバーハング下の日陰をデプスレス75Fで狙っているとバラマンディが出た。丁度その時、私達の後ろには自然観察&クロコダイルツアーのボートがやってきた。私とバラマンディのやりとりをマイクを使って熱弁しているのは、昼にお話をした若いスタッフ。観光客の視線が私に集まる中、魚をバラするは格好が悪い。サイズは小さかったが、時間を掛けて丁寧に対処する。頃合を見て魚をボート上に抜き上げ観光客に魚を見せると、ツアーボートから歓声が上がった。

 「ちょっと演出しすぎたかな?」とテリーに言うと、肩をすぼめて苦笑いをしながら「次の場所へ移動するぞ」と声が掛かった。パッと振り返ると、私達がこれから入って行こうとしていた川幅の狭いクリークの中へ、ツアーボートが先に入ってしまった。やっぱり、自然観察&クロコダイルツアーは厄介な存在なのである。絶好のポイントを荒らしながらノロノロと進むボートの後ろを付いていき、魚を釣るなんて絶対に無理なのだ。

 仕方がないので、本流を遡りながらキャストを重ねる。いつもなら、行きと帰りは別サイドを釣るのだが、今回は右岸を攻めた後は左岸に移動しポイントを叩き、再び右岸に戻って彼が指示するピンポイントにルアーを打ち込む。右岸と左岸のジグザグ移動を繰り返して要所要所だけを狙い撃ちしながら上流へと向う。実績のあるポイントだけを攻めるので、ロスタイムが少なくてとても効率的。しかもデプスレス75Fが見事にはまり、マングローブシャックを2匹、鉄砲魚を1匹、そしてGTを1匹をキャッチした。やはりこのルアー、かなりイイ感じなのである。

〜 ウィードエリアでバラ狙い 〜


テリー&バラ 10KB 午後3時半、デントリーリバーに来ると必ず竿を振るウィードエリアに到着。水質はとても悪くて泥濁り状態。この濁りはツアーボートによる物ではなく、上流にある農地から流れ出た泥水らしい。色濃いココア色をしているような場所では魚は釣れない。せっかくこの場所まで上がって来たが魚っ気はゼロなのでUターンして川を下り、対岸にある別のウィードエリアを探ることにした。

 この場所では、分厚いウィードの下にバラマンディが潜んでいる。ウィードの中にルアーを突っ込むのではなく、ツラをなでるようにルアーをトウィッチしながら引いてくるとガツンと出るハズ。ここでは、釣り慣れているテリーがロングAを使って50cmのバラマンディをキャッチした他、フラットラップなどを使ってバラマンディのバイトを取っていた。

ボートランプ 8KB 一方、私の方には全く魚が反応しない。ロングAを試した後、アスリート・クイックレスポンスX80SWなどを投入したが不発に終わった。同じ場所で、同じルアーを使って魚を誘っても、反応するのはテリーが操るルアーの方。何がどのように違うのか、全く理解できないのだが、きっと魚にとっては大きな違いがあるのだろう。このウィードエリアでのバラマンディ釣りは、お手上げでとても悔しい思いをした。

 午後4時半、いつもより早く納竿。余りにも釣れなかったので、「帰りにHooK a Barraに寄って行こう」と冗談を言ってはみたものの、テリーの笑いは取れなかった。彼の頭の中は、「明日は何処に行こうか?」という事で一杯だったようだ。日本と同じで、毎日、潮のタイミングが後ろにズレていくのだが、明日は魚が釣りやすくなる干潮のタイミングが夕方遅くになってしまうらしい。水位が高いと、強い日差しの下では魚達はマングローブ林の中に入り込んでしまうため、手も足も出なくなってしまう・・・。そんな話をしていると突然、睡魔が襲ってきて私は助手席でいつのまにか爆睡。気が付いたらテリーのお宅だった。

〜 ダーウィンに現地集合 〜


夕食パンプキンパイ 8KB 今朝の段階で、夕食はケアンズの郊外にあるレストランCAZALYSを予定していた。そのため、釣りを早めに切り上げてきたのだが、今宵はフットボールのファイナルゲームがあるらしく大混雑になりそうなのでパス。いつもどおり、マリアさんの手料理を御馳走になる。テーブルに並んだのはミートパイ。これにカボチャ、マッシュポテト、サヤエンドウの野菜が添えられたシンプルな食事。私の感覚では、これに御飯と味噌汁が付いていて欲しいのだが、こちらのスタイルは御飯の代わりにマッシュポテトを結構な量食べるようだ。

 食事をしながらアレコレと話をする。テリーとのお付き合いは1998年4月からなので、既に15年以上が経過。血気盛んでガツガツとフィッシングガイドをしていた時期を過ぎ、円熟味を増してきた感じがする。かつては直ぐに怒るので、"瞬間湯沸かし器"なんて呼ばれていた時もあった。毎日、ゲストのハイレベルな要望に応えつつ、ハードワークを続けるのはとてもストレスが多かったからだろう。以前、私が彼に「一回怒ると、一日寿命が縮むぞ」と諭してからは、むやみに怒るのを止めたらしい。今ではとても温厚になった。

 最近は頻繁にアラクンまで出掛け、母船でゲストと一緒に寝泊りをして24時間フルタイムのチーフガイドとしても活躍。自宅で奥さんと一緒に過ごす時間は、以前よりも更に減っているようだ。そんなこともあって、これからは徐々にガイド業をペースダウンさせるらしい。彼は新車にキャンプ道具などを詰め込んで、奥さんと二人で広いオーストラリア国内をぐるりと巡る計画を立てている最中。その時は、ダーウィンに現地集合をして、一緒に釣りをしようと提案してくれた。

釣行2日目の結果

TOSHI

TERRY

バラマンディ

2

2

GT

4

1

マングローブジャック

4


チヌ

1


バラクーダ


1

鉄砲魚

1


コトヒキ(ストライピー)


1



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